ありふれた錬成師と治癒師と剣士で世界最強   作:nonohoho

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現代日本でも何かあったら責任の押しつけ合いがはじまります。

そして内紛により矢面に立たされる人物は大体真面目な人物です。

天之河光輝が素直に反省して謝罪すれば、また違った未来が待っていたのかも知れません。

リーダーになりたがったりする割に他人に対する配慮も責任感もない。

原作の天之河光輝はまさに典型的な例でした。

「皆んなと力を合わせて世界を救う!」
綺麗な言葉ですが、世界を救うまでみんなを返さないと言っているのと同義です。
何年かかるかわからない、そのための計画も持たない。
10年以上かかるとしたらクラスメイト全員の人生を奪う行為です。

力があるのに世界を救わないのか?とも光輝は言っていましたが世界を平和にしたり救う能力は政治力です。 
飛行船を作ったりミサイルをぶっ放す力と世界平和は何の関係もありません。

世界中の指導者を軍事力で脅し自分の意見を押し付ける事はできますが世界を救うという意味とはかけ離れています。

神を倒す、とも光輝はいいましたが、異世界から転移して半年ぐらいで神を倒せるようになると考えているとこもどうかしてます。

俺より強いのに…と事あるごとに言ってますがハジメの能力で出来る事は魔人族を倒す事ぐらい。
魔人族も救うと言った光輝の発言からハジメが光輝を手伝える事は何もないという事です。

単に構って欲しくて発言しただけなら、それこそキャバクラにでも行けばいいだけです。あの場面、クラスメイト全員の人生を、考えて欲しかった。

原作との最大の違いは光輝の支持者が龍太郎と(こっそりとですが)恵里のみ。
鈴は恵里を応援はしてるものの光輝とは距離をおきたいと思っています。
蒼華はハジメの4番目の妻ですから論外。

これは原作のハジメの立場とほぼ同じ状況です。
ハジメとの違いは圧倒的なステータスと便利で有用な大量のスキル、世界最高レベルの装備。
ハジメは一般人のステータスでベヒモスを足止めして、檜山の裏切りがなければ全員無事に撤退する事ができました。
ステータスとスキルから考えたら驚異的な戦果です。
ではそれが光輝なら…?
私の考えでは、原作でもしハジメがいなかったら彼等は全滅していました。
この作品では色々考えた末に光輝をA級戦犯クラスにしました。

さて光輝はこの後どう行動するのでしょうか?





第十五話 ありふれた内紛

上階への階段は長かった。

 

先が暗闇で見えない程ずっと上方へ続いており、感覚では既に三十階以上、上っているはずだ。

魔法による身体強化をしていても、そろそろ疲労を感じる頃である。

先の戦いでのダメージもある。

薄暗く長い階段はそれだけで気が滅入るものだ。

 

そろそろ小休止を挟むべきかとメルド団長が考え始めたとき、ついに上方に魔法陣が描かれた大きな壁が現れた。

 

クラスメイト達の顔に生気が戻り始める。

メルド団長は扉に駆け寄り詳しく調べ始めた。

フェアスコープを使うのも忘れない。

 

その結果、どうやらトラップの可能性はなさそうであることがわかった。

魔法陣に刻まれた式は、目の前の壁を動かすためのもののようだ。

 

メルド団長は魔法陣に刻まれた式通りに一言の詠唱をして魔力を流し込む。

すると、まるで忍者屋敷の隠し扉のように扉がクルリと回転し奥の部屋へと道を開いた。

 

扉を潜ると、そこは元の二十階層の部屋だった。

 

「ここは元の20階層?」

「戻れたのか!」

「ふぅ何とか戻れたか…」

 

クラスメイト達が次々と安堵の吐息を漏らす。

 

しかし、ここはまだ迷宮の中。

 

低レベルとは言え、いつどこから魔物が現れるかわからない。

 

完全に緊張の糸が切れてしまう前に、迷宮からの脱出を果たさなければならない。

 

メルド団長はハジメ達が崩れ落ちる階段に巻き込まれてしまったのを知っていた。

たが今ここで揉める訳にはいかず一気に地上まで行くべきと判断した。

 

「お前達! 座り込むな! ここで気が抜けたら帰れなくなるぞ! 魔物との戦闘はなるべく避けて最短距離で脱出する! ほら、もう少しだ、踏ん張れ!」

 

「安心するのは太陽を拝んでからにしよう!」

永山が皆んなを鼓舞する。

 

「んだな。どれ、もうちょっと頑張るか!」

太田が同意し吉野や辻と言った体力が尽きた仲間に手を貸す。

 

今は篠原の無念を無理矢理押さえ込み地上に出る事を優先した永山だったが疲労の極にありいつもの視野の広さや、気配りが疎かになってしまった。

ハジメ達がいない事に気づかずに…

永山は後に後悔に苛まれる事になる。

 

道中の敵を、騎士団員達が中心となって最小限だけ倒しながら一気に地上へ向けて突き進んだ。

 

そして遂に、一階の正面門となんだか懐かしい気さえする受付が見えた。

 

今度こそ本当に安堵の表情で外に出て行く生徒達。

 

一様に生き残ったことを喜び合っているようだ。

 

「あれ?ハジメは?」

優花がハジメを探して、声をかける。

 

「え?香織と雫もいないよ?」

真央と綾子も三人を探すが見当たらない。

 

「お前たちに言っておかなければならない事がある。」

メルドが重々しく語り始める。

 

「南雲ハジメ、南雲香織、八重樫雫は…撤退の際、崩落した階段に巻き込まれて…最後に俺が確認したのはハジメ達がいた場所をベヒモスの角が貫いた場面だった…」

 

「え?…じゃあ…ハジメは?香織は?雫は?まさか置いて…きたの?どうなのよ!!」

優花が絶叫する。

 

「お前ら、へばってるかも知れないがもう一度行くぞ!ハジメ達を救出するんだ!」

永山が優花の肩を叩き迷宮に再び入ろうとする。

 

「待て!!そんな状態で潜っても全滅するだけだ。今は休め!俺は騎士団の残りを率いて救出に向かう。」

 

南陽高校のメンバーが納得する筈もなかったが、全員疲労しきっていた…。

 

次から次へと湧いて出たトラウムソルジャーの群れを突破して力付きかけていた。

 

「そもそも、そこのバカ勇者が倒れてるベヒモスに無駄な攻撃を仕掛けたからだろうが!」

「この疫病神が!お前なんかと組めるか!」

「篠原殺した殺人鬼め!」

 

光輝に対する憎悪が膨れ上がっていく南陽高校のメンバーにメルドは

 

「責めるなら、こんな馬鹿勇者に縋らねばならない我々を責めてくれ…今はお前たちの休養が最優先だ。これ以上の犠牲は出せん…」

 

悲痛な表情で詫びるメルドに南陽高校のメンバーもそれ以上の追求は出来ず…

 

「これからの協力は考えさせてもらいます。」

永山が珍しく声を荒げて自分達の拠点に向かう。

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………」

優花の悲痛な叫び声が迷宮の入り口に響いていた…

 

そんな優花達を横目に気にしつつ、受付に報告に行くメルド団長。

 

二十階層で発見した新たなトラップは危険すぎる。

石橋が崩れてしまったので罠として未だ機能するかはわからないが報告は必要だ。

 

そして、南雲ハジメ、南雲香織、八重樫雫、篠原カズトの死亡報告もしなければならない。

 

憂鬱な気持ちを顔に出さないように苦労しながら、それでも溜息を吐かずにはいられないメルド団長だった。

 

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自分達の拠点に戻った南陽高校のメンバーは何かする元気もなく自分の部屋に入った。

 

幾人かの生徒は生徒同士で話し合ったりしているようだが、ほとんどの生徒は真っ直ぐベッドにダイブし、そのまま深い眠りに落ちた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ここは?」

ホルアドの町の高級宿の一室で光輝は目を覚ました。

 

「ホルアドの宿だよ、光輝君。」

答えたのは中村恵里だった。

 

「あれから一体…?恵里、ベヒモスはどうなった?」

「わからないよ…逃げるのに精一杯だったから…」

 

「そうか…そうだ!蒼華に一言言わないと…何故味方の俺を攻撃したんだ?

ハッキリしなければ仲間として認められない!」

「やめて!光輝君。光輝君があの時気絶しなかったらどうしてたの?」

 

「ベヒモスを倒してたさ!皆んなの力を合わせれば出来たはず。敗戦の元凶は力を貸さない南陽高校の連中だ!まてよ?南雲ハジメが全て裏で手配してたのか?卑劣な奴だ。香織と雫があんな奴に騙されてると思うと…」

「もうやめて!!!」

「恵理…?」

「光輝君の神威で無傷だったんだよ?そもそもレベル差がありすぎたんだよ…

それなのに光輝君が撤退もしないで戦うから…犠牲者まで出たんだから少しは反省して?」

「犠牲者?誰が?」

「南雲ハジメ、南雲香織、八重樫雫、篠原カズトの4人よ…」

「恵里…?香織と雫が死んだだって?そんな訳あるか!」

「その前に篠原カズト君を殺したのは光輝君だよ?彼にせめて謝罪ぐらいして…お願い…光輝君…」

「どうして俺が篠原カズト?を殺すんだ?」

「気絶して倒れた光輝君を抱えて永山君と一緒に階段付近まで連れてきてくれたんだよ…?突然光輝君が目を覚まして彼等を振り解いた時、篠原君を橋から投げ落としたのは光輝君だよ…」

 

「そ、それは…」

「それなのに感謝も謝る事もしないの…?」

恵里は悲しそうに光輝に尋ねた…

 

「知らなかった事だし、そもそもそんなレベルの人間を大迷宮に連れてくる事自体異常だ。南陽高校はやはりどこかおかしい!」

 

恵里は泣きたくなった。

何を言っても自分に都合のいい方向にしか話をもっていかない…

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

恵里は高校1年の時、イジメと母親からの虐待を苦に自殺しようとしていた。

それを救ってくれたのが光輝だった。

「俺が君を守ってあげるからもう安心して!」

 

このセリフに恵里はどれだけ感謝した事か…

どれだけ想いを募らせたか…

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

だから何とか光輝の御都合主義を改善できないかと苦心してきた。

しかし今も光輝は自分のやった事を反省もしていない…

 

高校1年の時、光輝は皆んなのヒーローだった…

高校2年の時、光輝は学年のヒーローだった…

高校3年の時、光輝は自分のクラスメイト以外に見放されていた…

 

生徒会長選挙で…20対340と歴史的大差で光輝が敗れたのも光輝の性格に起因する。

 

恵里は自分は最後まで光輝についていく覚悟があるが、光輝は南雲香織や、八重樫雫やリリアーナ王女にばかり固執している…。

 

ハッキリ言って三人は光輝を嫌っている。

恵里や鈴、それに龍太郎ですら気付いている。

しかも香織と雫は南雲ハジメにべた惚れ中だ。

 

白崎香織にいたっては南雲ハジメと婚約して、南雲香織になっている。

 

それなのに、光輝は彼女達を自分のモノだと思い込んでいる。

 

恵里は光輝に抱きついた。

自分でも何故抱きついたのか、よくわからない。

 

多分…あまりにも滑稽で哀れな光輝を…それでも支えてあげたい気持ちがそうさせたのだろう…

 

光輝は驚いた様子だったが直ぐに抱き返し…

二人は初体験を終えたのだった。

…………………

………………

……………

…………

 

 

「恵里、ありがとう。」

「え?」

「俺は間違っていた。」

「!光輝君!!わかってくれたのね!」

「ああ!香織と雫が死ぬ筈はない。今頃南雲ハジメの無能さに愛想が尽きて俺の助けを待っているだろう!二人を救い、一緒に世界を救うんだ!こうしちゃいられない。龍太郎と特訓してくる!恵里、ありがとう!」

「……えっ…光輝…君……?」

 

部屋を出て行く光輝を恵里は呆然と見送るが…

「あ…あはは……ははは………は…」

恵里は突然わらいだした

「うぇぇーーん…あはは…は…」

恵里は自分が泣いているのか笑っているのか全くわからなくなっていた…

「ふふっ…グスッ…あはは…」

恵里は感情がこわれてしまったかのように全ての感情を制御できなくなっていた…

……………………

…………………

………………

……………

…………

………

「ふぅー」

ようやく高まっていた感情が治るのを感じた。

 

「そっか…僕は…光輝君のことが大好きなんだ…」

自分が壊れてしまった気がするが、それでも揺るがぬ想いが存在する。

 

「光輝君…僕は…必ず君を手に入れるよ……!」

 

幽鬼のようなゾッとするような笑顔で決意をする恵里だった…。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「…グスッ…ヒック…………」

優花はトラウムソルジャーとの戦いで疲れ果てていてベッドから動けずにいた。

急かされるまま地上まで強行したせいで迷宮の入り口にたどり着いた時、優花は歩く事すら困難になっていた…

 

だがそこで、ハジメ達をベヒモスの階層に置き去りにしてしまった事実を知り、普段の優花の姿からは想像も出来ないほど取り乱し、気を失ってしまったのだった。

 

優花にとって天之河は疫病神だった。

中学時代、仲の良かった石神を勘違いで暴行され、今度はハジメと香織と雫の三人を光輝の意味不明な行動によって失う羽目になった…

 

当時、石神を慰めようとした優花だったが拒絶されてしまい、そのまま転校してしまった為、初恋にまではいたらなかった。

とは言えその後優花は落ち込んだままだったが、高校の合格発表日に知り合ったハジメ、香織、雫の三人が、一緒に合格祝いをしないかと誘ってくれたおかげで優花の心にあったモヤモヤが晴れていくのを感じていた。

 

奈々と妙子にはバレていたみたいだが、優花はハジメに恋心を持っていた。

香織とハジメはラブラブだった為、思いを隠していたが、トータスに来てからは、優花は常にハジメを意識するようになっていた。

 

大迷宮で二度もハジメに助けられてからは、もう気持ちを隠せなくなってしまった。

その矢先に…ハジメを失ってしまった…。

香織と雫も高校から知り合ったのだが、今では奈々と妙子と同じくらい大切な親友だ。

 

「ハジメ…香織…雫…篠原……」

大切な人と大切な友人と大切なクラスメイトを思い…優花は泣き続けていた…

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「クゼリー、ニート、キーマ、あいつらの事は頼んだぞ。」

「メルド団長…本気ですか…?」

「ああ…今回の件、愛子の教え子達はもう光輝には協力はしないだろう。それに簡単な演習で4人もの使徒達を失ったんだ。誰かが責任を取らなくてはならない」

「責任を取るとしたら勇者ではないのですか?団長の命令を何度も無視した挙句、篠原を橋から投げ落とし、撤退のチャンスまで消した男ですよ?何であんな奴の為に団長が…」

「アラン…そんな奴でも今回の演習で俺に並ぶ強さを得ている。現状では光輝に未来を託すしかないのだ…」  

 

クゼリー、ニート、キーマ、アランの4人は悔しそうに俯いた。

 

ホルアドで一晩休息した後メルドは光輝、蒼華、龍太郎、恵里、鈴を連れて王都に戻っていた。

 

永山達と揉める事が目に見えていたので王都に強制的に帰還させたのだ

 

メルドが今回の演習で4人の命が失われたのは自分の采配ミスだと報告し、今王国上層部でイシュタルをまじえて会議が紛糾していた。

 

メルドは身辺を整理して会議の結果を待っている。

 

「では行け!頼んだぞ」

「はっ…」

 

4人はメルドの最後の指令を実行するため、退出していった。

 

「坊主が生きていればな…」

メルドは懐かしそうにハジメの姿を思い出す。

 

(あいつならハイリヒ王国軍の将軍を任せても大丈夫だっただろう…惜しい事をした…)

………………

……………

…………

………

……

 

「メルド=ロギンスの処分を言い渡す。現時刻を持って騎士団長の任を解く。同時に本日をもってハイリヒ王国軍、及び市民権の剥奪。1週間以内に国外へ退去するように。以上だ!」

 

国王の宣言に王の間は静まり返るが、メルドは国王に頭を垂れ、踵を返し王の間から退出する。

 

(首を差し出すつもりだったのに…拍子抜けしたな…)

メルドは支給された装備と自宅を返上し、身軽な旅装に着替えていた。

 

そのまま冒険者登録をして王都を後にした。

 

(不思議と悲壮感はないな…)

見上げた空は青く地平線はどこまでも続く。

メルドは心が沸き立つような興奮に身を委ねていた。

(大地はこんなにも広い、空はこんなにも青く高い…今日からこの世界が俺の家だ!)

 

全ての重荷が降りたメルドは、とりあえずフューレンを足がかりに活動しようと心に決めた。

 

メルドは足取りも軽くフューレンを目指して歩きだすのであった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

畑山愛子は4人の教え子を失った事実を知り、卒倒して一日寝込んでしまった。

何故自分は教え子を、演習なんかに参加させてしまったのか…

断るべきだった。

悔やんでも悔やみきれない想いに苛まれていた。

 

メルドの部下のアランが自分を訪ねてきて、ハジメ達の最後の様子を聞き、目の前が暗くなってしまった。

 

天之河光輝を教え子達は全員嫌っていた。

それでも仲違いはやめるように説得したのは自分だった。

その結果、篠原カズトは天之河に橋の下に落とされ、目を回した敵に意味のない攻撃を仕掛けて正気に戻させた挙句、ハジメと香織と雫が巻き込まれて亡くなってしまった…

 

天之河光輝は危険だ。

今回4人も死なせて置いて謝りもしないどころか、実力の無いものが無謀な挑戦をしたからだ、といって謝りもしなかったのだ。

 

教え子達が全員激怒し、一触即発な状態になったが、愛子は「実力が無いと言うのならこの先貴方に協力はしません。無謀な挑戦なのでしょう?」

と光輝の口を塞ぎ、ハイリヒ王国の庇護から抜ける決意をした。

 

クゼリーと相談して湖畔の町ウルに拠点を移す事にした。

愛子のスキルでこの近辺の生産力を増す。

生徒達はウルの後方にある山脈からやってくる魔物を退治してもらう。

この地は魔物が頻繁に襲ってくるので領主のなり手が見つからない。

愛子に領主になってもらい後方の食料補給基地にしてもらう。

 

ハイリヒ王国側にも愛子側にも顔が立つこの方針が採用され愛子達は拠点をウルの町に移す事になった。

守備隊長としてクゼリー、副長としてニートとキーマとアランが加わり騎士団から10名が選ばれて愛子達と行動を共にする事になった。

 

「永山君、気をつけて…無茶はいけませんよ?」

愛子はホルアドに残る永山の無事を祈る。

「頼んだよ…ハジメと香織と雫と篠原を…」

優花は悔しそうに永山に呟く。

本音は自分も残ってハジメ達を探しに行きたかったからだ。

 

「任せておけ!必ず見つけて戻ってくる。一緒に行けなくて残念だろうが園部がいないとウルの町でみんな餓死しちまうからな。」

「…うん。皆んなに料理を覚えて貰ったら私も行くからね?」

 

「太田、山脈から来る魔物も強いらしい。油断するなよ?」

「健太郎、わかってるよ。注意深く行動する。お前達も充分気を付けろよ?」

 

永山パーティーはハジメ達を探すため、ホルアドに残り大迷宮に挑む事に…

「誰かが残ってハジメ達を探しに行かないと…」

永山の言葉を皆が尊重した。

 

ウルまでは2日の旅だ。

定期的に連絡する約束を交わし、愛子率いる[愛ちゃん護衛隊]はウルの町に出発した。

 

「クゼリー!」

「ノルン様、ギルドマスター、どうしたの?」

「お前に依頼されていたホセとリザの夫婦だが…」

「! ハジメ様が気にしていた件ですね?」

「どうやら本気でキナ臭いぞ?子供達が高度な魔法で操られていた。」

「!!何ですって?」

「睡眠の魔法をかけた後催眠のスキルで操っていたらしい。」

 

「ホセとリザは?」

 

「ホセは砂漠出身で身元もわかっているがリザは出身地も偽りで身元不明だ」

「子供達はいずれもフューレンの人身販売組織が関与しているようだ…」

 

クゼリーはハジメの能力を更に一段引き上げる事にした。

 

「我々は引き続きホセ、リザの二人を洗ってみる。」

「クゼリー、何かあったら駆けつけてくれ」

 

「わかりました。お二方もお気をつけて…」

「クゼリーもな、ウルの町は魔物が頻繁に襲撃するらしいからな」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

こうして使徒4人が亡くなった事件の騒動は収束した。

ハイリヒ王国は新たな騎士団長にヴァイス侯爵が就任。

光輝は勇者パーティーのトップとして改めて就任し彼のサポートとして騎士団から20名が配下につけられた。

 

愛子は湖畔の町ウルの領主として着任し、教え子とクゼリー、ニート、キーマ、アランの補佐を受け農地改革に乗り出す。

 

永山パーティーはホルアドに残り大迷宮に挑み続ける。

 

地上では新たな体制が整った頃、ハジメ達の方は…

 

次話に続く。

 

 

 

 

 




光輝君も初体験でした(=゚ω゚)ノ
貴族の娘と遊んではいたけど、致してはいません。
貴族の娘と致したら結婚する事になるから…

この作品の恵里さんは原作と違い、真っ当に光輝に惚れています。
光輝の悪辣な面を見ても揺るがぬ想いを持って…
少しでも光輝がより良い環境になるように忠告したりしてます。
光輝の無邪気な悪意で壊れかけてますが…

恵里にとってささやかだけど恵里が最も望んでいたハッピーエンドを用意してます。
死ぬ事はありませんのでご安心下さい。

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