□□□エリス教教会□□□
ターニャの初クエストを終えた次の日。
俺はクリスに言われた通り、エリス教の教会に来ていた。
クリス曰く、エリス様が俺を呼んでいるらしい。
「死なずしてエリス様とお話ができるだなんて……!」
俺はそんな期待を胸に抱きつつ、教会の扉を開け、中に入る。
本来クエストを行った翌日は、屋敷でゴロゴロするに限るが、今日はエリス様と話した後にゴロゴロすると決めたのだ。
……ただ、実際に教会に来てみたものの、どうすればエリス様とお話できるのか。
やはり教会らしく、片膝をつき、祈りを捧げるのか?
『エリス様。言われた通り、佐藤和真が来ましたよ』
傍から見れば、俺も敬虔な信者のように見えるのだろうか等と考えつつ、数秒待ってみるが、特に何も起こらない。
今になって、教会に行ってどうすればいいのかをクリスに聞いておけば、良かったと後悔していたその時だった。
『……フフフ、ちゃんと敬虔な信者のように見えますよ?』
「エリス様!?」
俺はその聞こえてきた……というよりも、頭に直接響いたような声を聞いて、思わず声をあげてしまった。
それは紛うことなきエリス様の声だったのだ。
『カズマさん、カズマさん。そこは教会ですよ?教会ではお静かにして下さいね?それに声を出さずとも、先程みたいに心の中で念じてくれれば、私にはちゃんと聞こえていますので、安心して下さいね』
その声はやはりエリス様だったらしい。
突然声をあげた俺を不審な目で見てくるエリス教のプリーストの人に、俺は軽く会釈をして誤魔化しつつ、今度は言われるがまま、心の中でエリス様に話しかける。
『本当にエリス様なんですね!?死なずしてエリス様と話ができるだなんて……俺感激です!』
『今回だけ特別ですよ?本来であれば無宗教で信仰心のないカズマさんに私の声を届けることなんてありませんからね?』
この前俺が天界で話したことを少し根に持っているらしいエリス様は、そんな恨み言を口にするが、そういうところがやはりこの世界のヒロインだと、俺は改めて実感した。
『俺……エリス様の為なら、毎日でも教会に通って祈ります!』
俺の軽口は、しかしながら、エリス様に軽く流されてしまう。
『そんな無理はなさらなくていいのですよ?それよりも、そろそろ本題を話しましょう』
『エリス様がそういうのなら……、ターニャのことですよね?』
『はい、その通りです。あれから私の方で色々と調べてみて分かったことがあるのですが………、聞いて驚かないで下さいね?』
『あいつが異世界人ってことですか?』
『はい、そうです。彼女はいせか………って、えぇぇ!?知っていたのですか!?』
『えぇ、まぁ。ターニャを預かったその日に聞きましたよ』
俺がそう答えると、小さなため息が一つ聞こえてきた。
『……そうだったのですね。私が何日も調べたことを………、いえ、まぁ知っていたのであれば、話が早いですね。彼女を元の世界に返す方法についてです』
『返す方法も分かったんですか!?』
さすがは本物の女神といったところか。
どこぞのポンコツ女神と違って、仕事が早い。
『結構頑張ったんですからね?ただ、返す方法と言っても具体的には分かっていないのですが……』
『と言うと?』
その後エリス様は、ターニャの元の世界への返り方を教えてくれた。
なんでもターニャは、なぜだか分からないが、異世界の神と微弱にも繋がっているらしく、もしその繋がりを強くすることができれば、その力によって元の世界へ帰れるのではないだろうか、とのことだった。
「神の繋がりって……、確かに具体的には全然わかんねぇなぁ。まぁ一応、ターニャには伝えておくか」
俺は教会を出て、せっかくなら外泊でもしようかと悩んだが、まだ午前中だったことを思い出し、やっぱり屋敷へ帰ることにしたのだった。
前話の後書きの宣言通り、なるべく早く投稿出来たことを嬉しく思います。
………はい、短いですよね。
今に始まったことでは無いので、お許しを……。
次話も早めに投稿出来ると思います。(多分)