アタランテお母さん~聖杯戦争で子育て頑張る!~ 作:ら・ま・ミュウ
「え、えぇーあーうん」
ルーマニアのとある家電量販店。
大きめのバケットハットでケモ耳をすっぽりと覆ったアタランテは、現代風の衣装を纏い、マリーと共に沐浴用のお風呂を買いに来ていた。
「(えぇ……と、確か本ではマリーが、両手両足を伸ばしても当たらないぐらいだから、)」
当初、マリーに負担をかけたくないので、なるべく早く購入を済ませたいというのがアタランテの考えだ。
しかし、現代の文明の進化というのは凄まじく
『プラスチック』『木製』『ガラス製』『セラミック』
「どれだ?」
『0歳から10ヶ月まで使える』『首の座らぬお子様へ』
「どっちだ?」
『温め機能搭載』『音楽と一緒に楽しくお風呂』『柔らか素材付き』『斜め30度耳に水が入りません』『六年連続ベビーバス大会優勝』『※※産婦人科オススメ』『はじめてのお母さんに』『ストレスの少ないお風呂を目指して―――
「……選べん」
あまりの多さに眩暈がした。
「と、兎に角、選ばれなければ」
アタランテは製品説明を細かく読み上げ、どれがマリーにとって最適か考える。
自分は即断即決の出来る女だと自負していたが、マリーが使うとなると、これが中々決められない。
あっちもいい、こっちもいい、どれも“悪い”という事はないのだろう、だがなるべく良い物を選んでやりたい。
アタランテは帽子の中でケモ耳をピョコピョコさせながら真剣に悩んだ。
「むぅ~」
抱っこ嫌いのマリーはその間寝つけず、少しだけ不機嫌そうにしていた。
――一方その頃
「玩具売り場はこちらか?」
暇を持てやました大英雄カルナは、施しの英雄の本領を発揮せんと、最寄りの大型ショッピングモールにて玩具売り場へと訪れていた。
「ほぉ、精巧な人形だ」
アタランテと同じく現代風の装いで眼鏡を掛けている。
それだけなら、少し目を引く色白のイケメンで終わったかもしれない。だがカルナはプラモやゲーム機やフィギアなど、オタクくさい物を次々と籠に入れていくのでそれは人目を買い、何よりその全てが赤ん坊が好む物ではなかった。
「……これ、ぐらいか?」
両手に抱えるほど籠に積み上げてカルナの買い物は終了する。
「うむ」
満足げな顔だが、マリーがゲーム機やらフィギア等を貰って喜ぶ訳がない。むしろ小さな部品を何かの拍子に飲み込んでもしまったら一大事である。
「貴方は赤のランサー!」
両手に玩具の詰められたビニール袋をさげるカルナは、ショッピングモールで一人、此方を指差す年頃の女性に目を細める。
「ルーラーか、」
「まさかこんな所で戦いを!?させません!ルーラーの名にかけてッ」
「――悪いが、今の俺とマスターに戦う意思はない。また戦場で会おう」
「待っ、待ってー!」
カルナは、マリーの喜ぶ顔を思い浮かべながらくすりっと笑い、空を駆けた。
そして、教会のシャワー室にて購入したベビーバスにお湯をためるアタランテは温度計を差し込み40度ぐらいに調整すると、マリーをベッドから起こして手慣れた様子で服を脱がした。
「ほら~マリー、お風呂の時間だぞ~」
「ッゥ!?」
その言葉を聞いた瞬間、マリーの顔が強ばる。
「……どうしたマリー、お腹が痛いのか?」
アタランテは疑問に思いつつシャワーの蛇口を捻る。
「やぁぁぁ!!!!」
その途端マリーは火がついたように暴れだした。
「ど、ど、どうした!シャワーの音が怖かったのか!?」
これは、アタランテが後に知ることになるのだが、マリーは人肌や生暖かい物が液体、固体含め大嫌いである。
つまりこれはシャワー音に怯えたわけではなく“お湯をかけるなー!”とばかりに怒号を上げているのだ。
「だが、今日1日汗をかいただろう?ほらマリー、シャワーは気持ちいいぞぉ」
「ぬぅぅぅ!」
「(凄い顔だが…泣いてないということは、大丈夫だよな)」
アタランテは細心の注意を払いながら、手で泡を立て、上半身、下半身、頭の順でマリーのもちもち肌を洗い―――
「ちょっ!暴れると頭を洗い難いッ!
なっ!手を口につっこまないでくれ!?まだ泡が泡ぁぁ!!!!」
「びぇぇぇ!!!!」
「あぁごめんなマリー、折角我慢してくれたのに、大きな声でびっくりしてしまったなぁ…」
ケモ耳がピンっとなったりへにゃけたり、マリーの初めてのお風呂は散々な結果だったらしい。
アタランテ(マスター マリー)
筋力C 耐久D 敏捷A+
魔力A 幸運E 宝具B