ある日の勇者部ではまた、風先輩に集められ、みんなで机の上においてあるアタッシュケースを開いて、中にある端末を触り、不備がないかそれぞれ確認する。
その後風先輩によりバーテックスの生き残りがいて、戦いが延長戦に突入したことを
伝えられる。
「みんないきなりでごめん、、」
「先輩の責任じゃないですよ!先輩だってさっき知ったばかりじゃないですか」
「そうよ風。それに私達はあの総力戦も生き残ったんだから、生き残りを潰すぐらいなら問題なしよ」
[勇者部5ヶ条
なせば大抵なんとかなる!]
「そうですよ!みんながいれば怖いものなしですよ!」
「みんな、、そうね、みんな一緒ならバーテックスなんて問題じゃないわよね」
最初は俯いていた風先輩の表情が、みんなの言葉で、いつも通りの明るく、活発な表情に戻っていた。
ふとやる気になっているみんなの顔を一通り眺めてみる。
最初はあんなにおぼつかなくて、不安そうな感情が見え隠れしていたのに、、いつの間にか自分よりも頼もしくなって、成長していっているんだなとうれしく思うが、
・・もう、僕は必要ないかもね。
そう寂しくも思うな~
少し経ってまた、樹海化が始まった。
先代の時の事も合わせると、もはや見慣れてしまっている風景を眺めながら勇者部のみんなの言葉に耳をかたむける。
「さあ。今回の敵で本当に最後の戦いよ、
また、アレやるわよみんな!」
「えぇ、また?ほんと好きよねー」
『夏凜ちゃん。そう口では言ってるけど、しっかりとやるんだね?』
「・・うるさいわ!」
「あはは、、まあ、先輩は体育会気質だからね~。」
「いいじゃないの別に。よーし、バーテックスなんかに負けないわよ!勇者部ファイトー!!」
「「「おー!」」」 [おー!]
バーテックスとご対面すると、今までとは違い、小さな影?みたいなのがわしゃわしゃと走ってきていた。
どうやら総力戦の時に僕が仕留めた双子座の色違いバージョンらしい。
「あの時のバーテックス達と比べるとやっぱりちっちゃいねー」
「あれ?翔助が仕留めなかったっけ?似たようなやつ」
『多分二人で1セットなんでしょうね、あの双子座は名前のまんま。』
双子座との戦いは今まで培ってきた経験を生かし、見事なチームプレーで被害をほぼ出さないで討伐できた。
途中で御霊の数が多過ぎるというトラブルが起きたが、僕が槌を振り回すことで強引に潰し、残りをみんなに対処してもらうことによって無事倒した。
樹海化が解けていく中、みんながそれぞれ話しているのを見守っていると、僕の精霊達が裾を引っ張っていたので目を向ける
『ん?どうしたんだい?』
《しゅじん、、だれかにひきよせられてるよ、いや、よばれてる?っていったほうがいいかな?》
え?どゆこと?もしかして敵の残党がまだまだいて、殺しにきてるってことか?
『呼ばれている?誰にだい?』
《ん~。しゅじんのかんがえてるみたいにバーテックスとかてきのけはいはないよ、むしろ、、みかたかな?》
『味方?なおさら誰だろうか、、』
《・・たぶんだけど、わかった。》
さすが精霊の中で一番一緒にいた轟山だ、
勘が鋭いね~
……一体誰なんだろうか。
『教えてくれないかい?轟山。』
《……いいよ・・このけはいは、、》
轟山が言葉を紡ごうとする間も樹海化がどんどん解けていく。
樹海化が完全に解けた時と、轟山が言葉を発するのはほぼ同時だった。
《そのこさんと、ぎんさんだよ。》
解けた後の景色はいつもの屋上とは違い、まったく見に覚えのない場所だった。
「え?ここは、、?」
「友奈ちゃんに、、翔助君、、」
周りを見渡すとさっきまで五人いた筈が、友奈ちゃんと美森ちゃんしかいなかった
『二人共、無事かい?』
「う、うん。でも風先輩達がいないよ」
「なんで私達だけいるのかしら、、それにいつもなら中学校の屋上に出るはずなのに、、」
「そうだよね、、」
二人が頭を抱えているところを見て、ふとさっき轟山が言った言葉を思いだす。
これは園子ちゃん達がやったのか?
一体なぜ、、いや、このタイミングなら話すことはあれしかないか。
僕も二人と同じように考えに浸っていると懐かしい声が聞こえてきた。
「ずっと呼んでたよ、、わっしー、それに、、にっしー」
「やっと成功したよなぁ~。」
久しぶりに聞いたな、この声
相変わらず優しい声してるよ、二人共。
「わっしー、にっしー。二人が戦ってたのずっと感じてたよ、、やっとみのさんと一緒に呼び出し成功したよ、、」
「会いたかったよ、二人共。」
声が後ろから聞こえたので、振り返ってみると、変わり果てた二人の姿があった。
園子ちゃんは身体を包帯で巻かれており、銀ちゃんは包帯こそ園子ちゃんよりは少ないものの、その分他の所にまわされているんだと思うと痛々しく思える。
「わっしー…?東郷さんのお知り合いの人なの、、?」
「ううん……初対面のはずだけど……」
「っ……」 「あはは……だよな。」
「じゃあ、、にっしーって言うのは?」
『・・僕はね、少し昔に関わったことがあるから、知り合いって感じだね。』
「ごめんね、わっしーっていうのは私達の大切な友達なんだ。」
「似ててさ、間違っちゃったよ。」
やはり面と向かって『知らない』と言われるのは来るものがあったのだろう。
美森ちゃんの言葉を聞いて悲しそうな表情をしながら、二人は言い訳を述べる。
「それよりも、、バーテックス退治お疲れさま。」
「!?あなた達は、バーテックスの事を知ってるんですか!?」
「知ってるも何も、私達は勇者として昔戦ってたからねー」
「君たちでいうところの先代勇者ってところになるのかな?あたし達は。」
「・・あなた達が、先代勇者、、」
「うん、正確にはにっしーもそうなんだけどね。」
「「え!?」」
驚いて二人がこちらを見てくる。
『ごめんね。なるべく混乱を生まないよう今まで黙ってたんだよ。』
苦笑しながら二人に話す。
下手な混乱を生まないように話してなかったんだよ。
でも大赦の人間である風先輩が、僕のことを知らされていないのは想定外だったよ
「え、えっと、その身体は一体、、」
僕の話題から気持ちを切り替えた友奈ちゃんは二人の服装を見て、そう訪ねる。
「私達はね、大切な友達と一緒に戦ってたんだよ。……まぁ、その結果がこんな風になっちゃったけどね。」
「えっと、友奈さんだっけ?どうしてこうなったか大体想像つかない?」
「もしかして、、まさか」
「友奈さんは満開したんだよな?」
「はい、しました……」
「友奈ちゃん、咲き誇った花はどうなると思う……?」
「・・っ、、」
「満開した後、身体のどこかが不自由になったよね?」
やっぱり散華の事について知らせるために僕達を呼び出したのか。
二人共勘はそこそこいいほうなので、もうすでに察しているように、顔の表情を険しくさせていた。
「『散華』、、それが神の力をふるった人間への代償。」
その後園子ちゃん達は満開の詳しい内容を二人に散華を含め話していた。
そして最後に勇者は死ぬことができないということを教えて、自分のことをかろうじて使える右手で指をさす。
「それで戦い続けて最終的に、こんな身体になっちゃったんだ、、」
「そんな、、」
「じ、じゃあ二人のその身体は……」
「友奈さんの思ってるとおり代償だよ」
銀ちゃんの言葉を聞いて友奈ちゃん達が言葉を失い、固まる。
まぁ、当たり前の反応だよなー
まさか自分達がそんな過酷な使命を背負っているなんて思ってなかっただろう。
「なんで、、どうして私達なの?」
「……いつだって神が選ぶのは純真無垢な少女達なんだ、、汚れがないからこそ大きな力を扱うことができる……にっしーは例外みたいなんだけどね。」
「なぜなのかは、まだよく分かってないんだよな、、」
園子ちゃん達がこちらをチラッと見て、そう付け加える。
「…まぁ、とりあえず簡単にまとめると、力の代償として体の一部を供物として神に捧げる、、それが勇者システムだよ」
「アタシ達にしかできないとは言え、、さすがにひどいよな、、」
「で、でも!バーテックスは全部倒したんですよ!……だから戦う必要は、もうないんですよ!」
友奈ちゃんの言葉を、園子ちゃんが少し悲しげに聞いてぽつりと話す。
「・・そうだといいね・・」
「そうですよ!もう十二体のバーテックスはすべて倒したんです……え!?」
友奈ちゃんがいきなり驚きの声をあげるので周りを見渡すと、大赦の人達が僕達を取り囲むようにいた。
『何かしたのかな?僕達?……二人共、一応僕の後ろに来て。』
少し異様な空気を感じたので、ないとは思うが、念のため二人を僕の後ろに控えさせておこう。
「にっしー大丈夫だよ。ただ私達を連れ戻しに来ただけみたいだから。」
「抜け出してきたからな~」
なーんだ、よかった。
雰囲気が完全に危ない人達だったから少し警戒しちゃったよ、まったく、、
「この子達は傷つけたら許さないよ。私達が呼んだ大切なお客様なんだからね」
その言葉と同時に大赦の人達が頭を地面につけた。・・何かの時代劇みたいだな
この紋所が目に入らぬかー!みたいな。
「ごめんな…怖い思いをさせちゃって」
「システムの事を隠したのも大赦さんなりの気遣いだと思うんだよ、、でも私はやっぱりそういうのは、話して欲しかったなぁ……」
「……園子、、」
そう話す園子ちゃんの目には涙がともっていた。銀ちゃんがその姿を悲しげに見つめ言葉をもらしていた。
『美森ちゃん、、行ってあげてよ。』
「東郷さん、、私からも」
「……うん。」
そう呼びかけると車椅子を動かして二人のもとに美森ちゃんが向かっていく。
三人の会話の内容は同じ先代勇者として悲しい気持ちになるものだった。
リボンについて記憶が失っていても、大事なものということは覚えていることを伝えている所をみると、さらにだ。
途中でそんな二人を見かねて友奈ちゃんがシステムの変える方法がないか大赦の人達に向かって叫んでいたが、冷めたく返されていた。仕方ない、そんな方法があるなら最初からやってるだろうしね。
「……園子様、銀様。そろそろ、、」
「……もうそんな時間か、、はぁ…仕方ないね。また話そうね、みんな。」
「ごめんないきなり呼び出して。」
「・・うん」 「・・えぇ」
そう返して車に乗り込む二人に続いて僕も乗り込もうとするが、大赦の人達に腕を捕まれてできなかった。
『・・あの、離してくれません?』
「申し訳ないのですが、その頼みは受け入れることはできません」
「え!?翔助君!」
「翔助君が何したって言うんですか!」
僕が捕まえられているのに気づいた二人が僕に駆け寄ろうとするが、他の大赦の人達が間に入り、足止めをくらっていた。
「このたび、翔助様は園子様や銀様と同じように入院することが正式に決まりました」
「に、入院!?」
「そんな、、何でですか、、?」
「実は翔助様は、身体の内臓や脳の動きが大体止まっており、なおかつ『身体の成長』が一切ないことと、『感覚神経の衰弱化』が見られたので前々から検討されていた入院の件が正式に決定されました」
「「え?」」
「……やっぱり無茶してたね。」
「予想を裏切らないよな……」
大赦さん達が告げた通り、以前話した僕の残り2つの散華は、『成長のストップ』と
『感覚の衰弱化』というものだ。
成長がストップしてるせいで、運動能力は前世よりも悪く、身長も1㎜たりとも伸びていない。感覚喪失に関しては名前の通りで
痛いなどの刺激はもちろん、暖かいや寒いなどにもとても鈍くなっている。
急なカミングアウトに固まっている二人に苦笑しながら謝罪する。
『ごめんね?こんなこと言ったりしたら、みんな慌てふためくだろうからさ、心配かけるわけにもいかないしね。』
「『心配をかける』?・・翔助君何で言ってくれなかったの?いつも私達に言ってくれたじゃない!」
「そうだよ!『悩んだら相談!』って言ってくれてたのに、、何で!?」
二人がそう僕に叫ぶ。
表情を見ると、涙目で話してくれなかったのを本気で悲しがっているのがわかる。
・・こんな優しい子達を泣かせるとはね
僕はなんて最低なやつなんだ。
二人と最後に謝りたい思いで、足をばたつかせて大赦さんの腕から逃れようとするが僕の力ではびくともせず、大赦さんは首をただ横にふっていた。
『そ、そのちゃん、ぎ、銀ちゃん。大赦さんに何とか言ってくれないかい?』
仕方なく、二人の力を借りようと要請する
が、二人は首を横にふった。
「ごめんね、にっしー。こうなった大赦さん達は私達でも言うこと聞いてくれないんよ。」
「アタシも同じだ。」
『そんな、、お願いですから、、ちょっとだけでいいんです!』
僕はそうしゃべりながら必死にもがくがやはりびくともしない。
くそ、ただでさえ身体能力が低いのに、散華も相まってますます無理だ。
どうしようか思考錯誤していると、鈍くなった感覚神経でかろうじてビリっとした感覚を感じとった後、意識が薄れていく。
『その、、ちゃん?……何で、、』
「ごめんね?にっしー」
最後にそんな声が聞こえたので、園子ちゃん達の表情を見ようとしたが、二人に抱きしめられていて見ることができなかった
前はほのぼの増し増しだったので、今回はシリアス増し増しです。
少し展開が急かもしれませんが悪しからず
暖かく見守ってくれるとありがたいです