ありふれた錬成師と治癒師と剣士で世界最強   作:nonohoho

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アンケートの結果愛子先生はカズト君のハーレム入り決定!

皆様ご協力ありがとうございます。✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。

それに伴い谷口鈴さんをとある人物のパートナーに変更します(=゚ω゚)ノ

資格試験が重なり更新遅くなりましたが、ようやく終わりました。

少しペースが戻ります(=゚ω゚)ノ




第二十三話 ありふれた騒動

ハジメと香織と雫が転移した階層より数えて、現在暫定60階層。

 

「地獄闇炎雷!」

カズトの新技が放たれる。

最大直径200mの半球状の結界に敵を閉じこめ、その内部に上級火魔法-炎嵐に纏雷と纏闇を上乗せした火と雷と闇の複合属性攻撃だ。

纏火の効果で火魔法の威力も跳ね上がっている為,火耐性のない敵は一瞬にして消炭になる…

対個人は避けられてしまう可能性もあるが、面攻撃に関しては一軍を一瞬で焼き払う事ができる。

一方、対個人戦では纏火、纏雷、纏闇のスキル三種同時展開による剣術…

個人戦、殲滅戦どちらもこなせる戦術級の剣士に成長していた。

 

ユエの知識面のサポートとハジメの錬成のサポートで完成したスタイルだ…

 

50体以上の魔物に襲われたのだが、一瞬にして消炭になってしまった。

 

「カズトの火力はチート級だな…敵が哀れになる…」

「…うむ、カズトはワシが育てた…」

「ユエ…貴女絶対日本人よね?」

「うん、私もそう思うよ…違和感ないもん。」

 

カズトの火力に半ば呆れたように感心するハジメ達。

 

「大分使いこなせてきた気がする。さっさと下降りる階段見つけようぜ!」

 

カズトは愛の戦士になりたての頃は変なテンションになっていたが、今は大分落ち着いたようだ。

 

「「「「「「「「「「「「シャァアア!!」」」」」」」」」」」」

 

「おっと、またお客さんだ。地獄闇炎雷!」

 

ゴウッ!

 

結界内に包まれた敵が一瞬にして消炭…原型すら留めていないが…になる。

 

「それにしても変な魔物ね?何でこんなに襲い掛かってくるのかしら…この階層は食料もあるみたいなのに…」

「ハジメ君、雫ちゃん、魔物の頭に花が咲いてるのは何でかな…?」

 

「ティラノサウルス型、ラプトル型…二種類とも階層のボスにしては弱すぎるな…花か…」

 

ハジメはこの階層の魔物に違和感を感じていた。

不意に右脇の茂みに違和感を感じたハジメと香織と雫は銃を放つ。

 

ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!

 

ハジメと香織と雫が擬態していたティラノサウルス型とラプトル型二体を仕留める。

 

「ハジメ君?花だけ撃ったの…?」

「一応どうなるか試してみたんだけど…」

「……ハジメ、香織…敵の様子が変…」

 

ハジメは一匹だけラプトルもどきの花を撃ち抜いた。

 

花を撃ち抜かれたラプトルは一瞬ビクンと痙攣したかと思うと、着地を失敗してもんどり打ちながら地面を転がり、樹にぶつかって動きを止めた。

 

シーンと静寂が辺りを包む。

 

「……死んだ?」

「いや、生きてるっぽいけど……」

 

ハジメの見立て通り、ピクピクと痙攣した後、ラプトルはムクッと起き上がり辺りを見渡し始めた。

そして、地面に落ちているチューリップを見つけるとノッシノッシと歩み寄り親の敵と言わんばかりに踏みつけ始めた。

 

「……花は自分の体の一部ではない…のか?誰かにつけられたのか…?」

「……ハジメ君、誰かにイタズラでもされたのかな?かな?」

「香織…イタズラって……誰かにつけられて…そして操られていたってとこかしら?」

 

ハジメと香織と雫は推理する。

ラプトルの様子を油断なく観察する。

 

ラプトルは一通り踏みつけて満足したのか、如何にも「ふぅ~、いい仕事したぜ!」と言わんばかりに天を仰ぎ「キュルルル~!」と鳴き声を上げた。

そして、ふと気がついたようにハジメ達の方へ顔を向けビクッとする。

 

「今気がついたのかよ。どんだけ夢中だったんだよ」

「……やっぱりイジメ?」

カズトがツッコミ、ユエが同情したような眼差しでラプトルを見る。

 

ラプトルは暫く硬直したものの、直ぐに姿勢を低くし牙をむき出しにして唸り一気に飛びかかってきた。

 

カズトはラプトルに〝炎槍〟を放った。

 

跳躍の勢いそのままにズザーと滑っていく絶命したラプトル。

カズトもユエも何とも言えない顔でラプトルの死体を見やった。

 

「ホント、一体なんなんだ?」

「……イジメられて、魔法で貫かれて……哀れ」

「いや、イジメから離れろよ。絶対違うから」

カズトは訳がわからなかったのでハジメの方をみる。

 

ハジメは周囲の警戒をしていたが、敵が包囲するような形で迫っている事を察知していた。

 

「包囲網がかなり狭まってきている。移動しつつ親玉を探そう!」

「「はい!」」

 

移動をはじめて程なくして、直径五メートルはありそうな太い樹が無数に伸びている場所に出た。

隣り合う樹の太い枝同士が絡み合っており、まるで空中回廊のようだ。

 

ハジメ、香織、雫、カズトは〝空力〟で、ユエは風系統の魔法で頭上の太い枝に飛び移る。

 

「カズト!頼む!」

「任せろ!殲滅してや……えっ…?」

 

カズトはそこで頭上から集まってきた魔物達を〝地獄闇炎雷〟で殲滅するつもりなのだ。

眼下に次々とラプトルが現れ始めた。

しかし、ハジメ達は全員硬直する。

隣では魔法を放つため手を突き出した状態でユエも固まっていた。

 

なぜなら……

 

「なんでどいつもこいつも花つけてんだよ!」

「……ん、お花畑」

 

カズトの言う通り、現れた十体以上のラプトルは全て頭に花をつけていた。

それも色とりどりの花を。

 

思わずツッコミを入れてしまったカズトの声に反応して、ラプトル達が一斉にカズト達の方を見た。

そして、襲いかかろうと跳躍の姿勢を見せるが…

 

「〝炎雷〟」「〝緋槍〟」

 

カズトとユエが容赦なく魔法を唱える。

結局十秒もかからず殲滅に成功した。

 

一方、ハジメの表情は冴えない。

香織がそれに気がつき首を傾げながら尋ねた。

 

「……ハジメ君?」

「……香織、おかしくないか?」

「?」

「ちょっと弱すぎる。雫の言うように何者かに操られている可能性が高い。花が無くなってから襲ってきたラプトルもどきの方が強かった。」

 

ハジメの言葉にハッとなる香織と雫。

 

確かに、ラプトルも先のティラノも、動きは単純そのもので特殊な攻撃もなく簡単に殲滅できてしまった。

それどころか殺気はあれどもどこか機械的で不自然な動きだった。

花が取れたラプトルが怒りをあらわにして花を踏みつけていた光景を見た後なので尚更、花をつけたラプトル達に違和感を覚えてしまう。

 

「この階層のボスは花をつけた相手を支配できるみたいだ。奇襲で花をつけられないように慎重に進もう。」

 

ハジメが全員にそう言った時〝気配感知〟が再び魔物の接近を捉えた。

全方位からおびただしい数の魔物が集まってくる。

ハジメの感知範囲は半径二百メートルといったところだが、その範囲内において既に捉えきれない程の魔物が一直線に向かってきていた。

 

「また百、いや二百以上の魔物が急速接近中だ。誰かが指示してるみたいに全方位から囲むように集まってきやがる。上空から俯瞰してる可能性も高い」

「…ハジメ君、逃げる?」

「……いや、この密度だと既に逃げ道がない。一番高い樹の天辺から殲滅するのがベターだろ。カズト、ユエ頼む」

「ん……特大のいく」

「おう、かましてやるぜ!」

「敵を十分引きつけてから頼む。」

 

ハジメ達は高速で移動しながら周囲で一番高い樹を見つける。

そして、その枝に飛び乗り、眼下の足がかりになりそうな太い枝を砕いて魔物が登って来にくいようにした。

 

ハジメ達は武器や呪文を準備しながら静かにその時を待つ。

ユエがそっとカズトの服を掴む。

 

そして第一陣が登場した。

ラプトルだけでなくティラノもいる。

ティラノは樹に体当たりを始め、ラプトルは器用にカギ爪を使ってヒョイヒョイと樹を登ってくる。

 

ハジメ、香織、雫は一斉に引き金を引いた。

発砲音と共に閃光が幾筋も降り注ぎカギ爪で樹にしがみついていたラプトルを一体も残さず撃ち抜く。

 

撃ち尽くした銃からシリンダーを露出させると、くるりと手元で一回転させ排莢し、左脇に挟んで装填する。

この間3秒。

ハジメ達は弾の装填速度を上げる訓練の結果、3秒で再装填を行えるようになっていた。

 

その間隙を埋めるように発砲直前に落としておいた〝焼夷手榴弾〟が爆発。

辺りに炎を撒き散らす。

そして、再度ドンナーを連射する。

それだけで既に50体は屠ったハジメ達だが、満足感はない。

 

既に眼下には100体を超えるラプトルと10体のティラノがひしめき合い、ハジメ達のいる大木をへし折ろうと、あるいは登って襲おうと群がっているからだ。

 

「ハジメ、そろそろか?」

「まだだ……もうちょい」

 

カズトの呼び掛けにラプトルを撃ち落としながら答えるハジメ。

カズトはハジメを信じてひたすら魔力の集束に意識を集中させる。

 

そして遂に、眼下の魔物が総勢100体を超え、今では多すぎて判別しづらいが、事前の〝気配感知〟で捉えた魔物の数に達したと思われたところで、ハジメは、カズトとユエに合図を送った。

 

「カズト、ユエ!」

「任せろ!〝地獄闇炎雷〟」

「んっ!〝炎獄〟!」

 

カズトとユエが魔法のトリガーを引いた瞬間、ハジメ達のいる樹を中心に眼下が一気に閃光に染まる。

カズトの張った結界内にカズトとユエの炎系上位魔法が吹き荒れる。

 

魔物は一瞬の抵抗も許されずに、その炎の中で消滅していった。

結界範囲は指定座標を中心に100メートル四方。

ハジメ達のいる半径3メートル以内を除いてのまさに〝殲滅魔法〟というに相応しい威力である。

 

「ゼーゼー…ふぅ…」「はぁ……はぁ……」

「お疲れさん。流石はカズトとユエだ」

 

周囲一帯、まさに黒一色…炭化した地獄と化した光景を見て混じりけのない称賛をカズトとユエに贈るハジメ。

ユエは上級魔法を連続で使った影響で魔力が一気に消費されてしまい肩で息をしている。

おそらく酷い倦怠感に襲われていることだろう。

 

「いい加減、本体を見つけないとキリがないわ」

「だな。あの花を取り付けているヤツを殺らない限り、俺達はこの階層の魔物全てを相手にすることになってしまう」

 

ハジメと雫が現状を確認する。

 

ハジメ達は物量で押しつぶされる前に、おそらく魔物達を操っているのであろう魔物の本体を探すことにした。

でなければ、とても階下探しなどしていられない。

 

座り込んでいるユエに吸血させている暇はないので、カズトはユエに神水を渡そうとする。

しかし、ユエはそれを拒んだ。

訝しそうなカズトにユエが両手を伸ばして言う。

 

「カズト……だっこ……」

「お前はいくつだよ! ってまさか吸血しながら行く気か!?」

 

カズトの推測に「正解!」というようにコクンと頷くユエ。

確かに、神水ではユエの魔力回復が遅いし、不測の事態に備えて回復はさせておきたい。

しかし、自分が必死に駆けずり回っている時にチューチューされるという構図に若干抵抗を感じるカズト。

背に腹は替えられないと分かってはいるが……

 

結局了承してユエをだっこ……は邪魔になるので、おんぶして、カズトは本体探しに飛び出していった。

 

「ハジメ君…私も抱っこ…」

「香織…ずるい…私も抱っこ…」

「……順番でいいか?」

 

ハジメは堂々と香織をお姫様抱っこして移動する。

この辺の照れは既にハジメは無くなっていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「よし、いい感じに付いてきている!」

「…ハジメ、戦わないの…?」

「そうだ。ユエ、香織、敵の反応を見ていてくれ!親玉は過剰な反応をした方向にいる筈だ!」

「任せて!ハジメ君!」

「…ん、わかった…カズト…ファイト〜」

「香織、そろそろ交代してよ!私だってハジメさんに抱かれたい…」

 

ハジメ達は現在、二百近い魔物に追われていた。

草むらが鬱陶しいのと、吸血は済んでいるのにユエはカズトの背中から降りようとしない。

香織もお姫様抱っこされたままで雫が膨れている…

 

後ろからは魔物が、

 

ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

 

と、地響きを立てながら迫っている。

背の高い草むらに隠れながらラプトルが併走し四方八方から飛びかかってくる。

それを迎撃しつつ、探索の結果一番怪しいと考えられた場所に向かいひたすら駆けるハジメ達。

ユエも魔法を撃ち込み致命的な包囲をさせまいとする。

 

カプッ、チュー

 

ハジメ達が睨んだのは樹海を抜けた先、今通っている草むらの向こう側にみえる迷宮の壁、その中央付近にある縦割れの洞窟らしき場所だ。

 

なぜ、その場所に目星をつけたのかというと、襲い来る魔物の動きに一定の習性があったからだ。

ハジメ達が迎撃しながら進んでいると、ある方向に逃走しようとした時だけやたら動きが激しくなるのだ。

まるで、その方向には行かせまいとするかのように。

このまま当てもなく探し続けても魔物が増え続けるだけなのでイチかバチかその方向に突貫してみることにしたというわけである。

 

どうやら、草むらに隠れながらというのは既に失敗しているので、ハジメ達は〝空力〟で跳躍し、〝縮地〟で更に加速する。

 

カプッ、チュー

 

「ユエさん!? さっきからちょくちょく吸うの止めてくれませんかね!?」

「……不可抗力」

「嘘だ! ほとんど消耗してないだろ!」

「……ヤツの花が……私にも……くっ」

「何わざとらしく呻いてんだよ。ヤツのせいにするなバカヤロー。ていうか余裕だな、おい」

 

こんな状況にもかかわらず、カズトの血に夢中のユエ。

元王族なだけあって肝の据わりかたは半端ではないらしい。

そんな風に戯れながらもきっちり迎撃し、ハジメ達は二百体以上の魔物を引き連れたまま縦割れに飛び込んだ。

 

縦割れの洞窟は大の大人が二人並べば窮屈さを感じる狭さだ。

ティラノは当然通れず、ラプトルでも一体ずつしか侵入できない。

何とかハジメ達を引き裂こうと侵入してきたラプトルの一体がカギ爪を伸ばすが、その前に雫の銃が火を噴き吹き飛ばした。

そして、すかさず錬成し割れ目を塞ぐ。

 

「ふぅ~、取り敢えず大丈夫だろう」

「ハジメ君、お疲れさま」

「香織、そう思うなら、そろそろ降りなさい?」

「…仕方ないよね…ハジメ君、後でいっぱい愛してね?」

「ダメよ、香織。貴女、ずっと抱っこして貰ってたんだから…私からよね?ハジメさん♡」

こんな時もしっかりイチャつくハジメ達であった。

 

「ユエさんや、そろそろ降りてもらえませんかね?」

「…ぬぅ…仕方なし…では降りる前の一口…」

カプッ、チュー

「おい!」

 

カズトの言葉に渋々、ほんと~に渋々といった様子でカズトの背から降りるユエ。

余程、カズトの背中は居心地がいいらしい。

こっちもしっかりイチャついていた…

 

「さて、あいつらやたら必死だったからな、ここでビンゴだろ。油断するなよ?」

「「「「了解!」」」」

 

錬成で入口を閉じたため薄暗い洞窟を5人は慎重に進む。

 

しばらく道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。

広間の奥には更に縦割れの道が続いている。

もしかすると階下への階段かもしれない。

ハジメ、香織、雫は辺りを探る。

三人の〝気配感知〟には何も反応はないがなんとなく嫌な予感がするので警戒は怠らない。

気配感知を誤魔化す魔物など、この迷宮にはわんさかいるのだ。

 

ハジメ達が部屋の中央までやってきたとき、それは起きた。

 

全方位から緑色のピンポン玉のようなものが無数に飛んできたのだ。

ハジメ達は一瞬で背中合わせになり、飛来する緑の球を迎撃する。

 

しかし、その数は優に百を超え、尚、激しく撃ち込まれるのでハジメは錬成で石壁を作り出し防ぐことに決めた。

石壁に阻まれ貫くこともできずに潰れていく緑の球。

大した威力もなさそうである。

ユエの方も問題なく、速度と手数に優れる風系の魔法で迎撃している。

 

「おそらく本体の攻撃だ。ユエ、どこにいるかわかるか?」

「……」

「ユエ?」

 

ユエに本体の位置を把握できるか聞いてみるハジメ。

ユエは〝気配感知〟など索敵系の技能は持っていないが、吸血鬼の鋭い五感はハジメ達とは異なる観点で有用な索敵となることがあるのだ。

 

しかし、ハジメの質問にユエは答えない。

訝しみ、カズトはユエの名を呼んだが、その返答は……

 

「……にげて……みんな!」

 

いつの間にかユエの手がハジメに向いていた。

ユエの手に風が集束する。

本能が激しく警鐘を鳴らし、ハジメ達は、その場を全力で飛び退いた。

刹那、ハジメ達のいた場所を強力な風の刃が通り過ぎ、背後の石壁を綺麗に両断する。

 

「「「「ユエ!?」」」」

 

まさかの攻撃にハジメ達は驚愕の声を上げるが、ユエの頭の上にあるものを見て事態を理解する。

そう、ユエの頭の上にも花が咲いていたのだ。

それも、ユエに合わせたのか? と疑いたくなるぐらいよく似合う真っ赤な薔薇が。

 

「くそっ、さっきの緑玉か!?」

 

ハジメは自身の迂闊さに自分を殴りたくなる衝動をこらえ、ユエの風の刃を回避し続ける。

 

「カズト…みんな…うぅ……」

 

ユエが無表情を崩し悲痛な表情をする。

ラプトルの花を撃ったとき、ラプトルは花を憎々しげに踏みつけていた。

あれはつまり、花をつけられ操られている時も意識はあるということだろう。体の自由だけを奪われるようだ。

 

だが、それなら解放の仕方も既に知っている。

ハジメと香織と雫はユエの花に照準し引き金を引こうとした。

 

しかし、操っている者もハジメ達が花を撃ち落としたことやハジメ達の飛び道具を知っているようで、そう簡単にはいかなかった。

 

ユエを操り、花を庇うような動きをし出したのだ。

上下の運動を多用しており、外せばユエの顔面を吹き飛ばしてしまうだろう。ならばと、接近し切り落とそうとすると、突然ユエが片方の手を自分の頭に当てるという行動に出た。

 

「……やってくれるじゃねぇか……」

 

つまり、ハジメ達が接近すればユエ自身を自らの魔法の的にすると警告しているのだろう。

 

ユエは確かに不死身に近い。

しかし、上級以上の魔法を使い一瞬で塵にされてなお〝再生〟できるかと言われれば否定せざるを得ない。

そして、ユエは、最上級ですらノータイムで放てるのだ。

特攻など分の悪そうな賭けは避けたいところだ。

 

ハジメ達の逡巡を察したのか、それは奥の縦割れの暗がりから現れた。

 

アルラウネやドリアード等という人間の女と植物が融合したような魔物がRPGにはよく出てくる。

ハジメ達の前に現れた魔物は正しくそれだった。

もっとも、神話では美しい女性の姿で敵対しなかったり大切にすれば幸運をもたらすなどという伝承もあるが、目の前のエセアルラウネにはそんな印象皆無である。

 

確かに、見た目は人間の女なのだが、内面の醜さが溢れているかのように醜悪な顔をしており、無数のツルが触手のようにウネウネとうねっていて実に気味が悪い。

その口元は何が楽しいのかニタニタと笑っている。

 

ハジメと雫はすかさずエセアルラウネに銃口を向けた。

しかし、ハジメ達が発砲する前にユエが射線に入って妨害する。

 

「ハジメ……ごめんなさい……」

 

悔しそうな表情で歯を食いしばっているユエ。

自分が足手まといになっていることが耐え難いのだろう。

今も必死に抵抗しているはずだ。

口は動くようで、謝罪しながらも引き結ばれた口元からは血が滴り落ちている。鋭い犬歯が唇を傷つけているのだ。

悔しいためか、呪縛を解くためか、あるいはその両方か。

 

ユエを盾にしながらエセアルラウネは緑の球をハジメ達に打ち込む。

 

ハジメは、それをドンナーで打ち払った。

球が潰れ、目に見えないがおそらく花を咲かせる胞子が飛び散っているのだろう。

 

しかし、ユエのようにハジメ達の頭に花が咲く気配はない。

ニタニタ笑いを止め怪訝そうな表情になるエセアルラウネ。

ハジメ達には胞子が効かないようだ。

 

(たぶん、耐性系の技能のおかげだろうな)

 

ハジメの推測通り、エセアルラウネの胞子は一種の神経毒である。

そのため、〝毒耐性〟によりハジメ達には効果がないのだ。

つまり、ハジメ達が助かっているのは全くの偶然で、ユエを油断したとは責められない。

ユエが悲痛を感じる必要はないのだ。

 

エセアルラウネはハジメ達に胞子が効かないと悟ったのか不機嫌そうにユエに命じて魔法を発動させる。

また、風の刃だ。

もしかすると、ラプトル達の動きが単純だったことも考えると操る対象の実力を十全には発揮できないのかもしれない。

 

(不幸中の幸いだな)

 

風の刃を回避しようとすると、これみよがしにユエの頭に手をやるのでその場に留まり、サイクロプスより奪った固有魔法〝金剛〟により耐える。

 

この技能は魔力を体表に覆うように展開し固めることで、文字通り金剛の如き防御力を発揮するという何とも頼もしい技能である。

まだまだ未熟なため、おそらくサイクロプスの十分の一程度の防御力だが、風の刃も鋭さはあっても威力はないので凌げている。

 

(一応、速攻で片付く方法もあるんだが……後が怖いしな……焼夷手榴弾でも投げ込むか?)

 

ハジメ達がこの状況をどう打開すべきか思案していると、ユエが悲痛な叫びを上げる。

 

「カズト、みんな!……私はいいから……攻撃して!」

 

何やら覚悟を決めた様子でハジメ達に撃てと叫ぶユエ。

ハジメ達の足手まといになるどころか、攻撃してしまうぐらいなら自分ごと撃って欲しい、そんな意志を込めた紅い瞳が真っ直ぐハジメ達を見つめる。

 

そんなこと出来るはずないだろう!

必ず助けてみせる!

普通はこんな熱いセリフが飛び出て、ヒロインと絆を確かめ合うシーンだ。

一昔前のカズトならそうしただろう。

だがしかし、そんな期待を裏切るのが現在のカズトクオリティー。

 

「え、いいのか? 助かるわ」

「ユエ、貴女早まらな…えっ?」

「ユエ、俺に作戦があ…えっ?」

「ユエ、心配しないで!必ず助け…えっ?」

 

ズバッ!!

 

広間に斬撃が響き渡る。

 

ユエの言葉を聞いた瞬間、何の躊躇いもなく縮地でエセアルラウネの背後に回り横一閃に切り裂くカズト。

 

ユエを励まそうとしたハジメ、香織、雫は固まっている…

 

広間を冷たい空気が満たし静寂が支配する。

そんな中、くるくると宙を舞っていたバラの花がパサリと地面に落ちた。

ユエの頭に咲いていた花も一緒に切り裂いたのであった…

 

ユエが目をパチクリとする。

ハジメ、香織、雫もパチクリとする。

 

ユエがそっと両手で頭の上を確認するとそこに花はなく、代わりに縮れたり千切れている自身の金髪があった。

エセアルラウネは真っ二つにされながらも事態を把握したのか、どこか非難するような目でカズトを睨む。

 

「いや、お前がそんな目をするなよ」

 

斬ッ!!

 

ツッコミを入れつつカズトが止めをさす。

エセアルラウネの上半身を縦に真っ二つに切り裂く。

そのまま、グラリと傾くと手足をビクンビクンと痙攣させながら地面に倒れ伏した。

 

「で、ユエ、無事か? 違和感とかないか?」

 

気軽な感じでユエの安否を確認するカズト。

だが、ユエは未だに頭をさすりながらジトっとした目でカズトを睨む。

 

「……斬った」

「あ? そりゃあ攻撃していいって言うから」

「……躊躇わなかった……」

「そりゃあ、最終的には斬る気だったし。縮地で背後に回り込む自信はあったんだけどな、流石に問答無用で斬ったらユエがヘソ曲げそうだし、今後のためにならんだろうと配慮したんだぞ?」

「……ちょっと頭皮、削れた……かも……」

「まぁ、それくらいすぐ再生するだろ? 問題なし」

「うぅ~……」

 

ユエは「確かにその通りなんだけど!」と言いたげな顔でカズトのお腹をポカポカと殴る。

 

確かに、攻撃してと言ったのは自分であり、足手まといになるぐらいならと覚悟を決めたのも事実だ。だが、ユエとて女。

多少の夢は見る。

せめてちょっとくらい躊躇って欲しかったのだ。

いくらなんでも、あの反応は軽すぎると不満全開で八つ当たりする。

 

カズトとしては、操られた状態では上級魔法を使用される恐れが低いとわかった時点でユエに対する心配はほとんどしていなかった。

ユエの不死性を超える攻撃などそうそうないからだ。

 

しかし、躊躇い無く斬っててギクシャクするのも嫌だったので戦闘中に躊躇うという最大の禁忌まで犯して堪えたのに、いったい何がそんなに不満なのかと首を傾げる。

そんなカズトの様子にますますヘソを曲げ、ユエはプイッとそっぽを向いてしまった。

 

カズトは内心溜息を吐きながら、どうやって機嫌を直すか思案し始める。

それは、エセアルラウネの攻略より遥かに難しそうだった。

 

ハジメ達はこの階層の魔物を食べる為洞穴を二つ作ったが、カズトのいる洞穴からはずっとカズトの悲鳴が聞こえていた…

 

ハジメ達の洞穴からは、雫の喘ぎ声が聞こえていた…

香織はずっと抱っこされてたからお預けになっていた…

 




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南雲ハジメ 18歳 男 レベル:76
天職:錬成師    職業:冒険者 青
筋力:2460
体力:2460
耐性:2460
敏捷:2460
魔力:2460
魔耐:2460
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+鉱物系探査][+精密錬成][+複製錬成][+圧縮錬成][+高速錬成][+自動錬成][+イメージ補強力上昇][+消費魔力減少][+鉱物系融合][+鉱物系分離][+鉱物系分解][+貯蔵庫][+貯蔵庫内複製][+貯蔵庫容量増加][+震動波砕][+震動波砕道具付与][+震動波砕効果範囲拡大][+詳細設計]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・魔力視・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・威圧[+威圧対象選択][+威圧増幅]・纏雷[+雷耐性][+威力調整][+放出]・纏氷[+氷耐性][+威力調整][+放出]・纏光[+光耐性][+威力調整][+放出]・纏闇[+闇耐性][+威力調整][+放出]・纏風[+風耐性][+威力調整][+放出]・纏火[+火耐性][+威力調整][+放出]・纏水[+水耐性][+威力調整][+放出]・纏地[+地耐性][+威力調整][+放出]・気配遮断[+無音][+無臭]・再生[+超速再生][+自動再生]・天歩[+空力][+縮地][+爆縮地][+豪脚][+瞬光]・高速魔力回復・眷族通話(香織、雫)・飛爪[+三爪][+五爪][+飛爪]・夜目・石化耐性・毒耐性・麻痺耐性・病気耐性・呪耐性・恐怖耐性・金剛・糸作成[+粘糸][+鋼糸]・遊泳[+潜水][+水中呼吸][+水圧軽減]・減速加速門・最適化・言語理解・「 」の加護
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南雲香織 18歳 女 レベル:76
天職:治癒師    職業:冒険者 青
筋力 : 2200
体力:2200
耐性:2200
敏捷:2200
魔力:3000
魔耐:3000
技能:回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動] ・光魔法適性[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・魔力視・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・威圧[+威圧対象選択][+威圧増幅]・纏雷[+雷耐性][+威力調整][+放出]・纏氷[+氷耐性][+威力調整][+放出]・纏光[+光耐性][+威力調整][+放出]・纏闇[+闇耐性][+威力調整][+放出]・纏風[+風耐性][+威力調整][+放出]・纏火[+火耐性][+威力調整][+放出]・纏水[+水耐性][+威力調整][+放出]・纏地[+地耐性][+威力調整][+放出]・気配遮断[+無音][+無臭]・再生[+超速再生][+自動再生]・天歩[+空力][+縮地][+爆縮地][+豪脚][+瞬光]・高速魔力回復・眷族通話(ハジメ、雫)・飛爪[+三爪][+五爪][+飛爪]・夜目・石化耐性・毒耐性・麻痺耐性・病気耐性・呪耐性・恐怖耐性・金剛・糸作成[+粘糸][+鋼糸]・遊泳[+潜水][+水中呼吸][+水圧軽減]・言語理解・接着・「 」の加護
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南雲雫 18歳 女 レベル:76
天職:剣士    職業:冒険者 青
筋力: 2500
体力: 2500
耐性: 2200
敏捷: 3000
魔力: 2500
魔耐: 2500
技能:剣術[+抜刀速度上昇][+斬撃威力上昇][+斬撃速度上昇][+命中精度上昇][+弱点看破][+衝撃波追加][+空波斬][+白拍子]・先読・気配感知[+特定感知]・隠業・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・魔力視・魔力感知[+特定感知]・威圧[+威圧対象選択][+威圧増幅]・纏雷[+雷耐性][+威力調整][+放出]・纏氷[+氷耐性][+威力調整][+放出]・纏光[+光耐性][+威力調整][+放出]・纏闇[+闇耐性][+威力調整][+放出]・纏風[+風耐性][+威力調整][+放出]・纏火[+火耐性][+威力調整][+放出]・纏水[+水耐性][+威力調整][+放出]・纏地[+地耐性][+威力調整][+放出]・気配遮断[+無音][+無臭]・再生[+超速再生][+自動再生]・天歩[+空力][+縮地][+爆縮地][+豪脚][+瞬光]・高速魔力回復・眷族通話(香織、ハジメ)・風爪[+三爪][+五爪][+飛爪]・夜目・石化耐性・毒耐性・麻痺耐性・病気耐性・呪耐性・恐怖耐性・金剛・糸作成[+粘糸][+鋼糸]・遊泳[+潜水][+水中呼吸][+水圧軽減]・言語理解・分解・「 」の加護
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篠原カズト 18歳 男 レベル:76
天職:火剣士     職業:冒険者 青
筋力:2600
体力:2600
耐性:2400
敏捷:2700
魔力:2500
魔耐:2500
技能:剣術[+斬撃速度上昇][+斬撃威力上昇][+命中率上昇][+武器強化][+空波斬]・纏火[+火耐性][+威力調整]・火魔法適性[+発動速度上昇]・結界魔法適性[+発動速度上昇]・魔力操作・威圧・纏雷[+雷耐性][+威力調整]・纏闇[+闇耐性][+威力調整]天歩[+空力][+縮地][+爆縮地][+豪脚]・風爪[+三爪]・夜目・石化耐性・麻痺耐性・毒耐性・病気耐性・呪耐性・複合魔法・金剛・高速魔力回復・胃酸強化・言語理解・「 」の加護
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ユエ 323歳 女 レベル:70
天職:大魔導師   職業:   
筋力: 200
体力: 400
耐性 : 100
敏捷: 200
魔力:9000
魔耐:9000
技能:自動再生[+痛覚操作][+再生操作]・全属性適性・複合魔法・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収][+身体強化]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換][+血盟契約]・高速魔力回復・
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愛子先生はハジメのハーレムにいれるかどうか?

  • 南雲ハジメのハーレム入り
  • 篠原カズトのハーレム入り
  • 全く別の人物の妻
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