このすば戦記   作:Tver

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前回のあらすじ

カズマがエリス教の教会に行き、エリス様とお話しした。






ギルド受付の悩み

□□□ギルド□□□

 

 

カズマがエリス教の教会に赴いていた頃、ギルドの受付、ルナはいつも通り仕事をこなしていた。

朝一番のクエストの受付、前日のクエスト達成率の計算など、朝からすることは多い。

他にも───

 

「よぉ、ルナ。なんかワリのいいクエストねぇか?」

 

荒くれた冒険者達の相手も彼女の仕事だ。

 

「ダストさん、胸ばかりをジロジロと見るのはやめてもらえますか?」

 

「そんな冷てぇこと言うなよ。減るもんじゃあるまいし。それよりもクエストだ、クエスト。なんか受けただけで大金が貰えるクエストとかねぇのか?」

 

このダストという冒険者は、アクセルの街でも有名なチンピラ冒険者で、今回もそのようなクエストはないと分かっていながら、暇つぶしにやって来たのだろう。

 

「そのようなクエストはありません。そんなことよりもダストさん。そろそろギルドの酒場に溜まったツケを────」

 

「おっと、もうこんな時間か!俺は用があるから今日は帰らせてもらうぜ!」

 

そう言うとダストは、足早に受付から離れ、ギルドの扉へと向かう。

しかしながら、ダストが扉へとたどり着く前に、その扉が勢いよく開かれる。

 

「こんなところにいたのね、ダスト!」

 

扉を開けたのは、ダストの冒険者仲間である、ウィザードのリーン。

その表情は酷く険しい。

 

「げ!リーン!?」

 

「あんた、今日という今日は、溜まった借金を返してもらうからね!」

 

リーンに追いかけられたダストは、ギルドの裏口から出て行き、ギルドは静けさを取り戻し───

 

「クリムゾンビアもう一杯!」

 

「こっちにも持ってきてくれ!」

 

静けさを取り戻すことはなかった。

まだ朝だというのに、否、もう朝だというのにギルドの酒場には少なくない冒険者が酒を飲んでいる。

普段であれば、この時間にはほとんど人が居なくなっていたのだが、最近はこの時間になってもまだ酒を飲んでいる冒険者が増えてきたのだ。

 

それもこれも、ここ始まりの街アクセルには不釣り合いな大物賞金首の討伐が関わっている。

魔王軍幹部や機動要塞デストロイヤーを討伐したこの街の冒険者は、例年になく懐が温まっており、クエストに行く必要がないのだ。

更には何故か「働いたら負け」などという、風潮が広まっており、この街のクエスト達成率は落ちていく一方なのだ。

このままではギルド上層部から睨まれ、ルナ達ギルド職員の減俸の可能性もあり、ルナは非常に頭を悩ませていた。

 

「はぁーーーー」

 

ギルドの現状に深い溜息をついたルナは、その目の端でギルドの扉が開かれるのを捉えていた。

そこから入ってきたのは、荒くれた冒険者が集まる冒険者ギルドには縁のないような、小さな体躯をした幼女だった。

その姿を見るやいなや、ルナは受付から離れ、その幼女の元へと向かう。

 

「ターニャさん、わざわざ足を運んで下さり、ありがとうございます」

 

ターニャは小さくお辞儀すると、ルナと挨拶を交わす。

 

「私とて一冒険者の身。ギルドからの呼び出しとなれば赴くのが当然です」

 

ルナは軽く挨拶を交わしただけだが、改めてターニャの知能の高さを思い知った。

紅魔族という生まれつき知能が高く、アークウィザードの素質がある種族がいるが、彼らと違い、礼儀正しく品性がある。

幼女なのだが、その年の差を感じさせない程である。

 

「それはそうと、今日はどのような要件で?」

 

ターニャに要件を問われたルナは、ターニャについての考察をやめ、要件を話始める。

 

「ターニャさんを見込んで、お願いがあるのです」

 

ルナがターニャを呼んだのは、このギルドの現状を変えるため。

ターニャという幼女に望みをかけたのだ。

 

 

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