原作通りにいかないけど、何とか頑張ってます。   作:ホルイゾ

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エルデンリングを求めるので初投稿です。

お久しぶりです。誤字脱字が多いかもしれませんがよろしくお願いします。


お前もエルデの王になれ。


戦うのはいいけど、なんか誤解されています。

 

 

 

 

 

「では、これで授業を終わります。」

 

 終業のチャイムが鳴り響くリディアン女学院。最後の授業が終わったことにより、欠伸をする生徒や部活道具を片手に教室を出る生徒など様々だった。

 沙樹もその例に漏れず、背骨をパキパキと鳴らしながら伸びをすると大口を開けて欠伸をした。そして、隣に座っていた響はまだ机に顔を突っ伏して眠っていた。

 流石に帰らないといけないと思ったのか、沙樹が響の肩を掴んでゆさゆさと揺すった。

 

「起きて、響。そろそろ帰ろう?」

 

「うーん、むにゃ...............んっ..........おはよう?」

 

「あぁもう、ほら、涎垂れてる。」

 

「えっ⁉︎ウソっ⁉︎」

 

「冗談。」

 

「もう、びっくりした!」

 

「ふふ、ごめんごめん。ほら帰ろう?」

 

 そんなくだらない言葉を掛け合っていると、視界の隅に青い頭髪が見えた。一瞬だけ見間違いかと思ったが、明らかにあのアイドルの髪色だった上に教室のドアから毛先が見え隠れしていたことから、完全にこっちに用があるようだった。

 まぁ、恐らく用があるのは響なので、取り敢えず翼の方に仕向けるとしよう。

 

「..........響、あそこにいるのって翼先輩じゃない?」

 

「え⁉︎.............あ、本当だ!翼さん⁉︎」

 

 じっとしていた翼に、響が慌てて駆け寄る。そしてそのまま小声で二言、三言交わすと申し訳なさそうな顔の響が戻ってきた。

 

「ごめん、沙樹!用事出来ちゃったから先に帰ってて!」

 

「大丈夫だから行っておいで。あ、今日の晩御飯ははハンバーグだから。」

 

「わーい!ありがとう!沙樹!」

 

 響はそのまま翼と一緒に教室から出て行った。沙樹は未だに残る眠気を欠伸をして後ろ手に手を組みながら胸を張るようにして伸びをした。

 ふと、窓の外を眺めると、グラウンドにはジャージで走っている人が多く、どこからかマウスピースの音も鳴り響いてきた。

 

「そういや、部活とか入ってなかったなぁ、俺。」

 

 この世界に転生する前は、帰宅部陰キャのゲーセン寄り道音ゲーマーチンパンだった。部活もこれといって入りたいのが無く、友達も言うほどは少なかったが寄り道でやったグ○コスはとても楽しかった。今は近くに寮があるから寄り道する理由も無くなっちゃったなぁ。

 鞄片手に教室を出るとダラダラゆっくり歩く。窓から差す西日と春の生温い風が少しだけ鬱陶しく感じた。

 

「ハァァ.........よし、メシ作って、さっさと行くかぁ。」

 

 響が翼に連れられていったという事は、恐らく二課についての説明やら何やらがあるのだろう。そして、もし原作通りならば説明の後はノイズ襲来からの翼と響の喧嘩だろう。いや、あれは喧嘩というよりは翼の逆ギレ、もしくはパワハラに近いかもしれない。

 

「まぁでも響も人の触れてほしくない所(地雷)に踏み込むからなぁ...........。」

 

 ほんと、あのバカは殆どの敵の触れてほしくない所(地雷)にズカズカ入り込む。アニメ見てた時は伝統芸だと思っていたが、実際に見るとなると少しだけ憂鬱になる。何が悲しくて一流アーティストと友達の不和を眺めなくてはいけないのか。

 実際、あの性格で救われた奴もいたのだろうが、それはそれ、これはこれ、だろう。現実と二次元は違うのだ。

 

「あ"ー、面倒くせ。」

 

 愚痴を言っても始まらないだろう。やや強くなった西日を少し睨みつけると、早歩きで寮へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところ変わってリディアン女学院の地下、特異災害機動部二課の本部にて。司令室には響の他に櫻井了子や風鳴弦十郎などの重役の姿がそこにはあった。

 

「それでは〜!先日のメディカルチェックの発表〜!初体験の負荷は若干残ってるものの、体に異常はほぼ見られませんでした〜!」

 

 了子が明るく言うと、響は胸を撫で下ろしながらホッと息をついた。

 

「ほぼ........ですか........良かった...........。でも、教えて下さいッ!あの力の事を!」

 

 響の質問に弦十郎が頷くと、モニターに赤いペンダントが映った。

 

「天羽々斬。翼の持つ第1号聖遺物だ。」

 

「聖遺物?」

 

「聖遺物とは、世界各地の伝承に登場する現代では製造不可能な異端技術の結晶の事だ。」

 

 弦十郎の言葉に響は口をポカンと開けた。

 

「多くは遺跡から発掘されるんけど、経年による破損が著しくってかつての力をそのまま秘めた物は本当に希少なの。」

 

 了子は響に聖遺物について説明した。しかし口を開いたまま呆けるだけであまり説明は頭の中に入っていないようだ。

 

「翼の天羽々斬もそうだ。刃の欠片が入っている。」

 

「欠片にほんの少し残った力を増幅して解き放つ唯一の鍵が特定振幅の波導なの。」

 

「とくていしんぶくのはどう.........?」

 

 段々と響の顔がFXで破産したような顔になってきている。恐らく、殆ど理解出来ていないだろう。

 それに知ってか知らずか、二人は説明を続けている。

 

「つまりは歌。歌の力によって聖遺物は起動するのだ。」

 

「歌の力.........。」

 

「まぁ、簡単に言えばその聖遺物と歌によってノイズに対抗する力になるということだ。」

 

「それこそが、身に纏うアンチノイズプロテクター、 シンフォギアなの。」

 

「シン、フォギア........。」

 

 赤いペンダントが照明を反射して輝く。それが吸い込まれるように鮮やかで、綺麗な宝石のようだと響は感じた。

 

「だからとて!」

 

その時、翼が突然声を上げた。睨みつけるように、親の仇でも見るような鋭い目だった。

 

「どんな歌、誰の歌にも聖遺物を起動させる力が備わっている訳ではない!」

 

 翼が言い終わっても尚、睨みつけてくる。その脳裏にはかつての片翼がよぎっていた。

 弦十郎も小さく溜息をつくと響を真っ直ぐに見据えて話を続けた。

 

「.........聖遺物を起動させ、シンフォギアを纏う歌を歌える僅かな人間を、我々は適合者と呼んでいる。それが翼であり、君であるのだ。」

 

「適合者........。」

 

 響が反芻するように呟いた。いつの間にかFXで有金溶かした顔から困り顔ぐらいにはなっていた。ざっくりとした概要は理解出来たのだろう。

 ほんの少しだけ内容が分かったところで、ふと気になった事を聞いてみることにした。

 

「あの!私、聖遺物とか持ってないんですけど........。」

 

「いや、持っている。正確には埋まっていると言った方が正しいが、これを見てくれ。メディカルチェックで撮ったX線写真だ。」

 

響は自分は聖遺物を持っていないと主張すると、弦十郎が首を横に振りながら答えて、モニターにレントゲン写真が映しだされた。

 

「心臓付近に複雑に食い込んで、手術でも摘出不可能な破片.......。」

 

 了子がモニターを見ながら呟くように説明する。

 

「調査の結果、奏ちゃんが身に纏っていた第3聖遺物、ガングニールの破片であることが判明したわ。」

 

その言葉に翼がピクリと動いた。しかしそれが視界に入ってないのか、了子はそのまま続けた。

 

    奏ちゃんの置き土産ね。」

 

「!」

 

翼は了子の言葉を聞いて少し悲しそうな顔をすると、そのまま司令室から出て行ってしまった。

 弦十郎がその様を見届けると同時に、響が声を上げた。

 

「あの、それで私はこれからどうしたら........。」

 

「日本政府、特異災害機動部二課として、協力を要請したい。君のシンフォギアの力を、我々に貸してくれないだろうか?」

 

 弦十郎の言葉に、響は少しだけ考えると固い決意を込めて声を掛けた。

 

「私の力で、誰かを助けられるんですよね?」

 

響の言葉に弦十郎と了子は頷く。

 

「それなら、この力で誰かを助けられるなら    やりますッ‼︎」

 

 力強く、宣言するように叫んだ。

 

 今日、此処に雛鳥は卵から孵った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その宣言の後、響は暫くさまざまな注意事項やこれからの事などの説明を受けた。シンフォギアは政府の機密であること、ノイズの出現時に連絡することなどだった。

 

「..........さて、二課については取り敢えずこれぐらいかしらね。あと他に質問はあるかしら?」

 

「えーと、あ、あともう一つ!」

 

「はーい、なにかしら?」

 

「『黒騎士』さんって、あの人はいったい何ですか?」

 

 響がその疑問を投げかけた時、司令室の空気があからさまに重くなった。二人のオペレーターは眉間に皺を寄せ、了子は面白くないというように溜息を吐いた。そして弦十郎は腕組みをしながら低い声で唸った。

 これには、響もやらかしたと思って申し訳なさそうに顔を俯かせながら謝罪の言葉を吐いた。

 

「えっと............その、すいません!」

 

「いや、いい。響くんが悪い訳ではない。」

 

 弦十郎が口をへの字に曲げて、再度唸ると口を開いた。

 

「識別名『アンノウン』。正体不明の存在だ。」

 

「彼、または彼女は5年前。近くの山でノイズと共にエネルギー反応が確認されたのが最初だ。」

 

「最初は単なるノイズの出現だと思ったのだけどねぇ。未確認のアウフヴァッヘン波形まで検出されたら大事になっちゃって。」

 

「ノイズと共にって、じゃあ黒騎士さんって敵なんですか⁉︎」

 

「いや、恐らく黒騎士はノイズと敵対関係にあると言って良いだろう。もしそうでなかったらノイズを殲滅するような事はしない。」

 

「.........じゃあ、何と戦ってるんですか?あの人は私達のことを守るようにもしてましたけど..........。」

 

 響が首を傾げながら弦十郎に問いかけると、弦十郎は難しそうに顔を顰めながら呟いた。

 

「分からない。」

 

「え?」

 

「分からないんだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そうとしか言いようが無い。」

 

「得体の知れない者?」

 

 響が反芻するように呟くとすかさず了子が説明を入れてきた。

 

「響ちゃん、この間のでっかい騎士みたいなの見たでしょ?」

 

「あの空から降ってきた鎧ですよね。あれもノイズの一種かと思ったんですけど、違うんですか?」

 

「ええ、アレはノイズの一種ても無いわ。かと言って人でも無い。全く未知の存在よ。この世には存在しない物体で構成された謎の生命体。」

 

「未知の............生命体。」

 

「黒騎士曰く、『不要品』だって言ってたわね。あと黒騎士が初めてメディアに取り上げられた時のこと覚えてるかしら?」

 

「あのデパートに出現した時のことでしたよね。一部のフロアが半壊したって結構な事になってましたけど...........。」

 

 響もあの時のことはよく覚えていた。ツヴァイウィングのライブの事件後に起こったので、当時は様々な推測が飛び交っていた。あれはノイズの親玉なんじゃ無いか、とかノイズを引き連れて本格的に世界を滅ぼしにきたんじゃ無いか。とか散々な言われようだった。

 結局、いつの間にか政府が黒騎士の存在を認めたのと、マスコミが黒騎士とノイズが戦っている映像や、黒騎士に助けられた人達が居たという事でノイズから一転、正義のヒーローになっていった。

 

「そう、あの時も黒騎士は別の騎士と戦ったの。」

 

「本当ですか⁉︎じゃあ、黒騎士さんっていい人じゃ.........」

 

「ところが、そうでも無いのよねぇ。いい?響ちゃん。黒騎士はね、()()()()()()()()()()()()()。」

 

「え」

 

「正直、私も思い出したく無いのだけれど    

 

 曰く、ある日ノイズを殲滅した黒騎士にカメラ片手に突撃していった動画配信者がいたらしい。その配信者は界隈では悪い意味で有名で、人の悪口や迷惑行為を動画にして儲けようとする炎上商法をしていたのだとか。

 周りにいた一課の制止を振り切り、突撃していった配信者は黒騎士に矢継ぎ早に質問を浴びせ掛けた。しかし黒騎士は無視するだけで応じようとしなかったらしいが、何を思ったか次の瞬間    

 

     配信者の頭が潰え、地面に赤いシミが残った。

 

 つまるところ、黒騎士の武器である鉄棍を思いっきり叩きつけて殺したのだ。勿論、一課も二課も大慌てになったらしいが政府が『市民の安心と信頼を得る為のプロパガンダ&シンフォギア秘匿の為のスケープゴート』として、その配信者はノイズに消されたと処理する事になった。

 

    という事があったのよ。」

 

「人を、殺してる.......?どうして、そんな.........⁉︎」

 

「私達も理由が分かったら苦労はしないのだけれどねぇ。」

 

 それに、と了子は一言付け足すと響にとっては耳を疑うような爆弾を落とした。

 

 

 

 

    あなたの友達、沙樹ちゃんも被害者よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビルとビルの間を、兎の如く跳ね回る黒い影が夕陽に照らされていた。その正体は今話題のスーパーヒーロー黒騎士兼スーパーキューティクル美少女をやっている方波見沙樹である。

 などと、ふざけたナレーションを脳内に垂れ流しにしてみるもあんまり余裕は無い。学校から帰って料理を作っていたら、ノイズの警報が鳴り響いたので料理もそこそこに部屋を飛び出して来た。

 因みに、あまりにも慌てて出て行ったので部屋の電気を消したかどうかは覚えてない。

 

「参ったな、電気代が上がるのだけは勘弁して欲しいんだけど。」

 

 いや、ワンチャン消していたかもしれない。そうだ、電気は消した。消していたんだ...........と思いたい。

 

「今から戻って確認するか........?いや、無駄な時間は使えないな。仕方ない、このまま行くか。」

 

 我が家の電気代よりもこの世の明日だ。金なんぞ最悪どっかから奪えばいい話だ。ヤの職業だったらカチコミして巻き上げても問題ないだろう。困った時はそうしよう。二課の忍者もカチコんでたし平気平気。

 

 そんなくだらないことを考えながら走っていると、ようやく現場に着いた。まだ装者は到着しておらず沙樹が一番乗りだった。

 

「ッし、行くかぁ。」

 

 

 

     戦闘、開始。

 

 

 

     wave1

 

 

 

 右手を真横に突き出して()()。そうするといつの間にか赤い筋の入った鉄棍が握られていた。

 手甲越しの鉄棍の感触を確かめながら目の前のノイズに一閃。そうするだけでノイズはいとも容易く両断され塵と化した。そして駆けながら次々と薙いで行き舞う塵を増やす。

 いきなり上から降ってきたノイズを掴んで真横にいたノイズに叩き込むともう片方の鉄棍で二匹を纏めて吹き飛ばした。

 

 

     wave2

 

 

 鉄棍を両手で握って、限界まで腰を捻る。目を細めて息を吐き出しながら意識を手元に集中させると、鉄棍を中心に赤黒い霧が集まって来た。

 その間にノイズが目の前を走りながら飛び掛かって来る。それらはまるで波のように押し寄せて来ており、沙樹を数で圧倒せんと覆いかぶさろうとした。

 しかし、あと少しで沙樹とノイズが触れようとしたところで、鉄棍を腰を入れながらぶん回すと赤黒い暴風が辺りを支配した。

 

ラァアアアアッ!!

 

 暴風は文字通り、暴力のような風となってノイズに襲いかかり鉄棍に直撃したノイズは勿論。その余波を受けたノイズも赤黒い衝撃波によって散り散りになっていった。

 ノイズの波は衝撃波によって殆どは掻き消され、ついでと言わんばかりにコンクリートや街灯も破壊していった。

 沙樹はそれを見送ると鉄棍を持つ手を下ろしてボロボロになった道路を茫然と眺めた。因みに、この時の沙樹は『道路の修復って市の税金なのか国の税金なのか』というどうでもいいことを考えていた。

 

「.........いや、でもこれ税金とかやばそうだよなぁ。」

 

 アニメでは気にしなかったが、こういう道路や設備の修復ってどうなってんだろうなぁ。と思い耽る。予算とか色々がとんでもない金額になりそうだと、少し遠い目になっていった。

 いや、それとも二課の黒服が一晩でやってくれるのだろうか。一応、忍者もいるし忍術とかでなんとかなるものなのだろうか。

 

「てか、二課の奴ら来ねえなぁ........予定でも狂ったか?それとも俺が早すぎたかなぁ?」

 

 

 首を少し斜めに傾けて思案していると、もう聞き慣れたエンジンの音が鳴り響く。のっそりとその方へ向くと、いつものいかつい形相の風鳴翼がバイクで走らせていた。

 そして、付近まで来ると珍しいことに特攻させずに道路の真ん中に停めて普通に降りた。そのことに内心驚きながら沙樹は片手を挙げて声を掛けた。

 

「よぅ。遅かったじゃないか。もうノイズなら粗方殺したぞ。」

 

「分かっている。残りがどうであれノイズは私がやる。」

 

 翼がそう言うが否や残ったノイズを斬っていく。加勢する必要もあんまり感じられないので、それをぼーっと眺めていると後ろから走ってくる音が聞こえて来た。

 二課か一課の連中かと思って後ろを振り向くと、そこにはシンフォギアを纏った響がダッシュでこっちに駆けて来ていた。すると響もこっちに気づいたようで沙樹の目の前で止まった。

 取り敢えず、片手を挙げて挨拶ぐらいはしておこうと声を掛けた。

 

「よぅ。昨日のか。」

 

「はっ、はいッ!立花響です!よろしくお願いしますッ!』

 

「ん。よろしく。」

 

 ここまで響に対して無口なのは、恐らく、今日の二課のミーティングの時に、俺のことも話されているだろうから無駄口を働かせないようにした。別に知らなかったら、そっちからペラペラ聞いてくれるだろうなという考えもあってのことだ。

 しかし、響はそのまま沙樹を見ているだけで動こうしない。こちらをジッと見つめているだけだ。いや、見つめているというよりも半分睨んでる、と言った方が正しいかもしれない。

 

「.........何?」

 

「...........あの、黒騎士さんが人を殺した事があるって、本当ですか?」

 

 響のその言葉に何となく合点がいった。元々、響は性善説を信じるような人間だ。だからこそ、黒騎士という自分を助けてくれた存在が他人を害していてると思いたくないのだろう。

 だが、ここは正直に言おう。別に隠している訳では無いし、そうした方が第三勢力的な立ち位置として見てもらえる確率が高くなるからだ。

 

「殺したよ。」

 

「ッ!なんでッ!」

 

「そりゃあ邪魔だから、としか言いようがないからさ。路傍に落ちてるゴミを捨てて何が悪いのか。むしろそれを教えてほしいのだけどね。」

 

「そんな訳ないッ!例えどんな人でも、殺すのは『じゃあ一生そう言ってればいい。』................え?」

 

「お前にも覚えがあるだろ?2年前のライブ被害者の迫害。あんなクソ勝手な正義感や思想を持った奴のどこに容赦する必要がある?」

 

「そ、れは」

 

「だからな、俺の邪魔する奴等は全員殺す。例え、それが何であってもだ。」

 

「................」

 

 と、ここまで偉そうに語ったが実際のところそんなに殺してる訳でも無い。カメラ片手に突撃してくるようなよっぽどの馬鹿でもない限り、取り敢えずは無視を貫く。

 今まで殺してきたのといえば、ライブ被害者を迫害しようとした奴らぐらいだろう。それでも二桁になるかならないかの程度でしか殺してない。寧ろ、ノイズの方が三桁を超えるぐらい殺してる可能性もある。

 因みに、カメラを持って突撃してきた馬鹿だが、あれは過去にライブ被害者の迫害を促すような動画を配信していたので、『まあ殺しとくか』ぐらいの感覚でやったものだった。

 と、ここで、黙っていた響が口をゆっくり開いて言葉を溢した。

 

「じゃあ、なんで、沙樹に手を出したんですか.......?」

 

「...........あ?」

 

 その言葉が、一瞬だけ理解出来なかった。言わずもがな黒騎士の正体は沙樹である。故に自分が自分を傷付けることなどあり得ないのだが。

 

「.........誰だ?そいつ。」

 

「私の友達です。5年前、黒騎士さんが手を出した女の子です。」

 

「いや、マジで知らねぇんだけど.........。」

 

 5年前。確かこの力に初めて目覚めた頃だった筈。そんな時に自傷した覚えもないし、強いて言うなら黒い騎士に片腹を叩き斬られたことぐらいだろう。

 

「了子さんが言ってました。沙樹は憔悴していて、会話も辿々しかったって!」

 

「いや待て本当に分からん。」

 

 本当に誰だそいつは。憔悴?辿々しい?当時はそんな状態でも無かったと思っているが。というより、了子の奴ホイホイと人の情報話すなよ。お前それはカウンセラーとしてどうなんだ。

 ここまで考えてから、少しづつ過去の記憶が蘇ってきた。山でのゴミ拾いにノイズと黒い騎士の襲撃。その後の了子のカウンセリング。というか考えてみれば益々分からない。沙樹を傷付けたと言われることがよく分からない。

 

 ................................いや、分かった。原因は恐らく俺だ。

 

 あのカウンセリングの時、俺は黒い騎士のような奴が襲ってきたと奴にスケープゴートした筈だった。その結果、黒い霧を放つデカい剣を持った俺が、ノイズやらをしばき回すようになってからはいつの間にか『黒騎士』と呼ばれたんだったか。」

 あれ?完全にこれ俺のミスじゃね?証言で言った黒い騎士()黒騎士()が同一人物と考えられてる、ってコトォ⁉︎

 

「..............話が見えてこないな。そもそも、子供に手ェ出したこともねぇし誰かと勘違いしてんじゃねぇの?」

 

 秘技、シラを切る。多少の身に覚えがあっても知らないって言えば大体何とかなるものなのだ。

 

「じゃあ、誰が、」

 

「知らねえつってんだろ。犯人探しなら勝手にやりな。」

 

 少しだけ乱暴に言い放つと鉄棍を肩に担いで響から離れていく。結局、あの浮遊する騎士は出てこなかったなぁ、と内心残念に思うが仕方がない。次に期待するとしよう。

 そのまま歩いていると、ノイズの残党を斬って来た翼とすれ違った。沙樹には脇目も振らず響へと近づいていく。

 それに気づいた響も翼に声を掛けたりするのだが、途中から言い合いみたいになっていきらいきなり翼が響に刀を突きつけると、空高く飛び上がって巨大な剣を顕現させて放った。

 

「(あ、ここは原作通りなんだな)」

 

 その光景を何となく見ているが、本来、ここは弦十郎が素手で止めて翼が響を引っ叩く筈なのだが............。

 

「(あれ、弦十郎のおっさん来なくね?)」

 

 弦十郎が中々来ない。そして、巨大な剣が響に当たりそうになって    

 

「クソがッ!」

 

 もう考えている暇は無い。鉄棍を右手に槍投げのように構える。すると赤黒い霧が鉄棍に収束する。

 

 2秒歩走って助走を。

 

 左足を踏み込んで発射体勢に。

 

 右手に思いっきり力を込めて。

 

 

     発射。

 

 

 放たれた鉄棍はどす黒い軌道を残しながら剣を穿った。鉄棍はさらに止まらずそのままの勢いで空をも穿った。

 響は腰を抜かして、翼はこっちへと向いた。そして鋭い眼光でこちらを睨みつけてくる。

 

「.........何のつもりだッ!アンノウンッ‼︎」

 

「さすがに無抵抗の奴にオーバーキルは神経を疑うぞ................いや、まあ俺が言えた事じゃねぇんだけどさ。」

 

 そこまで言ったところで今度はこちら側に剣を向ける。それに応えるように沙樹も手を虚空へ伸ばして()()。すると今度は鉄棍では無く、無骨な大剣が握られていた。

 

「邪魔をするのなら.......アンノウン、貴様も手折らせてもらうッ!」

 

「来いよ、青二才。」

 

 

 

    fatal battle

 

 

 

 

 

 

 

 





結構長めになりました。
キャラの口調は相変わらずこんなんでいいのかとアニメやゲーム見ながら書いてます。

因みに、青二才はわざとです。

なので「こんな事言わないッ!」なんてことがあっても大目に見てください。お兄さん許して^〜

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