貴方ちゃんの名前決まったのでそっちに変えようかなかとも思ったんですが、Aqoursとかもあるので……ね?
抱き着いた時に感じる彼から漂う汗の混じった男の子の特有の馨しい匂い。
照れて離れようとする彼も可愛かったが、もっと彼に抱き着いて居たかった。
彼に惹かれたのは、いつからだろうか
最初は、よく”気の回る人”というイメージだった。
私たちの悩みなどに同性の私たちより素早く気づき、隣にいてくれる。
歩夢先輩に聞くと、先輩は昔からそんな感じの優しい人だったらしい。
だから、よく皆に慕われていたと嬉しそうに語ってくれた。
私はその彼の優しさに惹かれた
しかし、周りには敵が多すぎる
彼の幼馴染はもちろんの事、他の子も彼の事が好きだった。
だから彼の優しさを私たちに向けてくれる愛を独り占めしたいと思ってしまった。
傍から見たら何とも幼稚な感情だと思う。
でも自分で自分の感情が抑えられないのだ。
彼が歩夢先輩と仲良くしているのを見ると
かすみさんを揶揄いながら話しているのを見ると自分の中のどす黒い感情が蠢くのだ。
『あいつらは邪魔だ』と。
私のモノにしたい。
"私だけ"のモノにしたい。
奏斗さんを自分だけのモノにした時、どれくらいの幸せを私は得る事が出来るだろう。
そっと、ペロリと私は舌なめずりをした。
獲物を見つけ、捕まえんとする蛇の様に。
***
僕は、1人自分の部屋であの時のしずくの恐怖に怯えていた。
あの僕に異常に執着していて、深い深淵の様な瞳。ずっと見ていたら、吸い込まれそうな。
あの時のしずくはなんだったのだろうか。
いくら考えてもその答えは出なかった。
「奏斗君?」
「うひゃぁ!」
「わぁ! びっくりした。急に大声出さないでよぉ~。私も驚いちゃうから」
「ごめん、歩夢」
いつの間にか歩夢が、部屋に入ってきていた。
いつもはノックするのに……
「ノックしても気づかなかったし……」
「あ、ごめん。考え事してて」
「何か困り事? だったら私に相談して欲しいな。何か力になれると思うから」
少し迷った。素直に言えば、解決策も分かるかもしれない。
でも、迷惑は掛けられない。
あの時のしずくからは、周りも躊躇なく傷つけそうな、そんな雰囲気を感じた。
「特に対した事じゃないよ」
「そっか…………何か困った事あったら私にちゃんと言うんだよ? 貴方の事なら何でも知っておきたいの」
「わかった」
だから、誤魔化した。心配をかけないように。
その後は他愛もない話をした後、何事と無かったかのように自分の家へと歩夢は戻っていった。
***
今日も今日とて精一杯練習をする日々。
皆、汗を流しながら自分の事を一生懸命にやっている。
そして、区切りのいいところで切り、休憩を促す。
こちらもドリンクやタオルの準備を終え、壁に寄りかかりながら休憩を取る。
そしてふと思い出されるは、先日のあのしずくの豹変した出来事。
いつもの彼女と違うこちらが圧倒されてしまう雰囲気を持っていた。
「先輩、今日もいいですか?」
目の前に汗をタオルで拭きながら訪ねてくる頭を悩ます種のしずく。
ついつい身構えてしまう。
「演技の練習、今日いいですか?」
「あ、あぁいいよ」
***
そして来てしまった。その時が。
本音は来たくはなかったけれど、だからと言ってサボるのは良心の呵責に耐えられない。
いつもはガラガラと軽やかな音を立てて開く扉が重々しく感じられた。
「先輩! 来てくれたんですね!」
「ま、まあな」
前の事が無かったように彼女は眩しい笑みを浮かべて、こちらを見ていた。
1歩、また1歩と笑みを携えてこちらに来る。
急にまた怪しい笑みへと変わり……
「私、欲しくなっちゃいました」
「何を……?」
もう練習を始めたのだろうか。でも何となく嫌な予感がする
「奏斗さん、貴方です……♥」
彼女は後ろに手を回し、何かを取り出した。
何かを僕の身体に当てると、それが僕の身体に電撃を打った。
「スタン……ガン…………?」
ビリビリと身体が痺れ、薄れゆく意識の中で見たのは、事情を知らなかったら惚れてしまいそうな満面の笑みを浮かべるしずくだった。
***
……そうだ。こうやって僕は今ここにいるんだ。
状況確認の為、改めて周りを見回しても気味の悪さを感じる薄暗さで、なんとも不気味だ。
そんなことを考えてるとコツコツと足音が近づいてきた。
ぎぃ……と重々しい音を立て扉が開かれる。
扉から零れた光を受けて立っている彼女は、もしかしたらこれも練習で、すぐに、ここから出してくれるかもしれないという希望の天使にも見えたし、その希望の前に立ち塞がる悪魔の様にも見えた
「目が覚めました?」
「しずく…………?」
彼女は前の時と同じく、負の感情が渦巻いていた。
目は黒く淀み、深淵を表しているかの様でずっと見つめていたら吸い込まれてしまいそうな瞳。
そこに嫉妬や支配欲等がごちゃ混ぜになって淀みとなって目に現れていた。
「これを解いてくれないか」
それでも一縷の望みを掛けて彼女に助けを求めた。
「それだと私の努力が無駄になっちゃうじゃないですか」
冷たく彼女は言い放った。
しかし、急に優しく微笑むと彼女は手を広げ、こちらに近づいてくる。
後ろに下がろうにもベットに綴りつけられているので動けるわけが無い。
「かわいい……♡」
ぎゅっと僕を抱き締めた。
「ここで私と一緒に過ごしましょ? センパイ?」
***
あれからというもの、僕は彼女との監禁生活が始まった。
食事などの世話はしてくれていた。
そして、彼女はただ僕の縛られているベットの向かいに座りただこちらを幸せそうに眺める。
なんとかしてここから出られないものか。
必死に考えを巡らせる。
ここはどこだか知らないが歩夢や彼方さん、璃奈などの助けをどうにかして呼べないだろうか。
しかし、こういった事を考えると彼女は決まって、椅子に座りながらダムダムと足を踏み鳴らし、トムトムと何かを叩き出す。
それは三十秒ほど続いただろうか。
感極まった時に言葉を反復するものだが、これも反復句の様なものだろうか
まるで、催眠に掛かった様にリズムを刻むことで意識の働きや思考を意図的に消してくる。
「逃げ出そうとしてますね♪ 無駄ですよ」
心を覗いているかの様に彼女は僕の心を言い当ててくる。
「私、分かるんですよ。センパイの事なら全部。そして分かりたいんです。先輩の心拍数から食べてる物や姿、瞬きの数や呼吸の回数まで」
さもそれが普通かの様に演説する彼女
「何で…………」
「だって、本当に心の底から愛しているのは私ですから。これからきっと分かりますよ!」
これから僕は下手すりゃ一生出れないのかもしれない。
僕は希望と一緒に瞼を閉じた。
次回のヒロイン未定
最近のマイブームは1984年っていう小説です。くそ面白い。なのでその要素が少し入ってたり入ってなかったり……