Fate/Littered with Fakes 作:湯瀬 煉
「あなたは、なんのサーヴァントなのですか?」
「ん? 見て分かりませんかねぇ…? アサシンですよ」
俺は今、住宅街のうらにある山を降り、俺の召喚者、マスターのもとへ帰る途中だ。
よく分からないが、裏山で野良のサーヴァントを拾ってしまった。
片方は剣士、『セイバー』らしき英霊。もう片方は金ピカの、おそらくはギルガメッシュと思わしき英霊。ちなみにクラスは分からない。アーチャー、という噂を聞いたことはあるが。
「ふん。セイバーが分からんと言っておるのだ。ゴタゴタ言わず答えよ」
というかギルガメッシュ怖い。取りあえず最初は敬って相手の機嫌取りもしてみたが、無駄だと分かって止めた。
「もう答えたから良いじゃん。ネチネチ言うなよギルガメッシュ。って言いづらい! ギルって呼ぶからよろしくな」
「貴様、その距離の詰め方はさすがに戸惑うぞ……」
問題は、この英霊たちが誰とも契約していないところにある。
聖杯戦争。
七人の魔術師と七人の英霊がそれぞれ契約し、聖杯を求めて闘争する、
俺は今のマスターと契約しこの世に顕現している。マスターが死ねば俺も消滅するし、俺が死ねばマスターはまた新たな英霊を召喚する術か、降参する事になる。
さて。誰とも契約していない英霊の危険性についてだが、これには『マスター』になる条件を話さなければならない。
マスターになるには、『令呪』と呼ばれる痣のようなものが必要になる。これは聖杯が与えるもので、コレを持った者のみが英霊を召喚することが可能になる。また、この令呪は3画あり、1画につき1回、英霊に強制命令権を得る。
さて、これは英霊を失ったマスターで英霊を失い令呪を持ったままの時がある。その場合、別の英霊と契約を結ぶことが出来るのだ。
こちら側からすれば、それは倒れたと思った敵から襲撃されるということであり、予想外の攻撃となるとなることである。それだけは避けたい。
ギルガメッシュはともかく、セイバーの方は仲間にすれば裏切ることもあるまい。というのが、彼らを連れてマスターの元に向かう理由だ。
「それで、あなたのマスターはどんな人なのですか?」
「えっとね………」
その時だった。
「ギル!」
ギルガメッシュの後頭部に迫っていた矢を、小刀で切り落とす。
「貴様何を―――」
「敵襲だ!!」
「アーチャーかっ!」
俺とセイバーがそれぞれの武器を取り出すと同時に、もう一矢。
「シッ」
が、しっかりと構えたセイバーがそれを素早く落とす。
『直感』、というスキルがある。
その名の通り、直感的に相手の攻撃などを察知する事が出来るスキルだ。
俺はこのスキルのランクが規格外に高いらしく、ほぼ未来予知のように攻撃を観ることが出来る。
さっきはそれで『直感的に』ギルガメッシュに向かって飛ぶ矢を察知し、たたき落としたのだ。
「くそ……どこだ?」
攻撃した場所さえ分かれば、敵を追うことは可能だろう。だが、相手は全英霊中最高射程のアーチャー。さすがに俺では目視できない場所にいるようだ。
「よろこべ雑種。
ぞっとした。
俺が驚いて後ろを見ると、怒りで顔をヒクヒクさせているギルガメッシュがいた。そして、その背後の空間は黄金に輝き、歪みだす。
「死ね」
黄金の砲弾が撃ち抜かれのかと思った。
彼の背後から射出された槍や剣が、空中に金色の線を描きながら山の近く、俺達からは視認こそ出来るものの、詳しくは分からないような場所にあるビルへ飛んでいった。
敵アーチャーはビルの屋上に居たようだ。
どうやら先程の攻撃は仕留め損なったようで、少しずつ場所を変えながらギルガメッシュは黄金の武具たちを射出し続けている。
「Wow……。こりゃあ……俺の出番は無いか」
そう思った矢先。
予感がした。
矢が飛来する。
俺がギルガメッシュに当たる前に気付きソレを斬る。
矢が爆発して三人とも軽傷を負う。
衝撃と驚きで動けないところに矢が飛来し戦場は混乱。
なんとか撤退。
もしくは、プライドが許さず最後まで残ったギルガメッシュの重傷。
「うりゃぁぁっ!!」
俺は駆け出し、飛んできた矢を斬る。『直感』通りそれは爆発したが、セイバーとギルガメッシュにはなにも影響は無い。
「奴め、爆発する矢を撃ってきやがった!」
「ふん。ついに顔を出す気になったか」
俺が叫んだあと、ギルガメッシュがぽつりと言う。
なにが? と言うよりも先に、ソレは口を開いた。
「黄金のアーチャー……? なんだお前は? まあ、いいか。些細なことだ」
荘厳というよりかは、爽やかさのある、良く響く声。
「ようアサシン。お友達と仲良くしてたところ悪いな。世界はお前の敗退を選んだみたいだ」
「……アーチャー」
今次聖杯戦争のアーチャーが、そこにいた。
「誰が、敗退するって? 厨二野郎」
「お前だよお前。こちとら三大騎士クラスだぞ? そんでもってお前らアサシンは対サーヴァントに関しては最弱だろ?」
いや別に裏かけば負けないんだが。
だがまあ、奴の言うことも間違いじゃ無い。剣を扱うセイバー、槍を扱うランサー、弓を扱うアーチャーは『三大騎士クラス』と呼ばれ召喚できるサーヴァントでも最強格といわれる。一方アサシンは、隠密行動特化で、まあ…正直基本的に戦闘にはあまり向いていない。というか、戦闘向きな奴は多分暗殺者やってない。
その分、人の裏をかき奇襲、かつ一撃で倒せるように訓練したのがアサシンクラスだといえる。
一撃で。コレが大切だ。
「宝具……」
俺の短刀が輝き、腕の中に収納される。
宝具とは、それぞれその英霊のみに使える、いってしまえば固有技術や固有武器のことだ。まあ、詳しいことは俺も知らないのだが、最後の切り札だと考えてくれるのが妥当だろう。
サーヴァントとは、歴史に名を残した英雄だ。歴史に名を残す、ということは自身の得意分野や苦手、弱点までも後世に残っている、ということ。
英雄の伝説の具象化である宝具は、使えば切り札となるが、自らの真名、人生、つまりは弱点を晒すことにもなる。よって、最終手段とされるのだが。
ここで使わなきゃ、多分負ける!!
「喰らえ――! 『
それに、俺の宝具は、特別製だ。ここで必ず仕留める……!!
俺の右腕は短刀を飲んだ瞬間オレンジ色に輝き、一直線にアーチャーへ向かっていった。
「なんだ…?」
もちろん、アーチャーも突っ立っていない。
魔法による防御を…………。
「は?」
したが、何もなかったかのように、俺の腕は防御を抜けた。
それは、幽霊のように。
『ソレ』はアーチャーの右胸に触れると、俺の元へ縮んで帰ってくる。
「アーチャー。これでお前は負け、だ」
ぐちゃり、という音がした。
それは、俺の右手の中にあったものを握りつぶす音。
「ぐ……は?」
『妄想心音』。この宝具は、触れた人間の心臓を、
人呼んで、『呪腕』。
「……ギル。セイバー。じゃ、帰ろうか」
「え? あ、ああ」
アーチャーとの交戦のせいで帰るのが大分遅れた。
まあ、生きて帰って来れたことだけで十分と考えるべきなのだろう。
「あれー? アサシン。帰ってくるの遅かった、ね?」
「あなたがこのアサシンのマスターか。私は突然この世界に召喚されたものだ。戦力にはなる。だから、せめてここで寝泊まりさせては貰えないだろうk……」
「あ………」
「あ? なんだよマスター?」
「アサシンがついに女を連れてきたぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その…なんだ。ギルガメッシュだっているし……。
ぶっ殺すぞ、マスター。
ハシッシュというのが大麻の正文の一部でして、それを暗殺教団が、暗殺をする前に飲ませていたとかで。大麻野郎ってあだ名があったらしく、それが形が変わって今のAssassinというスペルになったとか。