個人的な予想では一番反応を貰えるのは雲雀さんなんだろうな。
「体細胞クローン…っスか」
「うん。それで御坂さんに直接話を聞きたいんだけど、居場所が分からないから寮に行こうとして……」
獄寺と合流して早々、ツナは獄寺に今回の厄介事の詳細を打ち明けた。とは言っても分からない事だらけなので本当に直面した出来事についてしか話せないが。
獄寺はツナの誘拐という点から学園都市の人間をあまり信用しないように考えてはいるが、ツナが御坂美琴という少女に助けられた事を聞き、取り敢えずはこの件に首を突っ込む事に反対はしないようだ。
「10代目、そいつの通っている学校は分かるんスよね?」
「確か常盤台中学っていうお嬢様学校らしいけど……」
ツナは御坂妹に頼まれた黒猫を抱き抱え、気を紛らわせて不安を掻き消したいからか、その頭を優しく撫でる。
バス停に訪れ、常盤台中学の寮へと向かうツナと獄寺。バスの中、獄寺は学園都市に来てからの出来事を簡潔にツナに話す。
「絡んで来る奴らはボムで大体ぶっ飛ばしました。中には例の超能力を使って来る奴もいましたが、能力にあぐらを掻いて単調な攻撃ばかりでしたから、隙を突いてボムを投げれば大した手間もなく倒せましたよ」
どうやら獄寺はこの街の能力者と既に交戦済みらしい。
「そうだ。こっちに来るにあたって色々持って来たんスよ。まずはこれっスね」
そう言って獄寺が肩にかけた鞄から取り出したのは小さな瓶に詰められた丸薬だった。これはツナが死ぬ気モードになる上で必須のもの。
「あ!死ぬ気丸!大分減ってたんだ!ありがとう!」
魔術師達との戦いで頻繁に
「作り方も10代目のお父様に教わりましたから、減れば俺が作りますから心配いりません」
(え、もしかして死ぬ気丸の材料って普通に手に入るものなのー!?)
サラッと物凄い事を言う獄寺に意外な事実を直感するツナ。しかし獄寺としてはツナが出会った体細胞クローンよりも優先して話したい事が幾つもあった。
「それで10代目、あの匣兵器や諸々の事なんですが……」
「うん……。でもそれはこの一件が終わってからで良いかな?」
「……分かりました」
獄寺が学園都市に来たという事はあの日ツナが開いたあの匣兵器が彼の元にも届いたという事。確かにそれについては非常に気になる事ではあるが、今は御坂美琴と
「ありがとう……」
そんな風に話している内にツナと獄寺は常盤台中学の学生寮の前に着いていた。
「ここがその常盤台って学校の寮ですか…」
「うん。一回文化祭みたいなイベントに来た事はあるんだけど……」
獄寺と話しながら住民用の名札を一つ一つ確認する。常盤台の寮は二つあると聞いた事がある。ここに美琴が住んでいなければ何処かも分からないもう一つの寮に行かなくてはならないのだ。
探せば208号室の欄に御坂・白井の名前があった。
通話の為にインターホンの呼出番号を押そうとしたその時、ツナの手が止まる。
(……会ったとしても、御坂さんの口からあの酷い実験の事を詳しく聞くなんて……そんな事して良いわけないよな。知ってたとしても知らなかったとしても……御坂さんは凄く嫌な想いをするはずだし……)
そう考え込んで手を止めたツナだったが、獄寺はそれに構わず部屋番号と呼出ボタンを打ち込んだ。
「……さっさと話を聞いちまいましょう」
「ちょ、獄寺君!?」
何も獄寺は痺れを切らして考え無しに強行したわけではない。ツナの心情を察したからこそ、ここでウジウジ悩んで立ち止まっていても何も好転しないと判断しての事だった。
結局は御坂美琴本人に話を聞くしかないのだ。面識はないがその女が何も知らなければまた
『はい?どちら様ですの?』
「あ、えっと……沢田…ですけど、その…御坂さん、いますか?」
『沢田さん?一体どうしましたの?』
インターホンに出たのは白井黒子だった。表札を見れば確かに黒子の苗字もある。相部屋なのだろう。
「あ、白井さん?いやそのえ〜と、そ、相談?というか……」
しどろもどろになりながらツナは態々寮を訪ねた理由を適当に挙げる。すると黒子は通話の先で何か考え込んだのか、暫くして寮の扉の鍵が開く音がした。
『お姉様はまだお帰りになられてませんわ。ご用がおありでしたら、中に入って待つ事をお勧めしますの』
「へ?」
****
女子寮という事もあり、見つかって騒ぎになりやしないかとビクビクするツナとそんな事はどうでも良いと言わんばかりに堂々と歩く獄寺は特に誰かに目撃される事なく美琴と黒子の部屋の前へと辿り着いた。
「ここっスね」
流石にいつものでかい声を出すのは不味いと理解してる獄寺は小声でツナに耳打ちし、ツナは頷いてから恐る恐るノックをする。
「ご、ごめんくださーい……」
「どうぞ。鍵はかかっておりませんので」
「し、失礼します……いっ!?」
黒子に入室の許可を貰ってからゆっけりと扉を開くツナ。そして扉を開いて真っ先に目に入ったのは黒子がベッドの上で寝そべる光景だった。黒子は訝しげな視線をツナに送り、ツナの隣にいる獄寺の存在に気付く。
「そちらの殿方は……そういう事ですのね」
獄寺の存在を確認した黒子はツナが訪ねて来た理由を何となく察する。獄寺が学園都市に来たならば
ベッドから起き上がり、黒子はツナの認識へと訂正を入れる。
「先に言っておきますとお姉様は
「え?ああ…うん」
ここまでの推測から黒子はツナが美琴が
「そういえば白井さん、御坂さんの事をお姉様って呼んでるからてっきり後輩だと思ってたんだけど……」
「あら、わたくしは歴とした後輩ですのよ。前の同室の方にはあくまで合法的に出て行って貰ったんですの」
(なんか怖えー!やっぱり学園都市の人って変な子ばっかりなんですけど!?)
物凄く闇深そうな黒子の物言いにツナは戦慄する。良く見れば取り敢えず黙っている獄寺ですら少々引いている様子。
「他人追い出して押し掛けるって何だお前、変態か?」
「変態とは聞き捨てなりませんの。人間、人には言えずとも、心の中ではこんぐらいOKと考えているものです」
(いや他の人追い出す事が“こんぐらいOK”になるのーー!?)
というかここまでの言動から推測するにもしかして今黒子が寝ていたのは彼女のベッドではなく、美琴のベッドなのではないだろうか。しかしツナは色んな意味で怖くてそれを聞く事はできなかった。
「お姉様も敵が多いですからねー。力持つ者の業とはいえ、流石に同じ部屋で寝泊まりする人間が裏切り者というのは辛過ぎると思いません?」
「よ、良く分からないけど大変なんだね…」
つーか分かりたくない。物凄いドロドロした人間関係があると直感できてしまうブラッド・オブ・ボンゴレが疎ましく思えてしまう。
黒子は何やら回覧板みたいなものを取り出してメモを取る準備をする。
「それでは獄寺さんと言いましたわね。貴方がこの街に来た経緯を教えて下さい」
「ああ?……わーったよ」
獄寺は眉を顰めながらも、口論を起こして
黒子から獄寺への質問が暫く続くが、本当に用がある美琴はまだ帰って来ない。ただただ時間ばかりが過ぎていく。
(結局妹さんの事、何も聞けてない……白井さんは多分何も知らないよなぁ。妹さんも会った事ないって言ってたし……)
どうすれば良いかと考えていると廊下からコツコツと足音が聞こえてきた。
「ん?」
「御坂って奴が帰って来たんでしょうか?」
「この足音……不味いですわ!」
美琴が帰って来たのかと思ったツナと獄寺だが、黒子の顔は何故か青褪めていく。
「あの寮監の巡回のようです!どうしましょう……常盤台の寮に殿方がいる事が知れたら大変な事に……!!」
「んなっ!?」
黒子の狼狽えぶりから本当に不味いようだ。こんな形で迷惑をかけてしまう事にツナは一瞬で凄まじい罪悪感を覚えた。すると黒子は意を決した表情となり、獄寺の肩を掴んだ。
「ここは一先ず外に
「なん…っ」
その瞬間、獄寺の姿がこの場から消えた。
これが黒子の能力による空間転移だと気付くのにそう時間は掛からなかった。
「では沢田さんも……」
「みゃー!」
しかし獄寺が消えた事に驚いた黒猫がツナの手元を離れ、美琴のベッドの下へと潜り込んでしまった。
「あ!猫が!」
「〜!仕方ありませんわ!沢田さんはそのベッドの下に隠れて下さいまし!」
猫を回収する必要もある為、取り敢えずは黒子の指示に従って猫の潜り込んだ美琴のベッドの下にツナも潜り込む。というか押し込まれた。うつ伏せで中々体勢がキツいが小柄なツナにまだ余裕のあるスペースだった。
(結局肝心な事は何も分かってないし、獄寺君もどっか行っちゃったし……)
自分は何をしているのだろう。そう思わずにはいられないツナだった。溜め息を吐きたいが、それが寮監とやらに聞かれては不味い。猫も鳴き声を発しない事を祈るばかりだ。
息を潜めていると件の寮監と黒子の話し声が聞こえてくる。
「白井、御坂は寝ているのか?」
「はい、このところ寝付けないとの事で……」
そう言って黒子は寮監と共に部屋から出て行った。しかしそれでもツナはベッドの下から出る勇気が出ない。見つかったらどんな目に遭うか……と怯えるその様は正にダメツナ。そんな風にビクビクしながら考えているとすぐ横に何か大きなものが押し込められている事に気付く。
(……ぬいぐるみ?)
くまのぬいぐるみのようだが、何処かで見たようなデザインだ。いや、そんな事はどうでもいい。問題なのはそのぬいぐるみの背中のファスナーから何かがはみ出ている事だ。
それを見てみるべきだとツナの超直感は告げる。それに従い、取り出してはみ出ていたもの……紙束を確認する。そしてその紙に何が書いてあるのかはベッドの下では暗くて見えない為、そこから出る。
「っ!!」
明るくなった事で見えるようになった紙束の表紙の一行には確かにこの単語が書かれていた。
『
奇しくもツナは今一番知りたい情報の手掛かりを得た訳だ。
(……後で御坂さんに謝らなきゃな)
悪いと思いつつ失敬した紙束と回収した黒猫を並中の通学鞄に入れてXグローブを取り出す。
死ぬ気丸を飲み込んでからツナは窓から飛び降り、死ぬ気の炎で空を飛んで行った。そして先に黒子によって
「10代目!ご無事でしたか!……あの女、いきなり変なとこにすっ飛ばしやがって……今度会ったらただじゃおかねぇ!!」
獄寺は黒子への怒りを燃やすが、ツナにはそれにツッコミを入れる余裕は無かった。それよりも先程手に入れた紙束……
「獄寺君……御坂さんの事なんだけど……それっぽい手掛かりがあったよ」
ツナと獄寺は早速二人でその資料を読み始める。幸い、文章は非常に簡潔に書かれており、頭が良いとは言えないツナでも理解できる内容だった。
しかし、そこに書かれていた内容は今まで見てきたマフィア界の闇のどんなものよりも悍ましいものだった。下手をすればアルコバレーノのおしゃぶりの管理システムをも凌駕する程に。
『量産異能者「
学園都市には七人の
唯一、
我々は「二五○年法」を保留とし、他の方法を探してみた。
その結果、「
特定の戦場を用意し、シナリオ通りに戦闘を進める事で「実戦における成長の方向性」をこちらで操る、というものだ。
予測装置「
だが、当然ながら同じ
当然ながら、本家の
これを用いて「
二万通りの戦場を用意し、二万体の「
「な、なんだよこれ……」
正気の沙汰とは思えない。あまりにも命を軽く見ている。
あまりの内容にツナの頭の中は真っ白になった。想像を絶する程に悍ましい事が起きていた。
二万人のクローンを生み出し、たった一人の能力向上の為にその全てを殺す。これを非道と呼ばずに何と呼ぶ?
「……驚きましたね。こんなイカレた事を考えて実行する奴らがいるとは。つー事はその御坂って女はこの
「み、御坂さんがこんな事に協力する訳ないよ!だって……御坂さんは……」
「ですが10代目、こいつはどう見ても関係者向けの資料です」
獄寺の言葉にツナはズキリと胸を痛めた。あの御坂美琴がこんな計画に加担してるなんて思えない。思いたくない。
「これが10代目の会ったクローンの言っていた『実験』ですか……。確かに表沙汰にできねー事ですね」
他に情報はないかと資料を読み進めているとパサリ…と一枚の折り畳まれた紙が地面に落ちた。それを拾い、広げてみたらそれは学園都市の地図だった。だが本当に気になる点は他にあった。
地図にやや乱暴に殴り書きするかのように大きく刻まれたバツの印。それがいくつもあった。見てみれば筋ジストロフィーという病の研究施設ばかりだ。
「……これは」
「研究施設の地図ですね…。何でこんなもん……」
それを見てツナは……ただ、ホッとした。
そうだ。正義感の強い彼女がこんな実験に加担する訳がない。
決まっている。例えクローンでも自分の妹として、彼女達を救う為に戦うはずだ。
そう考えたら……これまでの彼女の言動全てに辻褄が合った。
「探さなきゃ……御坂さんは今もたった一人で戦っているんだ!!」
最近この小説の憑依ツナver.考えたけどそれやるなら前日譚でその憑依ツナのリボーンサイドのストーリー先に書かなきゃ駄目だよなぁ……。
タイトルは「とある科学のネオ・ボンゴレ
憑依ツナあるある
1.カジノなんかで超直感使って荒稼ぎ。
2.リボーン来る前から自在に死ぬ気を使いこなせる。
3.ダメツナとは正反対の優等生。生徒会長やる事もある。
4.やたらとユニか凪とのカップリングが多い。
5.山本、了平、雲雀辺りが魔改造される。
パッと思い付くのはこれくらい。他にあったら教えて下さい。
まぁ2、3、5は大抵白蘭に備える為に修行するからなんだけども。4はかわいいからね。ユニも凪も。ユニの年齢いまいち分からんけど。