afnすとーりー:キツネノボタンとの日々   作:hiden456

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彼女の尻尾をブラッシングしたくて書き始めたけど
まだできてないらしいですよ。


ブラッシング1

最近キツネノボタンの抜け毛が気になる。

と言っても別に髪の毛の事やハゲたりしている訳ではなく、単に季節の変わり目で、尻尾の毛が生え代わっているだけなのだが。

「んむぅ」

今日もこれから討伐任務だが、執務室の出入り口付近で、彼女は自分の服についた毛を払えなくて困っているようだ。

 

「団長、手伝って?」

そう言われ、引き出しから取り出したエチケットブラシでキツネノボタンの上着をわしわしとなぞる。

尻尾ごと触るとふわふわした毛だが、こうして1本ずつ見ると、つややかでコシがある分、その辺に散らかると割と存在感のある毛である。

そんな事を思いながら彼女の上着から一通り毛が落ちたのを確認し、彼女に見る事を促す。

「ん、ありがと。綺麗になった。団長優しい」

しかし、これでは毎朝の準備も大変だ。少し根本的な対策をした方が良いのではないか。

「どういう事?」

こういうのは丹念なブラッシングしかないだろう。そう猫や犬を連れた花騎士から聞いた事がある。ついでにコンペイもブラッシングしよう。

「団長、わたしの事、そんな風に思ってたの?」

不服そうなキツネノボタンだったが、こちらも出撃の準備にと上着を着ようとしたら急に押し黙って複雑そうな顔を始めた。

一体どうしたのだろうか。

「団長、わたしの毛、ついてる…」

自分の上着が彼女の毛まみれだった。

 

 

少し遅刻気味に始まった討伐任務を終えた、夕方と言うには少し早いくらいの微妙な時間。いつものように損害は軽微だったので、同じ任務に参加してた他の花騎士はブロッサムヒルの城壁で解散している。

特に損害が無い花騎士は各々夕飯や酒盛りにそのまま町に繰り出し、服を汚してしまった花騎士や風呂に入りたいであろう花騎士たちは一緒に拠点まで戻って来た。

そんな彼女らと分かれ、第一副団長と二人、あと1匹が執務室に戻りつく。

 

なんだかんだで皆が無事でここに帰ってくると、帰って来たと言う気がする。

「団長、おつかれおつかれ。お茶、入れたら飲む?」

そう珍しくキツネノボタンが言う。お茶なら自分が入れるのだが。キツネノボタンは何が飲みたい?

「むぅ、これからわたしの尻尾、ブラッシングしてもらうつもりなんだから、団長のお世話、させなさい」

そういう事か。なら断るのも悪い。ではその間自分はお風呂を沸かして、ついでにコンペイと遊んで居るとしよう。

「団長、えっち」

違う。と言うか任務帰りなのだからキツネノボタンもシャワーくらい浴びたいだろう。

「まぁ、そうだけど」

今日討伐に行った花騎士はもう皆休みだし、緊急の用事が入らない限り自分も予定を空けてある。だから、団長の部屋でお風呂に入ってゆっくりして欲しい。駄目か?

「…わかった。団長も一緒に入る?」

それは堪らなく魅力的な提案だ。

 

 

風呂を沸かすと言ったが、私室の小さな風呂を沸かすにあたって付きっ切りで燃料を投入したりする必要は無い。

高価ではあるが、絡繰や魔力を使った道具などの恩恵は実に素晴しいものだ。…害虫討伐の遠征中は薪でお湯を用意したり煮炊きする事は多いので、こうして拠点に居るとそのありがたみを感じる訳なのだが。

「~~♪」

キツネノボタンも、お湯を沸かしながら尻尾をこすり合わせている。…そのせいで地面や彼女の服の背中に毛玉が付いている…そして地面の毛玉にコンペイが興味を示しているのだが、大丈夫なのだろうか。

背中を眺めてるこちらに気づいたのか、キツネノボタンが振り返って

「むふふ」

そう微笑んでまた前を向く。

まぁどうせ着替えるので良いか。そう思い、彼女を背中から抱きしめる。

「団長、毛、付いちゃう」

そう言いながらも笑顔のキツネノボタン。

二本の尻尾がわさわさとこちらに甘えるようにすり寄ってくる。…当然毛まみれになるのだが、知った事では無い。

彼女の尻尾の付け根に指を這わせ、そのあどけなさの残る顔に口付けようとした所で、薬缶が沸く。

それで一瞬動きが止まったこちらに

「んっ」

彼女の方から口づけられる。

元々討伐は早く終わったので疲労は大したこと無いのだが、そんな疲労すら溶けるように無くなる。…風呂に入るモチベーションが下がらないか、少し心配なほどだ。

「団長、お湯沸いた。紅茶で良いよね?」

軽いキスを終え、彼女がそう言う。

あぁ、構わない。

足元からコンペイを抱き上げ、ソファーまで行く。一足先にブラッシングをしながら紅茶を用意するキツネノボタンを眺める事としよう。

流石にコンペイは身体のサイズもあるからか大した量の毛は取れないが、それでも一応毛替えの季節だけあって、毛の塊が少し取れる。

「ん、熱い、熱い…」

一度ポットを温めたお湯を捨て、茶葉の上からギリギリまで沸かし続けたお湯をポットに注ぐキツネノボタン。さらに保温カバーまでかけ、砂時計をひっくりかえす。

「これでよし」

割と本格的に淹れてくれるらしい。

こちらを振り返り、膝の上でくつろぐコンペイを見て

「むぅ、うらやましい」

そうつぶやいたキツネノボタン。コンペイを片膝に寄せ、片方の膝を開ける。

「団長?」

お茶が入るまでの時間はゆっくりするのが作法、だそうだ。

「それもそっか。えへへ、団長、好き、好き」

キツネノボタンはソファーに倒れ込み、仰向けにこちらの膝に頭をのせて来た。

頬を撫で、脇腹を撫で、こちらにさらけ出されたお腹も触る。

「んん、団長、くすぐったい…♪」

彼女の身体を触る手が抱き寄せるように掴まれた。

空いてるもう片方の手で彼女の耳を触る。

「気持ちいい、もっと、団長」

こちらの腕に頬ずりしながらそうねだるキツネノボタン。

もっとしたいのはこちらもやまやまなのだが、そろそろ紅茶が濃くなりすぎないか?

「…んむぅ」

砂時計からほぼ砂が落ち切っているのを見て、キツネノボタンはややめんどくさそうに身体を起こす。

まぁ、たまにはゆっくりしようじゃないか。まだ夕食までも結構時間はあるのだから。




続く!
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