最弱先輩に憧れて   作:@深夜

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こんばんは、深夜です。

バレンタインの夜中に投稿いたします。
……一人で寂しく。


・・悲しいなぁ~


その弐拾九

安芸先生から端末を受け取った僕達は、屋上で変身を行ったのち、壁の向こうへ向かって走って移動すると、勇者の身体能力の高さゆえにすぐ到着した。

 

7人で結界を抜けて、外の世界へと出る

 

 

『相変わらずここだけ現世と分けられた地獄みたいだよな~』

 

「マジでそう見えるからやめてくれよ翔助、、」

 

「にっしーはいつも通りなんよ~」

 

『みんなが険しすぎるんだよ』

『さっさと美森ちゃん救って帰るだけなんだからさ』

『頭柔らかくしていこうぜ?』

 

「ええ、そうね。あまり難しく考えても仕方ないわよね。みんな!頭を柔らかくしていくわよ!」

 

「そうだね、お姉ちゃん!」

 

「あんたはもともと柔らかいでしょ?風」

 

「やかましいわよ!にぼっしー!」

 

「にぼっしー言うな!」

 

うんうん、みんな肩の力が抜けたみたいだな。良かった、良かった。

変に力が入ってしまうと逆に何にもうまくいかなくなっちゃうからね。

 

「あ!レーダーに反応があったぞ!」

 

「え?銀ちゃん本当?」

 

「本当だ、わっしーはレーダーの方向からしてあっち、、」

 

「・・何、あれ?」

 

風先輩がそう言うのも無理はないだろう。

美森ちゃんがいるという反応を示している方向を見ると、、そこにはブラックホールのような真っ黒な球体があった。

 

……うわ、しかも射手座や水瓶座みたいなバーテックスや白いのもいるよ。

 

『あっちにとって、儀式の邪魔はされたくないみたいですね。』

 

「らしいわね、、」

 

「っ!……どうやら来るみたいよ!」

 

夏凜ちゃんがそう言って指さすと、白いバーテックスがこちらに突っ込んできているのが確かに見えた。

 

『そうはいくかよ』

『おいで、ぬりかべ』

 

《ぬ~り~か~べ~!》

 

その攻撃を黙って受けるわけにもいかないので、ぬりかべを呼び出して防ぐ。

 

「ナイスなんよ、にっしー!」

 

「そおい!」

 

防いだ後は先代の二人が仕留める。

やっぱり満開を複数回しているだけあってか、ブランクがあっても動けてるな。

 

「ナイスよ三人共!さすが先代組ね」

 

「えへへ~」

 

「それほどでもないっすよ」

 

『でも応戦だけしててもしょうがないですよ。どうします?』

 

「そうなんですよね、、」

 

満開すれば浮遊能力がつき、行けることには行けるのだが、満開システムのバージョンアップにより、代償がなくなったかわりにバリアがなくなり、安全面が下がってしまっているためうかつにはできない。

 

「なら~私の満開ならあそこまで比較的安全に行けるよ~?」

 

「園子ちゃんの満開が安全?」

 

『・・あぁ、そういえばそのちゃんの満開ならちょうどいいかもね』

 

「でしょ~?じゃあ行くよ、【満開】」

 

そう園子ちゃんが言うと、たちまち満開の衣装に着替え、巨大な船に乗った彼女になった。

 

「よーし、みんなー。わっしー行きの船に乗ってあそこまで行こう~!」

 

「・・満開に躊躇ないわね~」

 

「アタシらはもともとバリアありませんでしたからねー」

 

『慣れっこだよな~』

 

そう言いながら、みんなで園子ちゃんの船に乗って美森ちゃんのもとへ行こうとしたのだが、バーテックスが邪魔で倒しながらだと間に合わないということになった。

なら、あの子に任せるしかないよね

 

『友奈ちゃん、お願いできるかい?』

 

「え?……私でいいの?」

 

『自分から行こうとしていた癖に何言ってるんだい?』

『僕も行きたいところだけど、バーテックスの方を無視はできないからね。』

 

「翔助君……うん!必ず東郷さんを連れて

二人で戻ってくるよ!」

 

「そうね。友奈が一番適任よねこれは」

 

「友奈さんなら信頼できます!」

 

「友奈、任せたわよ!」

 

 

「みんな、、任せて!!」

 

うん、この様子なら大丈夫そうかな?

……まあ、一応渡そうか。

 

『友奈ちゃん、これを受け取ってくれないかな?』

 

「……これは、、ネジ?」

 

『お守りみたいなもの。何かあったら、それで僕のことを思いだしてくれよ』

 

『君は一人じゃないんだからさ。』

 

「……ありがとう!勇者部所属、結城友奈。行ってきます!」

 

 

 

 

 

 

 

『さて、そろそろ頃合いかな?』

 

ブラックホールに入っていった友奈ちゃんを見送って少しの間、バーテックスを殲滅し続けていた。

 

そろそろ終わる頃だろう。

そう口に出しながら白いバーテックスを殲滅していると、鏡とブラックホールが砕けちり、消滅した。

 

『あらら、、一反木綿、救助を頼むよ』

 

砕けちったブラックホールから、意識を失った二人が落下していたので一反木綿を救助に向かわせて、二人をキャッチした後に園子ちゃんの船に優しく乗せてあげる。

 

「ナイス翔助!みんな、さっさと帰るわよー!」

 

「了解なんよ~フーミン先輩ー!」

 

二人が船に乗ったのを確認したのち、風先輩が帰還命令を出して、園子ちゃんは船を結界の中へと動かそうとするが、

 

「っ!……でかいバーテックスが三体もいるんよ、、」

 

「ちっ。ただでは帰してくれないか、、」

 

三体の大型バーテックスが邪魔をして、船を露骨に動けなくなっていた。

壁破壊の時よりは大きくないが、それでも大きめなため、倒すのにはどうしても時間がかかるだろう。

 

 

・・仕方ない。ここは、、

 

 

 

『僕が囮になるよ。』

 

 

「翔助!?あんた何言ってるかわかって、」

 

『わかってるよ夏凜ちゃん。でも、誰かがやらないと、みんな帰れないだろ?』

 

「・・・・」

 

『女の子の友奈ちゃんが頑張ったんだぜ?男の子の僕は黙っているだけなんて、僕の男としてのプライドが許さんぜ?』

 

「・・翔助、、大丈夫なのよね?任せていいのよね?」

 

「先輩、、」

 

「にっしー、、」

 

「翔助、、」

 

不安そうな表情でみんながこちらを見てくるので、苦笑しながらなだめる。

別にそんな心配しなくても、、

 

『あはは、大丈夫だよ。倒すんじゃない、囮になって時間稼ぎをするだけなんだからさ。』

 

『みんなが逃げた後、僕もちゃんと隙を見て逃げるから大丈夫ですよ。』

 

「・・なら、お願いするわね。」

 

 

風先輩の言葉を聞き、声を出す。

 

 

 

『【満開】』

 

 

 

満開した後、大型バーテックスに向かって

とんでいき、注意をこちらに向けさせて、結界と真逆のところに逃げる。

 

『今のうちですよ!』

 

「・・生きて帰って来なさいよ、翔助」

 

『大丈夫だよ夏凜ちゃん。必ず戻るよ、だから安心して待っててくれよ?』

 

夏凜ちゃんとそんな言葉を交わした後、園子ちゃん達の船が結界へと動きだしたのを確認し、目の前の大型バーテックス三体に目を向ける。

 

『おいおい~学ばないなぁ君たちは。』

 

『足元注意だぜ?』

 

三体のうち一体を地面に仕掛けた大きなネジで貫き、動きを封じる。

その光景を眺めながらバーテックスに向かってしゃべる。

 

 

『確かに身体能力は自他共に認めるぐらい低いけど、、』

 

 

 

 

 

 

『ルールのない戦いなら、得意だぜ。』

 

 

 

 

 

――彼がそう言った後、たくさんのネジが宙を舞った――

 

 

 

 

 




いかがでしょうか?

面白いと思っていただけたらうれしいです

何か番外編などのリクエストがあったら気軽に言っていただけると、番外も書きやすいです。

バレンタイン編は諸事情により明日に投稿いたします。

では、また。

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