少し話しがとびとびかもしれません。
あんまり長くすると、話しが長くなってしまいますので、、
『翔助ただいまもどりました。』
「お帰り~にっし~」
『ただいま。そのちゃん』
「あ!翔助君!聞いて、聞いて~」
『ん?どうしたんだい友奈ちゃん?』
外でのゴミ拾いボランティアを終え部室に戻ると、友奈ちゃんが嬉々とした表情で話しかけてきた。なんか良いことでもあったのだろうか?
「昨日私物を落としちゃってね。探してたらある人に拾ってもらったんだ」
『そのある人って誰だい?』
「その人は《国防仮面》って名乗ってたんだー!なんかね、憂国の戦士なんだって!
もう一回できたら会いたいな~♪」
『・・国防仮面さんね、、いい人に出会えて良かったね。』
「うん!」
『国防仮面』ね……絶対あの子だよな。
聞き覚えのある単語を聞き、園子ちゃんと銀ちゃんにチラリと視線を移すと、僕と同じように苦笑していた。
「あら、帰ってたのねみんな。」
「皆さんお疲れ様です。」
「あ!風先輩!樹ちゃん!こんにちは!」
「はいこんにちは。…ちょっとみんなに見てもらいたいものがあるんだけど、、」
「なんですか、フーミン先輩~?」
「ちょっと、これなんだけど、、」
そう言いながら持っていたパソコンを風先輩が見せてくる。そこには一つの動画が映っていた。
『国を守れと人が呼ぶ! 愛を守れと叫んでる! 憂国の戦士、国防仮面!ここに
見参!!』
うん、絶対あの子だね。
聞き覚えのある声を聞いて確信する
「国防仮面っていう、今ちまたで噂になってる謎のヒーローらしいんですけど…」
「再生すると、やけに聞き覚えのある声がすんのよね~…あと、この服の上からでも分かるメガロポリスに見覚えあるのだけれど、、?」
ジト目でそう言う風先輩に、苦笑で返す僕達三人……まぁ、気づくよね。
しかしまあ、なんでこんな事を……もしかして・・いや、もしかしなくてもそうだろうな。ならば、、
『風先輩の考えで合ってると思いますよ。
でも、本人には確認しないであげてくれませんか?できればみんなも。』
「え?なんでよ?」
『あはは、内緒です。言ってしまうと、彼女の誇りに関わりますので。』
「ん~まあ、翔助がそう言うならわかったわ。みんなもそれでいい?」
「翔助先輩がそう言うなら…」
「アタシもいいぜ~」
「いっつんとみのさんに同じく~」
「オッケー。しかし、何でこんな事するのかしらねー?東郷は?」
『さぁ?それについてはよくわからないですね。』
嘘だ。本当はわかってる。
・・あの子は本当に責任感強いな、困ったものだよ、本当にさ。
どうにかして説得できないかな、、
・・仕方ない……一芝居うちますか
少し暗くなってきた頃、ある公園で一人の金髪の男の子がベンチに座っていた。
すると、どこからか声が聞こえてきた。
「そこの少年!もう遅い時間だ!家に帰ってはどうかな?」
「・・・・」
しかし男の子は顔を俯かせたまま、国防仮面には振り向かない。
「何かあったのかい?困ったことがあるなら私に話してみたまえ!」
そう言って男の子の隣に座る国防仮面。
しかしまだ男の子は顔を上げない。
「・・大丈夫かい?遠慮はいらない。悩んだら相談だよ!」
男の子の肩に国防仮面が触れようとすると
それを男の子が右手で掴む。
『へぇー?じゃあ相談させてもらおうかな~?【国防仮面さん】?』
「・・え?そ、その声は」
『僕の友達の一人に、責任感が強い子がいるんですよ。その子が最近妙な事をしていて、どうしてなのかよく分からないんですよね……どうすればいいんですかね?』
話しながら男の子は左手で自分の髪をつかんで、下に引っ張る。
『国防仮面……もとい、美森ちゃん?』
「し、翔助君!?」
『やあ、美森ちゃん。一芝居うってみたけど、大成功だったよ』
金髪のかつらをとった男の子は、紛れもない翔助本人そのものだった。
『じゃあ説明してもらおうか、美森ちゃん?…といっても大体わかるけどね。まぁこれでも飲んで話そうぜ?…おしるこでいいかい?』
「ありがとう……わかるの?何でか」
自販機で自分の分と、美森ちゃんの分を買って渡しながらそう言うと、美森ちゃんが少し驚いたように訪ねてくる。
『昔から責任感の強い君のことだ、大方壁のことに負い目を感じているんだろ?』
「・・ええ、その通りよ。よくわかったわね翔助君」
『小6からの付き合いだろ?わかるさ、それぐらい。』
たぶん銀ちゃんも園子ちゃんも確証はないだろうが、わかっているはずだ。
「・・翔助君の言う通り、わたしが壁を壊したせいで、みんなに迷惑をかけてしまったでしょう?…だから少しでも償いをしたくて、、」
『だから国防仮面となって人助けをしているわけだ。』
僕の言葉に美森ちゃんは静かに頷く
なるほどねぇ~……実に良い子だよな美森ちゃんは本当に。
でもだからといって、、ねぇ?
『確かひったくり犯を捕まえたり、子猫を救うために高いところに登ったりしていたよね?美森ちゃん?』
「え、えぇ。そうだけど、、」
『まだ中学生で、なおかつ女性の君には危なすぎるぜ美森ちゃん?そこは少し納得できないなぁ?』
「その、、ごめんなさい」
まだうら若き乙女にそんなマンガに出てくるヒーローみたいなマネは危なすぎる。
そう思い、ほんの少しきつめに怒ると、美森ちゃんはシュンとして謝ってくる。
・・しょうがないなぁ~まったく。
「ん、、翔助君、、」
『わかればよし。君だって善意でやってただけなんだから、全然怒ってなんかいないよ…心配はしたけどね。』
いつぞやのように頭を撫でてあげる。
『それに前も言ったろ?黙っていた僕と大赦さんの責任だって。』
「・・・・」
『大丈夫。君は悪くないよ。とりあえず~リラックス、リラックス~』
段々美森ちゃんの力が抜けているのを感じていると、美森ちゃんが口を開く。
「……翔助君に頭を撫でられるのは恥ずかしいけど、、凄い落ち着くわね。」
『あはは、小さい頃そのちゃんにおねだりされてやりまくってたからね~。体が慣れちゃったのかな?』
「そのっちが撫でられているところ……凄い想像できるわね、、」
『何かネコみたいなんだよね、あの子』
「犬にも見えなくはないんじゃない?」
『それは銀ちゃんかな~』
「『……ふふっ』」
二人で親友の事を思い浮かべ、互いに顔を合わせ微笑み合う。
やっぱり美森ちゃんみたいな良い子には笑顔が似合うよ。
…美森ちゃんだけじゃない。勇者部みんなの悲しげな顔なんて見たくないよ
「ごめんなさいね、家まで送ってもらっちゃって。」
『家近いし、もともとトラップを仕掛けたのは僕だぜ?お礼なんて良いよ。』
家の中に入っていく美森ちゃんを見て、僕も家に帰ろうと踵を返そうとすると、美森ちゃんが振り返って僕に一言告げた。
「・・ありがとうね、翔助君。」
『ただいま~』
「あら、お帰りなさい。遅かったわね?何かあったのかしら?」
『いや?なんもないよ?散歩してたら友達に出会って、少し話し込んじゃっただけだからさ。』
「そう?」
『うん』
『あ、晩御飯は大丈夫だよ。外で友達との話しついでに食べてきたから。』
「あ、そうなの。じゃあ私は大赦としての書類作業があるから、何かあったら呼んでちょうだいね?」
『了解です』
朝倉さんとの会話の後、自分の部屋に入って、ベットに腰掛ける。
少し深呼吸をした後、言葉を紡ぐ。
『・・『ぬりかべ』、『八咫烏』。』
そう言うと、ちっちゃい壁に手足と目がついた精霊と、足が三本あるカラスの精霊が姿を現した。
新しく増えたメンバーである『ぬりかべ』と『八咫烏』を呼びだした理由は、
『八咫烏、もしこれから何かしらの能力を持った精霊が僕に何かしようとしても、その攻撃を受ける運命の道をぬりかべに置き換えてほしいんだ。』
説明をすると、『ぬりかべ』は名前のまんま壁で、どんな攻撃でも確実に『一度』は受けても耐えることができるのだ。
『八咫烏』は自分が受ける運命の道筋を知ることができ、なおかつその道を誰かに移したりできるのだ。
例を言うなら、数時間後に自分が転ぶと言う『運命の道』があるならば、それを誰かに移したりすることができ、そうすると自分は数時間後に転ぶ運命の道がなくなるため、自分は転ばず、移した誰かがその転ぶ道を辿り、数時間後代わりに転ぶ。というわけである。
説明が難しいので簡単に言うと、自分の嫌な未来を誰かに擦り付けることができるというわけだ。
しかし一度使うと、しばらくの間眠りにつくため、使い所は限られるだろう。
……元々八咫烏の能力はあまり好きじゃないので、あまり使う気はないけどね。
移し先をぬりかべにした理由は、どんな能力だろうと、一度は絶対耐えてくれるので安心して任せられるからだ。
《・・しゅじん、なんでそんなことを?》
『・・あぁ。困った友人が何か細工をしても大丈夫なように、、ね。』
《・・さいく、、?》
『確実にはわからないよ?……でも、美森ちゃんの振り返り様に言ったあの一言を聞いた時にさ、、』
『凄い嫌な予感がしたんだ』
『彼女がまた無茶をするような、そんなため息をついてしまうような嫌な予感がね。』
とんだ部分の話しなどは、番外編にて書いたりしていきたいなと思っています。
精霊の説明が長くなりました。
駄文ゆえ、ちょっと複雑かもしれませんが、文中でも言った通り内容は、安定の防御力と擦り付けです。