異世界救済RTA   作:猫毛布

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本作はRTAの皮を被った一次創作です。
淫夢要素はありません。

夢魔要素はありますあります!

※遊び要素ぶち込んだので、読みにくければご意見ください。修正します。


お前のことが好きだったんだよ!!(迫真

 これは夢の中だ。夢魔としての感覚がユディアをそう感じさせた。

 誰かの夢の中に入った瞬間特有の浮遊感。幾度も経験したその浮遊感は微睡みにも似ていた。身体に重い水が纏わりついたような。けれども身動きは容易くとれる。

 夢の中は、誰と比べても正しく夢の中であった。

 

「さぁて。今日の魔王ちゃんの夢はどんなのかしら?」

 

 ユディアにとって夢とはその人物の過去、あるいは未来であった。

 当然、突拍子もない夢もある。子供が描いたようなドラゴンに襲われる、なんて夢もある。けれどそれが全てではない。誰かの過去、未来を観測できる。この特性をユディアは生まれ持った才として所持していた。

 だからこそ、あの歪な少女の夢に入ろうと思った事はなんらオカシクはない。最初の行動原理と同じ、好奇心である。彼女に就けば更に好奇心は湧いた。

 眠る時は無抵抗というべきか。警戒心の薄い少女はユディアが隣で眠っても起きはしなかった。初日で実践した結果である。

 

 ふわりと現実世界と変わりない空を浮き漂いながら夢の主を探す。夢の中を軽やかに浮く半透明の自身を風に流して、目的の人物を探す。多数の夢に潜った経験のあるユディアはすぐに目的の人物を見つけた。

 

 少女が森の中にいた。人族の街も近い、森の中だ。その中で少女は猪に追われて逃げ惑っていた。

 ユディアは思わず微笑んでしまう。あの怪物にもこんな時期があったのだと、まるで母のように笑みを浮かべた。

 今と年端の変わらないであろう少女。この少女がどういう経緯で今に至るのか、ユディアは楽しみであった。人には言えない愉悦であるし、悪趣味でもあるが、他の存在に対してはそれほど深く執着しないユディアにとっては唯一の存在であった。

 逃げていた少女は女騎士に助けられて一命を取り留めた。それでも少女は目を白黒させて女騎士を見ている。助けられた事で頭を下げてから、どうやら騎士に連れられて森を出るようだ。

 

「さて、どうやってあの子になったのかしらぁ?」

 

 騎士に守られて森を抜ける少女は怯えながら周りをキョロキョロとしているし、今と似ても似つかない。いや、容姿は殆ど一緒であるが。違う所と言えばコロコロと変化する表情やキラキラと輝く瞳であろうか。

 今の魔王と比べればオカシクて笑ってしまう程の差異である。

 

 街に連れられた少女はそれはもう目を輝かせていた。まるで見たことのない物を見た子供のようだ。女騎士はそんな少女を呆れる事なく連れて自身の務めている部署へと送り届けた。

 

 

 

 砂嵐がユディアの視界を覆い、世界を変える。

 

 ユディアが目を開いた時、そこには成長した少女の姿があった。先程よりも少しばかり筋肉が付き、剣を握っている。その近くにはあの女騎士が居て、剣を振るう少女を見て微笑んでいた。場所は、貴族の館だろうか。

 少女の振るう剣はへっぴり腰がようやく直った程度の熟練度で後方にいた方がマシというレベルである。魔王も剣術は――と考えた所でユディアが視界と自身の感覚を疑う。

 どうして()()()()()()()()()? 目の前にある少女よりも幼い魔王は、確かに同一の存在であるというのに、どうして少女は成長している。

 咄嗟に身体を空へと飛ばして頭を冷静にする。大きく深呼吸を繰り返して、意識を鋭くする。

 変化は無い。変化など無い。夢魔族随一と誇っている自身がこの分野において負ける訳がない。少なくとも違和感は感じる筈である。けれども、違和感などない。これは正しく()()である。そう、自身の感覚が告げている。

 ならば少女が成長しているのは――。

 

 砂嵐がユディアを襲う。飛ばされそうになる身体をどうにか世界に繋ぎ止め、砂嵐が晴れた。

 

 

 そこは、地獄であった。

 目下で行われた戦争。魔族と人族の戦争である。魔族側には自身の紋章も並んでいる。どうして自分がこんな所にいる?

 あの子は――。

 少女――いいや、成長して女性と呼べるような体躯になった夢の主はそこに居た。

 泥と血だらけ汚れた鎧を纏い、自身の武器である剣を放り投げて女騎士を抱えて泣いていた。どうして、どうして、と何度も叫びながら、涙を流して、喉を枯らす。

 その女に近づいた影は敵を両断すべくハルバードを持ち上げてグルリと頭上で回転させる。

 

「待ッ!」

 

 ユディアの静止を咎めるように砂嵐がユディアを襲った。視界を覆い尽くす鬱陶しい砂嵐を手で払いのける。

 

 そこは、森であった。

 

「……どういう……ことなの」

 

 混乱する頭を抱えて、ユディアは夢の主を見つけた。突進してくる猪から逃げている少女。けれどその動きは逃げ惑っていた以前の少女とは違う。明確に猪が進みにくい、直進しにくい所を通り、近くにある石などを投げつけている。

 

 違う。過去ではない。

 否。これは過去である。

 意思と本能が矛盾する。

 

 少女は女騎士に助けられた。よほど怖かったのか――否、ユディアは正しく少女が泣いている理由を知っている。理解してしまった。たじろぐ女騎士をよそに少女は泣いて()()()を喜んだ。

 焼き増しの如く少女は成長していく。以前よりも数倍の速さで、技術を体得した。

 少女が女性になった頃には女騎士と同じ程の地位へとなっていた。けれども戦争は起こってしまう。

 以前よりも強かった女は戦った。以前とは違い、戦争の覚悟もあった。兵を見捨てる覚悟も、生かす覚悟も、殺す覚悟も、何もかもがあった。

 

 けれど女は全てが終わって泣いた。どうして女騎士が死ななくてはならないのか。

 女の慟哭は空へと響き渡り、女はまた戦場へと立った。手には女騎士の剣を握って。

 

 長きに渡って、女は戦場を練り歩き、全てを殺した。目に着く魔族は全て殺した。

 武器が無くなれば他の武器を用い、いつしか何故戦っていたかなどわからなくなるほどに。

 

 兵は尽きた。女の息が細くなっていく。けれど女はどこか満足そうに笑みを浮かべた。

 

 砂嵐がユディアを襲う。

 

 また森であった。少女はすぐさま身体を起こして移動を始めた。猪など無視して、移動をする。

 女騎士に出会う前に、移動して、少女は王へと宣言した。

 自身は――勇者である、と。

 

 勇者は類稀なる戦闘技能を保持していた。年齢らしからぬ技能だ。

 少女は勇者となった。旅先の魔物を殺す存在へと、成った。それこそが唯一戦争をしない道のように。

 

 けれど勇者は魔王に負けてしまう。流れる血が勇者を汚したが、勇者は笑いながら殺された。

 まるで蘇るように。

 

 砂嵐がユディアを襲う。

 

 女勇者は恋をした。相手が同性である聖女であった。

 それでも魔王を倒す旅は続き、聖女と旅をした女勇者は聖女と沢山言葉を交わした。

 聖女は少しだけおかしかった。こうして魔王を倒す為に旅をしているというのに、魔王とお話がしたい、などと言い出すのだ。聖女は少しだけオカシクて、女勇者はそんな聖女を笑った。

 

 聖女は念願叶って、魔王と会話を交わした。やはりおかしい聖女であったけれど、平和を望む声は正しくそして純粋であった。そんなおかしな聖女と一緒に旅をしていた勇者は、きっと毒されていたのかもしれない。

 魔王が否定し、攻撃をしても勇者は聖女を守るだけで魔王に対して攻撃はしなかった。

 幾度も隙があったというのに、攻撃はしなかった。

 魔王は聖女を信じてみせた。きっとそれが平和に繋がると、和平に繋がると信じて。

 

 砂嵐がユディアを襲う。

 

 そこは地下牢であった。

 縛られた女の前には聖女が――聖女と呼ばれていた魔女が居た。

 勇者と呼ばれていた女には通じなかった拷問が魔女に行われた。それこそが女への拷問になると知っていたから。

 魔女の手は爪を剥がされ、沢山の穴が空いていた。

 脚は力が入らないのかだらりとしており、関節でもない部分が違う方向へと曲がっていた。

 肌は至る所が青く黒く染まり、美しかった髪は短くされてささくれている。

 歯の削られた口からはもはや何も語られない。

 だから、これが最後の拷問であった。

 

 魔女に対してではない。女に対してだ。

 自身の結末がわかったであろう魔女は鎖を鳴らす女へと微笑む。表情などもはや判別つかないというのに、女には――ユディアには確かに微笑んだように見えた。

 

 女はこの時より狂い出した。

 

 

 砂嵐がユディアを襲う度に少女は聖女を助けた。

 

 なんども、なんども、なんども、何度も何度も何度も。気が狂っていても、それでも聖女を助けた。

 聖女はそんな少女を見て微笑んだ。きっと世界が嫌いになってしまっている少女に唯一の癒やしを聖女は与え続けた。

 

 それでも――聖女は世界に殺される。

 

 断頭台に登った偽りの聖女はやはり笑っていた。

 そして少女に呪いを与える。

 

「世界を好きでいてね。愛しているわ」

 

 きっとそれは世界が好きな彼女だから。きっとこれからも生き続ける少女が世界を恨まないように。

 少女が声を出そうとした瞬間に、断頭台の縄は切り落とされ、世界は歓声で包まれた。

 

 砂嵐がユディアを襲う。

 

 目を開いた時、そこは森の中であった。

 少女は慣れたように立ち上がり、息を吐き出した。迫る猪が居た。少女はその猪を正面で受け止めた。

 

 砂嵐がユディアを襲う。

 

 目を開いた時。そこは森の中であった。

 少女は慣れたように立ち上がり、溜め息を吐き出して武器になる物を探した。木の枝であった。その枝へと硬化の魔法を掛けて、猪へと突き刺した。

 少女は嗤った。

 

 声を出して、嗤った。

 嗤うしかなかった。

 幾度も繰り返された世界。

 幾度も人を愛した。幾度も平和を願った。幾度も世界を救った。幾度も他者を愛した。

 

恩人で恩師で高潔であった女騎士を。

商人を。彼女とは平和を共に買うと誓った。

占い師を。彼女は遠い未来に絶望していた。

狂っていた偽りの平和を愛した姫を。

ただ平穏を願っていた村娘を。

他者と分かり合いたいと叫んだエルフの女戦士を。

夢魔の首領を。彼女は自由も愛していた。

民を守る為に研鑽を積んだ九尾の頭目を。

炎の公爵を。彼は戦いに誇りを持っていた。

自然の群を。彼は世界が崩れるとわかっていた。

人を信じられなくなった

魔王を。

全てをただ愛していた

聖女を。

 

 

 

 けれど、

 幾千と平和にしても。

 幾万と救ってみせても。

 幾億と世界を巡ってみせても。

 その回数だけ世界に裏切られたとしても。

 少女は世界を愛そうとした。

 

 その回数だけ聖女が世界を愛してみせても。

 世界は聖女を愛さなかった。

 

 狂うには遅すぎた。

 正すには遅すぎた。

 

 何もかもが遅かった。

 

 少女は一頻り嗤った後に木の枝を頭部へと差し込んだ。

 

 砂嵐が、ユディアを襲う。

 

 そこは、森の中であった。

 少女は口を開く。

 

異世界(聖女)救済あーるてぃーえー はーじまーるよー」

 

 それはまるで陽気な声色であった。けれども確かに少女の表情には笑みなど張り付いてはいなかった。

 

 


 

 内政のパート2はーじまーるよー!!

 前回の私は予測可能回避不可能なイベントにぶち当たりましたがこれより先、私に精神的動揺によるミスはない! と思っていただこうッ!

 さて前回から朝起きたらユディアが目の間にいる不思議イベントがあり、なーぜーか、前回事ある毎に私にちょっかいを掛けていたユディアが凄く献身的に私をサポートしてくれてます。よもや豪運チャートでは……? ガバの揺り返しが来たか……風……なんだろう吹いてきてる確実に、着実に、私のほうに。

 いいや、ここで安心してはいけない。そんな感じで死んだ走者を私は知ってる。ユディアが裏切りを企ててるとか……ありえるぅ……。

 ちらりとユディアを見たらこっちに目があってにっこり微笑まれた。だれぇ……こわいぃ……。

 いや、とにかく政務を終わらせる必要があります。頑張らないと……昨日の遅れを取り戻すと共にトーンズへ帰還命令を出しておかなくちゃ……。

 

「おぉ……ん? オレのいにゃぁ間に魔王様がなして変わってンダ?」

「好き!!」

「魔王様!?」

 

 お前の事が好きだったんだよッ!!

 溢れる感情が声に出てしまった。苔むした小石の精霊が机の上に乗る。間延びした喋り方であるがコレが魔王四天王の最後の一柱であるトーンズ。これ以外にも身体があり、群衆であり、一人である彼だが建築や改装に関しては全てを任せられる超スーパー存在です! お世話になった諸兄も多い事でしょう! 彼がいれば魔王城の改築とか木下藤吉郎もびっくりのスピードです!

 思わず小石を掲げたくなる気持ちを抑え込んで、冷静になってからトーンズへと改修命令を出す。で、出ますよ……!

 

「ぉぉ、ん? こりゃぁまた。いーいのかぁ?」

「構わない。できればすぐに取り掛かってほしい」

「んん……わがっだぁ」

 

 その改修工事が終わったら他の工事もあるからな! 安心してくれ!!

 さて、トーンズには残業増々の工事を頼んだけれど、彼は残業好き、というか工事大好きーな存在なので逆に休みを与えると勝手に改修してしまうのだ。これは決してサービス残業などではない。進捗……増える工程……サービス、ウッ……頭がッ!!

 本当にガバの揺り戻しなのか、それとも運が向いてきたのか。これならば崩れかけたチャートにも改めて乗る事が出来ますねぇ!

 

「……魔王様の考えは察しかねます」

「そうかな?」

「早く人族を攻めればよろしいかと」

 

 あら珍しい。あのユディアがちゃんとした段階を踏まずにコチラを敬っているのもそうであるし、何より人族に攻め入る事に賛成しているのも中々珍しいイベントですね。試走中に一度ぶつかった事もありますが、あの時はユディアのご機嫌取りと思って攻めて大変な事になったので、ちゃーんとチャートに乗っ取ります。

 なーので。ブレザムが帰ってくるまではとりあえず内政を整えます。

 

 もっと内政して! やくめでしょ!

 

 

 

 

 

 

「おう、魔王様。今帰ってきたぜ」

 

 お前の事を待ってたんだよ!!

 翌日になって帰ってきたブレザムが執務室に無断で入ってきました。このイベントは必然です。

 相変わらず戦闘力はトップクラスのブレザム君ですが戦争になるとその効率は激減します。仕方ないね。全部燃やす訳じゃないもんね……。しかしながら将としてもその才覚は高く、魔族の中ではハクメンと対等です。しかも攻め方が二人とも違うので魔族はバリエーションの宝庫なんです。攻めに強いブレザム君を使ったのはそういう意味なんですねぇ。

 さて、報告は聴くまでもありません。魔族軍の勝利です。あたりまえだよなぁ!

 ブレザムを出したら中盤の終わりぐらいまでは無双状態ですし、運悪く勇者に出会ったとしても、ブレザムなら兵士は逃すので安泰です。ブレザムは死んでしまいますが、奥様であるフリィドが人族に恨みを持って魔族軍に参加してくるので問題ありません。むしろフリィド姉貴は終盤でも猛威を振るうので最強の一角です。普段ニコニコしてる人が怒ると怖いって真理って、はっきりわかんだね。

 

「で、次の戦場はどこだ?」

 

 と意気揚々なブレザム公には悪いですが、君には休暇が必要だ。言い渡した瞬間に思いっきり眉間を顰められましたねぇ!

 でもご安心ください。ここでブレザム公が怒ったとしても全員で取り押さえられますし、何より私が負ける要素がありません。トーンズと合わせて三人に勝てるわけないだろ! をしてもいいのですが、その後のフリィド姉貴が怖いので決してしてはいけない。

 

「どういうことだ魔王、俺様が使えないってか?」

 

 十分な働きなんだよなぁ……。人族への牽制と魔王の復活をさし示す攻勢な訳であって、ここから先にブレザムが活躍するような戦場はない。むしろその戦場を作る理由もない。そんな戦場作るとタァイムが死ぬぅ!

 けれどここでブレザムに邪魔される訳にもいかない。結果として休暇が彼には必要なのだ。

 休み明けに私と戦おうね! 私も経験値とか色々欲しいよ!

 

 そう約束すればブレザムが引くことは知っている。安心安定の戦闘狂だけれど、基本的には紳士なのでお互いに最高の状態である事を彼は望んでいる。戦士だもんね。

 その間にフリィド姉貴とイチャイチャして、どうぞ……。

 

 さて、人族が魔王復活を知ればどうなるか。勇者を探しながら魔族領へと進行してきます。

 けれど、ここでネックになるのが以前もいった三つ巴の関係性です。人族社会は非常に鬱陶しい関係で出来上がっているので同盟を組まなきゃいけない訳ですね。

 それもお互いがお互いに牽制しあうクソの化身という訳です。

 ともあれ、人族対魔族という構図ができあがるので、二つの国家間だけで同盟を組んだ所で無意味になります。だから全ての人族と同盟を組む必要があったんですね。

 エルフとの交易を結んでから行っても余裕で間に合います。道中エンカウントに関しても今の私が道中で詰まる事はないです。安心、安全。

 

 人族同盟カクゴー^^

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