最弱先輩に憧れて   作:@深夜

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誤字報告ありがとうございます。
やはり至らない点がいくつかありますが、
見ていただけていてうれしいです。
どうぞ




その十五 final

病院内にて----

 

「ひぐっ、ぐすっ、、ごめんね~。にっしーこんなにしちゃって。」

 

「園子、、」

 

「そのっち、、」

 

あの後あんなに元気に笑っていた翔助だったのだが、大赦の人達病院につれられたあとはまるで死んだように目をあけない。

 

「やっぱりここにいたのね、三人共。」

 

「安芸先生、、」

 

いつもの聞き慣れた大人の声が聞こえたので振りかえると、安芸先生がいた。

 

「・・翔助君。あなたは本当に、、」

 

「・・・どうかしたんですか?先生。」

 

「いいえ、何でもないわ。とりあえずあなた達も翔助君が心配なのはわかったわ。

でもあなた達も大変な状態だったんだからまずは安静にしてからにして欲しいわ。

しっかり伝わったと思うわよ翔助君には」

 

わかってるよ、安芸先生。

あたし達だって大分酷い怪我だった、でも

翔助はもっと辛い中一人で頑張ってたんだ

 

『僕を信じてくれ』

『あぁ。約束するよ』

 

あの時あたしが残っていたら、翔助はいつもみたいにあたし達に笑ってくれてたのかな?いつもみたいにあたしと園子がはっちゃけて、それを翔助がツッコミを入れて。

須美がそれを見て微笑む。

 

そんな優しい光景はもうない。

・・もしかしたらもう見られないかもしれない。そう考えると怒りが沸いてくる。

どうしてあたし達がこんな危ない目に合わなきゃいけないんだ。どうして何もしてないのにこんな目に合ってるんだ。

 

 

何で誰にでも優しいアイツが倒れなきゃいけないんだ。

 

 

あわやあたし爆発といったところである聞き慣れた人物の声が、いつもと違い聞いたことがない大声で先生に向かって怒鳴った

 

「先生が、、先生みたいな大人に、私たちのことなんてわかるもんか!!」

 

園子だ。あの園子が怒鳴っている。

須美に目を向けるとあたしと同じく怒りを持っていた目から一転、驚愕の目になった

 

「先生達なんかみんな勇者だからって丸投げしてばかり!!」

 

「そんな時に支えてくれたのはにっしーだった!訓練メニューも皆の分をよりよくなるよう考えてくれたし、皆の相談を受けてあげてたりもした!!」

 

「昔から一緒にいたからわかるんよ!みんなを支えてくれていたから段々疲れていたことも、、全部、、」

 

最初は強く怒っていた園子だったが、最後の言葉と同時に涙を流して顔がぐしゃぐしゃになる。

 

「私たちにとってにっしーは、なくてはならない大切な人なんよ、、」

 

「もういいよ!園子!・・とりあえず今は泣いてもいいよ。」

 

「・・ごめんなさい乃木さん。みんながそれほどまでに西村君の事を大事に思ってたんなんて、、ごめんなさい。」

 

「・・みのさん!先生!、、ううっ」

 

「銀、、そのっち、、先生、、」

 

しかしバーテックスはそんな悲しい時間すら気にせず襲撃してくる。

 

「・・ははっ。こんな時にすら来るのかよバーテックスさんはよお。」

 

「にっしー、、」

 

「きっと翔助君が目を覚ましていたら、『空気読めないなぁバーテックスさんは』って言うのでしょうね」

 

「・・行こう。みのさん、わっしー」

 

その後の戦闘は酷いものだった。

それぞれが怒りに任せて前線に出て思うがまま武器を振るう。

 

結果は完勝だ。

無傷とまでは行かないものの、擦り傷がいくつかあるぐらいである。

でもいつものように反省会はできない

たった一人だが、その一人の存在はでかすぎる。

 

 

 

 

 

それからいくつか時間が流れて新しく、

『満開』システムが追加された。

他にも祭りなどに三人で行ったりした、あの日以来ほとんど笑顔を見せることがなかった園子もその時はあたし達と一緒に笑いこけてくれた。・・その時は心底安心した

その後も色々なことをしていくうちに前と同じ位に回復した。もちろんあたし達も

 

しかしある日ついに時が止まる。

 

「・・もうすっかり慣れちゃったね~」

 

「うれしくないけどな~」

 

「でも慣れるのに損はないわよ。」

 

「そうだけどさー」

 

そんな軽口を叩き合いながらバーテックスのもとに向かうと今までの倍ぐらいの大きさの威圧感を放つバーテックスがいた。

戦ってみると見た目どうりに今までとは全く違うレベルでの強さだった。

満開のゲージは、、おっけー!

二人に目をやると二人とも頷いた。

あたし達三人は互いに目を合わせて言う。

 

「「「満開!!」」」

 

 

 

しかし、現実は甘くなかった。

満開をしてもなお、バーテックスに押され

ており、状況は以前劣勢のままだ。

それに満開の際のデメリットも発見した。

 

「あら?足が、、動かない!?」

 

「わたしも何か右目が、、」

 

「アタシは、左腕が、、」

 

どうやら満開するたんびに体の一部が使えなくなるようだ。

・・いよいよ生け贄だなこれじゃあ。

 

しかしその後もあたし達は戦い続けた。

満開だって再びした。

だけど運命は残酷だとそう感じた。

満開の代償はあたしは右目。

問題は須美の代償だ。簡単に言うと、、

 

「あなた達は、、誰ですか?」

 

『記憶』だった。

 

「ははっ。記憶なんて・・・そんなのありかよ。」

 

まさか目に見えない物まで奪われるとは、

園子は今回はなんともなかったみたいだが

何か大事な物を奪われてるかも知れない。

そんな嫌なことを考え、須美に話しかける

 

「もう覚えてないんだろうから自己紹介するな!あたしが銀。三ノ輪銀だ!」

 

「わたしは乃木園子だよ~私たちはあなたの元になるけどー」

 

「「親友だよ!」」

 

そう言ったあとバーテックスを指差す。

 

「悪いけどあれを片付けないと駄目だからさ、、また、会えたら話そうな!」

 

「行ってくるね~、、わっしー」

 

「あ!・・待って!!」

 

園子は最後に記憶があったころの須美にあげたリボンを着けた所を撫でてあたしの後ろに続く。

 

「・・・園子」

 

「・・・わかってるよ~みのさん。」

 

この戦いの勝ち目なんて凄く薄い。

一人減った今戦力だって下がっている。

でも。

 

「「満開!!」」

 

諦めるわけにはいかない!

 

 

 

 

 

 

 

その後あたしも園子も6回目の満開を終え目の前の敵をにらむ。

 

ここで諦めたら何もかもが無駄になる。

あたし達四人の楽しかった思い出も全部。

 

「そうは、、させない!」

 

「わたしだって、、まだまだ!」

 

そんなの嫌だ。だからこそあたし達は何度でも立ち上がってみせる。

・・あいつの気持ちだって絶対に無駄になんかにさせてたまるか!

 

そんな二人が一歩また踏みだそうとすると

もう聞けない筈の懐かしい声が聞こえた

 

 

『無茶しすぎじゃないかい?二人共?』

 

「・・え?にっしー、、?」

 

「・・な、何でいるんだよ?棺桶の中で眠ってる筈じゃあ?」

 

『あんな窮屈なのぶっ壊してきたぜ?あんなんじゃあとてもじゃないが寝れやしないよ~』

 

『須美ちゃんの状況は見てきたよ。記憶を失うとはね。中々えぐいことしますね、神樹様は~』

 

そんな話を翔助?としてるとバーテックスが攻撃を行ってこようと近寄ってくる。

 

「翔助!あいつはヤバイんだ!何でお前が生きてるのかは知らけど、早く逃げろ!」

 

そう言ってるのにも関わらず翔助は反比例するかのようにバーテックスに近づく。

 

「にっしー!!」

 

今や殺られるかというところで園子が叫ぶ

だがもう間に合わない。

そう思っていたけど、、

 

『下。気をつけなよ?』

 

何故か下から凄くデカイネジが一瞬にして

生え、あっさりとあの巨体を貫く。

 

「え?ネジ?何で、、?」

 

「摩訶不思議なんよ、、」

 

『二人とも、、ごめんね。』

 

あたしと園子で感想を述べ合うと後ろから首をトンっとされて意識を失う。

 

「な、、何で、、?」

 

「なに、、するんだよ、、」

 

『僕は死なない。だからまたどこかで会えるかもね。・・その時に何でこんなことしたのかを話すよ、じゃあ、おやすみ。』

 

 

 

 

 

 

 

その後あたしと園子は満開によって捧げた部位を大赦によって神として崇められ一つの病室に入れ込まれている。

 

「・・あの時のはやっぱり翔助だったよ」

 

「・・うん。間違いなくにっしーだったね~。・・他のこと話してみたかったなー」

 

あの後どうやらバーテックスは桜の花弁となり、消えて行ったという。

私たち二人で何回も満開してやっとだったのに。翔助、お前一体何者なんだ?

暇すぎて毎日同じことを考えてしまう。

するとやがて扉が開く。

 

「失礼します。園子様、銀様。」

 

「ん。どうしたの~?」

 

「翔助様の情報が入りましたのでご連絡をと。」

 

「「え!?本当に!?」」

 

「は、はい。どうやら適正値が過去最高の『結城友奈』とその他適正値が高い勇者が多い学校に通っているそうです。ちなみに須美様もそこに通っておられるそうです」

 

「・・ということは」

 

「はい。勇者として再び活動するようです」

 

「にっしー、、本当に無茶してるのは確実に、にっしーなんよ~」

 

「まぁ翔助っぽいけどなー」

 

「では失礼いたします。」

 

 

 

 

にしても。

 

「・・・無茶しすぎだよ翔助。本当に」

 

「・・・本当なんよ~それにどうするみのさ~ん?」

 

「どうしたんだよー?」

 

「にっしーが女の子でも作ったら、、」

 

「・・・・」

 

 

「「嫌だね(だな)」」

 

「いや、いっそのことみんなで付き合うのもありなんよ~」

 

「法律はどうしたー?」

 

「ふっふっふ。みのさん?わたしは乃木さん家の園子ちゃんなんだよー?」

 

「・・あり、かもな」

 

「決定~!みのさん、わっしーみんなで幸せになろうー!」

 

「そのためにも早く治らないかなーアタシ達の供物。」

 

「ね~」

 

ちなみに園子はもちろんだが、あたしも須美も翔助のことが好きだ。

元々いいなとは思っていたのだが、あの出来事から好きな気持ちはすっかり開花した

本来園子の案はおかしいと言うのだろう。

多分翔助も反論する。だけど?

 

「アタシ達にさんざん心配かけてる罰だよな~園子ー?」

 

「そうそう~。一回はこっちの要求を飲んでもらわないと割りに合わないんよ~」

 

ちなみに病室には若干甘いようで黒いオーラが外から見えたため、しめ縄と相まってさらに不気味だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 




今回で『鷲尾須美は勇者である』は終了となりますがまだまだ続ける予定です。
『結城友奈は勇者である』もやりたいですからね。

後半の二人のやり取りはギャグっぽいですが、本人達は本気ですよ?

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