キャロルちゃんといっしょ!   作:鹿頭

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キャロルとおでかけ

「成長した姿じゃないと、お前に面倒があるかも知れんから、合わせてみたんだが……ど、どうだ?」

 

そのままの格好で行ったら確実に職質からの逮捕ですよー? マスターではなく彼が。とガリィに言われた結果、迷う事なく大人の姿で行くと決めたキャロル。

 

服装もそれに合わせ、いつもの赤いワンピースをベースとして、新たに繕っている。

 

「うん、とても似合ってるよ」

 

「そ、そうか。なら……いいんだ」

 

そんな一言にキャロルは機嫌を良くした。

 

「ほ、ほら、早く行くぞ」

 

その甲斐あってか、手を握れと伸ばす。

キャロルの実力ならば、手を握らずとも転移は可能だが。

そうはしないことは、彼女の機嫌の良さを如実に表していた。

 

 

足元で法陣が煌めき、つい先程まで見えていた景色が入れ替わる。

 

警戒網……まで大層なレベルではないが、監視カメラの類に映らない程度の距離へ転移してから、目的地へと歩くこととしている。

 

その間、繋がれた手は解かれる事はなかった。

 

 

 

「ひさびさに他の人間を見た気がする……」

 

目的達成の為か、どこかへと出かけるキャロルとは違い、長い事チフォージュ・シャトーの中に居た。

それに加え、毎日が休日の様な生活を送って居た為、もはや曜日感覚もマトモに備わっていなかった。

 

「悪かったな」

 

それを皮肉と取ったキャロル。

拗ねているのか、睨む様な目つきになっている。

 

「だからこそ、キャロルと一緒に来れたのが嬉しい」

 

そう言ってそっと手を握り直した。

 

「…………」

 

キャロルはしばらく俯いたままだった。

 

 

 

 

 

「オレはこの手のはよく知らないからな。細かい事は……お前に、任せる」

 

なんとか再起動したキャロル。

しかし、長い年月の間、こう言った場所に来た経験などなかった。

なので恐らくは行った事があるだろう、彼に任せることにした。

 

 

「りょーかい」

 

などと軽く言ったものの、キャロル・マールス・ディーンハイムは異端技術を操る錬金術師である。

ジェットコースターなどの絶叫系に乗った所で自前で出来るのではないか?

 

そんな事を深く考え過ぎた結果、二人で乗るタイプのモノを中心にチョイスしていった。

 

 

 

もし、ここにガリィが居たら迷わず頰をつねりあげつつ右に左に三回転はさせていただろう。

が、この遊園地は国内最大級の規模を誇っていたので、深く考え過ぎた男でもキャロルを思う存分に連れ回すことが出来た。

 

ガリィはこうなる事を予想していたのだ。

当然、後でつねられる事になるが、今は知る由もなかった。

 

 

「観覧車か……」

 

ある程度回り、キャロルもキャロルでどれに行きたいか、などと引っ張り回せるくらいに余裕が戻ってきた。

そんな頃合いに、観覧車に乗ろうと思った。

が、待ち時間が長いからか、それなりの長さの列が出来ていた。

 

「混んでい……む……!?」

 

そんな時、キャロルは背中が何者かに押される感覚を覚えた。

と言うよりはぶつかった、と言った方が正しい。

 

「ごっ、ごめんなさいっ!」

 

すぐさま勢い高く、謝罪を示される。

だが、その活発な声の主は、忘れるはずもない。

ガングニールの()()()、立花響だった。

 

「す、すみません」

 

適合者の隣にいる少女がこちらに向けて詫びる。後にシェム・ハの憑座となり得る可能性を持つ少女、小日向未来だと言う事をキャロルは認識した。

 

 

「…………いや、良い」

 

なぜ此処にいるのか。

そう言った有形無形の疑問を全て捩じ伏せて、漸く振り絞った言葉だった。

 

「えーと、では!」

 

「失礼しました……! こーら響!? ちゃんと前見てなきゃダメでしょ!?」

 

とは言え、現時点ではまだ敵対している訳では無い。

特に何事もなく去っていった。

 

「おい」

 

「知らんがな」

 

どう言うことか、誰も理解は出来ていない。

唯一知識がある者でも、わかる事は、三ヶ月に渡る行動制限は今回、存在していないっぽい、と言うことだけだった。

 

そんな、時。

 

 

「あらぁ、随分と楽しそうにしちゃってるじゃない?」

 

 

予期せぬ来訪者が現れた。

 

「………カリオストロ」

 

「このコ、もしかしなくてもキャロルちゃんのコレ?」

 

いつもより露出度控えめの、マトモな服を着た、元詐欺師にして、錬金術師である、カリオストロ。

先程の装者との件も相まって、キャロルの機嫌はジェットコースターの様に急転直下していた。

 

「つまらん御託は良い。何の用だパヴァリア光明結社」

 

「もー、つれないわね」

 

もしも人目が無ければこの場で消し炭にしていたであろう。

それを物語る様に眼光は鋭く、語気には力が宿っていた。

 

その事を理解しているからか、カリオストロは不敵な笑みを浮かべながら言った。

 

「あーしが何を聞きたいのか。それがわからない貴女ではないでしょ?」

 

「さあな。貴様らの下らん事情など、興味などありはしないからな」

 

不機嫌になったキャロルに茶番に付き合う余裕はないし、答える気もない。

 

 

「あーもー、いけずねぇ。最近、動きが鈍いんじゃないかしら?」

 

「貴様らが勝手に手を貸してるオレの計画に、口を出す権利があるのか?」

 

カリオストロは、否。

パヴァリア光明結社は、キャロルの計画である、《万象黙示録》が進んでいるのかを問うている。

 

キャロルの錬金術に目を付けたパヴァリア光明結社───アダム・ヴァイスハウプトがその知識と引き換えに、死亡者のごまかし、資材の提供といった計画の《支援》をするものだ。

 

「でも、やっぱり気になるものじゃない?」

 

その支援先の動きが滞っているとなれば流石に話が変わる。

とは言え、本気で世界を解剖されたら困るのもまた事実。

 

故に、コレは彼──彼女の個人的な興味が強く現れている。

 

 

「装者共が揃うその時を待っている。今はそれだけだ」

 

「ふーん……ま、いいわ。面白いものも見れたし、ね?」

 

そういって、カリオストロはキャロルの隣にいる男の胸板をつつーと指でなぞる。

 

「勝手に触れるな!」

 

それを見たキャロルはカリオストロの腕を力の限り払い除けると同時に、男の肩を引き寄せ、数歩下がってから、カリオストロの足元に今すぐにでも殺してやろうと法陣を展開する。

 

「……あら、ごめんなさい。そろそろ邪魔者は退散するわね」

 

カリオストロは焦った。

少しからかおうとしたつもりが、藪にいる蛇を突いてしまったからだ。

 

「じゃあねー!」

 

流石に人目をはばかる事を考えなくなるほどの怒りを見せるキャロル相手では確実に分が悪いのは自分であると、カリオストロは足早に去って行った。

 

「チッ……気分が悪いっ、帰るぞ」

 

姿が見えなくなったのを確認したキャロルは、そのままその場所を後にした。

 

 

 

「あら、お帰りなさいましマス……あら、どうかなさいまして?」

 

帰ってきた主を出迎えたのは、ファラだった。

しかし、その不機嫌な様子に疑問を覚える。

 

「会いたくない相手に会っただけだ。……少し一人にしてくれ」

 

姿を元に戻した玉座の主は、従者諸共引き下がらせた。

 

 

 

 

「おい、お前、地味に何をやった」

 

「いやいや、何にもしてないって」

 

「ここ最近で、マスターが不機嫌になると言えば、必ず貴方が何かした時ですもの」

 

下がったレイアとファラが、同じく下がり、かつ先程まで自らの主と時間を共にしていた人物に、必ず何かコイツがやった、と確信めいたものを持ちながら問いただし始めた。

 

「少しは自分たちのマスターの言葉を信じたらどうなの……?」

 

自分に対するオートスコアラー達の信用の無さに、心の中で涙を流しつつ、先程有った出来事を訥々と話し始めていった。

 

 

「そういう訳でしたか……」

 

「これでこの件に関しては地味に収まったわけだ」

 

話を聞いた二人は得心を得たと言った表情で頷いた。

 

「そうですね」

 

心が傷ついた男は投げやりに呟いた。

 

 

 

 

 

 

「あっ、あの!」

 

二人に解放された後、暇を持て余すままにシャトーをふらついていた。

果てがあるのか判らないくらいだだっ広い廊下をとぼとぼと歩いていると、突然背後から声が叩いて来た。

 

 

「…………エルフナイン」

 

キャロルによく似た、けれども少し違うこの子。

だが実際にこうして面と向かう機会は初めてだった。

 

「いきなり声をかけてすみません! 実は、お願いがあるんです!」

 

「お願い?」

 

「キャロルを止めて欲しいんです!」

 




信用のないヒモ
なんとなく好感度稼げているのはわかっているが、どの程度かわからないので本人は綱渡りしている感覚で生きている。
などと言い訳をつけているが単なるヘタレである。
最近、見知らぬおっさんに殴られた夢を見た。

自分の気持ちがよくわかっていない錬金術師
どうしてこんなに感情に振り回されるのかと疑問を抱いている。
最近、なぜだかふと怖くなる事があるらしい。
そんな時には人肌くらいの喋る抱き枕を召喚している。

オートスコアラー達
実はヒモ野郎の事は信頼している。当然悪い意味である。

ビッキー
ついに出て来た原作主人公。
この世界線では融合症例では無くなったので、後々ハードモードが自動的にやってくる事を彼女はまだ知らない。

カリおっさん
もしかしたら、ヒモを三人で飼ってる世界線があったかもしれないが、そうなった場合早々に全裸が敵になるのでやっぱりハードモード。
しかしSANチェックに失敗しそうなのでストレスフリーなヒモ生活はいかない。

あや…エルフナイン
決してボクはダジャレを言ったりはしないんです!
本当なんです! 信じてください!
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