最弱先輩に憧れて   作:@深夜

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最近投稿が遅くなりがちだったので、少し早めに投稿しました。


とりあえず、どうぞ。


その10

 

「・・ぁ?あ、あれ?ここは…」

 

意識を取り戻したと思ったら、さっきまでと違い、どこかの一般住宅のような光景が周囲を見渡しても目に入った。

 

 

・・まず生きていたこと自体不思議な事だけど、ここは一体どこなんだ?神様に呼び出されたにしては質素すぎるし……

 

疑問点が多すぎるので、そのように一人深く考え込んでいると、自分の体にある違和感を感じた。

 

「えっ…これは……」

 

さっきまであった、体全体に広がった傷がなぜか一つも見当たらず、ずっと感じていた鋭い痛みもまったく感じない。

それだけなら意識を失っていた間に能力が勝手に作動していたのだと説明はつくのだが、もう一つ大きな異変があった。

 

 

 

「体が縮んでる…?」

 

 

もとから満開の代償で成長を奪われていたせいで小さかったが、視点が前より低くなっていて、前よりさらに縮んでいるような気がする。

 

それに、なぜかさっきまで確かに中学校の制服を着ていたはずなのに、いつの間にか少しボロついた服に変わっていた。服のタグを見ると、Sと書いてあった。

いくら僕でもSサイズの服は少し小さくて入らないため、縮んでいると考えは間違ってなさそうだ。

 

 

「・・でも……やけに既視感があるんだよなぁ、この服」

 

 

少々不気味だが、、今はありがたい。

自由に動けるのなら少し探索をしてみようか…さっきからまだよく分からない事が多すぎるからね。

いつまでもこうしていては時間が勿体ないため、思考を切り替えつつ、体を起こして取り付けられているドアに手を掛ける。

 

 

「うわぁ、、ひどいな…ボロボロだ」

 

ドアを開いた先にはボロボロの居間らしき物が僕の目に入り、あまりの酷さに思わずそう呟いてしまう。

 

床や壁、天井は切り傷や殴られた痕が大量に見受けられ窓はほとんどひびが入っている。それに加えて床に散乱している大量の酒瓶や粉々の壺。

一般的に見て、すでに地獄絵図というにふさわしい光景だが、百歩譲ってそこはまだ良しとしよう。しかし、所々についてある血痕にはさすがの僕も許容できない。

 

嗅覚を研ぎ澄ましてを嗅いでみると、少し血生臭いので、トマトケチャップを至るところにこぼしてしまったドジな家庭、という僕の淡い期待は崩されたよ…

にしても何があったんだよこの家は?何か事件でもあったのか?

 

疑問は尽きない。だけど…

 

 

「やっぱり既視感あるんだよな……壁・床・天井の傷といい、酒瓶や血痕も…なんなんだろう?」

 

 

そう呟きながら居間らしき部屋の奥にある襖を見つけたので、壺の破片を踏まないよう注意しながら襖へと向かい、やっとたどり着いたので襖に手を掛けて開く。

 

「うん…思ってた通りのボロボロ具合だ。廊下端から端まで全部傷だらけだ」

 

大体予想はできていたが、さすがのボロボロ具合に苦笑がこぼれる。

しかし…ボロボロなのもあいまってか、やけに小さく感じるな、この家。

 

今更家についての思いを浮かべながら、再び周囲を注意深く見渡していると、玄関にある一つの小さめな靴に気がついた。

大きさからして、小学生でなおかつ低学年ぐらいの子だろう。青くて、黄色い稲妻の模様が入った靴だ。

 

他に玄関にはこれといった物はなく、他の部屋に移動しようと足を動かそうとする

 

 

しかし僕の中で、何かが引っ掛かる。

 

 

 

「青色で黄色い稲妻…どこかで…?」

 

 

ふとあの靴が気になり、踵を返して玄関へと戻り、小さな靴を手に取って眺める

やっぱり強い既視感を感じるな…

 

その既視感の理由を突き止めるべく、色々な角度から靴を見たりして調べると、靴の中にある小さな文字に気がついた。

 

 

 

あぁ・・なるほど。やけに既視感を感じると思ったら、、

 

 

 

片方ずつの靴の中に書いてある『にしむら』、『しょうすけ』という文字を見て、今までなぜ既視感を感じたのか、完全に理解した。

 

 

「・・懐かしいな、、まさかここが前世で僕が両親と暮らしていた家とは…」

 

 

そうなると天井や壁、床の傷も、散乱していた酒瓶も、血痕も、全て説明がつく。

靴がまだそんなに汚れていない所から見るに、まだ僕が二年生ぐらいの頃の家っぽいかな。

低学年の時はまだ痛みに慣れてなかった頃だったから…床とかについている傷は、僕が悶え苦しんで暴れた時の………

 

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

《痛い!!やめて……おとうさん…》

 

《うるさい!!会社でまた上司に嫌みを言われたんだ…飯を食わせてやってるんだから、お前は黙ってストレスの捌け口になってればいいんだよ!!》

 

《ううっ……おかあさん…》

 

《・・気安く呼ばないで欲しいわ…本当はあなたを産む気なんて私達はなかったのよ?私達への恩返しだと思って、それぐらい我慢しなさいよ》

 

《そんな…!やだよ!もう痛いのは…》

 

《うるさいわね……お父さん!この子にはまだ痛い思いが必要みたいよー?》

 

《そうだな~。よーし、こっち来い翔助!居間に連れて本格的にやってやるよ》

 

《や、やだ…やめて!!離して!!》

 

《楽しんでらっしゃい?翔助ちゃん♪》

 

《助けて!…誰か…お願いします…》

 

 

 

 

《・・神…様……》

 

 

 

 

 

「・・嫌な事思い出しちゃったな…」

 

 

殴られるだけじゃなく、根性焼きもいくつかされてたから、しばらくの間火をまともに見れなくなっちゃってたっけ……

昔の思い出を振りかえる。

 

ある程度探索して、ここが懐かしき我が家ということはわかったけど……何で僕はここにいるんだ?しかも、わざわざ小学生時代の頃にタイムスリップまでして。

 

頭をひねって考えるが、何一つとして心当たりが無いため、明確な答えはでない。

そんな自分にため息をつきつつ、持っていた靴を玄関に置くと、そういえばまだ探索していなかった部屋があることを思いだした。

 

「僕の部屋、まだだったな」

 

『僕の部屋』といっても、そんな綺麗な物じゃない。刑務所の囚人室みたいなイメージが一番しっくりくるくらいの物だ。

 

自虐的な笑みを浮かべながら、昔の自分の部屋へと歩みを進め、部屋のドアへと手を伸ばして、ゆっくりとドアノブを回して中へと入る。

 

 

 

すると、思わず自分の目を疑ってしまう様な、信じられない光景が目に飛び込んできた。

 

 

 

 

 

「やぁ…待ってたよ、、【僕】」

 

 

 

 

前世の中学校の制服を身にまとった【僕】が、穏やかな笑みを浮かべて勉強机の椅子に座っていた。

 

 




そろそろ終わりが近づいて来ました。

今回の話を読んでみてどうだったか、ぜひご感想をいただければ幸いです。
深夜テンションで書きましたので、誤字等もありそうで少し怖いです…

続きの話の内容も作者の中でおよそ決まってますので、次回の投稿も早めにできそうです。

では、また。

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