アタランテお母さん~聖杯戦争で子育て頑張る!~   作:ら・ま・ミュウ

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赤のアーチャーが可笑しい

「びぇぇぇ!!!!!!!」

 

「あーよしよし、ミルクか?それともオムツか?」

 

アタランテはマスター(赤ん坊)をぎこちなく抱き上げ、オロオロと肌着のボタンを外してオムツを確認、無事だと分かると近くの薬局で購入した液体ミルクを温めだした。

 

ボー

 

温め方法は燃え盛る暖炉の側に置くワイルドスタイルだ。

 

「びぇぇえええ!!!!」

 

「待て、待ってくれ!ごめん、ごめん!本当にごめん!」

 

泣き止まない赤ん坊にアタランテは軽いパニックになりながら謝罪の言葉を口にする。

 

 

 

 

衝撃の出会いをしてから、三時間。聖杯の知識を振り絞り、転がっていた魔術師の死骸から財布をくすねたアタランテは何とか赤ん坊に必要だと思われる物を買い集めたものの、「いや、マスターが赤ん坊って……」冷静になって頭を抱える。

 

彼女の倫理的に赤ん坊を聖杯を最後の一人になるまで奪い合い殺し合う『聖杯戦争』に参加させるなど完全にアウトだ。

マスターは赤ん坊でありながら優れた魔術回路を宿し、恐らく生まれつきだと思われるが開いている。私のステータスは限界まで引き上げられ、一先ずマスターの基本となるサーヴァントの全力を引き出す面においてはクリアだ。マスターほどの豊潤な魔力量であれば、宝具も連続使用などイカれた使い方をしなければ幼い体に負担をかける事はないだろう。

 

しかし、この世全ての子供らが、愛される世界を目指している私が!赤ん坊を戦場へ出す?あり得ない、無理、闇落ちしても断る!

アタランテはたまにお馬鹿な一面もあるがアルゴノートでは堅物キャラで通っていた。

 

「どうしよう……アルテミス様…此度の聖杯戦争は諦めろというお告げなのでしょうか?」

 

そんな時である、アタランテの声に反応したのか赤ん坊はぱちくりと目を開きプルプル震えるケモ耳を凝視した。

 

「あ、エメラルドのように美しい瞳だ……私とお揃いかぁ……可愛いなぁ……」

 

へにゃりケモ耳が垂れる。

赤ん坊はケモ耳を興味深そうに見つめ、アタランテは満更でもない顔で赤ん坊を見つめる。

 

「びぇぇぇ!!!!」

 

そして、赤ん坊は何の前触れもなく泣き出した。冒頭に戻る。

 

 

 

「びぇぇぇ!!!!」

 

「ほ、ほら!ミルクが温めまっ熱ッ」

 

アタランテは赤く輝くまで放置しておいた液体ミルクの容器を取り、常人なら火傷必然の温度に悲鳴を上げる。赤ん坊はそれに驚き、より強く泣き声を上げる。さらに腕の中でバタバタと暴れるオプション付きだ。

 

「あー、ごめんなー、私が悪かったなー!ほら、新しいのを暖炉に?……むっ、これは温めなくても大丈夫な奴なのか……ほら~ご飯だぞ~」

 

「むぐぅ……ちゅぱちゅぱ」

 

現代の文明力に感謝しかない…………液体ミルクを美味そうに飲む赤ん坊を見て先程の苦労が嘘のようにアタランテは頬を緩ませた。ただ、ミルクを口に押し当てるのが少々乱暴だったので赤ん坊は不機嫌だ。飲み終わったらまた泣くだろう。

 

「赤のマスター、今回の聖杯大戦で協会から監督役として遣わされたシロウ・コトミネです。」

 

つかの間の極楽にアタランテが浸っている、そこに現れたのは監督役のシロウ・コトミネ神父。赤のマスターとなる魔術師から連絡の途絶えた彼は直々に出向いて扉をノックしていた。

 

しかし、反応がない。

 

アタランテは賢者タイムで、マスター=赤ん坊は食事中だ。魔術師らしくベルもない扉なので地下の工房まで、音が届かなくても不思議ではないだろう。

 

「(何か、おかしい)」

 

しかし、アタランテが灰にして葬るも、僅かに残った血の匂いから深読みしたシロウは扉を蹴破り黒鍵に手を伸ばした。

……邪魔者は消すの精神だ。

 

「ここら辺ですね」

 

床の感触から工房の位置を割り出し黒鍵を何本と突き刺す。

床は重々しい音を立て下に落ちる。シロウはそれを潜るように降りた。

 

「びぇぇぇ!!!!!!!!」

 

「あああああ!!!!何で天井が落ちるんだ!また泣いてしまったではないか!―――ほら!よしよし、怖くないぞ、耳、耳が動くぞ!」

 

そこで見たのは、真名看破により判明した『純血の狩人アタランテ』が泣き止まない赤ん坊を必死に泣き止まそうとアワアワしている所だった。

 

「(何ですか……これは)」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()とは真逆の姿にシロウは黒鍵を下ろし、呆然と立ち尽くした。




次回『人参さん』
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