このすば戦記   作:Tver

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アクアの部分を少し変更しました。


怠け者と働き者は相容れない

□□□アクセル□□□

 

 

アクセルの街。

この街の周辺は、比較的弱い魔物が生息しており、それ故に、駆け出し冒険者達が集まる街として有名である。

かく言う俺も、転生した際に、この街に降り立ち、この街から俺の冒険は始まったのだ。

…………と言っても、最初は生活するだけでも一苦労で、色んなバイトを転々としつつ何とか食いつないでいたのだが。

初めてクエストに挑戦した時には、カエル相手に大苦戦し、仲間が集まったと思ったらポンコツばかりで。

そんな駆け出し冒険者の街の最初のクエストですら、まともにこなせなかった俺達だったのだが、何故かこの街にやって来た魔王軍の幹部や大物賞金首を討伐し…………

今や屋敷持ちの大金持ちの勝ち組にまで登りつめたのだ!

ここまで来るのに、どれだけ苦労したことか………、と俺の壮大なお涙必須の物語を語るのはまた今度にして、とりあえず今言いたいのは、この街はそれほどまでに濃い時間を過した街であり、俺の第二の故郷と言っても過言ではないほどなのである。

そんな住み慣れた街をいつも通り歩いているだけなのだが、今日はとても居心地が悪い……というか、周囲の視線が痛い!

どうして俺がそんな目にあってるかと言うと、原因は今俺の隣を歩いているこの幼女である。

この幼女、ターニャ・フォン・デグレチャフ……、長いからターニャと呼ぶが、ターニャは、見た目だけ見ればまるで人形のように整った顔立ちをしており、そんな幼女を俺みたいな冒険者の出で立ちをした男が連れていたら、注目を集めるのは当然だ。

それに恐らく、ターニャが、金髪に碧眼という、この世界における貴族の特徴を持っているということも注目を集めている原因だろう。

 

くそ、こんなことになるなら、ターニャにこの街を案内する役を誰か他のやつに任せるべきだったか。

まぁ、エリス様に託された手前、屋敷に招いて面倒を見るつもりではいるが、本当にこいつ面倒を見る必要があるのだろうか?

いや、正直あまり招きたくなかったのだが、ダクネスとめぐみんがどうしてもと言って聞かなかったのである。

ターニャも、俺の屋敷に来ることを少し嫌がっていたようだったが、あの2人に押し切られたらしい。

ダクネスとめぐみんが言うには、こんな子供を1人にさせる訳にはいかない、だそうだ。

至極真っ当な意見で、俺もターニャがごく普通の幼女なら賛成なのだが。

ターニャには、見た目以上に、何か感じるものがあり、放っておいても、大丈夫なんじゃないかと、そう思えてならない。

ただ正直に言うと、俺の本能の部分がなぜだか、ターニャに忌避感を覚えており、あまり関わりたくないのだ。

今更だけど、改めて本当に屋敷に来るのか確認しておこうかな。

ターニャ自身あまり乗り気じゃなかったようだし……。

 

「お前本当にうちの屋敷に来るのか?嫌だったら他に宿をとってもいいんだぞ?その分の金ぐらいなら用意してやるからさ」

 

「私としてはあまり他人の世話になりたくなかったのだがね。ただ、今持っているものと言えば、拳銃にあとは………、このK-brotぐらいか。一口どうだ?食べてみるか?」

 

「なんだよK-brotって。パンか?まぁくれるって言うなら一口………ってまず!なんだよこれ、パサパサじゃねぇか!」

 

「ははは、まずいだろ。とまれ、こんなものしかないものでね。今回はお言葉に甘えてさせて頂くことにしよう。それにダクネス殿とめぐみん殿にあれだけ言われればそうせざるを得まい」

 

結局ターニャは屋敷に来るようだ。

それにしてもさっき貰ったK-brotってパン、食べれたもんじゃなかった。

この歳で軍服着て、あんなパンを食べてるってことは、ターニャはやっぱり別の世界から………

そして恐らくその世界では……、いや今考えるのはよそう。

 

それよりも他のやつらは大丈夫だろうか。

まぁ心配なのはアクアだけだが。

ちなみに他のやつらはと言うと、ダクネスは今日の夕飯の買い出しに行った。

何でも、ターニャの歓迎会を行うらしく、豪勢な夕飯にすると張り切っていた。

一応俺、今日死んだばかりで、その日に祝い事をするのはどうなのかと思うが、そんな些細なことは口にしないのが男ってもんである。

………決して豪勢な夕飯が食べたいから黙っている訳ではない。

心配してるアクアはと言うと、分解したターニャの銃を袋に包んで、先に屋敷に帰っている。

別れ際、ターニャに声をかけられたアクアは、背筋をピンと伸ばし、敬礼のようなポーズをしていた。

恐らくターニャにこってり絞られて、これ以上怒られたくないから、真面目になったのだろうが……、敬礼をしようとした時に、銃を包んだ袋を落としそうになっていたからなぁ。

真面目にやっても失敗するのがアクアだから心配なのだ。

めぐみんとゆんゆんは、ギルドに向かった。

めぐみんは、今回のクエスト報告に、ゆんゆんは、ギルドに用事があるらしい。

ゆんゆんがついてくると知った時のめぐみんは、物凄く嫌そうな顔をしていたが、あの2人はあれで結構仲がいいからな。

あ、そう言えば今回のクエスト、「近くの森で頻発する火事の調査」は失敗ということになるのか。

まぁ今回は仕方がなかったということで。

冒険もまた暫くはせずに、屋敷でのんびりと過ごすことにしよう。

クエスト失敗といえば、ウィズに初めて会った時のクエストも失敗に終わったんだっけか。

あれからウィズとの付き合いも長いしな、街の案内がてらウィズの店にも寄っていくか。

 

それはそうとこの幼女、さっきからずっとキョロキョロしてるな。

 

「さっきからずっとキョロキョロしてるけど、そんなにこの街が珍しいか?」

 

「いやなに、少々文明の程度の低さに驚きつつ、明らかに私の世界には存在しないものを見て、私のいたところとは別世界なのだなと納得していたところだよ」

 

「まぁやっぱりお前は、この世界の人じゃないよな。もしかしてだけどさ、その軍服に銃、それにさっきのパンといい、お前のいた世界では戦争でもしてたのか?」

 

「まぁ概ねその通りだな。正直一刻も早く元の世界に戻りたいのだが………。それにしてもやはり貴殿には少々興味がある。屋敷に着いたあかつきには、色々とお聞かせ願おうか」

 

「俺に答えられることなら、お手柔らかにお願いします………」

 

この幼女が俺に一体どんな興味をもち、俺になんの質問をするのか、少し恐怖しつつ、俺は街案内の最後として、ウィズの店に向かった。

 

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