アタランテお母さん~聖杯戦争で子育て頑張る!~   作:ら・ま・ミュウ

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黒の優位性

ユグドミレニア城塞

 

夜分遅く黒の陣営の者達が思い思いのやり方で時間を潰し交代制で見張りにつく中、ダーニックは工房に籠りありとあらゆる解呪魔術を自身に試していた。

 

「バカなァ……これでも効果ないだと」

 

目の下にはくっきりとした隈が浮かび、ふとした拍子に脈が乱れる心臓を抑えてしまう。

 

「神代より存在し……神の教えすら乞うたというサンザーラが用意した自己強制証明……甘く見すぎていたと言うのか!」

 

目は充血し、よくよく見れば心臓に近い血管達が破け内出血している。治癒魔術で血管の修復は出来るとはいえ、ケイローンが診ればこのままでは長くない、そう言うだろう。

しかし、契約が破綻しかけた今、これを取り除く事が出来るのは“あの男”以外にいない。

ホムンクルスのチームを捜索に向かわせているとはいえ、こちらの独断で捜索チームからサーヴァントを撤収させたのは不味かった。

 

『ユグドミレニアはマリー・サンザーラの捜索に全力を尽くす』

 

最悪契約を踏み倒す算段で動いていたとしても、もう少し慎重に動ければ()()()()()()()()()()()()拷問紛いの感覚を味わい続ける事にはならなかった。

 

「はぁ……呪いを解けない出来ない以上、このタイミングでこの体を失うのは不味い……アーチャーに捜索を命じ……」

 

 

体が浮き上がるほどの衝撃が城塞を貫く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ほぉ、流石はセミラミス様。素晴らしい城をお持ちのようで」

 

 

ユグドミレニア城塞に降り注ぐ破壊の雨。

天に浮かぶ空中庭園。

サンザーラを名乗る男は、それを事前に知っていたのか、それとも視たのか。

 

数百メートルほど離れた場所で、大聖杯が地下深くから浮かび上がり、空中庭園へ回収される様を微笑を浮かべながら眺めていた。

 

「黒は……キャスター以外は無事ですか。当然ですねぇ、自由に動けない彼とは違い、その程度で星が選んだ英雄が折れていい筈がないのですから♪

――おや、あれは」

 

恐らく大聖杯を取り戻すためなのだろう。

黒のアーチャー、ランサー、ライダー、バーサーカーは吸い込まれる瓦礫や召喚した幻獣に飛び乗り庭園を目指す。

 

「ダーニックさん?」

 

その中には、マスターであるダーニックも含まれていた。

サンザーラを名乗る男は、見間違えかと魔眼を活性化させ視力を強化するが、彼は状態の悪さを隠そうともせず苦痛に顔を歪めながらも大聖杯を奪ったセミラミスの宝具を睨んでいる。

 

「何をやっているのでしょうか、あのバカは。死にたいんですか?いえ……まさかまさか!サンザーラの悲願の真似事をする気か!ダメです!ダメです!お前達、餓鬼がサンザーラの悲願を不完全とはいえ、模倣するなど赦される筈がねぇ!!」

 

サンザーラを名乗る男は突如狂ったように叫び散らし、太古から組み上げられてきたサンザーラの魔術刻印に接続……擬似組織を展開し、蝙蝠のような翼を宿す。

 

「サンザーラを汚すナァァァァ!!!!」

 

音を置き去りにするような速さで空中庭園へ飛び出した。




※サンザーラを名乗る男はラスボスではない
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