アタランテお母さん~聖杯戦争で子育て頑張る!~ 作:ら・ま・ミュウ
ベビーグッズを買い出すため、大型ショッピングモールを訪れたカルナとアタランタ、マリー。
「買い物の間、マリーは俺が預かろう」
「……………分かった」
カルナの差し出した腕に、少し嫌そうな顔をしてマリーを預けるアタランテ。
「………すぅ」
もしかしたら、カルナに抱かれた途端に泣き出してしまうかもしれない。そうなったら私が抱いておこう。ランサーに買い物は任せてずっと一緒だ。
アタランテの淡い期待はすやすやと眠りにつくマリーに可愛らしく裏切られた。
「どうした?」
「――いや、何でもない」
とぼけたように首をひねるカルナ。がっくりと項垂れつつ……二人はベビーコーナーへと歩きだした。
―――カルナ
やはり、英霊の同時使役は負担が掛かるのだろうか?
武装を解除し装いを魔力で練った鎧から現地産の物へ出来る限り魔力消費を抑えたつもりだが、昏睡……は言い過ぎかもしれない、しかし深い眠りにつくマスターが、気になってしょうがないカルナ。
「……ふむ」
アーチャーの手の中からのぞき見るのは、彼の日常となっていた。そんな時にこれである。カルナの腕の中で眠るマリーだ。アタランテはぶつぶつと小言を言いながらベビーグッズの商品説明欄とにらめっこしている。
それは金銭的な問題からか。否、アーチャーのマスターとなる筈だった時計塔関係の魔術師は極度に現代の文明利器を嫌う体質だったこともあり、クレジットカードを持っていなかった。工房を用意するため、よくドラマなどでみられるトランクに大金を積めこの聖杯大戦の地に足を運んでおり、死した今アーチャーはそれを丸ごとパクっ……管理していた。
「柔らかい」
生前、子持ちだったか、そうでなかったか……“今”の俺には記憶はない。昔を思い出そうとすると、どうも夢の再現をしているようで断片的な“記録”を読み上げているような気分になるのは所見我々サーヴァントが“過去の英傑”達の影法師に過ぎないからか……少なくとも※※※が歩けるようになるまで俺が子育てに加わる事はなかったと思う。
魔力不足による倦怠感と令呪による肉体の強制力が働いていた事もあり感覚は殆どなかった今、俺は生前でも味わうことのなかった赤ん坊の感触というものを味わっているという訳だ。
「……生命の胎動を強く感じる。」
心臓の鼓動、呼吸、適当に動く表情筋、
法則性などなく、この小さなマスターはただただ生きようとしている。
成長すれば、自我が産まれ、好き嫌いが出来て、やがて片寄りがちだった彼女は二本立ちで大地を踏みしめ人と支えあって生きて行くのだろう。
それは、当たり前でとても素晴らしい事だ。
だからこそ、過去の亡霊に過ぎない俺達がそれ奪うなど…許される筈がない。
聖杯大戦が終わればどのみちマリーだけの魔力供給で存在することは不可能。守り逃げるだけでは限界が来ると言うのなら、俺は……
「お前の力を受け入れる時がくるのだろう」