最弱先輩に憧れて   作:@深夜

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思いついたので書きます。
どうぞ


その伍

 

 

次の日----

 

朝起きて、いつも通り顔を洗って朝ご飯を作って、コーヒーを飲みながらテレビをつけて、新倉さんが起きるのを待つ。

最初の頃は新倉さんに作ってもらっていたのだけど、やっぱりお世話してもらっているということで家事ぐらいはやらせてほしいと伝えたところ、渋々了承してくれた。

 

ピッ

 

《昨夜、突然土砂崩れが起きたことによって、一名の死者。三名の重傷者がでました

理由は・・》

 

・・やっぱり昨日少し神樹が枯れていたから、現実世界へ影響を浸したか、、

 

昨日風先輩がいっていた通り、神樹へのダメージなどは全て現実世界に影響をもとらす。主に死者や負傷者が出たりするのが大体だけどね。

なので、僕達勇者はその被害をなるべく最小限にするために神樹様の力によって作られた戦場フィールドでバーテックスと対峙しているというわけである。

 

選ばれし者と言えばよく聞こえるが、悪く言うと戦争に行く兵士と同じようなものだ

・・加護があるため、ちょっと素人でも戦いやすくなっているだけである。

 

さらに印象を悪くするならば過去に園子ちゃん達がやった『満開』というシステムである。

体の機関、機能を一部神に捧げることによって、一時的に勇者としての力をブーストさせて、仮にブーストが終わったとしても勇者としての力も上がるため満開をするたびに強くなるというものなのだが、、

 

『悪くいうと、『生け贄』いや、『人柱』と言ったほうがいいかな?神に捧げているわけだし。』

 

罰当たりそうな事を言うが、本当に悪く言うとこうなるんだよなぁー

 

勇者システムについてはまだある。

 

『精霊』というものだ。

精霊とは簡単に言うと勇者のサポートをするお手伝いさんのようなものだ。

例を言うと、武器の威力をあげたり、自分の分身を作ったりなど精霊によってできることには違いがある。

『精霊』のモチーフには妖怪だったりなど架空の生物がモチーフにされたのが多い。

 

そして、精霊の数は勇者の強さに比例する

 

主に精霊は、満開をするに応じて増えるのが一般的だ。

最初に一匹いるので、一回満開したら二匹

と満開数+1はい、これが精霊の数をもとめるときの簡単な方程式である。

 

僕が駆けつけた時の園子ちゃん達の満開数は確か六、七回だったはず。

ということは7、8匹いるということか。

勇者としての力も標準の勇者よりも高いということなので、今の勇者部だと太刀打ちできないだろう。

 

え?「お前なら満開の代償を【なかったこと】にすればいいだろ」って?

 

残念だけど『大嘘憑き』は万能じゃない。

『大嘘憑き』がなかったことにできるのは

現実(リアル)だけだ。

例をあげるなら、合成写真とかだ。

ただの写真なら可能だが、人が現実の写真に手を加えたものなどは現実のものじゃないので、不可能だ。

精霊などといった現実の生物じゃないものも当然アウトである。

・・まぁ、その代わり現実のものだったら何だってできるんだけどね。

【僕以外の生命体をなかったこと】にすれば僕以外は誰一人いなくなるし、地球、あるいは世界すらも【なかったこと】にできるので十分ヤバい。

 

 

え?なら、なおさらお前は何回満開したのかって?

・・そうだね、僕は、、、

 

「おはよう翔助君」

 

おや、新倉さんが起きてきたようだ、、

この話しはまた今度にしよう。

 

その後新倉さんと世間話をしながら身支度を済ませて家を出た。

 

 

 

 

学校----

 

『おはようみんな』

 

「あ、おはよう翔助君!ねぇねぇ、翔助君は今朝のニュース見た?怖いよねぇー」

 

「他人事じゃないよ?私達もいつそんなトラブルに会うかわからないんだからさー」

 

教室の扉を開けてクラスの子達に挨拶をすると、二人の女の子が挨拶と同時に今朝のニュースの話題を振ってくる。

 

なんか気まずいね、「僕達が神樹様を守りきれなくて被害がでました。」なんて言っても信じてくれるわけないと思うけど、とても言えないな。

 

『そうだね、日頃から注意しておくことは大事だよ。崩れそうな場所には近づかないとかでも注意しておいたほうがいいね。』

 

「ハザードマップとか?」

 

「そこまでしなくても、危なそうだなって思ったらいかなきゃいいだけだよ。ね?」

 

『そうだね、手間かかっちゃうからねー。まぁでも書き記すのも悪くないけどね。』

 

「なるほどー」

 

『じゃあ、またね。』

 

「「バイバイ~」」

 

至極真っ当な返えしをすると本人達も理解してくれたのか、返してくる。

・・この子達もしっかりしてるな。

おかしいな?クラスの男の子ぐらいが年相応の感じだと思うんだけど?

 

『おはよう。みんな―』

 

「おぉい!翔助!てめぇ、何スタイル良いランキング3と4位の子達と話してるんだよー!?」

 

・・ごめん、前言撤回するね。

この子達本当に中学生かい?話しの内容が完全にエロ高校生なんだが?

 

 

 

助けてくれる人はいないか、周りを見渡すと考えに浸っている美森ちゃんがいた。

事故のことについて考えているんだろうな

 

「「「答えろぉぉぉー!」」」

 

 

 

 

その後は男子の子達に尋問されたが、うまくのらりくらりとかわしたので問題なし。

 

 

 

 

 

放課後----

 

風先輩は黒板に絵を描いて指を指して、話し初めた。どうやら神樹様の神託で全部で12体のバーテックスが攻めてくるのがわかったらしい。

・・それバーテックスだったんだね。

 

「あ、それ昨日の敵だったの、、」

 

「奇抜なデザインを表したいい絵だよね」

 

「お、おっほん。は、話しを続けるわね」

 

気をとりなおして話し続ける風先輩の内容を聞くと、バーテックスの目的は人類の滅亡らしい。、、でしょうね。じゃなけりゃわざわざ来る意味がないしね。

 

他にも勇者システムの概要だったり、精霊バリアや封印の儀式等は最近追加された物ということ話して、最後に棒のような人を指差して締めた。

・・人、だよな?

 

「・・その絵、私達だったんだ?」

 

「げ、現代アートってやつだよ、、多分」

 

「えぇい!やかましいわ!」

 

あららついにキレちゃったよ風先輩。

絵はまぁ、、仕方ないよね、うん。

 

ちらっと美森ちゃんを見ると良く考えているようで、若干険しい顔をしている。

 

・・さて、一波乱の予感だ。

 

「それじゃあ、、その勇者部のメンバーも先輩が意図的に集めたもの、、ということなんですよね?」

 

「・・そうだよ。適正値の高い低いはわかってたからね。あたしは神樹様を祀る大赦からこの地域担当の指令を受けていたからね。」

 

「それなら樹ちゃんは、、?」

 

「私は昔お姉ちゃんが大赦の人に勇者候補になるように言われていたのを見たんですけど、、実際に話しを聞いたのは去年の6月半ばです。」

 

んー美森ちゃんのあの表情は怒りよりも悲しみの割合が大きそうかな。

おそらく今までの勇者部の活動が全部嘘に見えて悲しんでるのだろう。

 

「どうしてもっと、、早く勇者部の意味を、教えてくれなかったんですか、、?」

 

「・・ごめんね。どのグループが選ばれるかはまだわかってなくて、確かに私達のグループが選ばれる可能性が一番高かったんだけど、、選ばれない可能性もあったから言えなかったの。」

 

確かに他のグループが選ばれるかもしれないから言えなかったのもあるんだろうけど一番はたぶん変に心配掛けたくなかったからなんだろうね、風先輩のことだから。

 

「なんでこんなに大事なことを黙ってたんですか?・・友奈ちゃんも翔助君も・・皆も死ぬかもしれなかったんですよ!」

 

最初は美森ちゃんの言葉に冷静さが見られたが、だんだん言葉に怒りがこもっていっていた。

正直どっちの理屈もわかるから何とも言いづらいんだよね。

 

「私達が・・話しを聞いても信じないと思ったんでしょう?」

 

「・・東郷」

 

「・・東郷先輩」

 

「っ!・・失礼します。」

 

「あっ!待って、東郷さん!」

 

最後に自分達が信用されてないのを悲しそうに呟いて逃げるように部室を出て行ってしまった。友奈ちゃんはそんな美森ちゃんを追いかけて行って部室には静かな沈黙が広がる。

風先輩は顔を俯かせ、樹ちゃんはそんな先輩のこと心配そうにチラチラ見ていた。

・・がっつり言われたな、風先輩。

 

「・・翔助はさ、何にも言わないの?」

 

『え?何をですか?』

 

黙っていたことだったらとっくにわかってたけどね。先代勇者の一人だし。

 

「あたしはみんなの信頼を裏切るようなことをしたのよ。だから文句の一つや二つ、言われたってしょうがないのよ。」

 

「お姉ちゃん、、」

 

・・なるほど、思ってた以上に美森ちゃんの言葉が効いたようだね。

 

仕方ない。僕の気持ちを伝えるか。

 

『なんだ、そんなことですか。』

 

「そんなこと、、?何がそんなことって言うの!?」

 

「お姉ちゃん!」

 

『先輩は人の信頼を裏切るような人じゃないですよ。ただ心配性なだけです。』

 

「心配、、性?」

 

『ええ。』

 

ええ。本当に心配性だよこの先輩は。

 

『僕達に本当の事を伝えなかったのは余計な不安を感じさせたくなかったから。、、違いますか?』

 

「いや、違わないけど、、」

 

『ほら、先輩は心配しすぎなんですよ。僕達のことをみくびりすぎなんです。』

 

多分美森ちゃんも受けとめられるだろうし友奈ちゃんは、、言わなくても分かるだろ

 

『僕達はあなたが考えているよりもずっと強いですよ。だって、、』

 

『勇者部の部員なんですから。』

 

そう僕が言うと俯かせていた顔をあげて、僕を見ていた。

 

『まぁ、僕は部員じゃないですけれどね』

 

そんな風先輩に向けて笑いかけながら言葉を紡ぐ。

 

「・・これじゃあ、どっちが部長の威厳もないわね。」

 

『あはは。あんまりうじうじしてると、部長の座いただきますよ~?』

 

「まず、入部してから言いなさい!」

 

よし、やっと戻ったかー

 

「・・ごめんね、本当に。」

 

『ハァー。その言葉は美森ちゃんに言ってあげてくださいよ?』

 

「いやいや、そっちもあるけどさ。励ましてくれてありがとうっていう、、」

 

あ、そっちなんだね。

 

『そういう時はですね、先輩。『ごめん』よりも『ありがとう』って言われたほうがうれしいですよ、僕は。』

 

「そ、そう。・・ありがとうね翔助。」

 

『いえいえ。美森ちゃんへの謝罪、頑張ってくださいよー?』

 

「うぐっ。が、がんばります。」

 

まぁ、この調子ならいけるだろう。

美森ちゃんの方には友奈ちゃんが行ってるから心配いらないだろうしね。

 

『ちゃんと何かあったら人に相談する癖つけたほうがいいですよ?ねえ?樹ちゃん』

 

「本当ですよ、、」

 

「ちょっ。二人ともひどくない?」

 

『勇者部のみんなでも駄目ならせめて家族の樹ちゃん位には相談しないと駄目ですよ?』

 

「本当、翔助先輩の言うとおりだよ?お姉ちゃん?」

 

「はい。すみません、、、」

 

そんなこんなで三人でわいわいやっていると、、時間が止まった。

 

「なっ!こんな時に樹海化警報!?」

 

『まさか二日連続とは、、ついてないね』

 

 

そう僕がため息混じりに呟くと同時に世界はまた光に包まれた。

 

 

 




深夜遅くに書きました。
まさに、@深夜ですね。(?)

どうですかね。
どんな感じか、感想などいただけると分かりやすくてありがたいです。

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