Fate/Littered with Fakes   作:湯瀬 煉

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アサシンくんの宝具について


第三話 聖杯戦争の開幕 昼の部

 七人の魔術師と、彼らが召喚した七人のサーヴァントによる『聖杯』降臨の儀式にして、争奪戦。

 

 聖杯戦争。

 

 

 

 

 アサシンクラスのサーヴァントとして召喚された俺は、無事に召喚者、つまりマスターの瀬川忠(せがわ なる)の家に帰還した。

 ―――途中で出会った、二人の()()()のサーヴァントと共に。

 

 

「えー…。こちらがアーチャークラスのギルガメッシュ。で、こっちがセイバークラスの………」

「アーサー・ペンドラゴンです」

……まずは紹介せねば、と声をかけたら凄いことが分かったぞ。おい。

「アーサーって、ブリテンの?」

「はい。ブリテンの」

 俺が驚きすぎていて、マスターが呆れたようにじとーと見てきた。

「アサシン……知らないでナンパしたの?」

「ナンパしてねーよマスター。バーサーカーと追いかけっこしてたら居たんだよ」

そうかそうか、といってわすたーは相手にしてくれそうもない。

「俺は瀬川忠(せがわ なる)。よろしくな、アーサー、ギルガメッシュ」

結局俺のマスターは俺は放っておいて、二人とがっちり握手をした。

 

 

 

 

 

「客間は二つくらい空いてるけど、どうする?」

 

この問いに、二人は堂々と答えた。

 

(オレ)は相部屋が良い」

「ぜひ、別々で」

 

…………………頑張れギルガメッシュ。

 

 

 

 翌朝。

 

そんな馬鹿な………。

なんかこう、凄い。

 

「お前は美味しそうに食べてくれて嬉しいよ」

「あのだなマスター! 俺は小食なんだ。食事量で人格を判断するのは良くない!」

 

 にしても、食べる。

 アーサー、すごくたくさん食べる。

 

「ふん。……まあ、悪くない」

ギルガメッシュはギルガメッシュで楽しそうだ。

 

「あ、そうそう。昼は来客があるけど、ギルガメッシュ。だいじょうび?」

「だ…だいじょうび……?」

ギルガメッシュが若干殺気立ったので、アーサーに救援を求めると、彼女はすぐに動いてくれた。

「良いですが。何をするのです?」

「うん。ちょこっと宴会をね」

マスターは脳天気な笑顔で返す。いや、殺気を感じ取ってよマスター。

あ。感じたけどスルーしたのかな?

「ま、ほぼ毎日開いてるんですけどね。……美味しい食事とお酒が出ます」

食事、というワードでアーサーが。

酒、というワードでギルガメッシュが反応した。

 

……君達、分かりやすすぎませんか。

 

「そそ。俺も張り切っちゃうよ~!」

マスターはその反応に満足したように、小さな力こぶを見せた。

 

 

「宴会をする前に聞いておきたいのですが、そういえば、アサシンは、どんな英霊なのですか?」

食事後、俺が皿洗いをしているときにアーサーがマスターに問いかける。

 

これは喜んでるだろうな。

 

想像通り、マスターは非常に嬉しそうに答える。サーヴァントの正体は普通隠すものだが、彼は俺のことを自慢したくてしょうが無いらしい。嬉しいが、新品の玩具を貰った子供のようにはしゃぐのはやめていただきたい。

「あのねあのね!」

「ニザール派のところの『山の翁』であろう。宝具を見ればすぐ分かる」

マスターの自慢話が始まろうとする、その直前。ギルガメッシュが醒めた顔でドヤっとした。顔は呆れたように見せていても声でわかる。

「え? 違うよ」

「……は?」

ギルガメッシュは見てすぐ分かるくらいに驚いた顔だった。

「……俺はジョン・フランク。生前は殺人鬼だった。趣味は歴史探求」

俺が名乗っても二人の英霊は首をかしげるだけだった。まあ、当たり前か。

「まだ、生まれていない英雄だし、知らないのも仕方ないな。そんでもって俺の宝具は」

無為無名の神剣(ジャックス・ゴースト)さ!」

マスター。俺が言うより先に言うなよ……。ま、まあいいか。

「……とまあ、名前の通り『からっぽ』の剣なんだ。なにか伝説があるわけでもない。だが、だからこそなんにでもなれる」

俺この適当な説明だけで理解したらしく、ギルガメッシュが確認する。……自慢げなの、鼻息でわかりますからね。

「つまり、他の雑種…英霊の宝具を猿真似できる、ということか」

「言い方が気になるけど、まあそういうことだ。俺は担い手の大まかな容姿と真名を知っていればその宝具を再現できる。ただ、俺が再現できるのは()()()()()()()()のみ。半神や神や悪魔の宝具は専門外だ」

アーサーはその話を聞くと眉をひそめた。

「それは…なかなか条件が厳しいですね。他の六体のサーヴァントの真名を知らなければ」

ところが、ギルガメッシュの方は先程俺の真名を外して悔しそうにしていた事など嘘のように自慢げな顔で俺の宝具の解説をし始める。

「ところがそうでもないのだ、セイバー。……いや、今はアーサーで良いのか?」

名前を呼べることがよほど嬉しいのか、機嫌よさげに語り出す。

「この雑種は大まかな容姿と真名さえ知っていれば良いと言ったのだ。つまり、本物を見ずして本物を使うことも可能であろうよ。……雑種らしい、下卑た宝具よ。咲夜使った宝具の担い手…『山の翁』も、数少ない、肖像画かなにかでも見た事があるのであろう?」

「……正解」

この人、暴君だったくせにやたら頭が回るなぁ。しかも図星なのが少し腹立つ。

 

 

「邪魔するぞ」

「おー。遅かったじゃん」

昼ごろ。ようやく客が来て宴会になった。

「誰のせいだと思っている…?」

そして、挨拶しに来たアーサーとギルガメッシュは、凍り付いた。

「うん? 昨夜あったな。麗しきセイバーと金色のアーチャーよ」

そこにいたのは、昨夜俺が心臓を握り潰したアーチャーだった。




Fateってなにかと一撃必殺多い気もするよね。
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