アタランテお母さん~聖杯戦争で子育て頑張る!~   作:ら・ま・ミュウ

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マリーは機嫌が良い

今日のマスターは機嫌が良かった。

 

「ほら、ミルクの時間だぞ~」

 

急に抱き上げると泣き出して、ゆっくり抱き上げても半分くらいの確率で泣き出してしまう、そんな抱っこ嫌いのマリー(マスター)が抱き上げられて“にぱー”と笑うのだ。

 

「うへへ……」

 

「けっぷ」

 

ミルクを飲んだ後に、げっぷをさせるとびっくりして腕の中で暴れてしまう―――にぱー、「うへへへへ……」やはり笑う。

 

昨日の夢を境にマリーの機嫌はうなぎ登りだ。

 

これには、アタランテも顔をだらしなく緩ませケモ耳をへにゃらせる。心なしか魔力伝達がスムーズになったような気もした。

 

「……これを幸せと言うのだろうな」

 

 

「スマイル!」

 

「……ごろごろ」

 

ベビーベッドを囲うバーサーカーとランサーを横目に、マリーの衣服を手洗いで洗濯するアタランテはこれ以上にない幸せを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「参りましたね、聖杯大戦が始まってから三日……未だどのサーヴァントにも動きがないとは」

 

「仕方あるまい、黒は大聖杯を守る事が目的で、赤はあの弓兵を中心に揃いも揃って、赤子に夢中になっておる」

 

アタランテ達のいる教会を映した宝玉をニタニタしながら見つめる赤のアサシン(真名セミラミス)は、本来ならばルール違反とされている聖杯大戦の監督役でありながら、己のマスターであるシロウ・コトミネに「あの聖女を放っておいてよかったのか?」厭らしく口を弧に歪めて瞳を合わせる。

 

「今、私が表に出る訳にはいきません。ランサーに討伐をお願いしましたが、断られてしまいました」

 

「ふふっアハハハ!」

 

恐らくセミラミスはシロウがランサーに断られる瞬間を宝玉で見ていたのだろう。声高く笑い声を上げた。

 

「そんなに面白かったですか?」

 

「――あぁ一流の道化師にも勝る滑稽な様よ、さっさと魔術師どもから令呪を抜き取れば良いものを、お前は何がしたいのだ」

 

「人類の救済です」

 

事前に語った計画は初手から崩れ去ったと言うのに、それでも迷いなく言ってのけるマスターにセミラミスは少し不快に思い、笑みを控える。

 

「マスターでなければ殺していたよ」

 

「それはよかった」

 

微笑むシロウはベビーベッドの上で寝転がるマリーを見つめていた。

 

『マリー、くしゃくしゃハンカチだぞ』

 

『胸筋ダンスはどうですかな!』

 

『……この鎧が気になるか?欲しいならやろう』

 

マリーはベッドの上であっちを見たりこっちを見たりと、忙しなく視線を泳がせ――ある一点を見つめて

 

 

にぱー

 

『『『おっ笑った!!』』』

 

 

 

「(この赤子、今……マスターを見て笑わなかったか?)」

 

宝玉に映した映像であり、彼方からは余程魔力感知に優れた者でもなければ分からない筈だった。しかし、セミラミスはシロウと赤子の視線が重なりシロウを見て赤子が笑ったような気がした。

 

「……マスター、あの赤子は魔眼を」「おや、赤のセイバーが動き出したようですよ」

 

セミラミスがその疑問を口にするより早く、シロウが示した別の宝玉に映し出された映像には、赤のマスターとそのサーヴァントと思われる鎧騎士が黒の二体のサーヴァントと相対していた。




マリー
健康状態 ご機嫌
魔術回路 かなり多い
魔術刻印 生命の危機を感じると自動で攻撃特化の魔術式を読み上げる(一流魔術師でも油断すると一瞬で蜂の巣)
魔眼持ち? 能力不明
好きな物 お昼寝
嫌いな物 抱っこ・人肌

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