俺、HP0なんですけど?   作:アルバティル

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極東商会、始めました!

 図書館で一人、黙々と本を読んでいると一人の男がやって来た。

 名前はジータス、情報屋として非常に有名な人物でプレイヤーランキングの上位には入っていないものの『情報屋』の2つ名を持っている。

 彼以上にこのゲームについて詳しいと言いきれるような人は恐らくいないだろう。

 細かな裏設定から、表のあらゆる設定を頭に叩き込み、一度覚えたものは絶対に忘れないという驚異的な記憶力は目を見張るものがある。

 Wikiに記載されている情報はなんと彼一人により提供されたものだ。

 

 

「聞いてよソピアちゃん、中央区にすっごい安い宿ができたんだ!」

「何それ?」

「えーとね、極東商会とかいうプレイヤーが作った商会が運営してる宿屋で一番安い部屋は1泊1ガルンで泊まれるらしいよ!」

「一泊1000円? カラオケボックスでフリータイム取って寝るくらいには安いわね」

「そうそう、それに上の層のアイテムも売っているらしいんだ!」

「っ!? きょ、極東の聖人が商会をやってるの!?」

 

 

 極東の聖人、このデスゲームとなった世界で唐突に東エリアを攻略し有名になった人物だ。

 そんな人が何故一階層で商会なんかを開いているのだろうか? 

 普通に考えれば、彼が一階層に降りて商売をするメリットは欠けらも無い。

 初心者支援でも行いたいのだろうか? 

 まさに聖人の2つ名が相応しい。

 

 

「え、えーと、NPCを大量に雇ってるみたいだよ。

 商業ギルドと錬金術ギルドで聞き込みしたんだけど、仮面をつけた黒いローブの人が来てたみたい」

「仮面をつけた黒いローブ……もしかして邪神教の?」

「そうみたいだよ、あの邪神がつけてた仮面によく似てたって」

「邪神教会に加入したのか、それとも1000ガルンを投げ捨てても問題ない程の財力があるのか……どちらにせよその人と話をつけて貰える? 

 ‪α‬でプレイヤーランキング9位だった『魔弾』のソピアが話をしたいと言えばさすがに断られないはずよ」

「変態☆紳士さんにはどう伝えようか? 

 今は東エリアで単身レベラゲしてるみたいだけど……」

「とりあえずこの話を伝えて、変態☆紳士さんにも別にアポを取るように頼んで貰える? 

 私が断られたとしても彼との話し合いに応じないなんて事は無いはずだから」

「じゃ、じゃあ行ってくるね!」

 

 

 □□

 

 

 

 ゲームが開始されてからなんやかんやあってもう5日目、プレイヤーの平均レベルは情報屋の調べによると2.8らしく、そこそこ伸びたのではないだろうか? 

 いや……5日目でもレベル2.8と言うべきか? 

 元々このゲームはレベルを上げにくいゲームではあるのだが、デスゲームがさらにそれを加速させているのかもしれない。

 だってレベル1ならゴブリンすら安全に倒せないんだぜ? 

 

 

 通常の‪α‬版ではゾンビアタックが効くため、ソロでもある程度の攻略が出来るのだがそれも不可能となると、パーティを組んでノロノロとレベル上げをするしかない。

 ついでに今回はサーバーが1つしか無く、プレイヤーが密集してしまい、狩ることのできるモブに限りがある。

 つまりは強くなりたいなら命を賭けて東エリアの高レベル帯に突っ込む必要がある。

 一番東にある7、8レベルの敵がいるエリアにはさすがに人は少ないというかほぼ居ないのだが、低レベルな状態でそんな場所に突っ込むなど、余程のプレイヤースキルがなければできるわけが無い。

 

 

 この一番奥にレベラゲのしやすい狩場があるという情報をWikiで見つけたのが俺がレベルを11まで上げた後だ。

 せっかく真夜中に光の魔石を使って同レベルの敵を探して狩っていたというのに、高レベルの敵が集まっているエリアが二階層にもあったのだ。

 涙を流して泣いたぜ。

 

 

 あの後、真夜中に転移で始まりの町まで帰ると物凄い数のプレイヤーが円陣を張って転移してくる奴を見張っていた。

 一体どんな奴があの東のボスを倒したのか興味本位で見たいやつが集まっていたのだとは思うがこっちからしたらいい迷惑である。

 質問攻めにあいそうだったので必死に格闘スキルと軽業スキルを駆使して無理やりに突破して、全力で街の外まで出て全員を撒き終えてから装備を変えて町に戻った。

 

 

 それからはこっそりと宿屋で仮面とローブをつけて、商業ギルドと錬金術ギルドに大金を払ってNPCを大量に雇い、始まりの町の中央エリアに超デカい宿屋を金に糸目をつけずに建ててやった。

 宿屋は地下の超格安エリアと一階の普通のエリアと二階の高級エリア、三階の超VIPエリアに分けてある。

 普通エリア以上に泊まればなんと三食セットでついてくるというお得な特典もある。

 

 

 ついでに、宿屋の横には錬金術工房と店があり店では錬金術で作ったポーションや俺が狩ってきた素材を大量に販売している。

 どうやらポーションの需要がかなり高いようで毎日毎日飛ぶように売れている。

 

 

 ここまで色々とやれば色々と面倒な事ももちろんやってくる。

 例えばクレーマーや、某小説のあの関西弁の人のような奴だ。

 いきなりアイテムを無料で配布しろとか、ビギナーを助けろとか言われたりすると、なんというかこう……無性にぶっ殺したくなってくるのだが、我慢して敷地内立ち入り禁止で済ませておいた。

 

 

 それからは宿屋や店でごねるのはヤバいと思ったのか、俺と直接話し合いたいとかいう奴が何人も来ている。

 くっそ面倒臭いし、何を言われるのかは明白なので全部まとめて却下だ。

 ついでに代表役を一人商業ギルドから雇って、支配人という名目で配置。

 俺の手を借りずに動き続ける永久機関が完成した。

 支配人ちゃんはかなり有能で、ポーションの価格の設定やアイテムの価格の設定も全部相場を調べ、緻密に計算して設定してくれる上に、クレーム対応まで完璧にこなしてくれる。

 さすが月5千ガルンの少女である。

 

 

 他の定員は時給1ガルンもあれば雇えたのを考えると彼女の性能がよく分かる。

 一番安いのは奴隷で200ガルンほど最初に払えば後は維持費だけで、無給で働いてくれる。

 極東商会の部屋1つと三食を与えるだけで普通に1日8時間は働いてくれるので普通に現金で払うのであれば日当で2ガルンくらいだろうか? 

 日当2ガルン、時給換算で2500シルンつまりは250円。

 しかも、奴隷達はその雇用条件に満足しているらしく、一切の不満もなくむしろ喜んで働いてくれている。

 

 

 錬金術ギルドの方は全員を完全出来高制で雇っている為、こちらに損が出ることは絶対にない。

 時給で雇う事もできたのだが、支配人ちゃんがこちらの方が良いと言ったのでそういう風に変更したのだ。

 後は放置で金が飛ぶように入ってくる様になった。

 二ヶ月くらいの間、このままの売り上げが続くのであれば土地代と建物代にかかった費用の回収ができる。

 そこから先は他に支店を増やしたりして、完全に無双タイムのスタートだ。

 

 

「ふぅ……紅茶うめぇ」

 

 

 そろそろ二階層のボスを倒しに行ってもいいのかもしれないが、色々と働き詰めだったので今日1日はこうして喫茶店で優雅に紅茶を飲みながら掲示板でも触っているつもりだ。

 

 

「喫茶店も作っても良いかもな……」

 

 

 始まりの町の中央区をもう完全に制覇する勢いで色々とやってもいいのかもしれない。

 あと、未だにかなりのプレイヤーが転移の広場にたむろしており、なかなか二階層に行く事ができないので、もしも改善されなければ中央区の転移の広場を1000万ガルン出してでも買い取る事を考慮してみるべきだろう。

 一度買ってしまえばプレイヤーが転移する度に何ガルンか税金の様なものを設定できる為、そのプレイヤーが圧倒的優位に立てるのは間違いないのだ。

 

 

 わざわざ転移結晶を買えば転移の広場を使わずに転移する事も可能なのだが一回一回それなりの値段がする転移結晶を使えば合計でかなりの金額を消費する事になる。

 一回1000ガルンはやはりどう考えても大きすぎる。

 月に5回以上使うのであれば支配人ちゃんクラスの人をもう1人雇える事になるのでどうにかしてあいつらを散らせたいものだ。

 とりあえず掲示板に書き込んでみる。

 

 

 ______________

 

『転移の広場で屯してるゴミ共が邪魔臭いんだが』

【極東の聖人(本物)】

 アイツら圏外に弾き飛ばしてPKしたいくらいウザイんだが。

 誰か規制してくれないだろうか? 

 一週間改善されなければ転移の広場を買い取る事も考えるんだが。

 

【名無し】

 偽物乙。

 

【極東の聖人】

 アイツらほんとクソだよな。

 俺も迷惑してるんだよ。

 

【変態☆紳士】

 今度こそ本物のだと信じて書き込むんだが、もし良ければ俺とデュエルしないか? 

 別にデュエルじゃなくてもいいんだがとりあえず直接あって話したい。

 冒険者ギルドに俺か俺の代理がいるから訪ねてくれれ。

 

【極東の聖人】

 断る。

 俺は誰かと馴れ合うつもりは無い(`・ω・´)キリッ

 

【極東の聖人(本物)】

 変態さん、要件があるならここで言ってくれ。

 ちなみに俺が本物だという事は明日の昼までにあいつらを退けたら証明してやる。

 

【変態☆紳士】

 あそこにいる奴をwikiと取引掲示板使用禁止にするくらいしかできんぞ? 

 言っておくがあの自称解放者共にはこんな脅しは効かんから無理だぞ? 

 

【極東の聖人(本物)】

 それだけしてくれれば十分だ。

 後はこっちで突っ込む。

 ついでに後3時間で宿屋の食堂でホットドッグの販売が開始される事は証明になるか? 

 

【変態☆紳士】

 なる、直接あうことはどうしても無理ってことKs? 

 

【極東の聖人(本物)】

 そっちには鑑定と看破持ってる高レベルプレイヤーがいるから無理だ。

 

【変態☆紳士】

 打ちミスすまん。

 会えないならそれでも構わんが、ビギナー用の格安宿だけは続けてやってくれ。

 3日後に俺も二階層に上がるつもりだからそこで追いつけたらデュエル申し込むわ。

 

【極東の聖人(本物)】

 残念だが俺はその時には三階層に進んでるつもりだ。

 

【変態☆紳士】

 そうか、さすがにキャリーしながらだと追い付けねぇか。

 

【名無し】

 本物ぽくて草wwwww

 

【名無し】

 おい、あの偽物野郎消えたぞ

 

【黒の剣士】

 >変態☆紳士

 変態様は96人で上がる気なんだろ? 

 単身で上がってる聖人に勝てるわけ無いだろ。

 

【極東の聖人(本物)】

 追いつく意味も無いから自分のペースで上がってこい。

 毎回95人も引っ張りながら俺に追いつけたらガチでビビるぞ。

 

【変態☆紳士】

 攻略組から死者を出したくないからな。

 単身だとレベル1でも南なら100%勝てるんだが……

 紙装甲の奴とかもいるレイドの方が死者0は難しいんだよな。

 

 ああ、そうだ。

 ギルドのところにも書いておくが、北ではなくやっぱり2番目に強い南を攻略するつもりだ。

 動画にして上げるつもりだから、もし良かったら見てくれると嬉しい。

 アドバイス等あれば待ってるぞ

 

【極東の聖人(本物)】

 変態さんにアドバイス必要か? 

 

【名無し】

 それな、変態様にまともなアドバイスができる人とかいるわけが無い。

 

【黒の剣士】

 聖人もかなり強いプレイヤーだぞ? 

 最初に帰ってきた時に俺も実はいたんだが近接格闘型では間違いなく最強だな。

 あのナハトを多分舐めプできるレベル。

 

【名無し】

 まあ、極東の聖人とナハトならそりゃあ聖人が勝つだろ常識的に考えて。

 問題は変態☆紳士と聖人のどっちのプレイヤースキルが上かだ。

 

【変態☆紳士】

 極東の聖人の方が上なんじゃないかと本気で思い、自信を無くすこの頃。

 ______________

 

 

 

「よし、まさか変態☆紳士さんが出てくれるとは思わなかった」

 

 

 適当に5ガルン払って【極東の聖人(本物)】というアカウントを作って書き込んでみたのだが、どうやら変態☆紳士さんが手を出してくれるみたいだ。

 いよいよ明日は第二階層の攻略だな。




早めに言っておきますと、ストックは作っておらず
出来たらできた分だけ投稿しておりますm(_ _)m
私の貧弱なスピードではだいたい丸々23時間も使って22000文字しか書けないので更新速度は遅いです。
1時間で6kくらい書きたいものです(´・ω・`)
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