遅れてマジすんません。初投稿です。
別にロードラン走り回ったり怪盗団やってた訳じゃないです。
................すんません。
目の前がとても明るかった。いつか見たライブにも負けず劣らずの光でとても眩しかった。
巨大な鎧を着込んだ浮遊する騎士。もう一方は翼さんや私によく似た真っ黒なピッチリスーツに節々にプロテクターを着けた騎士。
両方とも、目に追いつかない程の速さで剣をぶつけ合って一歩たりとも引かない。まるで映画のワンシーンを見てるような、そんな感覚になって何処か現実感が無かった。
「あれが、黒騎士。」
口から言葉が滑り落ちた。
頭の中で、つい数時間前に見たネットニュースやまとめサイトで見た『黒騎士』についての噂が駆け巡る。
曰く、それは黒い霧を纏った騎士だとか。
曰く、ノイズから助けてくれるとか。
曰く、人では無いとか。
あぁ、これは確かにそうだ。全ての噂に当てはまりそうな姿をしている。黒い霧の中から見える赤い光。獣のような声で叫びながら大剣を振る姿。
「(これが、黒騎士。)」
でも、何処か、何かがおかしかった。まるであの叫びが悲鳴のようにも思えて仕方が無かった。いや、悲鳴というよりは恐怖だろうか。
鎧と鎧、剣と剣。それらの金属と金属が擦れ合い、散らす火花は街灯よりも場を照らしている。
黒い騎士が振るう無骨な大剣は、赤い軌道を描きながら相手の剣を打ち付けている。方や、宙に浮く騎士が振るう大剣は所々が欠けて錆びており、鋭くはないようだ。
しかし、騎士の膂力が強いのか、振り抜いた大剣は建造物の壁を斬った。否、
荒々しい剣技と、力に物を言わせる剣技。それがぶつかり合う。
「(強っ。いや、こいつの力どうなってんだ⁉︎)」
沙樹は騎士の袈裟斬りをバックステップで回避しながら考える。騎士は地に足をつけておらず、浮いているせいか移動速度が他の騎士よりもずば抜けて速かった。
「(それでも )」
バックステップや体を逸らすなどの回避を多用して、反撃の瞬間を待ち続ける。
突き、シールドバッシュ、横薙ぎ、上段からの振り下ろし。それらを全て見切る。
「( 負ける訳には行かないんだよッ‼︎)」
上段からの振り下ろしが沙樹の防ぐように構えた大剣に触れた瞬間、沙樹は剣先を斜め下に向けて受け流した。
そして手首を返しながら相手の胴に思いっきり一撃を叩き込んだ。
「割れろォッ!」
しかし、刃が鎧に触れることは無かった。
鎧は無理矢理に上半身を逸らすと、沙樹の大剣をギリギリ触れない程度に避けると、顔面へ向けて大盾の縁を突き出した。
思いっきり振った大剣が避けられるとは思ってなかった沙樹が、勿論避けることも考えておらず、大盾がモロに顔面に入った沙樹は一瞬で体がブレたかと思うと十数メートルは飛ばされていた。
「................ッ!」
沙樹は二回ほど地面にバウンドしたかと思うと、大剣を地面に突き刺して両足で踏ん張って衝撃を緩めた。そして正面を向きながら大きく息を吐くと鎧を睨みつけた。
「........クソ野郎が。本当に手加減ナシかよ。」
今までの騎士とは違う。少なくとも沙樹はそう思った。尋常じゃない膂力、高い機動力、カウンターを躱す反射神経。どれを取っても今の沙樹には敵わないモノだった。
「譚・縺ェ縺??縺具シ溘↑繧峨?縺薙■繧峨°繧芽。後¥縺槭?」
「っまた⁉︎」
そして、喋る。何を言ってるのかは理解できないが、少なくとも喋るだけの意志と思考を持っていることから、そういった点でもこの騎士は異常だと言わざるを得ない。
騎士は、正面から剣と盾を構えて猛スピードで突進して来る。それに対して、沙樹も地を蹴って一歩数メートル間隔で突っ込みに行く。カウンターが避けられるのなら、こちらから叩き斬る。沙樹はそのつもりで走って間合いを詰めた。
しかし、またも騎士が先を行った。何と、間合いに入る前にその場で剣を下から掬うように振った。それは騎士のなまくらの剣と膂力により、地面を抉り飛ばした。
その二つの要素は、抉り飛ばした土、コンクリートを音速の弾丸となって沙樹を襲う。
沙樹は反射的に大剣の先端を斜め下に、側面を手で支えるように盾のように構えて、瓦礫の弾丸を防ぐ。瓦礫の弾丸はかなりの威力で飛来し大剣に激突するとそのまま逸れて何処かへと行ってしまった。
この防御が不味かったのだろう。
真正面から飛来する瓦礫の弾丸は、沙樹に当たったとしても少なくとも痣で終わってただろう。しかし、防いだ。
大剣を盾のようにして防いだということは視界を塞ぐのと同じ。詰まるところ、沙樹は選択を間違えたのだ。
沙樹が構えを解いて、視界に映ったのはくすんだ銀色。即ち、鋼。浮遊する騎士の鎧だった。そして視線を上に向けると、半分くらい振り下ろされた剣。
「(あの瓦礫はブラフ!本命はこっちだったという事かッ‼︎)」
つまり、瓦礫の弾丸で目眩し、或いは回避行動をさせて、音も無く突撃。怯ませた相手をそのまま斬ることだった。
沙樹は体の反射神経を総動員させて大剣を真上に挙げて防いだ。そして、コンマ数秒でやってくる衝撃。まるで上から鉄塊が降ってきたのを受け止めたような、そんな物だった。
あまりの強さに片膝をつき、手が痺れていくが浮遊する騎士はお構い無しに剣を叩きつける。
「(このままじゃ、潰される!)」
沙樹はそう考えるや否や、騎士の4回目に剣を振り上げたところで体勢を整える。いつでも横に飛べるように脚に力を入れて待機。
そして騎士が剣を振り下ろす。それと同時に大剣の構えを解いて左に飛び出すようにして回避。さらに大剣を右斜め下持ってきて思いっきり踏み込んだ。
「いっぺん死ねやァッ!」
喝を入れるように、言い聞かせるように叫びながら大剣を左上まで振り上げた。が、
ガチンッ、と金属同士がぶつかり合う音と共に剣が交差したまま静止した。それを沙樹は振り払うと浮遊する騎士も後方へと下がり、また睨み合いになった。
ピシッ
今度は沙樹から動き始めた。取り敢えず走って騎士に肉薄しようとするが、騎士は一歩も動かずに静観するのみ。
沙樹はほんの少しだけ疑問を持つも走りながら前を見た。そして間合いに入ったところで、思いっきりの前傾姿勢で突きを放った。それは、いつかの鋼の騎士が放った突きと同じような物だった。
ミシッ
しかし、それすらも大盾で受け止められてしまって、沙樹は体勢を崩しそうになるも、無理矢理に上に飛ぶと大剣を騎士の兜に全力で振り下ろした。だが
パチンッ
兜が剣に触れたその刹那、変な音がした。
「................あ?」
「( いや、待ておかしい確かに何度も何度も打ち合ったがそんな事で折れる筈が無いってかアームドギアでも折れるのか⁉︎いやそんな筈は無いアロンダイトは絶対に刃こぼれしない剣でも鉄棍の例もあるし)................あ。」
大剣が折れた衝撃からか、一瞬で頭の中でさまざまな感情が混ざり合う。しかし、その一瞬は沙樹にとっての命取りになるものだった。
折れた大剣を見つめていた沙樹に、浮遊する騎士の容赦無い一撃が襲いかかって来た。一拍遅れて折れてる大剣で迎撃しようにも、まぁ届かない訳で。
「あ"っ"」
胴に叩き込まれた剣は、ボロボロで鋭さなど無くなったなまくら。そして異常な膂力。その二つが合わさることは人体を破壊するのにはとても適していた。
瞬間、肋骨が砕けた。身体が横のくの字に曲がり、景色が線のようになって流れていった。工場の壁を数枚ぶち抜くと、やがて大きな機械に激突して止まった。
「................ァ、カッ、ヴェ」
まずい、本当にまずい。恐らく内臓にもダメージが入ったのだろう。口から血が溢れ出て息がうまく吸えない。視界は点滅し始めて、瞼は鉛でも付いたかのように重くなった。
「グッ、ッ、ガホッ!ゲホッ!」
何とかうつ伏せになって口から血を吐き出して、少し咳き込んだ。それから自身の身体を見下ろすと、脇腹の辺りがザックリと切られて血が出続けていると同時に、その付近が変色している事からかなり派手にやられたようだ。
そこまで考えてから、息を吸い込んでゆっくりと吐いてみると、まだ喉に血が残ってたのか小さく咳き込んだ。身体の節々は生まれたての子鹿のように震え、右手にある大剣は半分に折れて使えなくなっていた。
「やら、れたな、これは。」
そう独りごちた瞬間、瞼は重さに耐えきれず落ちてしまい、意識が溶け出す。
その時、視界が暗くなる寸前、翼をはためかせる音が聞こえた。
一瞬だった。よく見えなかったが、黒騎士の脇腹に剣が叩き込まれて姿が消えた。かと思ったら幾つか先の建物で破壊音がしたからそこまで吹き飛ばされだのだろう。
響は目の前で黒騎士が負けた事に現実味を感じられなかった。いや、響だけで無く現場にいた慎次やその動向を司令室で見ていた弦十郎も口を開けて呆然としていた。
突如、浮遊する騎士が此方を向いた。
「................ッ!」
響は思わず身構えるが、浮遊する騎士は気にも留めず何かを呟いた。
「譛溷セ??縺壹l縺?縺」縺溘↑縲ゅ∪縺ゅ>縺??∝クー驍?☆繧九?」
「........え?」
多分、どこの国でも無いようなそんな言葉。少なくとも、響の中では聞いた事のない言葉だった。
それを呟いた騎士は次の瞬間、
「................はぇ?」
その光景に響はただ口を開けてポカンとしていた。そのまま目をパチパチとさせていると、突如隣から声が掛かった。
「あったかいものどうぞ。」
「あっ、あったいものどうも..........。」
女性から受け取った紙コップを覗いてみると、黒く澄んだ液体が注がれていた。グッと液体を流し込むと、暖かさと共に段々と周りが見えて来た。
いつの間にか騒がしくなっており、現場の検証や倒れた翼を介抱している人達など、敵がもういない事に安心して肩の力が抜けていった。すると、ピッチリした服が光ったかと思うといつものリディアンの制服に戻った。
「うわ、わ⁉︎」
それにビックリしてしまってその場にへたり込んだ。ついでに腰も抜けて立てそうに無かった。
「あっ、おねぇちゃん!」
「あ、あの時の!」
声がして、後ろを見てみると、さっき助けた幼女が母親と一緒に手を繋いでいた。幸い、母親のほうも元気そうだったので響は胸を撫で下ろした。
「大丈夫?怪我とか無い?」
「だいじょうぶ!おねぇちゃんとくろきしがまもってくれたからッ!ありがとうッ!ばいばーいッ!」
「よかった〜。じゃあ私もそろそろ「そうはいきません。」
「えッ⁉︎というか何で私囲まれて........?」
いつの間にか黒服のサングラスを掛けた人達に囲まれていた。いつか沙樹と一緒に見たアニメもこんな感じだったなぁ。と、響は的はずれな事を一瞬考えた。
「えっと、その。」
「特異災害対策機動部二課まで同行していただきます。」
「え、えええぇぇぇえぇええええ⁉︎」
ゴツい手錠をかけられ、黒塗りの車に乗せられた響はそう叫ぶしか無かった。
という訳で沙樹の敗北と響が連行される話でした。
ぶっちゃけ、途中まで沙樹が勝つ方向で書いてたのですが、その先をどう繋げようか分からなくて5000字くらい没になりました。