~Side Story ~サトシの兄な転生者の軌跡   作:ゼノアplus+

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受験により著しく投稿頻度が下がっています。今話も元々すこし書いていたところに息抜きで書いただけですので次話の投稿がいつになるかわかりません。


初めての……

5話

 

 

『次はミシロタウンです。お降りのお客様はボタンを押してください』

 

「……ここか」

 

 

海に面したカイナシティのバスに乗る事約3時間俺はとてつもない疲労を感じながら壁に設置されたボタンを押した。

 

オダマキ博士の住むミシロタウンと、俺が降りた空港のあるカイナシティはそこまで距離が無い。それにも関わらず3時間という膨大な時間がかかったのには理由がある……ポケモンだ。

町から町までは、多少舗装されているとはいえもちろんポケモンも生息する。エンジン音の鳴り響くバスは野生のポケモンを刺激することが多いらしく襲いかかってくるらしい。

最初のうちは運転手さんが、必ず連れているという2匹のグラエナの特性『いかく』でびびった野生のポケモン達が逃げてくれたのでどうにかなった。ただ、ミシロタウンに近づくに連れてより多くのポケモンが襲ってくるようになったのだ。ポケモンを持つ他のお客さんも交えてのバトルだったりと、濃密な経験の時間を過ごしたよ……途中の町のポケモンセンターに寄ったりとしているウチに結構な時間が過ぎてしまった。……俺?ポケモン持ってないんだからな大人しくバスの中から眺めてたよ。まだボールも買ってないし。

 

Q、それでもマサラ人か?

 

A、マサラ人でも人間だよ

 

流石にポケモンの相手は無理です。いやぁ、やっぱ生のバトルは迫力があるね。今までテレビでしか見た事なかったし、オーキド博士の所のポケモン達が取っ組み合ってたりだったなぁ。

 

その後ミシロタウンへと到着した俺はお金を払ってバスを降りた。マサラタウンと似たような雰囲気のこの街はどうにも落ち着く。カイナシティが都会ってのもあるけどな。

 

 

「えっと……地図だと、こっちか。うっぷ……バスでちょっと酔ったな……」

 

 

結構キツい道のりだった……ポケモンセンターで酔い止めを貰っていなけりゃ途中で死んでたな俺。普段バスに乗っていなかった弊害だ。

 

 

「最初のポケモン、誰がいいかな〜」

 

 

アルファサファイアを初めてプレイした時はアチャモ一択だったんだけど、ストーリーが好きでデータ消して周回する時はミズゴロウだったんだよな。ジムの序盤が岩、格闘、電気、炎とかいう水、地面タイプ絶対有利だったしラグラージは可愛い。キモリは目つきとかカッコいいよなぁ……

ヤバイ、こういう時に迷う癖が出てきた。いや待て待て俺、ここはアニポケ世界。ピカチュウのようなパターンがあるかも知れない。

 

そんなことを考えていたら研究所に到着した。オーキド研究所みたいな広大な土地はないけれど清潔感のある壁の大きな建物は、やはりポケモン研究の博士なのだと実感できる。

チャイムを鳴らして少し待つと、扉から研究員さんらしい人が出てきた。

 

 

「はい、どちらでしょうか……って、君は……サトル君だね。オダマキ博士から話は聞いてるよ!!中へどうぞ」

 

「あ、えっと……御邪魔します」

 

 

思いの外研究員さんが陽キャで引き気味に返事をしてしまった……それにしてもやはり情報が早い。ホウレンソウがしっかりしていてありがたい。研究所に入ると客室らしき部屋に案内されお茶を出された。一口飲むと、とても落ちつく味でバス酔いしていた俺にとってマジで丁度よかった。

 

 

「慣れない飛行機は大変だったでしょう?オダマキ博士が帰ってくるまでゆっくりしていってくださいね」

 

「博士は今どこに……?」

 

「ああ、フィールドワークに出ていますよ。……そういえば帰りが遅いですね」

 

 

あ、俺知ってるよこのパターン。ジグザグマだとかポチエナとかに襲われてるんだろう。ルビサファとかリメイクとかの最初もそうだしな。これ多分誰かが迎えに行かないと延々追いかけっこする羽目になるだろう。

 

 

「じゃあ俺が迎えに行きますよ。ホウエン地方のポケモンも見てみたいですし」

 

「本当ですか!?客人にこんなことを頼むのはあれですけど……お願いします。生憎と私達は忙しいもので……」

 

「あはは……お疲れ様です」

 

「流石に1人で行くのは危険なのでポケモンを貸しましょう。ついてきてください」

 

 

博士が外でやんちゃしてる分、デスクワークしてるんだろうな……やべぇ、もしかしてここブラックなのか?

ていうかポケモン貸してくれるのか。となると御三家?ジグザグマ?まさかまさかのラルトス?こんなことを考えながら廊下を歩いていると、突然途中のドアが勝手に開いた。いや、開いたように見えた。

 

 

「プラ…………?」

 

「あ、こらプラスル!!勝手に部屋から出ちゃダメじゃないか」

 

「プーラッ!!」

 

「あの……そのプラスルは……?」

 

 

研究員さんが急にしゃがんだ。どうやら誰もいないんじゃなくて小さくて視界に入っていないだけだった。目線を下に向けると、絆創膏が貼ってあるプラスルがいた。うわ、こんなところにプラスルとかいるんだ。

 

 

「ああ、最近近くの森に引っ越してきたプラスルとマイナンの群れの1匹です。少し前にボロボロの状態で研究所の近くに倒れてたんですよ」

 

「…………へぇ」

 

 

絶対なんかあるだろそれ。じゃないとわざわざ群れが他の場所からやってくるなんてことはない。引越し先で食料問題の争いは絶えないだろうし元々住んでいたポケモン達からいい顔されないだろう。それにプラスルがボロボロだったっていうのも気になる。森のポケモン達とバトルしたのか…………群れから追い出されたのか……

 

 

「ほらプラスル、まだ寝てないとダメだぞ」

 

「プラァ……ッ」

 

 

プラスルは抵抗することなく研究員さんに抱かれて部屋のベッドに戻された。怪我でまだ本調子じゃないらしい。

 

 

「すいません、行きましょうか」

 

「……はい」

 

「プ……ラッ……」

 

 

俺は目的の部屋に案内されるまでの間、切羽詰まった表情のプラスルの表情が忘れられなかった。

 

 

 

〜数十分後〜

 

 

 

「初めてモンスターボールを触った……」

 

 

町から出て道路を歩いている俺は、借りたポケモンのボールを触りながら呟いた。

オーキド博士の研究所で手伝いをすることはあったが、それは全てポケモン達の世話や書類や研究関連の手伝いばかり。こうやってボールを手に取ることなど全く経験がなかった。

 

 

「マジでモンボってどういう仕組みなんだろうな。分解するのは法律で禁止されてるから出来ないけど……」

 

 

赤いキャプチャービームがどうやってポケモンをボールの中に入れるのかがわからない。俺の予想だとポケモンをデータ化しているとしか思えないんだけど、まさか物理的に小さくなるわけでもないだろうし。まあ、子供向けな作品にとやかくツッコミを入れてもキリがないしそれがわからないと困るってことはない。

 

 

「たすけてくれぇ〜!!」

 

「…………随分とタイムリーなこって」

 

 

急に林の方から中年男性の叫び声が聞こえてきた。おそらくオダマキ博士だろうと思った俺は、すぐに道から外れ林を突っ切る。オーキド研究所の敷地には林もあるからこう言った場所は走り慣れてる。

少し走ると目の前には3体のポチエナに追いかけられている小太りの白衣の男性がいた。オダマキ博士だ。

 

 

「頼んだジグザグマ!!」

 

「ザグマッ!!」

 

 

すぐに俺は借りたボールからジグザグマを呼び出す。何体かいたんだけど、使える技を見せてもらって即決した。

 

 

「オダマキ博士、カントーからオーキド博士の依頼で来たサトルです!!すぐ助けます!!」

 

「助かった!!ありがとう!!」

 

 

オダマキ博士は俺の声に返事をすると、見た目からは想像もできない運動神経で近くの木に登った。しばらく騒いでいたポチエナ達も自分達じゃ届かないと分かったのか、俺達に標的を向けた。よし、いいぞ。

 

 

「ジグザグマ、左のポチエナに【たいあたり】」

 

「ジッグッ!!」

 

「キャウン!?」

 

 

習性なのかジグザグとした動きでポチエナ達を戸惑わせたジグザグマの華麗な一撃がポチエナにヒット。一体を吹き飛ばした。

 

 

「続けて【なきごえ】、相手がビビったところに【すなかけ】だ!!」

 

「ジグーーーーーー!!!!!」

 

 

ジグザグは俺の言うことを素直に聞き、相手に向かって大きく叫ぶ。それで怯んだポチエナ2匹は互いに身を寄せ合いジグザグマを見ている。そこへすかさずジグザグマが地面の砂を蹴り上げて【すなかけ】を繰り出した。降ってきた砂に驚いたポチエナ2匹は、さっきの【たいあたり】で吹っ飛んだポチエナを回収して逃げていった。……上手く行ったらしい。借りたポケモンでも言うこと聞いてくれるんだな。やっぱゲームとは違うらしい。

 

 

「よくやったジグザグマ、偉いぞ!!」

 

「ザグザグ!!」

 

 

俺の元に帰ってきたジグザグマを撫でて褒めてやると、笑顔で俺の顔に頭を擦り付けてきた。ははは、可愛い奴め。

 

 

「ありがとうサトル君!!おかげで助かったよ」

 

「オダマキ博士。無事でよかったです」

 

 

いつのまにか木から降りてきた博士が俺にお礼を言ってきた。この人いつもこうなんだろうなぁ……

 

 

「そのジグザグマは……ああ、ウチの子か。ありがとう」

 

「ジグッ!!」

 

「よし、戻ってくれジグザグマ」

 

 

博士の声に笑顔で返事をしたジグザグマをボールに戻す。あれ……そういえば今のって初めてのバトルじゃん。意外とあっさり撃退できて拍子抜けじゃん。

 

 

「サトル君?おーい、サトル君」

 

「ッ……あ、はい。どうしました?」

 

「いや、ぼーっとしてたから」

 

「あはは……初めてのバトルだったんで、今来ちゃいました……」

 

 

不意をつけたから3対1でどうにかなったけど、バトルってすげぇな。テレビで見るのと緊張感が違う。

 

 

「今のが初めてのバトルかい?はっはっは!!最初からそれだけ指示が出せるなら将来が楽しみだね!!」

 

「ありがとうございます。じゃあ研究所に戻りましょうか。研究員さんが困ってましたよ」

 

「うっ…………もうすこしフィールドワークをしようかな……」

 

「戻ってください。良いですね?」

 

「……はい」

 

 

何故俺は中年男性に圧をかけているんだろうか。

 

そんなこんなで人生初めてのバトルを経験した。母さんに言われて持ち歩いてる日記帳にこの事を書くと改めてポケモンはすごいと感じた……それと同時に、こんなに簡単に暴力が震えるのだと……理解してしまった。

 

 

初めての飛行機やバトルで疲労が溜まっていたらしい俺は研究所の一室で寝泊りできるよう準備してもらうと、夕飯も食べずに朝まで熟睡していた。オダマキ博士に起こされてから自分の状況に気づきちょっと恥ずかしくなった。博士は「気にしなくて良いよ」と言ってくれたが、流石に人の家でこんな……ねぇ……?




今作のオリジナル設定


ポケモン協会が然るべき機関(政府的な)と協力して定めた携帯獣管理法。

第31条
携帯獣(ポケットモンスター)を管理するにあたって使用するモンスターボールの分解、解析、さらにポケモン協会の許可なくボールを製造した者は重い罪に当たる。(省略多々)



オリジナル設定ですが御了承ください。
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