~Side Story ~サトシの兄な転生者の軌跡   作:ゼノアplus+

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9歳

2話

 

 

「ッ〜……そろそろ休憩しよっかな」

 

 

『鳥ポケモンの生態』という参考書と大学ノートが開かれた机に向かいペンを置いた俺は伸びをした。

 

 

「にいちゃ〜ん」

 

「ッ!!今行くぞサトシィィィィ!!!!」

 

 

我サトル。齢9歳にして来年ポケモントレーナーとして旅立つ者である。現在、4年前に出来た弟にメロメロだよ。

 

いやさ、前世の俺って一人っ子だったから兄弟に憧れてたんだよね。本当は姉か妹が良かったんだけどこうして弟が出来るとすっげぇぇ可愛いのなんのってさ。

 

え?時間が進むのが早い???待て待て落ち着け餅つけ。一つずつ説明していこうじゃないか。ポケモンのことをもっと知りたいと思ってから、母さんに色んなポケモンの本を買ってもらった。最初は絵がメインの図鑑(機械じゃなくて普通の本)で勉強してたりしたんだが……正直言ってレベルが低かった。例えばだが、わかりやすいのでポッポのページを見たとしよう。まあとりあえずデカデカとポッポの写真が写ってて分かりやすいんだけどさ……他に書いてある情報がタイプと生息地だけなんだよ。〇〇ポケモンっていう分類すら書いてないしなんならポッポの説明すらない。カントーのポケモンは記憶漏れがあったとしても殆ど覚えてるし今はポケモンについて学ぶには早いと思ったんだ。

だから今までは普通の勉強をしてた。国語、数学、理科、社会。初等教育分をそうそうにクリアした俺はさっさと中等部用の参考書を買った。でもまあ……言語が日本と違うとはいえ、数学や理科の公式がそう簡単に変わることはない。幸いにも『共通言語』なので苦手な英語を勉強しなくて済んだ。結果……2年もあれば高等教育まで進める。母さんには、さすがに無理じゃない、って言われたけど試しに買ってもらった数学の参考書の問題を解いて答え合わせしてもらったらしっかり正解したのでそのまま勉強は続行。若干呆れた母さんは『スクールに通わせても時間の無駄かしら……?』と言っていた。ちなみにオーキド博士にも呆れられた。なんでだよ、勉強はできたほうがいいじゃないか。元現役学生舐めんな。

 

勉強についてはこれくらいでいいだろう。次は生活環境についてだ。俺は世代的に第四世代……ダイアモンド・パール世代の人間だが、アニメでサトシママがバリヤードと一緒に暮らしていた。サトシがゲットしたバリヤードをサトシママに送ったらしいのはどこかで聞いたので知っていたが、初代からAG編までを映画以外知らないので原作通り、とか考えるのはやめた。

 

ただどうしても許せなかったのは父さん……いや、親父でいいだろう。可愛い可愛いサトシが生まれてから首が座るようになると、親父は思い付いたかのように『旅に出る』とか言いやがった。奥さんと5歳児の俺、生まれて数ヶ月しか経ってないサトシを置いて給料の発生しないポケモントレーナーになる??ふざけた冗談だ!!一家の大黒柱としての自覚はあるのか!!

……まあ、今更しょうがない。ただ抵抗としてこの世界に生まれて初めて死ぬほど泣き叫んで引き止めてやったよ。結局親父は最後まで自分の意見を曲げなかったが、最後には俺の頭を撫でながら『母さんとサトシを任せる』とか言って来たので股間を全力で蹴り上げた。俺は悪くない。

母さんも最初は不安そうな顔をしていたが、いざ親父が旅に出る時は笑って見送っていた。……なんというかあの親父は母さんとじゃないと結婚出来てなかっただろうな。見送りをした後の寂しそうな表情は今でもはっきり覚えている。

 

 

「にいちゃーん、カビゴンごっこしよー」

 

「おう、やろうサトシ!!……ところでカビゴンごっこってなに?」

 

「んっとね〜……おやつたべておひるねする!!」

 

「確かにカビゴンだなぁ……じゃあお母さんにおやつもらってくるよ」

 

「やったぁ!!」

 

 

はい可愛い。ああもう天使。弟の笑顔の前では全てが許される(違う)

 

この笑顔を守るために俺は決心した。いつかあのクソ親父ぶん殴ってやろうと。そして彼奴に代わって俺が家族を支えようと。

5歳児がなにを考えとるんや、舐めとんちゃうぞと不特定多数の家庭持ち男性に言われそうだが……よく考えてみて欲しい。この世界で一番流行っているのはもちろんポケモンだ。そして給料をしっかり稼げると言えば、主観と偏見で物を言えば『公務員』である。もちろん司法試験とか難しい基準は設けてあるが、逆に言えばそれだけ安定しているポケモンに関わる公務員…………そう、ポケモン協会の職につけばいいのだよ。前世の知識と合わせ、この世界の人生では俺はまだ10歳にもなっていない子供。たっぷりと勉強する時間はある。伊達に前世でロクに友人も作らず勉強三昧の日々じゃないんだぜ?効率的な勉強方法を覚えてる。あとはこのポケモン世界流に当てはめていくだけだ。……詰まるところ、なんかいける気がする!!のだよ。

 

 

「次はギャロップごっこ!!」

 

「背中の炎で燃えるよサトシ……いや比喩表現なのは分かってるけどさ。よし、兄ちゃんがギャロップをしてやろう!!」

 

「わぁーい!!」

 

 

ぶっちゃけた話、オーキド博士の研究所で博士や研究員さんにも手伝ってもらったりしてタマムシシティにあるタマムシ大学の合格は余裕、という最高の評価をもらっている。ていうかタマムシ大学卒業生の博士に言われるんだから信憑性もバッチリ。でも俺は進学する予定はない。来年には10歳になるのでトレーナーとして旅に出て、手持ちを増やして経験を積んで、さらに勉強して、ポケモン協会に所属してしっかり稼いで収入の安定をはかるのだ!!

 

と、まぁ長々と話をしたが、俺が旅に出るのは来年。サトシが今4歳だから旅に出るのは6年後。アニポケ開始までにまだ5、6年の猶予がある。少なくともそれまでは各地方でロケット団やらマグマ団、アクア団、ギンガ団、プラズマ団、フレア団、エーテル財団は動かないから比較的安心して旅ができる。スカル団……?ただの不良集団を気にするこたぁないね。彼らは思春期なだけだよ。リーダーのグズマも負けた時はポケモンじゃなくて自分を責めるっていう人の良さを見せてるし。

 

今は勉強して、博士の研究所でポケモン達と触れ合って、サトシを可愛がって過ごせば良い。

はぁ……カントー地方からスタートだったらヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネの3匹からか。ヒトカゲだったらリザードンになった時飛べるし、ゼニガメだったらカメックスに海を運んでもらえる。フシギダネだったら『つるのムチ』の器用さで色んなことができる。迷っちゃうな〜。

 

 

「サトル、サトシ、シゲル君が遊びに来たわよ〜」

 

「そういえば来るって言ってたっけ。りょうかーい」

 

 

扉越しの母さんの声を聞いて俺は玄関へと行った。

 

 

「あ、サトルおにいちゃん、こんにちは!!いっしょにあそぼ!!」

 

「こんにちは。サトシも一緒でも良い?」

 

「うん!!」

 

 

シゲル君が遊びに来た。俺は殆ど知らないけど、オーキド博士の孫らしい。あれだね、サトシの事を『サートシ君』って呼んでたのは何故か知ってるよ。あ、2次創作で読んだんだっけな。オーキド家とは家族ぐるみで付き合いがあるので、前に集まって食事をした時にシゲル君に懐かれた。前世の記憶ではキザな性格だったはずなので、やっぱ小さい時はみんな素直な良い子だな〜と思う。

 

そういえば勘違いしないうちに言っておくが、俺はショタコンじゃないぞ。

 

 

そしてこの後3人で無茶苦茶遊んだ。どれくらい遊んだかって?遊び疲れたサトシとシゲル君が寝てしまい、俺がおんぶしてオーキド邸にお届けするくらいさ。最近マサラ人として覚醒し始めたよね。特に運動もしてないのに。

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