Fate/Littered with Fakes   作:湯瀬 煉

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宴会じゃぁぁ!!


第四話 聖杯戦争の開幕 昼の部~その2~

 アーチャーとアーサーとギルガメッシュが居間でくつろぎ、俺とマスターは調理を開始する。

「では、この聖杯戦争では心臓を破壊されても死なぬ者がいると」

「ああ。俺を含め、ランサー、バーサーカーは死なぬ。一度この矢で射抜いたが、なお暴れまわっている」

 盗み聞きながら脳内では心臓を言破壊されてもなお生存する術、それにまつわる逸話をもつ英雄を探し回ってた。たとえば、神と呼ばれる存在なら起こしえるかもしれない。北欧神話を除き、神というものは不死といて扱われている。他には、アキレウス、ジークフリートならば一部不死の英雄として名高い。あとは平将門やお菊などと、死後妖怪と化した日本の英雄もいる。該当するならばそのうちのどれか。

「―――この聖杯戦争、何者かの関与もありうるな。あのアサシンがいい証拠だ」

「……そうか? というかソレどういう意味だよ。俺が裏切るっていうのか、ギル」

ギルガメッシュの話にはさすがに反応した。あの言い方では、俺が裏で何か企んでいると疑われているようでいい気持ちはしない。実際、そういう意図もあるかもしれない。と、思っていたが、彼の口から出たのは衝撃の言葉だ。

「そうではない。むしろ貴様は裏切ることはしないだろう。この(オレ)を裏切ったところで、勝ち目はないということは理解しているはずだ。我が言いたいことは別にある」

「別……?」

ギルガメッシュらしい理由ではあったが信用されていることでも分かったことは本当にうれしい。が、あえてそれははっきり言わず、彼の意見に耳を傾ける。

「本来、聖杯戦争にて召喚されるアサシンは骸骨の仮面をかぶった暗殺者なのだ。だが貴様はどうだ? それらしい宝具は持つが、仮面はかぶっておるまい。少なくとも貴様は贋作のアサシンの可能性がある。それだけではない。我というアーチャー。セイバーまでここに呼ばれているのだ。まぁ、臣下は持たぬがな。此度の宴、なかなかにきな臭いぞ」

出来上がった料理を皿に盛って居間に運びながら、ギルガメッシュの考察について考えてみる。

 

 彼の語った内容はあくまで彼の知る『これまでの』聖杯戦争との差異を話しているものだが、もし俺が偽物のアサシンだとしたら

「……『真のアサシン』か。気を付けてみる」

「うむ。それがよかろう」

 

「はいはい。そんな堅苦しい話はどっかに捨て去って! ご飯食べるぞ!!」

だから今は、この宴会を精一杯楽しむことにした。

 

 

 

 

 俺たちは二日に一回、宴会を開いている。と、いうのも聖杯戦争はあくまで魔術師たちの戦いであり、魔術とは関係ない、マグr……もとい、一般人に知られることはタブーとされる。よって、昼間の戦闘はほとんど起こらない。ならば、いつ襲われるかビクビクするよりも、集まって仲良くしたほうが情報だってポロリするかもしれないし云云かんぬん。と、いうのがマスターの言い分だ。まあ、本心はみんなでワイワイしたいだけだろうが、そこは目をつむっている。情報がポロリしたことはないが、楽しいからである。ちなみに、今は二回目。これまで来たのはランサーとライダー、そしてアーチャーだけである。バーサーカーとは仲良くやれる気はないし、セイバーとは会ったことがないから今はこんなものだろう。

 

「おいしいですね。アサシンは、料理、できるのですか?」

「まあな。独り身だったし」

おい。なんで憐れむような眼でこちらを見るんだ。

「ふん。このような安酒しか知らぬか」

「さすがですわ旦那~」

ギルガメッシュはさっきから、うまい酒をポンポン出してくれるため、アーチャーがガンガンおだてている。いいぞ、もっとやれ。

「そういえば、アーチャーのマスターは何処に?」

「さあな。あの人だけは毎回来ないんだ。だから『単独行動』スキルでこっちに来てんだよ」

 なるほどな。

 

 アーチャーには、『単独行動』というスキルがある。その名の通り、マスターから離れて自由に行動できるスキルだ。場合によっては、マスターとの契約が切れたり、マスターが死んでも二日くらいならば消えずにいられるらしい。

 

「しかし。お前はお前で大丈夫なのかよ、アサシン。お前ガンガン宝具使ってるけどよ」

アーチャーからの質問にマスターはまた自慢げな顔をした。

「大丈夫だ。ウチのマスターの魔力量は頭おかしいからな。というか普通はあれは十二回使えば聖杯戦争勝てるんだぞ。魔力消費が多いのはお前のせいだからな」

「……十二回も使ったら普通倒れるのはお前のマスターが先だからな」

 

 

 そうこうしているうちに夜になり、宴会はあっという間に終わりになった。

 

 

 

 

 

 

 翌日。

俺とマスター、そしてギルガメッシュ、アーサーは、今次聖杯戦争で初めてセイバーに出会った。

もちろん、時は夜。マグルたちにばれないようにひっそりと。

雨の降りしきる人通りのない道路で、俺たちは交戦していた。

 ギルガメッシュとアーサーは彼のマスターを。俺と俺のマスターでセイバーを。と、いってもセイバーと直接対決しているのは俺だけだが。マスターの方は当初、セイバーのマスターの相手をしていたのだが、相手が風使いだだとわかり、正直に後退した。彼とマスターでは『相性』が悪い。

 魔術師とはいえ人間のマスターでは最強クラスの英霊二人ではすぐに片付くかと思っていたが、相手のマスターはなかなかやり手らしく、かなり手こずっている。そしてこちらは―――

 

 予感に従って手を動かす。

「どうしました? 反撃しないんですか?」

「ファック!!」

そうしてセイバーの三連続攻撃を短刀で捌き、すぐにバックステップして距離をとった。しかし、すぐさま懐に潜り込まれて攻撃の嵐がやってくる。

 セイバーの武器は()()。一見すれば刃物を振る俺と竹刀を使うセイバーでは、俺の利があるように思えるかもしれない。だが、達人の攻撃は、竹刀などではなく、持っているのがただの棒切れであったとしても刃物をしのぐ。

 防ぎきれなかった攻撃が頬をかすめた。風を巻き込んで放たれた一撃に動きが止まりかけるのを何とか動かしているのが現状だ。と、いうのも先程セイバーの一撃が俺の左手に当たり、痙攣して動けなくなっているのだ。今はもうだいぶしびれもなくなったが、痛みからして、骨にひびが入っているかもしれない。そんなわけで、左手をかばいながらの戦闘のため、疲労も隙も増えている。また、一撃、与えられた激痛と傷が俺の心をすくませているのも手伝ってうまく立ち回れない。

 

 

 ここで、流れを変えなければならない。

 

 

 セイバーが上段に構えた『愛刀』を振り下ろす。半端に避けた俺の肩に攻撃が当たり、左肩損傷。動揺しさらに重傷を負う。

 

 

 そんな気がした。だから、

「早いが、ここで決めるぜ。セイバー!!」

 その瞬間。

 

俺の殺意は消え去った。セイバーの驚いた顔。それすらも無感情に見送り、倒れ――

 

 ――るより先に地面を蹴った。

 

 

「―――『倫敦の切り裂き魔は巴里にて復活す(アフル・アルキターブ)――』

 

 

 俺が生前、より早く、より失敗しない技を、と求め続けた果ての絶技。殺意、善意そのすべてを捨て去り、『無』で突撃し、相手の急所を確実に突く。極限まで高められた集中力と俺の規格外の直感でもって、立ちふさがる全てを屠る一撃。

 

 の、はずだった。

「……やりやがる……!」

「剣の英霊、なめてもらちゃ困るね」

結果、短刀と竹刀の奇妙なつばぜり合いが始まり俺が押され始めた。

「……あなたは、知ってる…………」

「……やっぱりか。俺もだよ。一一(にのまえ はじめ)!」

一歩、また押される。

「ええ。お互い世間の注目を集めてましたし。あなたとは一回特番でお会いしたことがある」

 

 セイバーは俺の時代の人間だ。

顔に見覚えがあると思っていたら、奴の方も俺を知っているみたいだし、間違いない。

 一一。このユニークな名前の剣士は俺たちの時代の、まさに英雄的人物だった。あらゆる剣技を極めた、人類史上最強の剣士などと呼ばれ、剣道をわずかでもやったことのある人間はその剣技に目を見開き、剣に憧れる少年少女はその剣に目を輝かせ、彼と対峙した他の時代であるならば『天才』と呼ばれていたに違いない者たちが、その才気に目を疑った。そんな、だれもが認める天才。

 まじか。こんなバケモンに勝たなきゃなの?

 

「次で、決めるか」

「それ、さっきも言ってたと思う」

 

 かくなるは短期決戦。アサシンにとってもっとも戦いやすい環境に持ち込むしかない。

 

 いったん距離をとると、互いの得物を構えて、相手をにらむ。いざ、足を踏み出そうとした。

 

 その時だった。

 

 互いに空に刃を振る。と、同時にからん、という音と共にナイフが落ちた。ちょうど、俺たちが踏み出すと頭に当たる位置に、だ。

「……誰だ?」

 

 

 ナイフが飛んできた位置にいたのは―――。




アサシンきゅんかっこいーなぁ。
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