□□□屋敷□□□
パッパパッパラッパラッパパッパラッパパー
パッパパッパラッパラッパパッパラッパパー
「起きろ!!のろま!」
寝かけた俺の脳にガンガンと響く騒音、もといラッパ。
俺は思わず飛び起き、騒音の元凶に文句をいいつける。
「おい!五月蝿いぞ!今何時だと思ってるんだ!近所迷惑も考えて、外で吹いてこいよ!」
俺がそう文句をいいつけた先にいたのは、扉開けそこに呆れた様子で立っていたターニャだった。
「き、貴様……、一体どのような体内時計をしているのかは知らんが、今はもう昼だ。それに近所迷惑などとほざきつつ、外で吹いてこいとは、どういう了見だ?」
「冷静なツッコミどうもありがとう、ターニャさん。そんなことより、どこからそんなラッパ持ってきたんだよ?ていうか、どうしてこんなことするんだ?軍隊でもあるまいし、そんなラッパで起こさないで欲しいのだけど」
ターニャが、この屋敷に来て一週間。
エリス様から頼まれたということもあり、不自由させることはなかったはず。
他の奴らも、ターニャとはある程度仲良くなったみたいだ。
めぐみんの日課にも度々ついて行っているみたいで、むしろめぐみんが、ターニャの拳銃がカッコイイとうるさいぐらいだ。
ダクネスはダクネスで、ターニャのためにコーヒーの豆ばっか買ってくるようになり、紅茶の茶葉が不足して困っている。
そう言えば、最近アクアをみないな。
いつもなら、俺が夜食を食べる時に、酒を飲んでるか、一緒に夜食を食べたりしていたのだが、ここ数日は姿をみなかったな。
まぁとりあえず、ターニャに何か不満を感じさせる要素はなく、このような暴挙にでられる理由が見つからない。
「このラッパは、アクア殿から借りたものだが、それよりも佐藤和真。貴様は今、どうしてと聞いたのか?どうしてだと?それは愚問だな。私も客人の身として、あまり口を出すつもりもなかったのだが……、貴様の生活は目に余るものがある。自堕落すぎるのだ。働け!働くからこそ、休養があり、生活があるのだ!」
「なんだそんなことかよ。全力で断る。そもそも俺はこんな屋敷を持つぐらい金には困ってないんでね。それにこれからも商品を開発して、俺は不労所得だけで、自堕落に生きていくんだ!」
「呆れたものだな。高校生程度が大金を得てしまうと、こうも堕落するものか。商品開発とはいうが、それも結局は前世の記憶、二番煎じであろう?貴様の力で、金を稼ぎ、それで生活をしようとは思わないのか?」
「思わない!」
俺はそう言うと、布団を被り、中に籠った。
これは、無理やり俺を冒険に連れ出そうとするダクネスやめぐみんから、自分の身を守るために取得したスキル……ではなく、ただただ、布団の中に籠っただけなのだが、これにより何度も抵抗に成功している。
まさか、ターニャがあのようなことを言い出すとは思ってもいなかったが、この守りにはいってしまえば、どうもできまい。
「私に対してそこまで反発するか。このように反発されるのはいつぶりだろうか?士官学校時代か?いや、ラインでも反発するバカがいたなぁ。貴様もそいつらと同様に処分してやりたいところだが……、あいにく私は貴様の上官ではない。故に少し方法を変えるとしよう」
ターニャから放たれる言葉が、物凄く怖いんだけど!
俺は今から何をされるんだ!?
というか反発した奴らは一体何をされたんだよ!
俺は震えながら、声を絞り出し、抵抗を試みる。
「何するかしらないけど、俺に酷いことしていいのか!?俺はこの屋敷の主だぞ!」
しかし抵抗むなしく、
「そのような木っ端貴族みたいな言葉で私がひくとでも?聞くに耐えんな。さぁアクア君、そこで引きこもっている男に労働の大切さを教えてあげるのだ」
「はっ!」
俺が布団から少し覗くと、そこにいたのは、綺麗な敬礼をしたアクアだった。
まさに挙動は兵士のそれ。
そしてアクアは、小さく何かを唱えると、こちらに向かってきた。
こいつ支援魔法を自分にかけやがった!
「おいアクア!何手懐けられてるんだ!なぁやめてくれよ?俺とお前の仲だろ!?」
俺の呼び掛けにアクアは耳を貸さない。
さすがに支援魔法で強化されたアクア相手だと、分が悪すぎる。
かくなる上は、最終手段だ。
「アクア!今俺の言うことを聞いてくれたら、今度うまい酒をたらふく奢ってやる!」
「…………」
アクアの動きがとまった!
やはり酒には勝てないようだ。
このままアクアをこっちに────
「アクア君?まさか禁酒という私との約束を放棄するつもりかね?まさかそのような事はないだろうね?」
そのターニャの言葉で、止まっていたアクアが再び動き出す。
アクアが禁酒を約束するだなんて!?
ターニャは一体何をしたんだ!?
それよりも!
「アクア!まて、とまれ!アクア?あ、アクアぁぁぁぁ────」
その後何があったのかは、語ることは出来ない。
ただ、俺の悲鳴と共に、幼女の嗤い声が、響いたということだけ伝えておこう………。