考えたら色々と面倒臭いので、黄金錬成同様、ツナと獄寺はこの世界の人間ではないので入れ替わりの対象外となります。しかし、他の人同様、気付きません。もしかしたらツナは超直感でちょっとした違和感は感じるかもしれませんが。
「認識のみに影響を受けている」感じですかね。
適当に作った設定です。穴があったりしてもスルーでお願いします。
今章のテーマ曲は悩みましたがアニメリボーンのOP5「last cross」です。
-8月28日
上条とインデックスが学園都市の外に海水浴に行った翌日、ツナは上条の住む学生寮……それも上条と同じ階の住人達だけが何だか騒がしい事に気付いた。
「あ、この荷物お願いしまーす!」
と言うのもツナと獄寺が居候している上条の部屋とその隣の土御門の部屋以外に何かの業者らしき人達が数多く出入りを繰り返しているのだ。
「どうしたんですか?」
ツナは土御門とは逆側の上条の隣の部屋の住人に詳細を尋ねてみる。一応この一ヶ月間で上条の寮の住人達とは顔合わせを済ませてはいるのだ。
「お?沢田君だっけか。いやな?なんか学校からもっと広くて安くて設備も良い寮に移らせてくれるって通知が来てさ。しかも費用は全部学校持ち!抽選でこの階の上条と土御門以外の奴らがその権利を貰えたんだ。で、みんな揃ってそっちに引越しってワケ。うるせーから上条には内緒な?」
(ナチュラルに当麻君と土御門さんハブられてない!?)
抽選……というからには意図して上条と土御門がその権利を貰えなかったわけではないのだろうが、その二人を除くこの階の住人全員がそれを勝ち取ってうるさそうな上条のいない間に引越しをするという事実になんだか上条の扱いの悪さを垣間見た気がしたツナであった。
「それにしても、当麻君と土御門さん以外みんな一斉に引越しの準備なんて……」
「自分以外の奴らがここより条件の良い寮に移れるって話を聞いたらまた不幸だーってうるさそうっスね」
ここ数日だけで上条の不幸体質を散々目の当たりにしてきた獄寺は自分だけ生活水準が上がる幸運にあやかれずに嘆く上条の姿が容易に想像できた。
その後、獄寺の柵川中学への転入手続きを済ませる為、二人は学校を目指して学園都市の住宅街を歩く。
「手続き終わった後はどうしようかな……」
「そうスね……。何か美味いモンでも食いに行ってみますかね」
獄寺が携帯電話を取り出して検索をかける。何故か異世界の携帯電話でこの学園都市の一般的な内部情報を探れるのかは謎だ。恐らくは学園都市側が何かしらの調整をしているのだろう。
「この辺だとファミレスの他にラーメン屋くらいですかね」
「ラーメン屋にしない?暑いから冷やし中華食べたいし」
「冷やし中華ですか。良いですね!」
この二人は料理なんてちっともできないので上条のいない間は外食をするか弁当を買うかでしか腹を満たす事ができない。自炊ができなければ出費がかさむので結構深刻な問題だ。二人揃って
その事に危機感を覚えつつ、日常生活における親、未来での戦いにおける京子とハル、そしてこの学園都市における上条の有り難みを改めて実感するツナであった。
****
街中を平均よりかなり背の高い中学生の少年が歩いていた。少年は同年代の中でも比較的整った顔立ちをしており、爽やかな雰囲気も醸し出していた。その背には黒い竹刀袋を背負っている。
そんな少年の後方からセーラー服を着た少女が走ってきた。右腕には何やら緑色の腕章を付けている。
「ん?…おっと」
「きゃっ!?」
ドン…と花冠を頭に付けたセーラー服の少女は例の爽やかそうな背の高い少年の背中にぶつかり、少女の方が尻餅を突いてしまう。ぶつかった少年は慌てて少女に謝りながら手を差し伸べる。
「すまねぇ。大丈夫か?」
「あ、はい。こちらこそすみません。私の不注意でした……」
差し伸べられた手を素直に取って立ち上がる為に力を貸してもらう。少年は見た目通りに力が強く、軽々と少女の手を引っ張って立ち上がらせてみせた。
「ハハッ、お互い様だ。気にすんな♪」
「そう言って貰えると助かります……」
実際前方に人がいるのにそちらを注視せずにぶつかってしまった少女の過失だ。ぶつかった相手が性質の悪い不良であれば確実にそれを口実に絡まれていたであろう。気にせず許してくれるこの少年の心意気に少女は感謝する。
少女が立ち上がり、土埃を軽く払うのを見届けると少年はまた歩き出す。
「じゃーなー」
「あ、はい!失礼しましたー!」
歩き去った少年が見えなくなると先を急いでいた少女もまた目的地に向けて走り出そうとする。しかし少女は気付かなかった。背後から忍び寄る魔の手に。
「うーいーはーるー!」
その声が聞こえた時、少女の腰回りに巻かれた布ーーースカートが捲れ上がった。
「きゃあああっ!?」
涙目になり、赤面しながらスカートを抑えようとする少女。そしてスカートを捲り上げた下手人ーーー黒髪セミロングの少女は満足気に頷きながらスカートの中身……花飾りの少女、初春飾利の下着の色と柄を口ずさむ。
「今日は淡いピンクの水玉かぁ……これ前にも見たような?」
「な、何するんですか佐天さん!!」
スカート捲りの犯人ーーー佐天涙子に涙目で抗議する初春。しかし彼女が初春のスカートを捲って下着を確認してくるのはいつもの事なので結構無意味な抵抗と言える。それで諦めてスカート捲りを許容できるのかと言えばそんなわけがないが。
「いや〜、初春の親友としては初春がこの非常時にパンツ履き忘れているんじゃないかって心配でさ〜」
「ちゃんと毎日履いてます!」
「ところで今の人すっごいイケメンだったよねー!なんか爽やかな感じで人当たりも良いし!」
「話を逸らさないで下さい!大体佐天さんはいつもいつも……」
あまりにも露骨に話を逸らす佐天におかんむりな初春だったが、いつものように文句の一つでも言おうとする途中で言葉を詰まらせる。
「あの人、剣道部か何かかな?あの袋って竹刀入れる奴だよね?…ってどしたの初春?」
「……そういえば今の人、何処かで見たような……?」
佐天が話に挙げたぶつかった少年の顔に何故か見覚えがあった初春だったが、今は急ぎの用があった為、一旦それを忘れてそちらに頭を切り換え、先を急ぐのであった。
****
学園都市第七学区に並び立つビル。その内の一つ、屋上にてある集団が屯しており、上から学園都市の街並みを見下ろしていた。
総勢四名。しかしその四人はこの学園都市の治安維持組織と呼ぶには少々異質な空気を醸し出していた。
その四人の中で唯一の眼鏡をかけたおかっぱ頭の男は他の三人に先程から気になっていた事を問いかける。
「土御門はどうした」
「さぁ?なんか外で魔術関係のトラブルがあったんだと。そっち行ってんじゃね?」
それに答えたのは金色の髪を持ち、前髪で目元を隠した男だった。頭にかけたティアラのような髪飾りが特徴的だ。
それを聞いて腰に四本の剣を下げたの男が不機嫌そうに顔を顰める。
「……」
「ま、いなくていーんじゃね?あいつ胡散くせーし、信用できねーし?魔術も使えなくなってんだから戦いじゃ役に立たねーよ」
「左様でございます。あのような無礼で低俗な輩を宛にする意味も必要性もございません」
「全くだ。所詮は魔術関係からこの街に潜り込んだスパイだろう。魔術方面に関する情報提供以外に奴の価値などない。許可さえ降りればすぐにでも始末してやるものを」
色黒の大男とおかっぱ頭の男が金髪の男の意見に同調する。話題に挙げられた男、土御門元春は彼らからの印象はあまり良くはないらしい。少なくとも大義名分さえあれば躊躇いなく始末しようと思われるくらいには。
「なんかこの街の暗部も派遣するとか言ってたなー。けど、沢田綱吉は
金髪の男は心底怠そうに座っていた玉座の背凭れに寄りかかり、体勢を崩す。
「データも確認しましたが
「時間稼ぎ程度に役立ってくれればラッキーと言ったところか。できるとは思えんが」
「だな。つまり奴らとまともにやり合えんのはやっぱ俺達しかいなくね?しししっ♪」
話が纏まると金髪の少年が装着するリングから、赤い炎……嵐属性の死ぬ気の炎が出た。
剣士の男はリングから藍色の炎、霧属性の炎を出してから他三名に今回の作戦の最終確認を取る。
「まずは俺が行く。手筈通りに頼む。奴が割り込んで来ればどうせ俺に挑んで来るからな。その前にある程度仕上げておくぞ」
****
柵川中学にて獄寺の転入手続きと山本達の住居の相談の後、昼食を済ませたツナと獄寺は本格的にやる事をなくしていた為、適当に学園都市の中をぶらついていた。平和で良い事ではあるが、こうも見知らぬ土地では遊びに行くのも一苦労だ。
そうして第七学区の大通り、交通量の多そうな交差点に差し掛かったツナと獄寺の足が止まる。理由としては今この場の光景が異常だったからに他ならない。
「……誰もいませんね」
「うん……。どうしてだろ?」
そう。夏休みの日中だというのに今二人がいる交差点には車の一台も走っておらず、停車もしていない。その上人っ子一人もいやしないのだ。獄寺の言葉通りツナと獄寺以外の誰もいなかったのだ。
獄寺は周囲を警戒する。流石にこんな状況はまずあり得ない。情報規制などの何らかの方法で自分達が隔離されたと考えるべきだ。
だがツナにはこの状況に心当たりがあった。学園都市に来てから二度、似たような状況を目の当たりにした事がある。一度目はインデックスの記憶喪失を理由を知った日。二度目は三沢塾に潜入する事になったあの事件の日。
「もしかして……人払いのルーン?って事はステイル!?」
「例の魔術師ですか…!」
そう。ステイル=マグヌスの使用する人払いのルーン魔術。それを使えばこの大都会でもこんな大通りを無人状態にする事が可能だ。
また何か魔術関係で厄介事を持ち込んできたといったところか。しかしそういった用件に強く、豊富な魔術知識を持つインデックスと超能力、魔術問わずに異能の力を問答無用で打ち消す
だが本当の不自然はここからだった。
いくら待ってもあのルーンの魔術師が姿を現す事はなかった。
「……あれ?なんで出て来ないの?……ステイル?」
「もしかして隠れて様子を伺ってるんスかね?10代目に対して殺害予告まで出したヤローですし、妙な事するってんなら俺がここで果たしてやります!!」
お馴染みのダイナマイトを手に周囲を見回す獄寺。相手は炎の魔術師でもあるのでダイナマイトはあまり相性の良い武器とは言えないが。
『違う。ステイル=マグヌスは現在この学園都市にはいない。ここは俺が作った幻覚空間だ』
上空からエコーのかかった音声が響いた。それによって告げられた内容はツナと獄寺の想定を根底から覆すもの。そして同時にこの状況が術士によって作られたものだと判明した。
「……っ!確かに霧の炎を感じる!!」
「クソッ!幻覚見破んのは苦手だっつーのにもう嵌められてたのかよ!!」
ツナも獄寺もここでようやく死ぬ気の炎の感知に気を回して霧の炎の炎圧を感じ取ると戦闘態勢に入る。
「ちっ!瓜!
獄寺は舌打ちしながらも即座に己の
ツナも迷わず死ぬ気丸を呑んで
二人が警戒を強めると周囲の景色が変化していく。塗り替えられていく。その景色にツナと獄寺は見覚えがあった。
「10代目、これは……」
「ああ……間違いない」
ツナも獄寺もこの景色を良く知っている。仲間達を守る為に、平和な過去に帰る為に激戦を繰り広げ、死線を掻い潜り、敵と戦い抜いたミルフィオーレファミリーのアジトの一つ。
メローネ基地。
あらゆる意味で忘れられない場所だった。
しかもここはX BURNERを完成させた直後、10年バズーカの効力を停止させていた白い装置を目指して高速で滑空していた場所だ。
「なんでこんな光景を……!?」
「10年後の未来での戦いを知っているって事ですかね……」
沢田綱吉の身に流れる
この幻覚空間を作った者を己は知っている。そしてこの幻術の主は、敵はすくそばに……
(いる……!!)
そして幻覚によって姿と気配を消してはいるが、確かにツナの背後にそいつはいた。腰に下げた剣を一本鞘から引き抜き、大きく振りかぶってツナへと斬りかかる。その瞬間に幻術を一部解き、姿を現す。
(ようやくこの時が来た。……ボンゴレ!!)
直後、ツナは後ろを振り向いた。
振り向いた背後から迫る剣をツナは間一髪、Xグローブの甲で受け止めた。重い剣圧と鋭い太刀筋に少しだけ押されながらも耐えて完全に止めてみせる。
しかしツナの目は驚愕に染まっていた。その一太刀の凄まじさに驚いたわけじゃない。その剣を振るった者の顔を見て驚いたのだ。遅れてツナと同じ方向を向いた獄寺もその下手人の容姿を見て愕然とする。
「流石だな。超直感は健在か。だがこれはあくまで挨拶代わりだボンゴレ」
「マジかよ……」
「お前は……幻騎士!?」
10年後の未来にて、ミルフィオーレファミリー最強の剣士として何度もツナ達の前に立ち塞がった霧の術士にして四刀流の剣士、幻騎士。その
吸血殺し編の前に出た時からバレバレでしたね。