とある魔術のボンゴレX世   作:メンマ46号

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サブタイでバレバレ。


電撃姫来る!

 ツナはインデックスを追う傍ら、家光から貰った携帯電話を使い、連絡を取ろうとする。相手は勿論家庭教師(かてきょー)であるリボーンだ。あの匣兵器を開いた時も一緒にいたリボーンならば既に自分を捜索してくれているはずだ。

 

 しかし何度かけ直しても繋がらない。ならば他の誰かに頼ろうと考えて携帯電話に登録してある知り合いに片っ端から電話をかける。

 獄寺隼人、繋がらない。山本武、繋がらない。笹川了平、繋がらない。ディーノ、繋がらない。入江正一、繋がらない。古里炎真、繋がらない。家や母である奈々の携帯にも電話をしてみたが繋がらない。

 

 苦肉の策としてあまり連絡したくは無かったが、父親の家光に電話してみる。しかしやはり繋がらなかった。ここまで来れば誰に連絡を取ろうとしても繋がらないだろう。

 

(雲雀さんとかなら風紀委員会の良く分からない情報網とかで連絡出来そうだけど、その雲雀さんの電話番号とか俺知らないんだよなぁ……)

 

 ツナの雲の守護者である雲雀恭弥の連絡先はツナの携帯電話には登録されていない。そもそも群れるのが嫌いなあの男がツナ達に連絡先など教えてはくれないだろう。風紀委員以外で知っているとすればそれこそやはりリボーンやディーノくらいだろう。

 結局インデックスも見失い、誰とも連絡が取れない。客観的にもツナは詰んでいた。

 

 そもそもなんなのだこの学園都市とやらは。いくらツナが社会情報に疎いと言ってもそんな大々的に人工的な超能力を開発している都市など聞いた事が無い。そんなものがあればリボーンが何かしらの形でツナの耳に入れているだろうし、確実に「ツナを立派なボンゴレ10代目にする」という名目の元、一悶着起こすだろう。

 

 周りを見てみれば制服を着用した学生ばかりで大人が殆ど見当たらない。上条から人口の八割が学生だとは聞いていたが、やはり何処か寂しい光景に思えた。

 

(暑い…。………暑い?)

 

 強い日差しと蒸し返る熱気の中、ツナはこの気候に違和感を覚える。そもそも今の季節は秋ではないか?夏休みが終わった後、六道骸が起こした黒曜中とのトラブルやヴァリアーとのボンゴレリング争奪戦、未来でのミルフィオーレファミリーとの戦い、継承式とシモンファミリーとの一件を経て、虹の代理戦争が起きた。

 

 中々濃い中学生活を送っているが、これらの出来事は僅か4ヶ月にも満たない。代理戦争が終わってもうすぐ冬が訪れようとしていた矢先に学園都市に来たらまるで夏のような気候になっている。

 

 それに自分があの匣兵器を開いたのは学校から帰った放課後。そして上条当麻の部屋のベランダに干されていたのは朝だった。

 

(飛ばされてからずっと寝てた…?でもそんな感じ全然しないし、昨日の夕方からベランダにいたなら上条さんだってもっと早く気付くよな……?)

 

 今自分に起きている事と自分の認識に何か大きなズレがある。それも致命的なまでの。似たような時間のズレには覚えがある。白蘭の一件で10年バズーカで未来に行けばそこは正確には10年後ではなく、9年と10ヶ月程後の未来だった。

 アレはあの時代の(トゥリニセッテ)…中でも縦の時空軸を司るボンゴレリングが既に破棄されていた事に加え、アルコバレーノ達が死んでいた事による(トゥリニセッテ)のパワーバランス崩壊が原因だった。

 嫌な思考の渦に呑まれそうになる中、ツナは強引に思考を打ち切り、インデックス捜索を続ける。

 

「……それにしてもこの街ってどれくらい広いんだろう?すぐ迷子になりそうだな……っ!」

 

 呟きながら気付く。インデックスを見失い、仲間達と連絡を取れず、広くて複雑な造りをしているこの街を一人で彷徨っている現状。そして思えば上条のマンションへの戻り方も分からなくなっている。

 

(俺、今迷子じゃん!!)

 

 漸く己の現状を理解したツナは途方に暮れる。インデックスを心配出来る立場じゃない。リボーン達と連絡が取れなければこの広い学園都市の何処に行けば並盛に帰れるのかも分からない。

 一旦上条の所に戻ろうにもマンションの場所がもう分からない。分かっても補習だと言っていた為、今部屋にはいないだろう。

 

「はぁ…」

 

 どんよりとしながら溜め息を吐く。まさかここまで色々な事が裏目に出るとは。闇雲にインデックスを探しても見つからないだろう。

 

「どうしよう……」

 

 インデックスを効率的に探す方法はある。(ハイパー)死ぬ気モードになって空を飛んで上空から探すのだ。

 しかし目立つ。物凄く目立つ。額と両手から炎を噴出して空を飛ぶなんて少なくともツナの知る常識の範疇ではビックリ人間だ。この学園都市が超能力を開発している。ならば人に見られても死ぬ気の炎を超能力だと主張する手もある。とは言っても学園都市の超能力がどんなものか分からない以上、この手段は避けたい。

 

 とぼとぼと落ち込みながら歩いていると周囲からゾロゾロと多くの足音が聞こえて来た。

 

「…?」

 

 ふと顔を上げて周囲を見てみればストリートギャングのような格好をした男達ーーー所謂不良が四人でツナを取り囲んでいた。

 

「………え?」

 

「見かけねえ顔だな。制服も何処のか分からねえ」

 

「良いカモだと思ったんだがなぁ、金もあんま持ってなさそうだぞこの中坊」

 

「まぁいざとなりゃあサンドバッグにでもすりゃ良いさ」

 

「んなーーーーーーーーーー!!?」

 

 まさかの学園都市に来て早々に四人の不良に絡まれてしまった。しかも目的はカツアゲ。下手をしなくても殴ってストレスを発散しようとしている者までいる始末。

 

「オラ、ガキ…有り金全部出しな」

 

「えぇ…いやその……」

 

 顔を真っ青にして何とか見逃して貰えないかと考えるツナだが、テンパっている上に口も上手く回らない。元々並盛でも良く不良に絡まれてボコられる事など日常茶飯事だった。獄寺がいれば彼がどうにかしてくれたが、そんな事は学園都市の人間には関係ないし、獄寺は今ここにいない。

 

「ビビってるビビってる。こりゃあ高レベルの能力者って訳でもなさそうだな」

 

「大方無能力者(レベル0)…どんなに良くても低能力者(レベル1)ってトコだな」

 

「何でも良い。取り敢えずボコる」

 

(何でいきなりこんな目に遭ってんの俺ーーー!!?)

 

 強いて言うなら弱そうだから…である。

 ツナは友達や仲間の為なら死ぬ気になって戦える。喧嘩だってマフィアのトップクラスの実力者やマフィア界の掟の番人と張り合えるレベルに強くなれる。

 しかし自分の事となると話は別だ。その辺のチンピラどころか碌に鍛えていないインドア系の同級生にだって手も足も出ずにボコボコにされるレベルで弱い。自衛の為だけに死ぬ気で戦う事は出来ないのだ。

 

 チワワすら怖がる中学生は日本中探してもツナ以外にはいないだろう。

 

「取り敢えず……ぶち殺せえぇぇっ!!」

 

「ひいいっ!!お助けーーー!!!」

 

 バットや自前の能力と思われる火炎を振りかざしてツナに襲い掛かる不良達。ツナは泣きながら猛ダッシュ。運動音痴の足で投げ切れる訳がないのだが、とにかく逃げる。

 

「だ、誰か助けてえぇぇっ!!」

 

 逃げ回り、数分もしない内に追い付かれ目の前に拳が振り下ろされようとした時、ビリビリとした電撃と共にその声は響いた。

 

 

「たった一人に寄って集って……気に入らない事してんじゃないわよっ!!」

 

 

 一閃。不良の拳がツナに当たるよりも早く、強烈な電撃が不良達に纏めて直撃した。

 

『あばばばばばばばばばっ!!!?』

 

「へ?」

 

 突如不良達に炸裂した電撃。その威力は傍目から見ても強力なものであり、ツナの記憶に残る雷使い……6弔花、電光のγ(ガンマ)やヴァリアーのレヴィ・ア・タン、そして20年後のランボなどといった強者達を彷彿とさせるには十分な威力だった。

 

「あんた、大丈夫?」

 

 ツナが驚きで尻餅をつき、黒焦げにされた不良達を見て愕然としていると、後ろから女の子の声が聞こえて来た。それは間違いなくツナにかけられた言葉であり、思わずツナも振り向いた。

 

 そしてそこにいたのは何処かの学校の制服を着た茶髪の美少女だ。年齢はツナと同じくらいだろうか。身長は少しばかりツナより高いが思わず見惚れてしまう程度には整った容姿をしている。タイプこそ違うがツナの想い人である笹川京子に並ぶ美少女である事は間違いないだろう。

 

 だが同時に超直感が告げていた。先程の電撃はこの少女によるものであると。それを察知したツナの反応は……、

 

「ひいぃぃぃぃぃぃっ!!」

 

「ええっ!?」

 

 ーーー当然ビビる。得体の知れない上にあれ程までに強烈な電撃を何の躊躇いもなく人にぶっ放す人間など危険人物以外の何者でもないのだ。

 

「ご、ごめんなさい!よく分からないけどごめんなさい!!」

 

「え…ちょっと!?」

 

 ツナは助けて貰ったお礼を言う事すら忘れて、震え上がった足で立ち上がり、とにかく目の前の危険人物から逃れようと取り敢えず謝りながらおぼつかない足取りで走り出そうとする。その反応に困惑する電撃少女だが、ツナはそれに構わず逃げようとしてーーー、

 

 何もない所で足と足を引っ掛けてすっ転ぶ。

 

 それで終わるだけでなく、無理に走ろうとした反動で前方に身体が吹っ飛び、その先にあった空き缶などを捨てるゴミ箱へと思っ切りダイブした。

 

 ドンガラガッシャン!!!

 

 大きく痛々しい音が響いた事で少女は思わず目を瞑り、身を強張らせる。そしてゆっくり目を開けばゴミ箱にダイブした事でぶっ倒れ、多くの空き缶やペットボトルの山に埋もれるツナの情けない後ろ姿がそこにはあった。

 

「……えー」

 

 

****

 

 

「これで良し!」

 

「あ、ありがとう……。さっきも助けてくれて……。それと怖がって逃げようとしてごめんなさい……」

 

「良いのよ、それくらい」

 

 結局その後、空き缶とペットボトルの山から救出されたツナは先程の少女から近場の公園のベンチで傷の手当てを受けていた。とは言っても偶々持ち合わせていた絆創膏を腕に貼って貰っただけだが。

 

(それにしても物凄いチキンねこいつ……)

 

 だがこの少女からのツナへの第一印象はチキンで決定してしまった。事実ではあるが。

 

「私は御坂美琴。あんたは?」

 

「あ、沢田綱吉…です」

 

(綱吉……徳川の五代将軍と同じ名前ね。……随分と名前負けした奴ね)

 

 軽く自己紹介を交えつつ、少女ーーー御坂美琴はツナにある程度の評価を付ける。現時点ではかなり低いが。

 話している内にツナはふと気になったのか先程不良達を倒した電撃について尋ねてみる事にした。

 

「あ、あの…御坂さんがあの不良達をやっつけてくれたんだよね?」

 

「ん?そうよ。あの程度の雑魚、私なら一瞬よ」

 

「ざ、雑魚……。あの電撃ってやっぱり御坂さんの…その、超能力ってやつなの?」

 

「そうだけど……、常盤台の超能力者(レベル5)超電磁砲(レールガン)って言えば聞いた事あるでしょ?」

 

「……ええと、知らない」

 

「あれ?」

 

 超電磁砲(レールガン)という単語はこの街に来てから聞いたような気はするが、他の単語に関しては全く分からない。すると今度は美琴の方からツナの事が気になったのか、尋ねて来る。

 

「あんた何処の学校?そんな制服、この辺じゃ見ないけど」

 

「並盛中の二年なんだけど……分からないよね」

 

(中二…って、同い年だったんだ。背も私より低いから一つ下かと思ったんだけど……)

 

「並盛中……聞いた事無いわね。……ん?もしかしてあんた、学園都市の人間じゃないの!?私の事も知らないし、超能力についてよく分かってない感じだし!」

 

 ツナとの会話の中で得た少ないヒントからツナが外部の人間である事を即座に見抜いた美琴。ツナは彼女の勘の良さに驚きながらも先程上条にしたのと同じ説明を始める。勿論マフィアや死ぬ気の炎については上手く省いて。

 

「空間移動の能力かしら……?」

 

 ツナの説明を聞いて美琴は上条と同じ結論に至ったのか、そう言って考え込む。やはりこういった現象についてはこの街の人間に聞くのが一番なのかもしれない。

 しかしその原因が匣兵器ともなれば話は別だ。確実にマフィア側の領分である上に未来では白蘭がチョイスの為に用意した超炎リング転送システムなどというものもある。あの匣兵器は白蘭のあの装置を匣としてコンパクトにしたものではないだろうか。

 

(でもそうなるとまた白蘭が(トゥリニセッテ)を狙ってるって事にならないか〜?もうそんな事しない……と思いたいけど)

 

 それに白蘭の仕業ならばこんな街にツナを飛ばす必要など無いだろう。まずは何らかの方法でマーレリングの封印を解く所から始めるはずだ。

 

 ツナが考え込み、悩んでいると美琴は良い案を思い付いたとばかりにある提案をしてくる。

 

「ねえ、帰れなくて困ってるなら学園都市の理事に連絡してみたら良いんじゃない?」

 

「へ?」

 

「私の友達が風紀委員(ジャッジメント)をしてるから、その子の所属してる支部を通して上に掛け合ってみるのよ。あんた能力の開発も受けてないんでしょ?それだったらちゃんとした検査を受けて問題無かったら家に帰して貰えるはずよ」

 

「じゃ、じゃっじめんと…?」

 

「外じゃ言い方が違うのかしら……?要は風紀委員よ」

 

(風紀委員って……雲雀さんみたいな人がいるって事!?)

 

 ツナのイメージする並盛中の風紀委員会と美琴の言う風紀委員(ジャッジメント)は全く違うものではあるが……どちらも一般的な風紀委員とは大きくかけ離れたものである為、わざわざ訂正する必要もないだろう。訂正出来る人もこの場にはいないし。

 

(雲雀さんみたいな人に会わなきゃ帰れないのか〜。やだな〜。咬み殺されたくないし……)

 

 そんな事を考えていたツナだが、ふと思い出す。そもそも何故こうして学園都市の中を歩いているのか。

 

「あ、あの!その話なんだけど、一旦保留にして貰えないかな!?」

 

「え?何で?帰りたいんじゃないの?」

 

「そうなんだけど、俺と同じでこの街に迷い込んじゃった子がいるんだ。その子の事も見つけて、一緒に街から出してあげないと!」

 

「あ、そういう事ね……。それじゃあその子が見つかったら風紀委員(ジャッジメント)に連絡するって事で良いの?」

 

 学園都市から出なければならないのは何もツナだけではない。魔術師とやらに追われているインデックスもだ。インデックスは教会に逃げなければならないはずだし、こんな科学の街に宗教の教会があるとは考え難い。

 

「うん。だからその子を見つけてからその支部って所に行くね!御坂さん、色々ありがとう!助けてくれて!それじゃあ!」

 

「あ、うん。じゃあね」

 

 もう一人の迷子を探して去って行ったツナの後ろ姿を見て美琴は興味深そうに呟く。

 

「ふーん。ただのチキンかと思ってたけど、思いやりはあるのね」

 

 御坂美琴の中で沢田綱吉の評価が少し上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、風紀委員(ジャッジメント)の支部の場所教えるの忘れてた」

 

 

****

 

 

 ツナを見送った後、美琴は公園を出て寮に帰ろうと歩き出す。色々とあって彼女は夜通し街を回っていたのだ。そして偶然不良に襲われていたツナを発見し、助けるに至った訳だ。

 しかしそんな彼女の前に突如人が現れた。それに関して美琴は驚きはしない。瞬間移動の能力など見慣れているし、その能力者は自分の友人なのだから。

 

「黒子!」

 

「お姉様!」

 

 黒子と呼ばれた美琴と同じ制服を着た少女は瞬間移動先に美琴を見つけると即座にその手を取った。

 

「丁度良かったですわ」

 

「ちょ、ちょっと?私寮に帰って寝たいんだけど……」

 

「問題が発生しましたの」

 

「へ?」

 

 黒子はそう言うと有無を言わせずに美琴と共に瞬間移動を発動する。そして彼女達の姿はこの場から消えた。彼女達には彼女達で何やらキナ臭い事情があるようだが、それはまた別の機会に。




正直美琴と一番絡ませたいキャラはランボだったり。
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