afnすとーりー:キツネノボタンとの日々 作:hiden456
もう少しで開花なのでそれまでに書き貯めた秋桜を整形してアップしようと思って始めたシリーズなので、キツネノボタンと団長の関係に齟齬が発生する可能性はありますが、あまり気にしない方向で…。
流石に討伐任務の後のデスクワークは堪える。時刻はもう深夜だ。だが今日までが締め切りの書類をなんとか片付け提出を終えてきた。今にも落ちそうになる瞼をこじあけ、崩れ落ちそうな身体を引きずり、自室のベッドに突っ伏す。
そのままただ心と身体を休めようと、目の前にあった黄金色のもふもふに抱き着いた。
「うわ、団長。なに、なに?」
その尻尾の主でありベッドを占拠して寝ていたキツネノボタンが慌てた声を出すが、言葉を返す気力も無い。
もっふりと柔らかな毛並みと温かな彼女の体温、そして慣れ親しんだ匂い。落ち着く…。
「むう、団長、お返事しなさい」
そう彼女が不服そうに言うが、もう限界だ。自分の胸の中でうねうねと動く尻尾を押さえる気力すら怪しい。
「団長? どうしたの、大丈夫? 団長?」
だんだん口調が心配そうになってくるキツネノボタン。
大丈夫だ、そう安心させようと口を開こうとするが声が出ない。
「ひょっとして、もう寝てる?」
しゅるりと胸の中から彼女の尻尾が抜け、キツネノボタンがこちらに向き直った…のだと思う。目がもう開かないので気配で察するだけなのだが。
「団長、寝てる。…そっか、お仕事おつかれさま」
そう言って、彼女の小柄な手がこちらの頭に触れ、優しく撫でられる。
時々生意気で時々傲慢ですらある無垢な彼女の、慈しむような手つき。これを独り占めできるだけで今日頑張った甲斐があると言うものだ。
起きたらお礼をしよう。今はこのまま意識を手放そう。そう思って居たのだが
「団長…ちょっとだけ、サービスしてあげる。んっ」
そう言って、唇にぺろりと彼女の舌が触れる。
途端に頭を限りなくやわらかな金づちで殴られたかのような衝撃が走った。
身体の疲れが吹き飛び、思考もクリアになり、ついでに急激に覚醒する。あまりの衝撃に思わず目を見開いてしまう。
にも拘わらず手は無意識に彼女を抱き寄せ、そして、目を開けた彼女と目が合ってしまった。
「…っ! 団長、起きてたの?」
ルビーのように深い赤味を帯びた彼女の目が、驚きと羞恥に彩られながらこちらをじっと見つめて来た。
…ほとんど寝てた。元気にされて、目がさめてしまった、そう誤魔化すことなく答える。
「あわ、あわわ…団長、忘れなさい!」
そう言って真っ赤なキツネノボタンに今度は乱暴なキスをされる。忘れるも何もこんな事をされたらより深く刻み込まれそうなものだが、いつものように目を閉じ彼女を抱き寄せ、彼女の傲慢な愛と唇を受け入れるのだった。