ゲキテツ大決戦   作:5145/A6M5

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ゲキテツ大決戦その後 自警団との因縁

著5145/A6M5

 

第一章 誘い

 

タネガシでの一連の動乱の終焉後、私は普段の生活に戻りシマの見回りや事務作業をしていた。すると、タネガシ自警団から連絡が入った。タネガシ自警団とは過去の揉め事の後、今のゲキテツ一家のシマの統治権はそのまま私達が引き継ぐ、ただし自警団がタネガシを仕切っているとなってしまえばメンツがたたないので形だけはタネガシ自警団が全てを管轄している事とすることで合意していた。自警団は新団長を迎えその後連絡を取ることはほとんど無かったので、急な連絡には驚いた。

 

「もしもし・・・ああ・・・ん?ヤマダを・・・?わかった、取り敢えず話は伝える。だがヤツが合意するかどうかは私にも分からないぞ。」

 

簡単な内容はこうだ、自警団は今タネガシ付近の空賊団と交戦中。だがあまり長引かせることなく一気に殲滅したいので、以前の動乱で確実な腕を見せたヤマダを隊長として使いたいと言うのだ。ゲキテツ一家に連絡をよこさずヤマダ指名というのは、自警団がマフィアと癒着していては不味いと言う事だったのだろう。報酬は当然出すと言う、だが正直言って私は乗り気ではなかった。いや、私に来た話では無いので私情は挟んではいけないのだが・・・とりあえず伝えるだけ伝えることにするかと、私は格納庫へ向かう階段を降りていった。そこではヤマダは一人の見習い整備員に整備の仕方を教えていた。

 

「ああ、そこのボルトを全部外してみな。そうそう、そうしたらここの減速室カバーが外せるようになるからプラスチックハンマーで軽く衝撃をくれてやって上に真っ直ぐ引き抜くんだ。ほれ、ボルトは緩めてあるからやってみな。」

 

私は格納庫の階段に腰を下ろしその風景を見ていた、前までならこんなことをすることは無かったのだが、何故だろうな。

 

「あ、イサカじゃないか。何か用か?」

 

「ああ、少し話がある。今いいか?」

 

「少し待ってもらえるか? おっ、そうそう、そうやって真っ直ぐ引き抜いてやったらプロペラシャフトと減速ギアが見えるだろ?ここに油をくれてやって・・・後は逆順で戻してやるだけだ。よし・・・すまないな、少し席を外す。工具は元の場所に戻しておいてくれ。」

 

「わかりました、ごゆっくり〜」

 

「バカヤロ、そういう関係じゃねえよ!」

 

私達はそんな関係だと思われていたのか・・・まあ案外悪い気はしない。するとヤマダが汗を拭きながら歩いて来た、

 

「すまないな。で、話っていうのは?」

 

「ああ、その事なんだが」

 

そして私はさっきの事を全て話し、強制ではないことを伝えた。すると、

 

「自警団か・・・あんま乗り気じゃないが・・・イサカから言われたんなら仕方ねーな」

 

「どういう意味だそれ・・・」

 

「イサカから言われてなかったら断ってたって事だよ。だがこれを断って自警団との関係に摩擦が入るのも癪だ。タネガシの住人のためだと思って、行ってくるよ。」

 

「わかった、団長にはそう連絡しておく・・・気をつけろよ。」

 

「ここの零戦が全部居なくなるまで俺は死なないよ。」

 

「ぬかせ、早く行ってこい。」

 

そしてヤマダは自警団に協力することとなった。ヤマダが自警団の基地へ出発する日の朝、私は紙包みをヤマダに渡した。その日はレミも見送りに来ていた

 

「なんだ?これ」

 

「いいから持って行け!本当に気を付けるんだぞ・・・」

 

「気を付けて行ってきてくださいっす。」

 

「二人ともありがとう・・・行ってくる。」

 

発動機が回りヤマダの機が滑走路から離れていく、ヤマダは手練とはいえ相手は空賊だ、何をしでかすか分からない。朝日の登る空へ消えていく零戦の機影を、私は見失うまで眺めていた。

 

第二章 嘘

 

一週間後、ヤマダの居ない格納庫へ一松の寂しさを感じ始めていた時。夕日が沈もうとしている滑走路へ着陸した機があった、ヤマダの機だった。停止し格納庫へタキシングして行くのを見届け、私は格納庫へ走った。帰還は素直に嬉しかった。

 

「馬鹿者!帰ってくるなら連絡くらい寄越さないか!」

 

だが、零戦から降りたヤマダはとても険しい顔をしていた。任務が終わってから帰還したのだと思った私は驚いた。

 

「ヤ・・・ヤマダ?」

 

「イサカ・・・今すぐ戦闘機隊の編成を急いでくれ。頼む」

 

「何故・・・」

 

「いいから!」

 

普段の温厚な性格からは想像もできないとても鋭い目付きだった。私は急いで部屋に戻り搭乗員の選別を始めた、するとヤマダが部屋に入ってきた。

 

「さっきは悪かった・・・」

 

「いや、いいんだ。何があったんだ?」

 

「ああ・・・俺は自警団の航空隊に配属され、空賊に対しての作戦を説明された。だが・・・その作戦はとてもオソマツなものだったんだ、俺は言った。こんな作戦で一匹の働きバチを叩いただけでは空賊を無駄に刺激するだけだと、もっと人員を集め徹底的に潰すべきだと・・・だが俺の言うことは聞き入れられなかった。」

 

「それで・・・どうなったんだ?」

 

「結局作戦は実行された。俺も行ったさ・・・だが自警団の搭乗員達は皆素人同然の腕しか無かった、自警団が聞いて呆れるぜ。敵機を発見したと思ったら一撃を喰らわしてすぐ離脱しやがる、結局空賊の編隊を全機堕として帰ったら。自警団の搭乗員に記者が群がるんだ・・・そしてその最中自警団のヤツらは俺に向けてハッキリとこう言った『マフィアから来た奴なんていらねえ、とっとと帰れ』ってな・・・」

 

言葉も出なかった。それが協力した人間への態度なのか・・・

 

「明日の朝の新聞には大きい見出しで記事が載る、だがな・・・」

 

そうヤマダが言いかけた時、レミが扉を蹴破って部屋に入ってきた。

 

「ヤマダ!あんた自警団と何やってたんすか!?変にちょっかいをかけられたっつって空賊団が怒ってこっちを攻撃しようとしてるって・・・」

 

「やはりか・・・・・」

 

「どういうことだ、ヤマダ」

 

「自警団の目的は空賊の殲滅なんかじゃない、俺たちと空賊を潰し合わせて統治権を自分のものにしようという魂胆だ。俺が呼ばれたのは自分たちの未熟な戦力じゃちょっかいすらかけれず返り討ちにされちまうからだ。考えやがったな・・・」

 

「待て、それだと話が合わない。自警団の名目でちょっかいをかけたんだから私達ではなく自警団を攻撃するはずだ。なのに何故私達に・・・」

 

「簡単っす、空賊と自警団が癒着しているんっすよ・・・噂には聞いていたっすけど本当だったなんて・・・」

 

確かに・・・何故作戦の日に空賊の編隊がわざわざタネガシの警戒空域を通ったのか、何故自警団に未熟なものばかりなのか・・・・・空賊との癒着で全て説明がつく。空賊にタネガシ警戒空域に入ってこないよう仕向けておけば自分たち自警団は空戦をすることが無い。それは技術も未熟になるわけだ。

 

「あんな組織腐ってる・・・イサカのメンツもあるからあまり派手な事は出来ないから我慢していたが、全員張り倒してやりたいくらいだったよ。」

 

「すまなかった・・・またお前に迷惑をかけてしまったわけだな・・・」

 

「イサカは悪くねぇよ、安心してくれ。」

 

「だけどどうするんっすか〜? ヤツら、明日にでも本格的な襲撃を仕掛けてくるつもりっすよ。ニコ、フィオ、ローラ、シアラは面白いくらいに遠くのマフィアと対談中。組員たちには休暇を出しちゃってて組ももぬけの殻・・・思いっきりしてやられたっすね。」

 

「私達だけでやるしかない・・・レミ、ヤマダ、頼めるか?」

 

「勿論だ、」

 

「おまかせっす♪」

 

なんとまあ腐った組織を相手にしてしまったことだろうか、団長が変わり少しは変わったと思っていたが・・・どう足掻いてもクソ野郎はクソ野郎からかわれないようだな。最悪の状況であったが、ヤマダを行かせた私にも責任がある。私達は戦うことを決意した。

 

第三章 空賊団

 

翌日、三機で上空哨戒をしていると十五機ほどの機影が見えた。四式戦・・・空賊団のお出ましだった。バンクを振り敵機発見を知らせ高度を上げてゆく、三人とも慣れたものだ。敵機に気付かれず目下に捕らえ、急降下から照準を定め敵機に機銃を叩き込む、一機二機と確実に撃墜を重ねて行くがなかなか数が減らない。空賊には増援が来ているのだ、埒が明かないと策を考えていると。無線に聞き覚えのある声が入った。

 

「イサカ!レミ!助太刀に来たわよ!」

 

「その声は・・・ドクダミ一家か!?」

 

「たまたま通り掛かったら機影が見えて・・・全く、天下のゲキテツ一家が何やってるのよ」

 

「うるさいっすよ・・・」

 

「なんでもいいが増援が途切れた!今しかないやるぞ!」

 

そう言うが早いかヤマダが敵機編隊のど真ん中に飛び込んで行った。私も後に続き、空賊の機体をほとんど撃墜した。残りの数機は取り逃したが、仕方あるまい。ドクダミの面々はそのまま目的地へと飛び去って行った。地上に戻り機体を整備していると、自警団から電話がかかってきた。

 

「イサカさん・・・少しお話があります。明日明朝、自警団本部にお越し頂けませんか。」

 

「わかった。私も話さねばならないことがある。その時間に行こう。」

 

そう言って私は電話を切った。

 

「何かあったんっすか?」

 

「いや、なんでもない。」

 

「・・・・・」

 

どこまで行っても自警団だ、手荒な真似はできまい。そう思っていた。

 

 

 

第四章 腐った自警団

 

予定通り私は本部に出向いた。団長室の扉を開け中に入る・・・・・すると私は男に後ろから押さえつけられた。

 

「何をするっ!!」

 

男の力で押さえつけられたのではさすがに身動きが取れない。暴れる私の前に団長が立った。

 

「貴女が余計なことに気づくからですよ・・・」

 

「私をどうする気だ・・・」

 

「ヤマダさん共々消えていただきます。余計なことを知った罪は重い。彼らの元にも私の優秀な部下が向かっているはずです。ククク・・・」

 

「待て!待ってくれ!殺すのは私だけにしてくれ・・・彼は関係ない・・・頼む!」

 

「そんな話を聞き入れるとでもお思いですか・・・?」

 

奴は歩き出した、私は何も出来ない自分が悔しかった。

 

「待て!頼む!彼は関係ないんだ!待ってくれ!!!」

 

バタンッ・・・

 

扉が閉まる、私ははめられたのだ・・・ここに1人で来たのは本当に浅はかだった。私を押さえつけていた男が私を殴る感触があった、私は意識を失った・・・

 

目を覚ました時、私は別室で棒に縛りつけられていた。目の前には一丁の拳銃、諦めてなるものかと縄を解こうともがいてみるが何も無い状態で解けるわけもない。そのままゴソゴソしていると部屋に扉が開き男が入ってきた。

 

「貴様は邪魔なんだ・・・」

 

そう言って男が引き金に手をかけた瞬間、部屋の外で声がした、

「なんだお前!? ガハァッ・・・・・」

 

「イサカァ!?どこだ!?」

 

ヤマダの声だった、私は咄嗟に声を上げた。

 

「ここだ!ここにいる!!」

 

「イサカ!そこの部屋か!今すぐ行くからな!」

 

だが、部屋には鍵がかけられていた。私を殺そうとしていた男が必死でドアを押さえ込んでいる、しかし・・・

 

「おらぁっ!!」

 

ヤマダは木の扉をいとも簡単に蹴破って入ってきた。男は吹っ飛ぶ。

 

「鍛えてねぇ自警団なんざ相手にならねんだよ!」

 

そこに居たのは確かにヤマダだった、何人と戦ってきたのか、体はボロボロだった。

 

「イサカ!大丈夫か!今すぐ縄を解いてやるからな・・・」

 

「すまない・・・私が不注意なばっかりに・・・」

 

「いいや、電話の内容に気づけなかった俺が迂闊だった。逃げるぞ!」

 

私とヤマダは走って滑走路に向かった、だが私の乗ってきた零戦は既に自警団の人間によって破壊されていた。オリジナル塗装を置いてきてよかった・・・そんな事を言っている場合ではない。ヤマダが乗ってきた零戦に飛び乗り私は操縦席後方のスペースに滑り込む。

 

「発進する!」

 

離陸した零戦を自警団の紫電が追いかけてくる。だがヤマダは巧みな操縦でこれを振り切り無事にシマに辿り着いた。

 

「イサカ・・・着いたぞ」

 

私は寝ていたのだ。ハッと目を覚まし零戦から降りる、その時私は計器盤にとめられた写真を見た。それは私がヤマダに渡した紙包みに入れて置いていた物だった。あの時からずっとつけてくれていたのだ。

 

「体は大丈夫か?怪我はないか?変なことされてないか?」

 

色々と本気の心配の目を向けて聞いてくるヤマダがとても愛おしく見えた。そして次の瞬間

 

ガバッ・・・

 

私はヤマダを抱き締めた。

 

「怖かった・・・」

 

「イサカが無事でよかった・・・」

 

ヤマダは優しく私を抱き返した。しばしそのままでいたが、一度離れお互い汚れた服を着替え体を洗った。自警団から何本もの連絡が入っていたが、そんな事はどうでもよかった。

 

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