ありふれた錬成師と治癒師と剣士で世界最強   作:nonohoho

24 / 26
さて、いよいよ100階層目。

原作ではハジメとユエのみでしたが、今作ではハジメ、香織、雫、カズトの4人とユエがいます。

しかもハジメ、香織、雫は属性耐性フルコンプです。

充実した戦力にハジメの指揮能力が頭抜けた状態で、果たしてヒュドラは意地を見せる事ができるか…?

今回はこんな感じです。(=゚ω゚)


第二十四話 ありふれた覚醒

エセアルラウネを問答無用に斬り殺し、ユエが機嫌を損ねた日から随分経った。

あの後、気絶するまで血を吸われたカズト。

更にカズトは限界を超えて何かを搾り取られていた…

神水が大活躍した事は間違いない…

その甲斐あってか何とかユエの機嫌を直すことに成功し、再び迷宮攻略に勤しんでいた。

 

そして遂に、次の階層でハジメと香織、雫が最初にいた階層から百階目になるところまで来た。

その一歩手前の階層でハジメ達は装備の確認と補充にあたっていた。

香織と雫は飽きもせずにハジメの作業を手伝いながらイチャついている。

 

一方カズトはユエ相手に魔法と剣術の組み合わせを模索していた。

ユエは全力で鍛錬するカズトを見るのが好きなようだ。

今もカズトが様々な剣術とスキルの組み合わせを試している姿を見て安らいだ表情を浮かべていた。

 

ユエは、香織と雫に影響を受けたのかどうか分からないが、休憩のたびにやりまくっていた為、露骨に甘えてくるようにもなった。

 

ハジメ達と分かれて休憩する時は横になれば添い寝の如く腕に抱きつくし、座っていれば背中から抱きつく。

吸血させるときは正面から抱き合う形になるのだが、終わった後も中々離れようとせずに恋人の営みに移行する。

 

カズトは、ハジメ達のイチャイチャを見せつけられていた過去は既に忘れていた。

今ではハジメ達のイチャイチャ振りが理解できるからである。

 

それはさておき…

 

「ハジメ君、銃弾は十分あるよ。神水は奥歯に仕込んだモノも含めて5本づつ渡したよ!」

「ハジメさん、ライフルの命中率も上がったわ!こちらの準備も完了よ!」

「ハジメ、俺の〝魔剣 閻魔〟も馴染んだぜ。準備完了だ!」

「…みんな慎重…?カズト…どうして?」

「うん? ああ、次で百階だからな。もしかしたら何かあるかもしれないと思ってな。一般に認識されている上の迷宮も百階だと言われていたから……まぁ念のためだ」

 

ハジメが最初にいた階層から八十階を超えた時点で、ここが地上で認識されている通常の【オルクス大迷宮】である可能性は消えた。

奈落に落ちた時の感覚と、各階層を踏破してきた感覚からいえば、通常の迷宮の遥かに地下であるのは確実だ。

 

肉体も精神も、スキルも魔法も相当磨きをかけたという自負がハジメ達にはあり、簡単にやられはしないだろう。

しかし、そのような実力とは関係なくあっさり致命傷を与えてくるのが迷宮の怖いところである。

故に、出来る時に出来る限りの準備をしておく。

 

しばらくして、全ての準備を終えたハジメ達は、階下へと続く階段へと向かった。

 

その階層は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。

碁盤目上にならぶ柱の一本一本が直径五メートルはあり、荘厳さを感じさせる空間だった。

 

ハジメ達が、しばしその光景に見惚れつつ足を踏み入れる。

すると、全ての柱が淡く輝き始めた。

ハッと我を取り戻し警戒するハジメ達。

柱はハジメ達を起点に奥の方へ順次輝いていく。

 

ハジメ達はしばらく警戒していたが特に何も起こらないので先へ進むことにした。

感知系の技能をフル活用しながら歩みを進める。

二百メートルも進んだ頃、前方に巨大な扉を見つけた。

全長十メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた美しい彫刻が彫られている。

特に、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だ。

 

「……これはまた凄いな。もしかして……」

「ここが反逆者の住処?」

 

いかにもラスボスの部屋といった感じだ。

実際、感知系技能には反応がなくともハジメ達の本能が警鐘を鳴らしていた。この先はマズイと。

それは、感知系の技能を持たないユエも感じているのか、うっすらと額に汗をかいている。

 

「どうやら、ようやくゴールにたどり着いたってことかな?」

「…うん。ハジメ君…長かったね…」

「そうね…物凄い経験だったわ…ここまで来たら絶対に生き延びるわよ!」

 

「俺は香織と雫を守る。カズトとユエも…」

「私はハジメ君と雫ちゃんを守る。篠原君とユエも…」

「私はハジメさんと香織を守る。篠原君とユエも」

 

ハジメ、香織、雫は見つめ合いながら決意を固める。

本能的な恐怖すら不思議と薄れていくのが感じられた。

たとえ何が待ち受けていようと乗り越えていける。

 

「……私達は…オマケ…?でも、私もカズトを守る…そして皆んなを守る…」

「ユエ、そこはスルーだ。俺もユエを守る。そして皆んなも守る!」

 

カズトとユエも覚悟を決めた表情で扉を睨みつける。

 

そして、二人揃って扉の前に行こうと最後の柱の間を越えた。

 

その瞬間、扉とハジメ達の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。

 

 

ハジメは、その魔法陣に見覚えがあった。

忘れようもない、あの日自分達を窮地に追い込んだトラップと同じものだ。

だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。

 

「おいおい、なんだこの大きさは?……マジでラスボス…かよ」

「……大丈夫……私達、負けない……」

 

カズトが流石に引きつった笑みを浮かべるが、ユエは決然とした表情を崩さずカズトの腕をギュッと掴んだ。

 

ハジメはその時、今更ながらではあるが、カズトとユエの欠点を見抜いてしまった。

そう…カズトとユエには恐怖耐性がないことを…

 

しかし、この魔法陣から出てくる化物を倒さないと先へは進めないらしい。

 

魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。

咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにするハジメ達。

光が収まった時、そこに現れたのは……

 

体長三十メートル、8つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。

例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。

何故か右前足に足輪のような物がはめられている。

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

 

不思議な音色の絶叫をあげながら8対の眼光がハジメ達を射貫く。

身の程知らずな侵入者に裁きを与えようというのか、常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気がハジメ達に叩きつけられた。

 

同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火炎放射を放った。

それはもう炎の壁というに相応しい規模である。

 

ハジメ達は左とカズト達は右と同時にその場を左右に飛び退き反撃を開始する。

ハジメと香織と雫の銃が火を吹き電磁加速された弾丸が超速で赤頭、黄頭、緑頭をそれぞれ狙い撃つ。

弾丸は狙い違わずそれぞれの頭を吹き飛ばした。

 

まずは3つとハジメ達が内心ガッツポーズを決めた時、白い文様の入った頭が「クルゥアン!」と叫び、吹き飛んだ赤頭、黄頭、緑頭を白い光が包み込んだ。

すると、まるで逆再生でもしているかのように赤頭が元に戻った。

白頭は回復魔法を使えるらしい。

 

ハジメ達に少し遅れてユエの氷弾が黒の文様がある頭を吹き飛ばしたが、同じように白頭の叫びと共に回復してしまった。

 

ハジメは舌打ちをしつつ〝眷族通話〟で香織と雫に伝える。

 

〝香織、雫 あの白頭を狙うぞ! キリがない!〟

〝わかったわ!〟

〝ハジメ君、爆光鎖で前の6本首は止めるよ!〟

 

青い文様の頭が口から散弾のように氷の礫を吐き出し、それを回避しながらハジメ達が白頭を狙う。

 

ドパンッ!ドパンッ!

 

「〝爆光鎖〟!」

 

閃光が白頭に迫る。

しかし、直撃かと思われた瞬間、黄色の文様の頭がサッと射線に入りその頭を一瞬で肥大化させた。

そして淡く黄色に輝きハジメと雫のレールガンを受け止めてしまった。

衝撃と爆炎の後には無傷の黄頭が平然とそこにいてハジメ達を睥睨している。

 

「ちっ! 盾役か。攻撃に盾に回復にと実にバランスのいいことだな!」

 

ハジメは頭上に向かって〝焼夷手榴弾〟を投げる。

同時にドンナーの最大出力で白頭に連射した。

ユエも合わせて〝緋槍〟を連発する。

ユエの〝蒼天〟なら黄頭を抜いて白頭に届くかもしれないが、最上級を使うと一発でユエは行動不能になる。

吸血させれば直ぐに回復するが、その隙を他の頭が許してくれるとは思えなかった。

せめて半数は減らさないと最上級は使えない。

 

黄頭は、ハジメとユエの攻撃を尽く受け止める。

だが、流石に今度は無傷とはいかなかったのかあちこち傷ついていた。

 

「クルゥアン!」

 

すかさず白頭が黄頭を回復させる。

全くもって優秀な回復役である。

しかし、その直後、白頭の頭上で〝焼夷手榴弾〟が破裂した。

摂氏三千度の燃え盛るタールが撒き散らされる。

白頭にも降り注ぎ、その苦痛に悲鳴を上げながら悶えている。

 

このチャンス逃すか! とハジメが〝念話〟で合図を雫に送り、同時攻撃を仕掛けようとする。

 

が、その前に絶叫が響いた。カズトとユエの声で。

 

「やめろぉおおお!!!」

「いやぁああああ!!!」

 

「!? カズト、ユエ!チッ…今は白頭殲滅!雫!」

「てやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

雫渾身の斬撃が決まる!…と思われた時、白頭が雫の方を向き閃光のようなブレスを吐く

ゴォォォォォォォォォォォォォ!

 

咄嗟に雫を香織の方に投げ飛ばし閃光のブレスの直撃を受けるハジメ。

(っおおおおおおおおお!最適化!最適化!最適化!)

 

ありえないダメージを食らったハジメが最適化を自身に連発する。

すると身を焼く程の連続ダメージが薄れていった。

毒耐性のあるハジメに毒の症状が現れたがすぐに浄化される。

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!?ハジメ君?大丈夫?平気?」

「ハ、ハジメさん!!?」

香織と雫が駆け寄ってくるがハジメは香織と雫を抱えてカズト達の元に向かう。

 

「香織、大丈夫だ。それよりカズト達を!」

神水を飲み回復したハジメが香織にカズトとユエをゆだねる。

 

「う、うん!任せてハジメ君!」

「香織!頼んだわよ!ハジメさん、私はどうしたらいいの?」

「決まっている!白頭を倒す。邪魔する黄頭をまず倒さなければならないがそれにはカズトとユエの殲滅火力が必要だ!二人が元に戻るまで敵の注意を引きつける!」

「わかったわ!」

ハジメと雫がヒュドラに突感する。

 

一方未だ絶叫を上げるカズトとユエに、歯噛みしながら一体何がと考える香織。

そして、そういえば黒い文様の頭が未だ何もしていないことを思い出す。

 

(違う、もう既に何かしているの?)

「ハジメ君!黒頭を狙って!」

 

香織の声を聞いたハジメは〝縮地〟と〝空力〟で必死に攻撃をかわしながら黒頭に向かってドンナーを発砲した。

 

射撃音と共に、カズトとユエをジッと見ていた黒頭が吹き飛ぶ。

同時に、カズトとユエがくたりと倒れ込んだ。

その顔は遠目に青ざめているのがわかる。

そのカズトとユエを喰らおうというのか青頭が大口を開けながら長い首を伸ばしカズトとユエに迫っていく。

 

ハジメは香織の方を見る。

香織に紫頭が襲いかかるが〝縮地〟でかわし反撃しているので、カズトとユエを守る為に行動する。

 

「させるかぁああ!!」

 

ハジメはダメージ覚悟で炎弾と風刃の嵐を〝縮地〟で突っ込んで行く。

致命傷になりそうな攻撃だけドンナーの銃身と〝風爪〟で切り裂き、ギリギリのタイミングでカズト、ユエと青頭の間に入ることに成功した。

しかし、迎撃の暇はなく、ハジメは咄嗟に〝金剛〟を発動する。

〝金剛〟は移動しながらは使えない。

そのため、どっしりとユエの前に立ち塞がる。

そのタイミングを見計らったように8本首全てからブレスが吐かれてしまう。

 

「「「「「「「「クルルルッ!」」」」」」」」

「ぐぅう!最適化!最適化!最適化!」

 

属性耐性を持っているハジメの防御を、何故か軽く突破してくるブレスに、ハジメが必死に最適化を連発しながら耐えていると、たちどころにダメージが減っていく。

「聖絶!周天!超回復!再生!」

 

香織が防御、回復魔法を連発してくれたおかげでハジメはカズトとユエを何とか守りきれた。

 

ユエは呆然としながら自分の前に立つハジメを見つめる。

ハジメの背中は何と力強く頼もしい背中なのだろうと…

香織と雫があれほど尽くすのも頷ける。

 

ユエはカズトの方をみる。

カズトは怯えて動けなくなっていた…

 

ユエはカズトが精神的に未熟な事を知っていた。

それでも必死に訓練をし、戦う姿にユエは惚れていたのだ。

ユエは震えているカズトをそっと抱きしめて

 

「カズト…怖い?私も怖い…でも目を開けて前を見て…」

 

ドパンッ!ドパンッ!

「爆光鎖!」

ドパンッ!

 

頭を上げ、前を見たカズトの目に入ってきたのは必死に戦うハジメ達の姿だ。

 

雫の銃弾が黒頭と青頭の頭部を吹き飛ばす。

力を失った青頭を雫は〝豪脚〟で蹴り飛ばす。

その隙にハジメは〝閃光手榴弾〟と〝音響手榴弾〟をヒュドラに向かって投げつけた。

 

ハジメ、香織、雫は見事な連携を見せながらヒュドラを連携と作戦で押していた。

しかし、ここぞと言う時に白頭に回復されてしまい均衡を崩す事が出来ずにいる。

ハジメ、香織、雫の最大の弱点、広範囲を殲滅する火力が不足していたからである。

 

「カズト…ハジメの姿を見て…ハジメの背中を見ていると安心するでしょ?…あれが誰かを守る為の強さ…」

「うっ…グスッ…守る為の強さ…」

「んっ…その強さはカズトも持っている…まだ未熟なだけ…だからカズト…私を見ていて…」

 

ユエの全身から膨大な魔力が溢れ出す。

立ち上がりヒュドラに向き合う姿は、バンパイア一族の女王の姿にふさわしい威厳ある姿だ。

 

「守る為に戦う姿を…その背中を…今は…私がカズトを守る…でもいつか…私や皆んなを守ってね…」

慈愛に満ちたユエの笑顔がカズトの心に刻まれる…

 

「〝緋槍〟〝氷柱〟」

 

ユエが緑頭と青頭を吹き飛ばす。

 

「ユエ?貴女大丈夫なの?」

香織がユエに〝聖絶〟をかける。

 

「…ん!平気…香織、遅れてごめんなさい…」

「恐怖耐性無いんだから気にしないで、ユエ。頑張ろ!」

「…ありがとう…香織…」

 

ドパンッ!ドパンッ!

雫は銃撃しながら白頭を斬るタイミングを測っていた。

ユエが復帰してくれたおかげで攻撃してくる頭の数が減り、雫に余裕が生まれる。

 

「ユエが戻ったから何とかなりそうね…?」

「ああ。火力不足かも知れないが…焼夷手榴弾を全部使えば何とかなる!」

 

ハジメは一瞬で作戦を組み立て、指示をだす。

 

「香織!爆光鎖で前6本を頼む!その後黒頭を撃ってくれ!」

「ハジメ君!任せて!」

 

「雫!俺とユエで黄頭を何とかする。一瞬の隙をついて白頭を斬ってくれ!黄頭が健在だった時は注意を引きつけてくれ!」

「ハジメさん!任せて!」

 

「ユエ!〝蒼天〟を頼む!撃った後はカズトの所へ!」

「…んっ!!」

 

「俺の銃撃を合図に行動開始!」

 

ドパンッ!ドパンッ!

ハジメの銃撃の後〝爆光鎖!〟〝蒼天!〟

香織とユエの魔法が続き…

 

「てやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

雫の一撃がついに白頭の首を半ばまで切断する。

 

すかさずハジメの焼夷手榴弾が黄頭と白頭の間に投げ込まれる。

 

ドゴォォォォォォォォォーン!!!

 

白頭が吹き飛び戦いが終わる…訳では無かった…

 

「やった!ハジメ君!倒したね!」

「香織…フラグっぽいぞ…」

香織がハジメが指差す方向を見ると…

 

ヒュドラの右前足だけに付いていた足輪が光り砕けたかと思ったら、瞬くまにヒュドラが再生されてしまった。

 

「……冗談だろ?復活アイテム付きかよ…」

ハジメは愚痴ったが一瞬で立て直し香織達に檄を飛ばす。

 

「ヒュドラに復活アイテムはもうない!今度こそ倒して先に進むぞ!!」

呆然としていた香織、雫、ユエはハジメの檄に気を取り直して

「ハジメ君、作戦はさっきと同じ?」

「そうだ!ユエの〝蒼天〟のかわりに俺の焼夷手榴弾で行う!行くぞ!」

 

ハジメは焼夷手榴弾でユエの〝蒼天〟の変わりになるか不安だったが最早手持ちはない。

ブレスの直撃はハジメに相当のダメージを蓄積させていた。

次の攻撃に全火力を投入する。

これがダメなら一旦引く。

 

そう決めたハジメの背後で爆破的な魔力の膨張を感じた。

そして桁違いの火柱が巻き起こる…

ハジメ達だけではなくヒュドラすら注目する火柱の中心にいたのが…

 

「…カズト…?…な、何…この魔力は…?」

魔力チートのユエが桁違いの火柱の魔力に驚愕している。

 

俯いたカズトが手をヒュドラに向け呟く…

〝地獄闇炎雷〟

 

ゴウッ!

 

一瞬にして前衛の頭6本が消え去る。

 

「…冗談でしょ…?今までの苦労は一体…」

雫が落ち込むが今はヒュドラ殲滅が最優先だ。

 

「今だ!雫!白頭を!」

「はい!」

「ユエ!ありったけの魔法を黄頭に!」

「…んっ!!」

「カズト!俺と特攻だ!黄頭を抜けたら白頭に総攻撃だ!」

「ハジメ!俺は情けないだろ?涙も鼻水も止まらねえよ…」

 

「何言っている?カズト、最高にかっこいいぞ!ヤツを殺して生き残る。そして、地上に出て故郷に帰るんだ。……皆んな一緒にな」

 

ハジメの檄に全員ハジメを見て…、すぐにヒュドラに向き合う。

もう、誰もヒュドラに対して恐怖心を抱いてはいない。

カズトの目にも力が戻っていた。

ハジメは最後の攻撃をかける合図をする。

「行くぞ!」

 

「んっ!」

先手はユエだ。

黄頭に遠慮なく魔法を連発する。

「〝緋槍〟! 〝砲皇〟! 〝凍雨〟!」

 

矢継ぎ早に引かれた魔法のトリガー。

有り得ない速度で魔法が構築され、炎の槍と螺旋に渦巻く真空刃を伴った竜巻と鋭い針のような氷の雨が一斉にヒュドラを襲う。

 

黄頭が一瞬にしてぼろぼろになってしまい、慌てた白頭が回復をかけた瞬間…

 

ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!

ハジメと香織が白頭に向けて銃撃する。

 

回復した黄頭が慌てて白頭の盾になろうとした時、反対方向から雫とカズトが容赦なく切り込む。

 

「〝空波斬〟」「〝極炎斬!」

雫とカズトが白頭を切り裂く。

 

「クルゥアァァァァァァァァン!!!」

 

白頭の断末魔の絶叫が響く。

 

黄頭が慌てた様子を見たハジメがすかさず追撃にはいる。

 

瀕死の黄頭の周りにハジメの焼夷手榴弾がまかれる。

 

「終わりだ。」

ハジメの言葉が終わると同時に

 

ドゴォォォォォォォォォォォーン!!

 

黄頭が吹き飛び、ヒュドラの身体が力なく倒れ込む。

 

 

「流石に……もうムリ……」

ヒュドラ達の攻撃をまともに受けていたハジメが倒れ込む。

 

「「ハジメ君(さん)?!」」

 

慌てた香織と雫がハジメのもとへたどり着き手厚い看護を始める。

 

それを見守るカズトとユエは、ハジメがゆっくり休めないと確信していた…




==========================
南雲ハジメ 18歳 男 レベル:85
天職:錬成師    職業:冒険者 青
筋力:2660
体力:2660
耐性:2660
敏捷:2660
魔力:2660
魔耐:2660
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+鉱物系探査][+精密錬成][+複製錬成][+圧縮錬成][+高速錬成][+自動錬成][+イメージ補強力上昇][+消費魔力減少][+鉱物系融合][+鉱物系分離][+鉱物系分解][+貯蔵庫][+貯蔵庫内複製][+貯蔵庫容量増加][+震動波砕][+震動波砕道具付与][+震動波砕効果範囲拡大][+詳細設計]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・魔力視・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・熱源感知[+特定感知]・音響感知[+特定感知]・威圧[+威圧対象選択][+威圧増幅]・纏全(光闇雷氷地水火風極光極闇極雷極氷極地極水極火極風)[+全属性耐性][+全属性強化][+全属性威力調整][+全属性放射][+全属性複数融合発動]・気配遮断[+無音][+無臭][+幻踏]・再生[+超速再生][+自動再生]・天歩[+空力][+縮地][+爆縮地][+豪脚][+瞬光]・高速魔力回復・眷族通話(香織、雫)・風爪[+三爪][+五爪][+飛爪]・夜目・全状態異常耐性(石化 呪い 麻痺 即死 破壊 恐怖 狂乱 病気 毒 魅了 支配)・金剛[+城塞]・糸作成[+粘糸][+鋼糸]・遊泳[+潜水][+水中呼吸][+水圧軽減]・減速加速門・最適化・言語理解・「 」の加護
==========================
 
==========================
南雲香織 18歳 女 レベル:85
天職:治癒師    職業:冒険者 青
筋力 : 2400
体力:2400
耐性:2400
敏捷:2400
魔力:3200
魔耐:3200
技能:回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動] ・光魔法適性[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・魔力視・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・熱源感知[+特定感知]・威圧[+威圧対象選択][+威圧増幅]・纏雷[+雷耐性][+威力調整][+放出]・纏氷[+氷耐性][+威力調整][+放出]・纏光[+光耐性][+威力調整][+放出]・纏闇[+闇耐性][+威力調整][+放出]・纏風[+風耐性][+威力調整][+放出]・纏火[+火耐性][+威力調整][+放出]・纏水[+水耐性][+威力調整][+放出]・纏地[+地耐性][+威力調整][+放出]・気配遮断[+無音][+無臭]・再生[+超速再生][+自動再生]・天歩[+空力][+縮地][+爆縮地][+豪脚][+瞬光]・高速魔力回復・眷族通話(ハジメ、雫)・風爪[+三爪][+五爪][+飛爪]・夜目・石化耐性・毒耐性・麻痺耐性・病気耐性・呪耐性・恐怖耐性・金剛・糸作成[+粘糸][+鋼糸]・遊泳[+潜水][+水中呼吸][+水圧軽減]・言語理解・接着・「 」の加護
==========================
 
==========================
南雲雫 18歳 女 レベル:85
天職:剣士    職業:冒険者 青
筋力: 2700
体力: 2700
耐性: 2400
敏捷: 3200
魔力: 2700
魔耐: 2700
技能:剣術[+抜刀速度上昇][+斬撃威力上昇][+斬撃速度上昇][+命中精度上昇][+弱点看破][+衝撃波追加][+空波斬][+白拍子]・先読・気配感知[+特定感知]・隠業・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・魔力視・魔力感知[+特定感知]・熱源感知[+特定感知]・威圧[+威圧対象選択][+威圧増幅]・纏雷[+雷耐性][+威力調整][+放出]・纏氷[+氷耐性][+威力調整][+放出]・纏光[+光耐性][+威力調整][+放出]・纏闇[+闇耐性][+威力調整][+放出]・纏風[+風耐性][+威力調整][+放出]・纏火[+火耐性][+威力調整][+放出]・纏水[+水耐性][+威力調整][+放出]・纏地[+地耐性][+威力調整][+放出]・気配遮断[+無音][+無臭]・再生[+超速再生][+自動再生]・天歩[+空力][+縮地][+爆縮地][+豪脚][+瞬光]・高速魔力回復・眷族通話(香織、ハジメ)・風爪[+三爪][+五爪][+飛爪]・夜目・石化耐性・毒耐性・麻痺耐性・病気耐性・呪耐性・恐怖耐性・金剛・糸作成[+粘糸][+鋼糸]・遊泳[+潜水][+水中呼吸][+水圧軽減]・言語理解・分解・「 」の加護
==========================

==========================
篠原カズト 18歳 男 レベル:85
天職:火剣士     職業:冒険者 青
筋力:2800
体力:2800
耐性:2600
敏捷:2900
魔力:2700
魔耐:2700
技能:剣術[+斬撃速度上昇][+斬撃威力上昇][+命中率上昇][+武器強化][+空波斬]・纏火[+火耐性][+威力調整]・纏極炎[+極炎耐性]・火魔法適性[+発動速度上昇]・結界魔法適性[+発動速度上昇]・魔力操作・威圧・纏雷[+雷耐性][+威力調整]・纏闇[+闇耐性][+威力調整]・天歩[+空力][+縮地][+爆縮地][+豪脚]・風爪[+三爪]・夜目・石化耐性・麻痺耐性・毒耐性・病気耐性・呪耐性・複合魔法・金剛・高速魔力回復・胃酸強化・言語理解・「 」の加護
===========================

===========================
ユエ 323歳 女 レベル:80
天職:大魔導師   職業:   
筋力: 220
体力: 450
耐性 : 150
敏捷: 220
魔力:9200
魔耐:9200
技能:自動再生[+痛覚操作][+再生操作]・全属性適性・複合魔法・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収][+身体強化]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換][+血盟契約]・高速魔力回復
==========================

愛子先生はハジメのハーレムにいれるかどうか?

  • 南雲ハジメのハーレム入り
  • 篠原カズトのハーレム入り
  • 全く別の人物の妻

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。