アタランテお母さん~聖杯戦争で子育て頑張る!~   作:ら・ま・ミュウ

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サンザーラ家

黒の陣営が拠点に構えたミレニア城塞にて

 

黒のアーチャー『ケイローン』のマスターである車椅子の少女フィオレは、ピンク髪の少女?いや、青年に問われた疑問にどう答えたものかと頭を悩ましていた。

 

「ねぇねぇ!その“マリー”って子は僕達の戦力を半分も使って助けるべき何かがあるんだろう?教えてくれないか!」

 

現在、黒のアーチャー、セイバー、バーサーカー

アサシンの合流はあり得ないとされているためほぼ半数がマリーという赤ん坊の救出に動いている。

 

他のサーヴァント達は他ならぬ理由があるのだろうと、暗黙のうちに引き受けてくれた。

しかし、シャルルマーニュ十二勇士のムードメイカー、黒のライダー『アストルフォ』にはそれ(理性)が無かったらしく、彼のマスターであるセレニケが答えないとなると、今度はフィオレに付きまとい執拗にねだった。

 

「そうですね……」

 

いつの間にか、椅子を引いているのが弟のカウレスからアストルフォに変わっている事に深いため息を漏らしたフィオレは自身の知り得る“マリー”という赤子の家系について話した。

 

 

「まず、マリーという赤ん坊が(恐らく)偶然とはいえ赤の陣営のマスターであることから分かる通り、サンザーラ家という長い歴史……紀元前から存在したと云われる魔術師の次期当主であるからです」

 

「紀元前!?僕より先輩じゃないか!」

 

「えぇ、時計塔が出来るより前に……一時期、時計塔のロードの席を与えられていたそうですが、第二次聖杯戦争時に時計塔を去り以後ははぐれ魔術師として各地を転々としてきました」

 

 

ユグドミレニアがサンザーラ家と交流を持ったのはダーニックが時計塔を抜けてからすぐ、ムジーク家とはそれより前から遠い親戚に当たる良好な関係を築いていたそうだが、フィオレがマリーの先代、つまり現在の当主である女性と面会したのは魔術師として修行を初めてから直ぐだった。

 

 

「サンザーラ家は“神代の神秘をその身に内包し続ける事でいずれ根源へと到達を目指す”それ以外は分かりません。正直、私にも城塞の守りを薄くしてまで次期当主を保護する理由は……不明です」

 

エスカルドス家と対をなす不気味なぐらい長い家系。

過去はロードまで登り詰めるモノであったが、現在時計塔に在籍していないものを見るに衰退の一手を辿っているからではないか。

一般の魔術師達がサンザーラ家に抱く感覚はこんなものでフィオレ自身、聖杯より大切なものなのか?

己の感情を抜きにして魔術師として考えた時、そう疑問を抱かずにはいられない。

 

「そっかー!ありがとう!」

 

とても満足のいく答えを出すは出来なかったと思うがアストルフォは嬉しそうに笑い、部屋まで車椅子を引いてくれた。




次回『英雄たるもの』

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