~Side Story ~サトシの兄な転生者の軌跡   作:ゼノアplus+

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俺、誕生

1話

 

……とても暖かい、ここはどこだろうか。なんと言えばいいんだろう……実家のような安心感。……でもこの体の衝動を抑えることができない。

 

 

「おぎゃぁぁ!!おぎゃぁぁ!!」

 

「あらあら……うふふ、元気ねぇ。そう思わないパパ?」

 

 

喉が震える……まさかこの泣き声は自分が上げている!?ということは……俺は赤ん坊になってしまったのか!?どういうことだ……俺はさっきまで家で寝てたはず!!

 

 

「ふふ……ねぇパパ……この子の名前、なにがいいかしら?」

 

 

何故か母親らしき女性の声に聞き覚えがある。そして父親らしき人物もいるんだろうけど……声が聞き取りにくい。クソッ……すごく眠い。これが赤ん坊の体か。満足に動かせないし、目を開けない……

 

 

「……あら!!とてもいい名前。そうね……そうしましょう。貴方の名前は……」

 

 

あぁ……もう意識が保てない……少しだけ、少しだけ眠ろう……そうしたらきっといつも……どうりに……

 

 

「貴方の名前は……サトルよ」

 

 

 

〜3年後〜

 

 

 

「お母さん、準備出来たー」

 

「はーい、今行くわ〜」

 

 

やぁ、僕の名前はサトル。3歳です。今日はお母さんとお父さんと一緒にピクニックに行きます!!

 

………………俺はサトル、前世の記憶を合わせたら大体精神年齢20歳くらいだ。さっきのふざけた自己紹介は忘れてくれ。俺だってなんでこんなことになってんのか分かってないんだ。

 

大体3年前であろうあの日。俺はこの世界で“生まれた”

 

未だに意味が分からん。俺は自分の部屋で寝ていた筈だ。それがどうして……違う場所でこんなことになっているのか……出身地や年、学生だったことや親のへそくりの金額まで覚えてる。でも、名前だけがどうしても思い出せない。まあ、今の母さんにサトルって言う立派な名前を貰ったから気にしてない。

 

だったら生後すぐからの様子を見せろって?おいおい、母親の授乳シーンはサービスショットに含まれるか?こんな歳じゃ性欲も湧かないしまず、そんなことも思わない。しかも誰得だ?少なくとも俺は得しない。

 

まあ真面目に答えると、たいして普通の子供の生活とは変わらなかった。朝起きて飯を食い、遊んで昼寝をして昼飯食って遊んで昼寝して、夕飯食って寝る。子供の生活なんてこんなもんよ。母さんが買ってくれたオモチャにポケモン系のグッズが多かったから、プレイしてた身としては懐かしさや嬉しさを感じる。サブカルチャーもしっかりしてるみたいだ。カントーのポケモンのしかなかったのは気になったけど。

 

そして俺の母親なんだが……ハナコって言うらしい。なぜかアニメのポケモンのサトシママにそっくりな顔だった。やけにポケモンを推してくるこの世界はなんなんだろうか……それに対して父さんの名前なんだが……母さんもパパとしか呼ばないから知らん。2人は俺が遊んでいるのを見ていつも幸せそうな顔をしている。3歳児なのに精神年齢がこんなに高いのを隠しているから罪悪感がすごいけど……それでも息子としては、そんな両親を見るのがすごく嬉しい。体に精神が引っ張られているのだろうか?まぁ……最近になって、近くの部屋からギシギシと何か音が聞こえてくるが……聞かなかったことにしている。両親のメンツのためだ。俺の兄弟も出来るかもしれないしね。

 

 

「さてと……行きましょうか、サトル」

 

「うん!!外に出るの久しぶりだから、楽しみ!!」

 

 

喋り始めは、こんな口調をするしかなかったからとても恥ずかしかった。まぁ、もう慣れたよね。ずっとこんな感じだし、大事に育ててくれる両親をがっかりさせたくない。そして、外に出るのが久しぶりというのも本当だ。俺は前世から自分の部屋と学校と塾を行ったり来たりするような人間だったから、あまり外には出なかった。まあ結果的には、その勉強もこの世界にきたことで意味をなさなくなったけど。

 

 

「お母さん、あれなんて書いてあるの?」

 

「どれのこと?」

 

「あの白い看板」

 

 

久しぶりの外に太陽が眩しい。けど、空気も澄んでいて美味しい。……そういえば俺はまだこの世界の文字が読めない。日本語じゃなかったからだ。子供は成長段階で言葉を覚えるらしいから、会話などは問題ないんだけど……この世界の文字って変な記号に見えるんだよなぁ……

 

 

「ああ、あれね。えっと『ここは マサラ タウン まっしろ はじまりのいろ』って書いてあるわよ。サトルも少しずつ、字を覚えないとね」

 

 

なるほど、あれはマサラタウンって書いてあったのか。どうりでサトシママ似のひとがいるわ……け……だ?

 

……ッッッッッッッ!?!?!?!?マサラタウン!?おいおいおいおいどういうことだってばよ!?ここがマサラタウンだと!?日本にそんな地名の場所あったのか!?いや待て……じゃあ……

 

 

「へ、へぇ〜……ねぇお母さんあの大きなおうちは?」

 

「オーキド博士の研究所よ。サトルには……まだ難しいけれど、ポケモンの研究をしているの凄い人なのよ」

 

「おー……きど……博士」

 

 

……嘘だろ。じゃあ、今までサトシママ似だと思っていた母さんは……本当にサトシママ?

 

いや……もっと大切なことがあるな……そっか、この世界は……

 

 

「ラタッ!!」

 

「ポッ!!」

 

「待ってよコラッタ〜!!」

 

「…………」

 

「サ、サトル?大丈夫?久しぶりのお外だから気分が悪くなったのかしら?」

 

 

アニメ、ポケットモンスターの世界……しかもサトシが生まれる前……原作が始まる10年以上前。……ちょっと意味がわからない。いや、分かってたまるか……なんで……なんでよりによってアニメの世界なんだ……?責任者出てこいよぉ……

 

 

「大丈夫だよお母さん、初めてポケモンを生で見たからビックリしちゃった」

 

「あらあら、そういえばサトルはまだ見たことなかったわね。怖い?」

 

「ううん、可愛いと思う」

 

 

可愛いと思うのは本当だ。コラッタとかポッポとか、リアルにポケモンが動いているのを見るはなんかこう感動する。……でもそうじゃない。いやそうじゃないんだよ……

 

 

「こんにちは、ハナコさん。おや?その子はがもしや……?」

 

「あら、オーキド博士こんにちは。うちの息子です。ほらサトル、ご挨拶して」

 

 

……違う。たしかにポケモンの責任者みたいな変な立ち位置についてるけど違う。ていうかタイミングが良すぎる。どうしてこのタイミングでオーキド博士が出てくるんだよ……ご都合主義ってか?お前じゃない…… クソッ……神様か?神様なのか?どこぞのアルセウスなのか?誰でもいいから説明しろォ!!

 

 

「こんにちは!サトルって言います。3歳です。えっと……お母さんがお世話になってます?」

 

「ハッハッハッ!!そうじゃのう……たしかに世話を焼いたことはあるのう。よろしく、サトル」

 

「もうサトル!全く……どこで覚えたのかしら?」

 

 

……なんか、少し落ち着いてきた。こんな和やかな会話をされてたら流石にな。はぁ……状況整理だ。まず、俺はサトル。サトシ一家の長男で、前世の記憶がある転生者?そしてここは、登場人物的にアニメのポケモンの世界と……oh……10歳で成人するっていう鬼畜世界じゃないですか……

 

 

「ふむ。3歳にしてはなかなか落ち着いておるな。外で遊ばないのか?」

 

 

俺が知っているオーキド博士よりはやはり若い。そりゃあ、原作開始より10年ほど前だからか。

 

 

「家で絵本を読むのが楽しいから。それに……早く字を覚えて沢山お勉強がしたいです!!それに今日はピクニックに行くからお外に出てます」

 

「ほほぅ……なかなか賢い子じゃな。ふむ……これからはハナコさんをママさんと呼ぼうかの」

 

「ママさん?」

 

 

お、おぉ……たしかにアニメだったら母さんのことを『ママさん』って呼んでたけど……こんなところですっと決まるとは……

 

 

「サトルにもそう呼ばれてみたいです。いつもお母さんって呼ぶから……」

 

「恥ずかしいから……」

 

 

流石に精神年齢20越えの大人がママ呼びはちょっと……ね?

 

 

「ラッタ……?」

 

「む?コラッタか。サトル、少し下がってなさい」

 

 

オーキド博士が、まだ幼い俺を下がらせようとする。……コラッタ。ポケモンがこんな近くに……すげぇな……本当にこれが現実。ポケモンが生きて動いているんだ!!

 

 

「なッ、サトル!!」

 

「君、コラッタって言うの?おいで〜」

 

「コラァ?ラタッ!!」

 

「おっふ……ははッ……あったかい……」

 

 

一瞬不思議そうにした後、飛びついてきたコラッタを受け止めその腕に抱く。3歳児のこの体ではまだ、コラッタは大きいので結構重い。コラッタの感触や体温が直に俺に伝わる。生きてるんだなぁ……としみじみ感じる。これがポケモン……か。

 

 

「まぁまぁ……ポケモンに触るのは初めてなのに」

 

「そうなんですか?」

 

「えぇ……さっき言った通りあまり外に出ないものですから。おもちゃとかぬいぐるみとか買ってあげてるんですけどね」

 

「ほぅ……将来が楽しみですな。こんなに早くからポケモンと心を通わせることができる。もしかすると良いトレーナーになるかも知れん」

 

「うふふ、博士は相変わらずですね。私としては、元気にすくすくと育ってくれたら、それが一番です」

 

「ラッタァァ……♪」

 

「ここがいいのかぁ〜よしよ〜し」

 

 

母さんと博士がなんか話してるけどまあいいや。それよりも俺はこの撫でられて幸せそうなコラッタをさらに撫で回すという大事な使命があるのだ!!

 

 

「あっ!!コラッタ見つけた!!」

 

「ラッタッ!!」

 

「あっ……」

 

 

主人らしき子供を見つけたコラッタが俺の腕から走って行った。

 

 

「サトル、初めてポケモンに触った感想はどうじゃ?」

 

「……」

 

「あら……サトル?」

 

 

……そんなの……そんなの決まっているじゃないかオーキド博士。

 

 

「……生きてるって感じがした」

 

「そうか……たまに研究所に遊びに来なさい。うちには沢山ポケモンがおるからのぅ」

 

 

そう行って、オーキド博士は笑顔で去って行った。博士公認で研究所に出入りできるってことか……ポケモン見放題じゃん!!

 

 

「サトルったら、オーキド博士に気に入られちゃったみたいね」

 

「すごいことなの?」

 

「えぇ、とっても」

 

「お母さん……」

 

「なぁに?」

 

「僕……ポケモンのこともっと知りたい」

 

「ふふッ……そう。じゃあ難しい本でちょっとずつお勉強しましょうか♪」

 

「うん!!」

 

 

……なんで俺がこの世界に魂ごときたのか分からないけど、俺は今幸せです。神さま……ありがとうございます。……あれ、アルセウス様かな?

 

あっ、ピクニックはめっちゃ疲れた。3歳児にあの道は辛いって……流石のマサラ人でも3歳じゃ普通か……

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