とある魔術のボンゴレX世   作:メンマ46号

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この小説の構想のきっかけは「大空の調和なら一方通行の反射破れるんじゃね?」と思った事です。調和便利過ぎる。

今回のテーマ曲は勿論「sister's noise」です。
イメージとしては超電磁砲SのOPで27秒〜30秒の各キャラのカットが出る所を上条さんの次に煙草を蒸す獄寺の横顔、一方さんの次に正面向いた(ハイパー)ツナを持って来て、最後の上条さんのシーンを(ハイパー)モードのツナに差し替え。※身長は美琴の方が高い。


X BURNER来る!

 第七学区のとある高校の学生寮の一室にて、ツンツン頭の少年と腹ペコシスターが激戦を繰り広げていた。シスターはツンツン頭の少年がその手に持つ皿の上のオムライスを奪取すべく、目をギラつかせてにじり寄る。

 

「ちょ!インデックス!こっちのオムライスは駄目だ!ツナの分だって言ってるだろ!」

 

「これだけじゃ私は全然足りないんだよ!」

 

「俺の分まで食って言う事か!?」

 

 もう一人の同居人がシリアスな戦いを繰り広げる傍ら、彼らもまた、凄まじい激戦を繰り広げていた。

 激戦の末、結局噛み付かれた挙句オムライスを守れずに強奪された上条は氷嚢を頭に付いた歯型に当てながら未だ帰らぬ同居人の事を考える。

 

「……にしても、ツナの奴、本当に遅いな……。一応遅くなるってメールは来たけど、何やってんだ?」

 

****

 

「オペレーションX(イクス)

 

『了解シマシタ、ボス。X BURNER発射シークエンスヲ開始シマス』

 

 ツナの言葉に合わせてヘッドホンから機械の音声が聞こえてきた。元ミルフィオーレの天才メカニック、スパナによって製造されたコンタクトディスプレイによるX BURNERの発射誘導プログラムである。

 

(やはり10代目はX BURNERで対抗する気だ!!)

 

 ツナの右手から後方へ柔の炎が放射される。ツナの必殺技、X BURNERは後方に柔の炎による支えを設け、前方には爆発的なエネルギーの剛の炎を放射する。

 

 ツナと一方通行(アクセラレータ)が互いに大技の溜めをしている最中、御坂美琴は己の無力感に打ち拉がれていた。

 

(なんでッ……なんで私はこんなに弱いの?常盤台のエース?七人だけの超能力者(レベル5)?何もできないじゃないッ……!!)

 

 妹の怪我の治療も一方通行(アクセラレータ)を倒す事も人任せになってしまう。自分では誰も守れない。

 そんな負の感情を抱えて俯く美琴に喝を入れたのは獄寺だった。

 

「目ぇ逸らしてんじゃねぇ。ちゃんと戦いを観ろ。10代目はてめぇら姉妹の為に戦ってんだ」

 

 キレるわけでもなく、ただ力強くツナを見るように告げる。己が生涯の忠誠を誓ったボスである沢田綱吉の事を右腕として深く知っているからこそ、語る。

 

「10代目は自分の為には死ぬ気で戦えねぇ。自分の為に力を振るえねぇ。そういう気質の御方なんだ。10代目が戦うのはいつだって誰かの為だった」

 

「あ……」

 

 獄寺の話を聞き、美琴には思い当たる節があった。スキルアウトに絡まれても炎を使おうとはせず、泣いて逃げていた。美琴に喧嘩を売られた時も上条に助けを求め、結局二人で逃げていた。ツナならばどちらも簡単に捻じ伏せる事ができたはずなのに。

 

 沢田綱吉は自身に降り掛かる火の粉を力づくで排除しようとは決してしなかった。

 

 だが美琴が妙なロボットに襲われた時は躊躇いもなく、その炎の力を使い、美琴を助けてみせた。そして今一方通行(アクセラレータ)と戦っているこの時も美琴と殺されようとしていた妹達(シスターズ)の為に……。

 

「だからこそ、誰かの為に死ぬ気で戦う10代目は……絶対に負けやしねぇ」

 

 骸、XANXUS、白蘭、D(デイモン)・スペード、復讐者(ヴィンディチェ)。仲間を守る為に数々の強敵を死ぬ気で打ち破ってきたツナを獄寺はすぐ側で見てきた。だからこそ断言できる。

 

「……ミ、サカは……あの人の言葉が……」

 

「!アンタ、気がついたの!?」

 

 獄寺に治療され、気を失って背負われていた御坂妹が目を覚ます。美琴は意識を回復させた妹を見て安堵する。そして御坂妹は無理に獄寺の背中から降りてぼんやりとした瞳で美琴を見て意識を失う前の事を語る。

 

「あの人は……ミサカがどんな生まれでも関係ないと言いました。誰が何と言っても、友達で…い……と…だと。その言葉の意味がミサカには、分かりかねます」

 

「……」

 

 それは自分が実験動物だとしか認識していなかったからなのか。その所為で自分を人間と思っていないからなのか。

 

 

 

「けど、何故だか……あの言葉はとても響きました」

 

 

 

「ぎィやははははははははは!!!」

 

 一方通行(アクセレータ)の下卑た嗤い声が響き、ツナは心底不愉快そうに顔を顰める。

 

「凄エェ!自分の身体のように!手足を動かすかのように!空間全てを支配していく感覚ゥ!!アッハハァ!!強ェ相手と()ンのがレベルアップの近道ってのはマジみてェだなァ!!えェ!?三下ァ!!」

 

 風を、大気を操り高電流気体(プラズマ)を精製していく一方通行(アクセラレータ)はこれまで感じた事のない程の全能感によって何処までも高揚していく。

 一方でツナはX BURNERの為の柔の炎を後方に放ちながらも一方通行(アクセラレータ)とは対照的に何処までも冷めていた。

 

「……随分と余計な口を叩くんだな、お前は」

 

「いつまでもスカしてンじゃねェぞ!!感謝を込めて!オマエを跡形も無くゥ!!消し飛ばしてやらァァ!!」

 

 一方通行(アクセラレータ)の頭上に精製された巨大な高電離気体(プラズマ)が完成された。ツナは嘆息して、ハイになっている一方通行(アクセラレータ)に心底呆れながら口を開く。ツナにとって一方通行(アクセラレータ)打倒は通過点でしかない。目的はあくまでこの胸糞悪い実験を破綻させ、残った妹達(シスターズ)の命を守る事だ。

 

「やっとか。随分と時間がかかったな。待った甲斐がある。それを正面から消し飛ばせばお前を黙らせる事ができるからな」

 

「消し飛ぶのはオマエだァァ!!」

 

 一方通行(アクセラレータ)は新しいおもちゃを買って貰った子供のようにはしゃぎ、高電離気体(プラズマ)をツナにぶつけようと振り下ろす。それに合わせてツナはコンタクトディスプレイの指示を無視してまで溜めたままにしていた剛の炎を掌から解き放つ。

 

「死ね!!」

 

「X BURNER!!!」

 

「待っ…」

 

 ツナの身を案じて美琴が大技同士の衝突を止める為に叫ぼうとする。しかしその甲斐も虚しくその前に両者の技がぶつかり合った。

 巨大な高電離気体(プラズマ)とX BURNERの剛の炎が衝突する。その余波が一瞬にして広がったが……その余波が発生したのもその一瞬だけだった。

 次の瞬間にはX BURNERの剛の炎は高電離気体(プラズマ)を貫き、呑み込み、消し飛ばしていた。

 高電離気体(プラズマ)が消し飛び、周囲のコンテナや風車までもが木っ端微塵に破壊され、消滅する。そしてまっさらな夜空に橙色の、大空属性の死ぬ気の炎が揺らぎながらも溶けていった。

 

「………は?」

 

「嘘……」

 

「これは……偽装能力(ダミースキル)か何かですか?」

 

 一方通行(アクセラレータ)も、美琴も、御坂妹も……三者三様に愕然としてありえないものを見ていた。獄寺だけがそれを当然のものとして受け入れていた。

 

 何が起こったのか理解出来ない。いや、一方通行(アクセラレータ)は理解したくなかった。自らの演算能力の全てを費やした間違いなく現時点における一方通行(アクセラレータ)の最強の攻撃だった。超電磁砲(レールガン)など足元にも及ばない程の。それが至極あっさりと力負けしたのだ。

 

(何なンだ……!?何なンですかこの愉快なバケモノは!!?こンな奴が超能力者(レベル5)に認定されてねェってのはどォいう事だ!?)

 

 超能力者(レベル5)の中に発火能力者(パイロキネシスト)が名を連ねているという話は聞いた事がない。一方通行(アクセラレータ)とて、超能力者(レベル5)の詳細を全て把握している訳ではないが、この実験の資料の中には七人全員の能力名と簡単な説明は載せられていた。その中に発火能力(パイロキネシス)は無かったはずだ。

 

 つまりこの男は少なくとも超能力者(レベル5)ではないのだ。

 

 いや、既に死ぬ気の炎を解析した一方通行(アクセラレータ)には死ぬ気の炎が発火能力(パイロキネシス)ではない事……つまりツナがそもそも能力者ですらない事も分かっている。

 訳の分からない出来事が連続し、『最強』であるはずの自分が今正に『敗北』を突き付けられようとしている。彼は歯軋りをして苛立ちながら怒鳴り散らす。

 

「……何なンだ。何なンだオマエらはよォ!!どいつもこいつも俺の無敵化の邪魔ばっかしやがって!!絶対能力者(レベル6)よりそンなクローン共が大切だってのか!?アァ!?」

 

 そう言うと本来殺すはずであった御坂妹に視線を向け、半ば八つ当たり気味に足を地に叩き付ける事で強烈な衝撃波が彼女に向かっていく。美琴は妹を守る為に超電磁砲(レールガン)を撃つ為のコインを取り出そうと、ポケットに手を突っ込んだ。

 しかしその前にツナが衝撃波の前に先回りして、左腕を振るう事でそこから噴き出した大空の炎をぶつけて相殺した。

 

「お前だけは御坂さんにも妹達(シスターズ)にも二度と近付かせない!!」

 

「……!!」

 

 悉く邪魔をするツナを睨む。しかし御坂妹を狙った事で膠着状態が生まれ、ゆっくりと深呼吸をする事で一方通行(アクセラレータ)は冷静な思考を取り戻していく。

 

「……理解できねェな。オマエもそこのオリジナルも、三下も……なンで人形を庇う?」

 

 御坂妹を指差し、確かめるかのように告げる。

 

「そいつらは超電磁砲(レールガン)の出来損ないの乱造品」

 

「っ!」

 

 一方通行(アクセラレータ)の暴言にツナは怒りで表情を歪ませる。そして一方通行(アクセラレータ)は今度は美琴へ視線を向けて問いかける。

 

「それをこの世で一番疎ましく思ってるのはオマエだろうがよ。自分と同じ顔したのが壊されンのが面白くねェのか?だがそンな理由で命を張るわきゃねェよな」

 

 ならば一方通行(アクセラレータ)が考えられる理由は限られてくる。

 

「自分より先に絶対能力者(レベル6)が生まれンのが許せねェのか?それともこンな実験の発端を作っちまった事への罪滅ぼしかァ?」

 

 そう問いかけた一方通行(アクセラレータ)に対してツナは眉間に一層皺を寄せて、悲しそうに…いや、本当に悲しみながら言った。

 

一方通行(アクセラレータ)、お前……どうしてそんな考えしかできないんだ」

 

「は?」

 

 憐れみでも怒りでもない。一方通行(アクセラレータ)の考えた御坂美琴が妹達(シスターズ)を守る理由を聞いたツナはそのねじ曲がった考えに怒るよりも先に、その感性を憐れむよりも先に……悲しんでいた。

 

 ここまで必死になって自分の命を投げ捨てようとしてまで妹達(シスターズ)を守る理由なんて決まっているだろう。

 

 なんでこいつにはわからないんだ!!!

 

 ツナの後ろで美琴はゆっくりと一歩を踏み出し、妹を庇うように手を下げる。一度は圧倒的な力の差による恐怖を前に直視する事すらできなかった一方通行(アクセラレータ)をまっすぐに見据えて。

 

「『神様の頭脳(レベル6)』なんてものに対する興味も、こんな事で罪を償えるとも思ってるわけでもない」

 

 御坂妹の心は、次の美琴の一言で確かに動いた。

 

「妹だから」

 

 その短い一言に、姉が妹を守る事の全てが込められていた。

 

「この子達は……私の妹だから。ただそれだけよ」

 

 理由なんていらない。兄弟や姉妹がお互いを助け、守る事に理由なんていらない。ちゃんとした血の繋がりがあろうがなかろうが、母がお腹を痛めていなくても、御坂妹は……妹達(シスターズ)は御坂美琴の妹なのだ。

 どんな時でも守りたいと思う。理屈抜きで身体が動いてしまう。それが家族というものだ。

 

「ゴメン、今更そんな資格ないのは分かってる。自分の手で守る事も一方通行(アクセラレータ)を倒すもできずに貴女を治療する事すら人任せ……でも今だけはこの場に立つのを許してくれる?」

 

「………ハイ」

 

 ツナは一方通行(アクセラレータ)から決して目を逸らさずにそんな姉妹のやり取りを聞いていた。そして背を向けながらも美琴に告げる。

 

「……もう、一人も死なせない」

 

「うん……」

 

 ツナは呆気に取られている一方通行(アクセラレータ)の目を見て今度は自分がこうして戦っている理由を述べる。

 

「まだ答えてなかったな。俺が戦う理由……。友達だからだ」

 

「ア?」

 

妹達(シスターズ)が殺されていくのも、御坂さんが泣いているのも黙って見てなんかいられない……」

 

 並盛に住む仲間達を守るのと同じだ。上条と共にインデックスを救った時と何も違わない。仲間を守りたい。それがツナの覚悟の源だから。

 

「みんな俺の大切な友達だから」

 

「……姉妹()()()に友達()()()かよ下らねェ!!一人も死なせねェ?図に乗ってんじゃねェぞ格下共が!!」

 

 美琴とツナが妹達(シスターズ)を守ろうとする理由を『ごっこ遊び』と一蹴し、そんな理由で自分に楯突いたのかと怒りを露わにする一方通行(アクセラレータ)

 当然、そんな暴言をツナが許す訳がない。

 

「それ以上御坂さんと妹達(シスターズ)を侮辱するな!!妹達(シスターズ)は人形でもモルモットでもない!!未来を生きる権利がある、ちゃんとした人間だ!!」

 

「ハァ?そいつらは俺に殺される為に作られたクローンだろォがよォ……ボタン一つで作れる模造品。俺の無敵化の為に使い潰される事以外に生きる価値なンてねェーよ」

 

 それから同じ超能力者(レベル5)である美琴との格の違いについて講釈する。

 

「視力検査が2.0までしか測れねェのと一緒さ!!学園都市にゃ最高位のレベルが5までしかねェから、仕方なく俺はここに甘ンじてるだけなンだっつの!!オマエを殺せばそこのオリジナルじゃ足止めにもならねェって事を教えてやるよ!!その人形をスクラップにしてどれだけ自分が無力か……」

 

「このクソ野郎が!!何様のつもりだテメェ!!」

 

 一方通行(アクセラレータ)のあんまりな物言いにキレた獄寺が噛み付く。だがその言葉で本当にぶちギレていたのはツナだった。

 まるで全身から死ぬ気の炎が噴き出したかと錯覚する程に凄まじい圧力がツナから放たれ、一方通行(アクセラレータ)はそれに気圧され、後方に押し退けられる。これにも反射は作用できない。

 

「ふざけるなよ!!」

 

 途轍もない怒気を発して一方通行(アクセラレータ)を睨み付けるツナ。その雰囲気はかつて未来での戦いにおいてユニの死をパズルのピースが壊れたと揶揄する白蘭への怒りに燃えた時と酷似していた。

 

「クローンがどうとかなんて関係ない!お前が奪ってきたものは……目の前にあるものは命なんだ!!お前は人の命を何だと思ってるんだ!!」

 

 

「一万人以上も殺して……お前は本当に何も感じないのか!?」

 

 

「答えろ!一方通行(アクセラレータ)!!」

 

「……」

 

 昔、この強大な力故にいくつもの災厄を招いた。

 

 この能力(ちから)はいつか世界そのものを敵に回し、本当に全てを滅ぼしてしまうかもしれない。

 だが『最強』のその先へと進化すれば何かが変わるはずだ。そう思ってきた。

 

 力が争いを生むのなら……争う気も起きなくなる程の絶対的な存在になれば良い。……そうしたら、いつか、また……。

 

 そうすればもう、誰も……。

 

「……下らねェ。さっきも言っただろォが。妹達(そいつら)超電磁砲(レールガン)の出来損ないの乱蔵品だってな。俺の無敵化(レベル6)の糧。それ以上の価値なんて無ェーよ」

 

 思考を打ち切り、そう断言した。

 それを聞いたツナは右手を握り締め、そこから死ぬ気の炎を噴出させて叫ぶ。

 

「そんな間違いが正しいなんて本気で思ってるなら、俺がそんな幻想ぶっ壊してやる!!」

 

「ギャハハハ……良い加減現実見ろ三下ァァァァ!!!」

 

 一方通行(アクセラレータ)の周囲を強烈な竜巻が覆う。それに応えるようにツナは身体の周囲に死ぬ気の炎を纏った。互いにこの一撃で決めるつもりだ。

 

「加減はしないぞ…!!」

 

「ほざィてンじゃねェぞ三下ァァ!!!」

 

「行くぞ!!」

 

「死ネ!!!」

 

 向かい合う二人の姿が一瞬にして消える。そして次の瞬間には丁度二人が離れていた距離の中間地点にて二人の姿が現れた。

 

 一方通行(アクセラレータ)の大振りな手を躱したツナと、そのツナの右ストレートを顔面にモロに喰らい、顔を歪ませる一方通行(アクセラレータ)の姿が。

 

「あ……が……」

 

 殴り飛ばされた一方通行(アクセラレータ)は勢い良く後方へと吹っ飛んでいく。大空の炎相手に彼の能力は殆ど機能できないからだ。だがこれで終わりではない。

 大空の七属性随一の推進力にてツナは吹っ飛んでいる最中の一方通行(アクセラレータ)へと追い付き、その顔を左手で鷲掴みにした。右手で左手首を掴み、左掌に死ぬ気の炎がチャージされていく。

 

「もう実験は終わりだ。一方通行(アクセラレータ)

 

 思えば目の前の少年は最初から自分を敵として認識こそしていたものの、最初から、そして今も尚、眉間に皺を寄せて、その顔は悲壮に満ちていながらも……祈るように拳を振るっていた。

 

 憎しみを己にぶつけるような戦いはしなかった。

 

 全ては友を守る為。

 

 孤独で他者を寄せ付けようとしない一方通行(アクセラレータ)では決して持ち得ない『強さ』だった。

 

『クローンだって、みんな生きているんだ。殺して良い命なんて、一つもない!』

 

『この子達は……私の妹だから。ただそれだけよ』

 

 死ぬ気の炎の推進力でその先に残っていたコンテナに激突すると同時に一方通行(アクセラレータ)の顔を鷲掴みにするツナの左手から純度の高い大空の炎が一気に放出された。

 そして辺り一帯に爆発したかのように大空の炎が噴出し、燃え広がった。

 

(ホント、何やってンだ俺………)

 

 大空の炎に包まれ、身を焼かれる中、一方通行(アクセラレータ)はこれまでの全てを『後悔』した。

 

 暫くして大空の炎は空気に溶けるかのように消えていき、爆発によって発生していた煙も晴れていく。

 そこには巨大なクレーターの上で気を失い、身体中に火傷を負って仰向けに倒れる一方通行(アクセラレータ)と、片膝を付き、その一方通行(アクセラレータ)を悲しげに見下ろすツナがいた。

 

(10代目の死ぬ気の炎が……奴のドス黒い邪気を浄化した……)

 

 かつて黒曜との抗争の際、骸を倒した時と同じだ。後からリボーンにその話を聞いたが、この光景は正にそれそのものだった。

 

 沢田綱吉が一方通行(アクセラレータ)に勝利した。

 まだ全てが解決した訳ではない。この実験の計画そのものを破綻させない事には終わらない。だけど、一方通行(アクセラレータ)を捻じ伏せた以上、奴の手で妹達(シスターズ)がこれ以上殺される事はないと言っても良い。ツナがそれを阻止してくれる。

 

 もう誰も死なせないという約束をツナは守ってくれたのだ。それが目の前で果たされた事で御坂美琴は歓喜、そして感謝の想いで泣き崩れた。

 

 かつて彼を鍛えた家庭教師は言った。お前はヒーローになんてなれない男だ。ヒーローらしいカッコつけた理屈など彼らしくないのだと。それは確かにそうなのかもしれない。

 だからこそツナはもっとシンプルに、友達を守りたいという想いで戦う。

 

 しかしたった独りで絶望して泣いていた女の子にとって、そのシンプルな想いで戦ってくれた沢田綱吉は紛れもないヒーローだった。

 

 この日、勉強や運動……何をやってもダメダメと言われた一人の少年によって残酷な幻想が打ち砕かれ、数多くの命が救われた。




X BURNER程の大技は相手もまたそれを放つに相応しい存在でなければなりません。
ねーちんもそれに値する相手ではありましたが、そもそもツナがいれば原作程上条さんを痛め付けないので使わない。アウレオルスはそこまでの価値を私は感じませんでしたし、そもそも場所的に大勢の人が理不尽に巻き込まれます。ステイル?論外。

その点、とあるの主人公の一人であり、学園都市最強の超能力者(レベル5)である一方さんなら文句無しですし、場所的にも他に被害者は出ませんからね。そもそも最初からX BURNERは一方さん戦まで取っておこうと思ってました。
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