最弱先輩に憧れて   作:@深夜

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とりあえず今日はホワイトデーということで、番外を書かせていただきました。
ちなみに会話文多めです

どうぞ。


ホワイトデー!

ある日の夜ーーーー

 

『もう明日は土曜日か~』

『時間は本当にすぐ過ぎるよな』

『勇者部の活動していると特に』

 

学校から帰ってきて、宿題や明日の持ち物を整理した後、ベットへ横になってそんな事をぼやく。

楽しいことをしていると時の流れが早く感じると言うが、本当にその通りだと思う

 

『・・前世じゃ、夢にも思わなかったな。こんなに楽しい人生を送れるなんて』

 

ベット横に置いてある勇者部の集合写真が目に入り、もう何度目かわからないその言葉を漏らす。僕に相応しくない、って思っちゃうんだよなぁこの生活が

 

勇者部の子達はみんな可愛い。

…男の僕がそんなこと言うと気持ち悪いと思うが、それは確かな事実だ。

 

その証拠に僕は勇者部の活動以外でも人の悩みや相談事などを聞いているのだが、先輩や後輩の子達からくるのが、

 

「結城先輩の好きなタイプの男性を教えてください!翔助先輩!」

 

だとか、

 

「乃木って誰か付き合ってる人いる?」

 

といった勇者部部員関連の恋色がついた相談や質問が多数くる…青春だよな~。

ちなみにそれらには、僕が知っている事があったらその場で教えたり、わからない事に関しては代わりに本人へと聞いてあげたりして、僕なりに全力で恋の手助けをしてあげている。

 

僕が少しでも少年少女の恋を実らせることができればいいなと思って。

 

…彼女達と一緒にいるだけで憎悪の目線を向けてくるクラスの男の子達は勘弁願いたいけどね、、園子ちゃんが僕に抱きついてくる時なんか、目力だけでバーテックス殺せそうだったからなぁ。

 

自分が苦い笑みを浮かべているを理解しつつ、寝るにはまだまだ早いのでスマホを開いて、時間を潰そうと電源を入れて出てきた日付に何かを感じた。

『3月14日……何かあったような…』

『それも大事な事だった気がするんだけど、、カレンダー見てみるか』

 

妙な物を感じたのでカレンダーを見てみると、『ホワイトデー』と書いてあった

 

『・・そうだ、そういえば明日はホワイトデーという大事な日じゃん!』

『前世で無縁な物だったから、、すっかり忘れてたよ!早く作らないと!』

『すみません!朝倉さーん!明日のホワイトデーのためのチョコ作り、教えてもらえませんかー!?』

 

その日の夜はチョコ作りでとても慌ただしかった。明日は風先輩が12時から神社にて落ち葉掃除を行うと言っていたので、そのタイミングで渡そう。

 

 

……朝倉さん、突然すみませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日ーーーーーーー

 

 

「ふー…やっときれいになったわね」

 

「風先輩!私達の所も終わりました!」

 

「アタシ達先代組の所も終わりましたー」

 

「完璧なんよ~」

 

やっと神社の落ち葉を掃除し終わった。

先代組と現代組で分かれてやったため、案外時間はかからずに終えることができた

よし、これならチョコを渡す時間もちゃんと作れそうだな。

 

「よし!じゃあ、みんなでうどんを食べに行って、今日は終わりにしましょう!」

 

『ちょっと待ってください風先輩』

『みんなも少し時間をくれないかな』

 

「どうしたのよ翔助?」

 

「私は大丈夫だよ翔助君!」

 

「・・なるほど~そういえば今日だったね~?みのさん」

 

「・・ああ、そうだな園子」

 

『あはは』

『そのちゃんと銀ちゃんの想像通り』

『はい。バレンタインデーのお返しだよ、今日はホワイトデーだからね』

 

うどんを食べに急いで行こうとする風先輩を引き止めて、勇者部のみんなに一人ずつ順番にチョコを渡していく。

もちろん何も言わずに渡したりなんかせずに、バレンタインデーの時の感謝を伝えてから渡すことを忘れない。

 

「わぁ~。ありがとう翔助君!」

 

「ああ……すっかり忘れてたわ。今日ホワイトデーだったのね、ありがとう」

 

『いえいえ、どういたしまして』

 

そう言ってくれるとありがたいな。

多分味も問題無いと思う…一応味見も済ませてあるからね。

 

「翔助…これ手作り?」

 

『ん?そうだけど?』

 

「え?全員分ですか?」

 

『もちろんだけど?』

 

「よく作ったわよね……別に、嬉しくないわけじゃないけど…」

 

「少し申し訳ない気持ちになります……嬉しいですけど…」

 

『?』

 

夏凛ちゃんと樹ちゃんにそう聞かれたので事実をそう話すと、なぜか苦い顔をしてぶつぶつ二人共話し始めてしまった。

何か気にいらない事があったのかな……だとしたら申し訳ないことしちゃったな。

 

「ありがとう、翔助君」

 

『ん…大丈夫だよ、いつもおいしいぼた餅とか作ってもらってるからね。こちらこそいつもありがとう』

 

「ふふ、喜んでもらえてるならうれしいわ。ならこれからも作ってくるわね」

 

『それはうれしいね・・たぶん僕よりも、友奈ちゃんの方が喜ぶと思うけど…』

 

「・・園子、アタシやっぱり恥ずかしいからパス…後は任せた」

 

「ラジャー!……ねぇ~にっしー」

 

美森ちゃんと談笑していると、いつの間にか隣に来ていた園子ちゃんが僕の服の袖を引っ張っていた。

 

『ん?どうしたんだいそのちゃん?』

 

「にっしーに作ってもらったチョコを…にっしーに食べさせてもらいたいんよ~」

 

「な!?そ、そのっち!?それは…」

 

『まったく、しょうがないなぁ…』

 

「いいの!?翔助君!?」

 

『今に始まった事じゃないだろう?美森ちゃんはまだ慣れないのかい?』

 

「いや、確かにそうだけど……」

 

まだ慣れない美森ちゃんに苦笑しながらもそう話す。…できれば園子ちゃんは僕に人前で抱きついたりしてこないで欲しいんだけどね、それに少しぐらいは男の僕に警戒心を持って欲しい。

 

…たぶん僕の事は、仲のいい友達ぐらいにしか見てないんだろうな~園子ちゃんは

 

そんなことを考えつつ、園子ちゃんに渡そうとしたチョコを彼女の口元へと運ぶ

 

『はい、あーん』

 

「あーん。……うん、とっても美味しいんよ~♪」

 

『そうかい?…っと、口に少しチョコが付いちゃってるよそのちゃん』

 

「えー?どこどこ~?」

 

『動かないで。今拭いてあげるよ』

 

「ありがとう~」

 

 

 

ささっとポケットに入れていたティッシュに手を伸ばそうとした時、あることを思いついた。

 

 

 

 

・・そうだ、せっかくだから園子ちゃんに少し警戒心を持たせてあげよう。

 

 

 

その方法はとっても簡単…少し彼女に『イタズラ』をするだけさ。

しかし、簡単とはいえ、そのイタズラはやる僕自身も恥ずかしいのだが…園子ちゃんに警戒心を少しでも持ってもらうためだ、僕も腹を括ろう

 

善(?)は急げと言うので、さっそく実行へと移す。……といっても、今からやることはそこまで難しいことじゃない。

 

 

 

『よっと失礼……あむ。うん、朝倉さんの助力があったせいか、おいしいな』

 

 

「・・ふぇ?」

 

 

 

園子ちゃんの口回りにちょこっとついたチョコを指でなぞり取り、それを自分の口元へと運び……食べる。

僕がやった行動は例を出すなら、できたての熱々カップルが公園のベンチとかでよくやっているような恥ずかしい物だ。

 

自分の頬に少し熱がともっているのを感じるが、その代わり園子ちゃんの呆けた顔を見るに、イタズラは成功した模様だ。

これで少しは男の僕に対して警戒心を持ってくれるといいんだけど……ん?

 

少し一人ちょっとした達成感に浸っていると、何か周りからの視線を感じたので周囲を見渡す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「・・・・」」」」」」

 

 

「・・にっしーが私に……ふぁ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・』

 

 

 

あ、、みんながいること忘れてた。

 

 

 

 

 

 

その後みんなそれぞれ一人ずつ、園子ちゃんと同じことをした。

 

 

そして今回の事をきっかけに、以前よりも園子ちゃんが以前よりも抱きついてきたりする回数が増え、距離もよりいっそう近くなった。……黒歴史を作ってまでもやったのに、効果はなかった、、むしろ増えたから、逆効果だったと言えるかもね……

 

 

 

『ああすれば、園子ちゃんも少しは警戒してくれるかなと思ったんだけど……』

『それは甘い考えだったみたいだね』

 

 

 

『そう・・チョコだけにね』

 

 

 

【ホワイト】デーなのに、

【ブラック】な歴史記録ができました。

 

 




ギリギリに投稿できました。

今回は少しギャグ多め、シリアス少なめのギャグ風味強めになっておりますので、楽しんで見ていただけたならうれしいです

・・少々本文中に寒い表現があったかもしれませんが、皆さまの寛大な心でお見逃しください。


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