ネトゲ系主人公他が大変雑に異世界に放り込まれたようです   作:ぱちぱち

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思い付きを書きなぐったので大変雑な仕上がりになってますご了承ください

1日経ったので匿名解除。思った以上に見てもらえてよかった。

誤字修正、あんころ(餅)様ありがとうございます!


大変雑な異世界に放り込まれたらしい

 頭痛と眩暈になんなら気持ち悪さもプラスしたような最低の気分だった。

 最初は友人に誘われて参加した『The World』。初めてプレイした日に起きた怪現象……意識不明の未帰還者になった友人ヤスヒコ。

 自分を救ってくれたアウラに与えられた腕輪。冒険を助けてくれた仲間達。

 走馬灯のようにそれまでの冒険が頭を過り、ふっと全身を貫く不快感が消え去り――

 

「……ここは、どこだ?」

 

 鼻を擽る様な草の香りに、カイトの意識は現実(リアル)へと戻ってきた。

 

「よう、目を覚ましたか」

 

 起き上がり、周辺を見渡すカイトに背後から声がかかる。慌てて立ち上がり背後を見やると、そこには自分と同年代位の少年が立っていた。

 黒いコートに身を包んだ彼は、驚くカイトの様子に苦笑を浮かべると敵意がない事を示すように両手を上げる。

 

「あ~、まぁ警戒するなよって、言っても難しいか」

「君は……」

「キリト。これ以上近づかないから、少し話そうぜ」

「……わかった。僕は、カイト」

 

 両肩の剣に目を向けるカイトにさもありなん、と頬を引きつらせてキリトは両手を下す。

 現実世界にもし彼のように2本も剣を抱えている奴がいれば通常は警戒する。当然のことだ。

 そして、そんなカイトの態度に彼がこの場に放り込まれたばかりだと確信を抱き、キリトは口を開く。

 余計な乱入者(クソ馬鹿野郎)がやってくる前にある程度話しておかねばいけないのだから。

 

 

 

「そんな、バカな」

「俺も同じように思ったし同じ事を言ったよ」

 

 この世界(ここ)についての話を進めていく内に怪訝そうな顔つきから詐欺師を見るような視線に変わってきたカイトに、キリトは頬を掻きながらどう説明していくべきかと頭を巡らせる。

 彼の存在は、自分や仲間達にとっても死活問題。正直ついてきて貰えなければ非常に困るのだ。

 

「まぁ、落ち着いて考えてみてくれ。周囲を見て、ここが日本のどっかだって思うか?」

「……それは、難しい、けど」

 

 周囲――木々に囲まれた森を指さしてそう言うキリトに、カイトは不承不承といった体で頷いた。

 何故か鋼鉄で出来たそれらの木々は、その鈍色の樹肌で日光を反射し、深い森の中であるというのに不思議と周囲を明るく照らしている。

 鋼鉄の樹肌……である。

 少なくともカイトの知る現実世界のどこにも――それこそ無限とも思える『The World』の世界のどこかにはそんな場所もあるかもしれないが――存在しない代物である事は一目瞭然だった。

 カイトの表情を見ながら、キリトは再び。受け入れきれないカイトに理解できるようにゆっくりと、先ほどと同じ説明を繰り返す。

 

「信じがたいかもしれないが……ここは現実世界(リアル)だ。でも、俺たちの世界じゃない」

「……そう、……だね」

 

 キリトの言葉に頭を悩ませるように眉を寄せ、帽子を脱いで(・・・・・・)頭をかいた。

 そう、これだ。この帽子を脱ぐという行為。

 自分の記憶ではデータでしか存在しなかったはずの帽子の肌触り、重さ。それらがカイトを悩ませる。

 なんなら自分が来ている服や、グローブ。そして、意識すれば取り出せる双剣。それら全てから感じる確かな質感。

 これこそが全てを物語っている。

 このアバターは『The World』で自分が使用していたカイトの物だ。

 だが――『The World』には5感なんて機能は実装はされていなかった。

 それに近いような物は存在していたが。

 

「へぇ、自由に取り出せるんだな。それがそっちのシステム(・・・・)なのか」

「うん。あと、スキルやアイテムも使えるみたいだ」

「そりゃ良い。戦力になる奴なら大歓迎だよ……俺らも余裕がないからな」

 

 感心したようなキリトの声に頷きながら、彼に目を向ける。

 一時の混乱が収まってくると、今度は他の事が気になってくるものだ。

 彼の格好を見る。黒いコートに肩に担いだ2本の剣。自分と同じく双剣使いなのかと思ったが恐らくは違う。少なくとも彼のジョブは自分と同じ『双剣士』ではないだろう。

 いや、同じ『The World』とはまた別のゲームのアバターの可能性もある。現に彼は幾度となく「そちらの」という言葉を使っている。

 ここから推測できるのは恐らく自分と彼以外にも似たような境遇の者がいて、彼はそちらや自身と己を比べているのだろう。

 

 つまり、だ。

 

 今現在彼は、何故か自分本来の体ではなく自身がゲームでプレイするアバターのカイトの中に精神を同化させ、そして縁も所縁もない少年を命綱に良く分からない世界の森の中を歩いている、という訳だ。

 

 ここまで考えて己の絶望的な状況を思い知り、カイトは深く息を吸い込んだ。深く、深く……そして、吐き出す。

 いきなり深呼吸を始めたカイトにキリトが怪訝そうな表情を向ける。懐疑の視線、これはいけない。彼との友好関係は先ず最優先でキープするべきだ。頭の中でスイッチが切り替わる。

 同年代である彼とは話しやすいだろう。まずは彼の言う仲間達の人物を把握し、その上で自身の役割を決める事だ。キリトは話す限り善良な人格のように思える。仲間達という人々がどのような人間か分からない以上彼との関係性は重要だ。

 大丈夫。いつだって諦めなければ乗り越えることが出来たんだ、どんなに絶望的な状況でも。それがまたやってきた、それだけの話だ。

 

「ごめん、ちょっと頭が混乱していたから」

「ああ、いや。良いよ、俺もそうだったから。俺たちが拠点にしてる場所まで少し歩くから、ちょっと考えを纏めてても大丈夫だ」

「うん、ありがとう。でも大丈夫だよ、それよりも余裕がないって言ってたけど」

「ああ、それは――」

 

 二人がその場から飛んだのはほぼ同じタイミングだった。

 

 ズバンッ、という乾いた破裂音の後。彼らが先ほどまで自分が立っていた場所を見ると……土埃の中から大きな、人一人は楽々と入りそうな穴が開いているのが目に入った。

 双剣を取り出していたのは恐らく反射のなせる業だろう。カイトはとっさにアイテムから騎士の血――物理防御力を一時的に引き上げるアイテム――を取り出し、自らへ振りかける。

 

「キリト、バフアイテムだ!」

「! 了解、頼むっ」

 

 叫び、投げる動作をするカイトにキリトは一瞬身構え、躊躇しながらも了承の叫びを返す。投げつけられた血液の入った小瓶に眉を顰めながらもそれを自らに振りかけ、バフがかかったという実感を感じる間もなく残った小瓶をキリトは前に向かって投げつける。

 

 それを剣ではじき返して、それは表れた。

 

「ちっ……索敵漏れてんじゃねーか」

「なんだ、こいつは」

 

 悪態をつくキリト。目を見開き、目の前の異物を凝視するカイト。共に目の前の存在に対して脅威を感じながら、二人は剣を構える。

 

 それは、異形だった。

 大きな体は人体のような形をしているが人間よりもはるかに大きい。恐らくは3、4メートルはあるだろうか。その肉は緑色で、ぶよぶよとうごめいているかと思えば鱗のような皮膚になっている場所もある。

 極めつけは眼だろう。本来なら目がある筈の顔の部分には代わりに触手のような物が生えており、それはキョロキョロと周囲を見回すような動作を繰り返している。

 

「……気持ち、悪い」

「だろうな。モドキを見た奴はみんなそう言うぜ」

 

 吐き気をこらえるように呟くカイトに、キリトはそう答える。軽口のような口調だが、その表情は重く、暗い。

 モドキと呼ばれる魔物の中でも、この巨人モドキは強敵だ。一撃の重さが尋常じゃなく、ゲームではほぼ限界まで鍛え上げたキリトのアバターですら一撃貰えば危ういほどの。

 今日、こちらに墜ちてきた(飛ばされた)カイトが実は大出力の魔法を扱えるというなら話は変わるが、それを確認する前に面倒な手合いに遭遇してしまった。

 

「カイト、こいつは出来れば魔法か何かでぶっ飛ばすのが一番だ!」

「つまりそれが無ければ?」

「気合だな」

「りょうかい……きたっ!」

 

 モドキと呼ばれたソレは右腕をぶゆぶよと動かしながら変形させ、槌のような形にした後。その巨体からは信じられないほどの速度でカイトに向かって走り始めた。

 思った以上の速度。だが、対応できないほどのものではないそれにカイトは動きを合わせる。振り下ろし、そしてそのまま巨体をまっすぐ倒れこませての押しつぶし。

 自身よりも巨大なモンスターとの戦闘経験はリアルとなった現状でもカイトの血肉となって動いてくれる。

 すれ違うように身をかわし、足を双剣で薙ぐ。バランスを崩した所に交差した剣を突き立て、切り飛ばす。

 直後、彼は背後に大きく後ずさる。

 切り飛ばされた足の断面から自身に向かって伸びる触手に気づいたからだ。

 

「ナイス! 援護入れる必要はなさそう、だな!」

 

 そう言いながらキリトは懐から小瓶のような物を取り出し、カイトが切り裂いた断面に向かって投げつける。

 

「火炎瓶だ、破片に気をつけろ!」

「なんでそんな物」

「焼かねーといつまでも再生するんだよ!」

 

 キリトの叫びを理解した瞬間にカイトは身を翻してその場から離れる。直後、背後で爆発音。とっさに身を地面に投げ出し、カイトは爆風から身を守った。

 

「すぐに復活するぞ!」

「あーもー、こいつ嫌いっ!」

 

 両手に剣を構えたキリトがそう言ってモドキに向かって剣を振るい始める。地面から飛び起きたカイトは周囲の状況を見回し、モドキが起き上がろうと両手を地面についているのを見て取ると、即座にその手の腱に当たるだろう部分に斬撃を加える。

 

 カイトはちらりとキリトに目をやると、彼もカイトの言いたいことを察したのだろう。反対側に回り込み、そちらの手に攻撃を加えてくれる。

 モドキは両手に攻撃を加えられて耐えられなかったのだろう、再び地面へとその体を横たえる事になった。

 咄嗟の連携であったが、上手くいった。互いに熟練のプレイヤー、戦士であった事が大きいだろうが……後は再生に気を付けて、

 

「圧倒的にまずいからどけっ!」

 

 背後から飛んだキリトとは違うその声にびくり、と体を震わせ――

 

「あ……」

 

 自身に向かって行われている、攻撃のモーションへの反応が一歩遅れてしまった。

 モドキの体が槍状に変形し、真っすぐにカイトに向かって猛烈な速度で伸びてくる。だが、一瞬。ほんの一瞬だけ硬直してしまったカイトの体はその動きに反応できなかった。

 己を貫かんとする長大な肉槍。ゲームであればHPがあれば助かった。では、今は? これを受けて自分は生きられるのか。先ほどの穴は。死。

 様々な考えが頭をめぐり、そして。

 

 黄金の鉄の塊が、カイトの前に立ちふさがるように現れた。

 

 ズガンッ

 

 まるで城に破城槌をぶつけたかのような轟音。真後ろに居たカイトまで身震いするそれに、受けた本人は小揺るぎの一つもせずに盾を構えたまま佇んでいる。

 騎士、だろうか。彼の知る騎士、バルムンクを思わせる佇まい。それに、白い髪……バルムンクと違うと言い切れるのはその髪の長さと、特徴的な長い耳だ。

 

「エルフの……騎士?」

 

 カイトの言葉に騎士は意識を前に向けたままちらり、と後ろを振り返る。

 端正な顔立ちの男だった。肌は浅黒く、長い耳。ダークエルフとか、そういった種族なのだろうか。年のころは20から30の間の青年に見えるが、エルフという事は実年齢が幾らなのかは想像もできない。

 いや、もしかしたらカイトやキリトのようにこの世界の漂流してきた、ゲームのアバターを持った人なのかもしれない。キリトも数名の仲間が居ると言っていた。もしや彼も。

 

「あ、ありがとうございました!」

「気にするべきなお前を守ったわけじゃない。守ってしまうのがナイト」

「……あ、はい?」

 

 カイトの礼に対してエルフの騎士が答えるも、良く言葉の意味が分からずにカイトは曖昧な笑顔を浮かべたまま困ったように首を傾げた。

 そんなやり取りの中もモドキはうねうねと触手を操り彼らに対して攻撃を仕掛けてくるが、モドキ狩りに慣れているキリトはすでに距離を取っており、またカイトのそばに居るエルフの騎士はカイトと自身を盾と剣を用いて守り切っていた。

 

 そろそろ、頃合いだろう。エルフの騎士は木々に隠れて見えない上空に目をやり、背後に居る少年に優しく声をかける。

 

「お前俺を後ろから離るるなっよ」

「え、あ、はい! 離れません!」

「それで良いお前は本能的に長寿タイプ」

「あ……ありがとうございます?」

「おう目を閉じろ」

「へ?」

 

 カイトの返事に満足げに騎士が頷き、そして唐突に目を閉じろと言いだした事にカイトが思わず呆気にとられた時と。

 辺りを強烈な光が包み込み吹き飛ばすのはほぼ同じタイミングであった。

 

 

 

「えっ、この子新しい子なの!?」

「そうですよ……どうすんですかモモンガさんまたいきなり吹っ飛ばして」

「えぇ~。これ、俺が悪いの?」

「仏の顔を三度までという名セリフを知らないのかよ」

「「お前が言うな」」

 

 余りの光量と衝撃に気を失っていたカイトは、周囲のけたたましい程の喧しさに意識を取り戻した。この世界に降り立った時に匹敵する頭痛に思わず頭に手をやり、帽子がどこにもない事に気づく。

 あれっと周囲を見渡すカイトの目の前に、すっと煤や埃で薄汚れた彼の帽子が差し出された。

 

「あ……ありがとうございます」

「いやちょとアドバイスが遅かったからな」

「いえ……僕も油断があったので。生きてるだけめっけもんですよ」

「……今度の子すっごく良い子じゃない?」

「これは当たりですね」

 

 騎士の後ろ側で魔法使いらしいローブを付けた……骸骨? と眼鏡を付けたこちらもエルフだろう青年がぼそぼそと話し合っているのをしり目に、汚れた帽子をパンパンと叩いて被り直し、カイトは立ち上がる。

 

 周囲を見渡す。先ほどまで鬱蒼とした森だった場所は今や開けた広場のようになっている。文字通り、粗方吹っ飛ばされたのだろう。こんな惨状の爆心地に居たというのに頭痛がする程度で済んでいるのは、恐らく目の前に立つ彼のおかげだ。

 

「情けない所をお見せしてすみません。そして、ありがとうございました」

「気にするな俺は気にしない」

「あはは、はい。僕はカイトです、よろしくお願いします」

 

 すっと右手を差し出す。少し気難しい風に見えるが、彼の行動には一貫して気遣いの色が見えた。善良な人物なのだろう。言語は少し分からないが、そういう方言なのかもしれない。

 カイトの差し出した右手をじっと眺める騎士。彼は難しそうに眉をひそめた後、そっとカイトの右手を取った。

 

「俺はブロんトだよろしくカイト」

「あ、はい。ブロントさん」

「お前は長寿タイプ間違いない」

 

 カイトの返事を聞いたブロントは眼を細くした後。ふっと笑って彼の頭を帽子ごとぐりぐりとなで始める。

 ちょ、止めてくださいよと悲鳴を上げるカイトをしり目に、普段はちょっかいをかけられる担当であるキリトが安堵のため息をつき。

 骸骨と眼鏡が「これはもしかしたら数少ないブロントのストッパーが?」と熱く期待する中。

 大変雑に混ぜ込まれた彼らはまた一人かけがえのない仲間を手に入れ、今日も大変雑な世界を生き抜いていくのでした。

 

 

 

「ところで喉が渇いたな。どこか水場に」

「あ、それなら僕のアイテムボックスにジュースが」

「9本で良い」

「えっ?」

 

 

終わり。




一人だけ主人公じゃないって言われるかもしれないが主人公他となっているので嘘じゃないです(キリッ)
やろうと思いついてから半日くらいで書き上げたのでところどころ無理くりな所があると思いますが仕様です(土下座)

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