これが「最弱先輩に憧れて」の本当の最新話です、どうぞ。
「はぁ…神をも殺せる能力ですか……にわかには信じられませんね」
世界を覆せる?神を殺められる?
いきなりそんな事言われてもアニメじゃあるまいし、、僕には理解しかねるよ。
「悪いがこれは冗談でも嘘でもない。全て本当の事なんだ少年…いや、、翔助君」
「・・わかりました。でも具体的にどんな能力なんです?それって一体?」
「・・端的にあれを現すなら『厄災』か、もしくはそれ以上かもしれんな」
「厄災ですか……」
「お主に渡した【大嘘憑き】と能力的には結構似ている部分が多かったりするのだが……君の能力の方が凶悪だ、確実に」
【大嘘憑きと似ている】…?
ということは何かを『なかったこと』にする能力なのかな?
しかし神様が言った、僕の能力の方が凶悪と言っていたのが気になる。
何を根拠に凶悪だと言えるのだろう?
「君の能力の方が凶悪だってわかる理由ならある…論より証拠だ、前みたいに【大嘘憑き】を使ってみてくれ」
そう言い神様が懐から一本の大きいネジを取り出し、僕に手渡してきたので、それを渋々受け取って地面に刺す。
「わかりました…【大嘘憑き】この空間の光をなかったことにした」
光がなくなれば当然真っ暗で何も見えなくなる……はずなのだが。
「……あれ?まったく暗くならないぞ?さっきまでとまるで変わらないし…」
『光』は確実に現実(リアル)の事象の筈なので、大嘘憑きでなかったことにできる対象内なのだけど……
「どうだ?失敗しただろう?」
「・・はい。大嘘憑きでなかったことにできない事ではない筈なんですけど…今まで不発なんて事もありませんでしたし…」
「失敗するのは当たり前だ、なぜならもう君に……『大嘘憑きなんて能力は無いんだからさ』」
「・・え?」
『大嘘憑き』がない?
ついさっきまで何回も使っていたのに?
全身を血塗れにしてまでもバーテックスとの戦いに使い続けていたのに?
「あぁ、確かにここへ来るまでは持ってたよ君は。それは事実だ」
「なら、なんで……」
「・・君の能力に喰われたんだよ。吸収されたって言ってもいい」
・・吸収?能力が、別の能力に?
「それほどヤバいってことだよ能力がね。君の能力は……あらゆる物事や物質、事象や思念など色々をこの世から除外できる…それが例え仮想だろうと何であろうと」
「それなら大嘘憑きと大して変わらないんじゃあないんですか?」
確かに仮想も対象内なのが前とは違うので十分危ないけれど、それだけならまだギリギリ大丈夫だと思うんだけどな。
「・・本題はそこじゃない」
「・・というと?」
「……わしもまだ良く原因はわかってないのだが、、君の能力にどんな干渉をしても無意味に終わってしまうんだ」
「無意味?」
「最初の眩しい光あっただろう?あれは浴びた人物の能力や才能を強制的に消せるという物なのだが、まるで効いてなかったんだ。今までそんなことなかったのに…」
「それ以外にも色々試した。弱体化を図ったり、君自身に神の加護をつけてみたり、色々とやった…でも全部無意味に終わってしまったんだ、、神としての力を存分にふるったのにも関わらずだ」
なるほどね…確かに不思議な事だけど、何でそこまでして消そうとするんだ?
「・・確かに今のところはこれと言った悪い効果は無い。だが……いかんせんわからないことが多すぎる…これでもわしは神の中では偉い方なんだぞ?」
…神様に同情されるだけじゃなく、心配までされるなんてね。うれしくはあるけど、申し訳なさの方が勝ってしまうな。
「大丈夫ですよ、神様」
「翔助…?」
「確かに良くわからない上に強力だから危ないってのはあります…でもちゃんと注意していれば大丈夫ですよ」
「・・本当にすまん。それに君はあの人物に憧れていたのだろう?それなのにわしはその能力をあげることができなかったばかりか、僅かな幸運もさえも……まったく、何が神だよ「そんなこと言わないでくださいよ、神様」…何だと?」
神様がぶつぶつと小さく呟いていたのを僅かに聞きとり、すかさずストップさせる
「神様が二度目の人生をくれたおかげで、生まれて始めて、生きていて楽しいって思えたんですよ?僕。」
「しかし、結局苦労を…」
「いいんですよそれぐらい。むしろ人生なんて苦労してなんぼなんですから、僕にとっては丁度良いくらいですよ」
「・・君の憧れを叶えられなかったことに関してはせめて謝らせてくれ。…本当に申し訳ない。」
憧れ……ね。
確かに憧れてはいたさ。周りが主人公みたいなヒーローに憧れているように、僕にとってあの人は弱い者の『ヒーロー』だったからね。
でも―
「・・気になさらないでください。別にどうも思ってませんよ、そんなこと」
「だが!」
「いいんですよ、だってあの人と僕は違いますからね。それに……」
「届かないからこそ憧れるんですよ」
どれだけ手を伸ばしても、どれだけ自分を着飾っても、届かないからこそ人は物事、さしては人物に憧れるんだと僕は思う。
だってそうだろ?
簡単に手が届くような人物に憧れるなんてことがある人、そうそういない。
「さぁ、時間が惜しいです。そろそろ元の世界に戻らせてくれませんか?」
「・・あぁ、わかった。今戻そう」
そう神様が言い、持っている杖を一振りすると、空間中が光に包まれる。
「・・がんばれ、西村翔助よ。わしは遠くから見守っているからな」
そんな声が聞こえたからか、
今度の光はやけに暖かかった。
「・・ん、戻ってきたのか」
元の世界に戻ってきたらしく、周りを見渡すと相変わらず火に満ち溢れた、まさに地獄のような風景が広がっていた。
「おや?あの人影は……って、何だあの黒いモヤモヤと樹木の根みたいなのは」
見慣れた人影とひきかえ、黒いモヤモヤと大きな樹木+根というわけワカメな状況に若干困惑しながらも、歩み始める。
しかし近づくにつれて、モヤと樹木がぶつかり合った時に発生した風の勢いが強く、進みづらいくなっていた。
「どうしようか、、『大嘘憑き』は使えなくなってるし…僕の能力はどうやって使うんだろうか?」
そう言えばどのように発動させればいいのか聞いていなかったので、どうすればいいのかまったくわからない。
「あーもう。この風『邪魔』だなー」
進めない原因についてぽつりと愚痴っていると、変化はいきなり起こった。
「ん?あれ?風止ん…ではないよね?だって樹木の上に生えている草は、今にも飛んで行きそうなくらい激しく風になびいてるもんな。」
唐突に風の吹き飛ばしによる進行妨害がなくなったので、周りをチラチラと見て分析するも、風が止んだわけではないらしい
それを踏まえて自分の現在の状態についてよく見てみる。
風圧がまったくなく、なんなら着ている服すらもまったく風になびく様子がない。
「・・『邪魔』って言葉に反応したのか?もしかして?」
僕が風に対して難を示したから、自動で能力が発動したのかな?
前は直接触れたり、ネジを刺したりしないと発動できなかったので、確かに能力としては強いのを実感する。
「でも使いにくいなぁ…僕が使おうと発動したんじゃなくて、良くわからないで勝手に作動してるからな……」
たぶんまだ僕にこの能力が馴染んでいないのだと思う。なんせ使えないわけじゃないんだから。
「不安要素はあるけど、、そんな事後で考えればいいよな…」
風圧がなくなったことによって快適に歩みを進めることができ、複数の人影のところまでたどり着いた。
僕の足音に気づいたのか、その人影のうち一人がこちらを振り向いて驚いたような顔を浮かべ声を上げる。
「・・翔助君?」
「やぁ、久しぶりだね。美森ちゃん」
懐かしい顔だ、本当に
はい、書くのに時間がかかりました。
主人公の能力にはまだ謎がありますが、作者の中ではすでに大体の内容は決まってます……それをどのようにして書き表して伝える文をただいま考え中です。
音楽を聞きながら書くと、テンションが変に上がって良くわからない文になることが
多々あるんですよね……内容伝わりましたかね?