ガンダムビルドダイバーズ・スピリッツインテンション   作:さくらおにぎり

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16話 撃進のアドラステア

 バーテンダーから差し出された『俗物』をお猪口に注ぎ、一口呷るケンさん。

 

「まぁあのバカ娘も、私が動けない時でも十全に業務をこなせるようになったし、下の妹も無事に大学に受かった。……まだまだ楽隠居するつもりはないがな」

 

「生涯現役と言うわけですな。そのためには、まずはぎっくり腰をなんとかしませんとなぁ」

 

 フッ、と胡散臭い笑みを浮かべるトラちゃん。

 

「全く、この身体さえまともならば、バカ娘に頼らずとも……」

 

「ケンさんも素直じゃないわねぇ、ヤイコちゃんがツッパるようになったのは、お父さんの影響かしら」

 

 バーテンダーはおかしそうに笑う。

 

「……うむ」

 

 若い頃に思い当たる節でもあったのか、ケンさんは言い澱んでから頷く。

 生きていれば生きているほど、誰にも言わずに墓に持っていきたいことは増える。

 ……実はトラちゃんはケンさんの若い頃に"やらかした"ことの数々を知っているのだが、それをほじくり返すのは無粋と言うことも知っているので、ここでは何も言わなかった。

 

「ところで店長、私はあまりディメンションには来ないのでよくは知らないのだが……最近はGBNの治安が悪化していると言うのは本当なのか?」

 

 ごく自然の内にケンさんは話題を変える。決して自分の若い頃に"やらかした"ことを問い詰められるのを避けたかったわけではない。断じて。

 

「今は少しマシにはなってるわ。……でも数ヶ月前は本当に酷かった」

 

 その酷かった理由とは何なのかと訊こうとするケンさんに、トラちゃんが答えた。

 

「当時、運営側は穏健派と強硬派と言う二つの派閥で分け隔てられておりました。意見が異なる者の集まり同士……だけならまだ良かったのですが、それが生み出していた軋轢は、もはや修復不可能なレベルにまで至っていたのです」

 

 専門用語は分からないケンさんだが、一つの組織の中で意見がぶつかり合って複数の派閥が出来上がるなど、現実の政界では当たり前だと理解している。

 むしろ有史以来、一度も分裂することなく今日までひとつに纏まり続けた体制などあっただろうか?

 

 否、の一文字に尽きる。

 

 無論、今の時代は政治屋同士のくだらない言い争いが、全人類規模の戦争になることなど、"今のところは"起きていない。

 

 だが、その派閥問題がGBNーー『もうひとつの現実世界』で、それも『ガンプラバトルの勝敗によって運営の方針すら変えてしまう』ような世界でそれが起きたとすれば……

 

「想像するに容易いことだな」

 

 ケンさんはそう頷いた。

 

 

 

 

 

 セアが鴉野神社で三日間を過し、そこで得た教訓を基に作り上げたガンダムMK-Ⅱが完成した、その日の翌日。

 

 ハバキリ、コウダイ、セアの三人は、放課後に駅前近くのガンダムベースのカフェに立ち寄っていた。

 お題目は、『セアの新たなガンダムMK-Ⅱの実物のお披露目』である。

 

 テーブルの一席を占拠し、各々の飲み物をオーダーしたところで、早速始められる。

 

「ハバキリくんのジンライとか、コウダイくんのキャノパルドと同じくらいにはならなかったけど……今、私が作れる最高のガンプラだよ」

 

 鞄に入れていたケースの中から取り出された、彼女のガンダムMK-Ⅱが姿を現し、テーブルの中央に立てられる。

 

 元のガンダムMK-Ⅱと比べても、主に色の明暗がハッキリしている、と言うのがハバキリとコウダイが同時に思った感想だった。

 

「バックパックにI.W.S.Pを装備させたんですね」

 

 ハバキリは、背負われているその大型のバックパックを指す。

 大小左右一対による四枚のウイング、肩越しに伸びる長大な火砲、脇差のように備えられた肉厚の刀が目を引くそれは、『SEED』のバリエーション装備のひとつ、『I.W.S.P』だ。

 ストライクガンダムの装備であるストライカーパックには、各パックによって戦闘力を特化させる性能を持ち、このI.W.S.Pと言う装備は、『エール』の機動力、『ソード』の斬撃力、『ランチャー』の砲撃力、と言う三点をコンパクトに纏めたものだ。

 

「ん、よく見りゃ頭部のバルカンポッドが外されてるな……単装砲と干渉するからか」

 

 コウダイはガンダムMK-Ⅱの頭部にある、外付けのバルカンポッドが無いことにも気付く。

 

「コンバインシールドじゃなくて、MK-Ⅱ本来のシールドを装備してるってことは……あそっか、ライフルのカートリッジか」

 

 I.W.S.Pは、コンバインシールドと言う、ガトリングガンとビームブーメランが一体化したシールドも備えられているのだが、それを装備しない理由を「ビームライフルのカートリッジを保持出来ないから」と読み取ったハバキリ。

 

「ハイパーバズーカも上手い具合に干渉せずに装備されてるし、シンプルでも良い改造っすね。MK-Ⅱのカラーリングも、ストライクEに似てるからサマになってるし」

 

 カラーリングも含めた外観も見て評価するコウダイ。

 そして、この二人による総評は。

 

「初めての塗装改造にしては、よく出来上がってると思いますよ。これなら、機体性能も上がってるはずです」

 

「ただ、ストライカーパックの宿命ですけど、背中に装備が集中してる分……前と同じようには操縦出来ないっすね」

 

 ハバキリは真っ当な評価を、コウダイは懸念材料を挙げる。

 

 丁寧な塗装と、本来規格の合わない装備をしっかり組み込めるだけの加工によって、素組みの状態よりも機体性能は遥かに向上するだろう。

 反面、装備を増やすと言うことは全備重量の増加に直結し、重い機体を単独飛行させる推進力と揚力があるとは言え、必然的に常に高い出力を持続させるための操縦技術も必要になる。

 

「うん。だからどこかで慣らし運転をして、それからどれくらい難しいミッションに挑めるかを、確かめたいかな」

 

 二人の評価と懸念材料を聞き、素直に受け取るセア。

 

「慣らし運転なら今からでも出来ますけど……コーダイ、中堅レベルで、そこそこやり応えのあるミッションってあったか?」

 

「ちょい待ってくれ、えーっと……」

 

 コウダイはダイバーギアを取り出し、オフィシャルサイトを開く。

 近々に行われるイベントは何かと調べているのだ。

 

「っと、今週の日曜日から行われるイベントな。『バイク戦艦の侵攻』……フォース10組がチームになって、『アドラステア』を討伐するってヤツだな」

 

 バイク戦艦、と聞いてセアは何のことかと小首を傾げる。

 その様子を見て、ハバキリがすぐに説明する。

 

「あー、セアさんは知らないんでしたっけ。バイク戦艦ってのは、メチャクチャデカくて頑丈なタイヤを、バイクみてーに前後に取っ付けた戦艦のことです。地球上で運用することを前提として、都市群を踏み潰しながら走るって代物です」

 

「……イメージ付かないんだけど、とにかくそう言うものなんだね?」

 

 原典作品は『V』で、ザンスカール帝国の『地球浄化作戦』のために開発した汎用戦艦であり、その巨大なローラーで環境を破壊することなく、都市群を地球人ごと蹂躙することを目的としたもの。

 火力も非常に高いのだが、特筆すべきなのはその防御力だ。

 前輪と後輪を構成する巨大な"タイヤ"は、当時でも強力な実体武装であった『ジャベリン』のショットランサーすら無傷で跳ね返すほど頑強で、耐ビーム性も万全と、通常攻撃ではほぼ破壊不可能であった。

 ……実はこのバイク戦艦の設定だが、当時放送していた時の監督が、まともに歩けないほど病んでいたらしく、その当て付けーーと言うよりやけっぱちで考案したものが通ってしまった、と言う逸話があるらしい。

 

「で、そのバイク戦艦……アドラステアを、複数のフォースと協力して倒すってイベントミッションがあるんですよ。これなんてどうですかね?」

 

 コウダイが自分のダイバーギアの画面をセアに見せる。

 

 

 

 ミッション名『バイク戦艦の侵攻』

 

 参加条件:フォースに所属しているダイバーのみ

 

 成功条件:アドラステアの撃沈

 

 失敗条件:所属チームの全滅、及びアドラステアが絶対防衛ラインを突破

 

 特殊条件:補給輸送システム使用不可

 

 

 

「ハバキリくんとコウダイくんは、このミッションってやったことあるの?」

 

 経験者二人の意見を求めるセア。

 

「オレもコーダイも、他のミッションでバイク戦艦の相手はしたことありますけど、このイベントミッションは初見ですね」

 

「あの時は、アドラステアの撃沈が成功条件じゃなかったしなぁ、このミッションのアドラステアがどんなヤツなのかはちょっと分からないっすね」

 

 二人とも、バイク戦艦との交戦経験はあるが、このイベントミッションとしては初めてらしい。

 

「そっか。私はこのミッション、受けてみたいな。サッキーさんとエミルくんにも、この話を伝えておかないとね」

 

 頷くセアを見て、ハバキリとコウダイはすぐに行動に出る。

 ハバキリがサッキーへ、コウダイがエミルへ、それぞれメールを飛ばした。

 

 この事はすぐにサッキーとエミルの元へ知られることになり、二人からも参加の意志を確認、五人+α(ジル)の六人で『バイク戦艦の侵攻』のミッションを申し込んだ。

 

 

 

 

 平日をセアのガンダムMK-Ⅱの慣らし運転や、ガンプラの調整、あるいは武器の追加製作などに費やし、ついにイベントミッション開催の日が訪れた。

 

『ただいまより、イベントミッション『バイク戦艦の侵攻』を開催致します。参加者の方は、指定されたエリアへ出撃してください。繰り返します……』

 

 アナウンスに従って、ハバキリ達フォース・リヴェルタは、レンタルした輸送機に各々のガンプラを積載し、自分達に指定されたエリアへ出撃していく。

 

「さてと。今日まで何回もシミュレートしてきたけどもだ、ここで最終確認」

 

 目的地へ移動中にブリーフィングルームへ集まり、コーダイが主導となって、最後の確認を取る。

 スクリーンに、アドラステアを指す大きな赤いマーカーと、それを取り囲む五つの青いマーカーが表示される。

 

「バイク戦艦、アドラステア。多数のメガ粒子砲とミサイルランチャー、対空ビーム砲を備えた上に、ほぼ破壊不可能なタイヤが厄介な相手だ」

 

 画面が切り替わり、いくつかのエリアに区切られたフィールドの、一番後ろのエリアに『⚠』マークが点滅する。

 

「このアドラステアが、絶対防衛ラインを突破するまでに撃沈させないと、ミッションは失敗」

 

 アドラステアのマーカーが最初のエリアに侵入し、ゆっくりと進んでいく。

 

「つっても、その動きはゆっくりだから、射撃機は艦砲射撃に注意しながら砲撃を叩き込んで艦の火力を奪い、弾幕が薄くなってきたところを、格闘機が突入、ブリッジを破壊」

 

 青いマーカーが赤いマーカーを取り囲んでは、攻撃していく。

 

「エリアとエリアの間に、メンテナンスポイントがあるから、弾薬の補給に関しては心配は無し」

 

 それと、とコーダイはアドラステアの周りに広げるように赤いマーカーをいくつか表示させる。

 

「このミッションとは別に、以前俺とハバキリがアドラステアと戦った時は、発進してきた『ゲドラフ』『ゾリディア』が邪魔してくるって仕様だったから、今回もそれが来る可能性がある」

 

 一度画面が切り替わり、タイヤ型のサブフライトシステム『アインラッド(ツインラッド)』に乗り込んだ、ゲドラフとゾリディアが映し出される。

 どちらもザンスカール帝国のベスパが開発した量産機だ。

 

 このアインラッド、もしくはツインラッドが曲者であり、並の火器では歯が立たないほど強固な上に、常に回転している=メガ粒子の接触面を拡散させているため、例えビームサーベルを突き立てようとしても、かき消されてしまい、そのままタイヤの下敷きになってミンチに……と言うことになる。

 タイヤの形状の問題から、左右は防御の範囲外なのだが、そこはMSが装備するビームシールドを展開することでカバーしている。

 

「その場合は、基本的に俺とセアさんが砲撃を続行、サッキーとエミルがザコの排除、ハバキリは状況に応じて遊撃に回ってくれ」

 

 五つの青いマーカーの内、コーダイ機とセア機がその場に留まり、サッキー機とエミル機か小さい赤のマーカーに接近し、その二者の間にハバキリ機が移動する。

 

「……俺からは以上!何か意見はあるか?」

 

 自分の言う確認を終えて、意見や懸念は無いかとコーダイは訊ねるが、何度もシミュレートしているので、この場で特に疑問などは挙がらなかった。

 

「よしっ、それじゃぁセアさん!ミッションスタート前に、一言どうぞ!」

 

 唐突にコーダイはセアに言葉を要求した。

 

「えっ、また私がそう言うことを言わなくちゃなの?」

 

 一度目はフォース・リヴェルタのデビュー戦の時、そして今回のコレだ。

 しかも、ここで遠慮しようとしても囃し立てられて結局言わざるを得ない状況にまで持っていかれるだろう。

 故に、セアは早々に割り切ることにした。

 

「えーーーーーっと……、今回のミッションは私達を含む大勢のダイバー達との共同戦線になります。つまり、それだけ困難なミッションになると言うことです。だけど、困難だと分かっているからこそ、私達は可能な限り準備と対策を重ねてきました。だから、今回のミッションも必ず達成出来ると、私は信じています。みんながみんなで、全力を尽くしましょう」

 

 以上です、と締め括ると、やはりコーダイとサッキーが歓声を上げ、ハバキリとエミルが静かに頷き、ジルはぱちぱちと拍手してくれる。

 

 もうしばらくして、輸送機が指定エリアに到着した。

 輸送機の格納庫から直接出撃するのだ。

 

「ハバキリ、ジル、ジンライ改、出るぞ!」

 

「コーダイ、キャノパルド、行くぜ!」

 

「サッキー、ガンダムデスレイザー、出撃するよ!」

 

「エミル、七星剣士エクシア、目標を駆逐する」

 

「セア、『エンハンスドガンダムMK-Ⅱ』、フォース・リヴェルタ、行きます!」

 

 各々の掛け声と共に格納庫を飛び出していくフォース・リヴェルタの面々。

 

 

 

 第一迎撃エリア。

 切り立った崖と崖の間に、ぽっかりと空けられた、長い長い道。

 この道を、アドラステアが通過するのだ。

 

 ハバキリ達が出撃を完了した頃には、既にもう何機かのガンプラがそれぞれの配置に着いて、アドラステアを今か今かと待っているを見て、彼らも急いで打ち合わせていた配置に着く。

 

 参加するダイバーが全機出撃してほんの数分後に、その時が訪れる。

 

 遥か彼方から、砂煙を巻き上げながら前進してくる巨影。

 

 黄土色の艦体に、旧日本帝国軍の戦艦を思わせる火器の数々。

 そして、その通称の代名詞である、巨大なタイヤ型の装甲。

 

 アドラステアが、ついに姿を現した。

 

「……ほんとにタイヤなんだね」

 

 その外観を見たセアが、思わずそう呟いた。

 

「まぁ、タイヤっすね」

 

 近くにいたコーダイがその呟きを拾い、相槌を返す。

 それが合図だったかのように、エリア内に侵入してきたアドラステアの格納庫から、タイヤの中に納まるような形のMSーーゲドラフが複数出撃し、着陸すると同時にアインラッドを回転させ、アドラステアを護衛するように進撃を開始する。

 

「やっぱゲドラフが出てきたか。サッキー!エミル!頼んだぞ!」

 

 コーダイは崖の近くで待機している、ガンダムデスレイザーと七星剣士エクシアに、ゲドラフの群れの迎撃を頼んだ。

 

「オッケー!行くわよエミル!」

 

「了解、攻撃を開始する!」

 

 サッキーとエミルはそれぞれ了解を返し、崖の上から飛び降りて、展開するゲドラフ部隊を急襲する。

 ガンダムデスレイザーはこれまでと変わらない姿だが、七星剣士エクシアの方は主に背部に大きな違いが見える。

 元々GNドライヴを取り付けていたそこに、小型の航空機のような機体を背負う形のそれは、彼の以前まで所属していたフォース・コキュートスのメンバー達が彼のためを思って贈ったサポートメカだ。

 データ上だけでなく、後日に彼の自宅に実物が届けられたため、自由に改造可能にもなったため、エミルはこれを『ジャスティスガンダ厶』のリフターである『ファトゥム-00』のように、背負ったりそれを切り離して上に乗り込めるようにするなどと言った改造を施した。

 

 武装としては、北斗七星の英名である『グランシャリオ』を冠することにしたらしい。

 

 先発する二人を見て、他のフォースのガンプラ達も同様に崖上から続く。

 

「さてと、ぶっ放していきますか」

 

 ハバキリのジンライ改は今回、対艦攻撃としてキャットゥスと、デビルガンダムとの戦闘でも使用した、ハンドミサイルユニットとして改造したパルデュスを装備している。

 有効射程に届くなり、キャットゥスを一発。

 それは対空ビーム砲のひとつに着弾するが、火砲自体も頑丈に作られているらしく、破壊しきれていない。

 

「あー、これ死ぬッほどタフな体力オバケだな」

 

 苦労しそーだな、と事も無げに呟くハバキリ。

 

『怯むな!撃ちまくれ!』

 

 他のフォースの砲撃型のガンプラ達も、果敢に砲撃を放っていく。

 砲火の雨が降り注ぐ中、アドラステアは主砲のメガ粒子砲や対空ビーム砲を崖の上へと発射、何機かはそれに貫かれてリタイアしていく。

 

「よーし、俺達も行きますよセアさん!」

 

「うん!」

 

 コーダイのキャノパルドは今回ビームライフルを装備していない。

 その代わりに、キャノパルドの全長と同じくらいの大型の火砲を抱えて、崖っぷちに乗り出しながらどっかりと足腰を落ち着ける。

 

「これでも、喰らいやがれ!」

 

 トリガーを引き絞れば、一拍を置いてから、六本のシリンダーを束ねたような砲身が回転を始め、轟音を上げながら砲弾の嵐を吐き出す。

 今回のミッションに備えてコーダイが新しく用意した、『ジャイアントガトリング』だ。

 激しく空薬莢を排出しながら、大口径の砲弾が次々にアドラステアの対空ビーム砲や主砲に着弾していく。

 一発一発の威力は高いものではない、しかし秒間数十発にも及ぶ連射力は、並大抵のガンプラなら一瞬でハチの巣に変わるだろう。

 すると、主砲のひとつがメガ粒子を放とうとキャノパルドに向けられるが、主砲が向けられると予測していたコーダイはすぐにジャイアントガトリングの連射を止め、崖上へ引っ込む。

 一拍を置いてから、キャノパルドがいた地点をビームが薙ぎ払われた。

 

 主砲による砲撃が止まるのを確認してから、セアも続く。

 

「ターゲットロック……これならっ」

 

 照準を固定すると同時に、エンハンスドガンダムMK-Ⅱは背部のI.W.S.Pから肩越しに伸びるレールガンを発射する。

 放たれた115mmの弾丸は、ジャイアントガトリングが穴だらけにしたところへ突き刺さり、内部から炸裂した。

 

「大丈夫、これを繰り返せば……」

 

 ふと、崖の下からゲドラフの一機がエンハンスドガンダムMK-Ⅱを睨み、アインラッド上部のミサイルランチャーを一斉発射してきたが、セアはすぐにビームライフルと単装砲を連射してミサイル群を撃ち落として無力化させていく。

 ゲドラフはその場でアインラッドを止めて、半身になってビームライフルで狙いを付けようとするものの、足を止めた瞬間、ジンライ改のキャットゥスの砲弾がボディを直撃した。

 

 ゲドラフ、撃墜。

 

「(繰り返すだけじゃキツいかもな)」

 

 ハバキリはマップ上のアドラステアの現在位置と、艦の損耗具合を見比べて、「このままでは止め切れない」と読み取った。

 

 このアドラステア、相当"堅い"。

 

 対艦、対要塞攻撃に適した機体が揃いに揃って撃ちまくっていると言うのに、損傷は軽微。

 対空ビーム砲の一つや二つが動かなくなったところで、氷山の一角の破片のようなものだろう。

 

 艦の急所であるブリッジを狙いたいところだが、遠くからじっくり狙おうとすれば即座に対空ビーム砲が飛んでくる。

 懐に飛び込んで近接攻撃を仕掛けるのも難しい。

 あのハリネズミと見紛うほどの対空ビーム砲を運良く掻い潜れても、護衛のゲドラフが追ってくるのだ、そうして足止めされている内にビーム砲の射線に踏み込んでしまったら一発アウト。

 

 こりゃ予想以上に厳しくなりそーだ、と呟きながらも、ハバキリはキャットゥスのトリガーを引き、すぐにまた崖の上へ引っ込む。

 

 

 

 

 

 一方、ゲドラフ部隊の撃破とアドラステアへの肉迫攻撃を仕掛けようとする、サッキーのガンダムデスレイザーと、エミルの七星剣士エクシアと、その他近接格闘機達。

 

 ゲドラフの厄介なところは、前後は鉄壁のアインラッド、左右は自前のビームシールドで守りを固めているので、死角は無いに等しいのだ。

 しかし、無敵とも取れるこの組み合わせだが、GBN上でのその攻略法は複数挙げられている。

 アインラッドの破壊は機体スペックが高くないと難しいのだが、何も無理にアインラッドを破壊する必要はない。

 

 それを率先して実践するように、サッキーとエミルの二人は次々にゲドラフ部隊を撃破していた。

 

「こう言う時、鎌状の武器って便利よね」

 

 ガンダムデスレイザーがビームシザースを薙ぎ払えば、三日月型のビーム刃はアインラッドにぶつかることなく、ゲドラフのビームシールドに接触、ビームシザースに出力負けしたビームシールドは突破されて、ゲドラフはあえなく胴体を斬り裂かれる。

 

 ゲドラフ、撃墜。

 

 ビームシザース(サイズ)はその形状から、アインラッドを飛び越して横合いから直接ゲドラフを攻撃出来る武器だ。

 同じような武器としてはフォビドゥンガンダムのニーズベグや、元来『相手の防御を躱しながら攻撃する』武器である、ガンダムサンドロックのヒートショーテルや、ユーゴー【サンドバル機】の半月刀なども有効だ。

 

 ゲドラフの一機が、七星剣士エクシアを轢き潰そうと突進してくる。

 

「遅いね」

 

 エミルは慌てることなくひらりとその突進を躱して、擦れ違い様にGNソード【巨門】をゲドラフのビームシールドに突き立ててやる。

 ガンダムエクシアと言う機体が元々、対太陽炉搭載機ーーGNフィールドを展開可能な機体に対抗するためとして、他のガンダムに比べても格闘武装が豊富に揃えられている。

 GNフィールドを突き破るために作られたその大剣は、相手がビームシールドであろうと関係なく、それごとゲドラフを貫通させてみせた。

 

 ゲドラフ、撃墜。

 

 ようは、ゲドラフのビームシールドを突破、もしくは無力化させる手段が確立出来れば、それほど脅威には成り得ない。

 

「にしたって、ゲドラフの数も多いわね。次から次へと出てくる、しっ!」

 

 サッキーはすぐさまガンダムデスレイザーを飛び下がらせて、アドラステアからの対空ビーム砲を躱す。

 躱したついでに他のゲドラフのアインラッド上部のミサイルランチャーをビームシザースで斬り落とす。

 

「ま、ボク達の役目はあくまでもゲドラフの排除と、チャンスが見えたら艦の懐に飛び込むことなんだ。焦らずに行こう」

 

 ミサイルランチャーを失って動揺したゲドラフの側面にGNソード【巨門】を突き立てる、エミルの七星剣士エクシア。

 周囲にゲドラフの反応が消えたことを確認してから、二機は顔を見合わせる。

 

「この辺りのゲドラフ部隊は片付いたね。他の援護に回る?」

 

 エミルはソードライフルでアドラステアの前輪の中心にあるビーム砲を攻撃しつつ、サッキーと通信を取る。

 

「そうね、白兵戦仕掛けるにはまだ早いと思うし、今はゲドラフの数を減らしましょ」

 

 手が足りていないところはどこかと周囲を見回すサッキーの視界に、一機のイフリートの改造機が見えた。

 

 "赤と黒のツートンカラーで塗装された"そのイフリートは、ヒートサーベルを剣道のように構えると、突進してきたゲドラフをアインラッドごと真っ二つにしてみせた。

 

「すごっ、アインラッドごと斬り捨てちゃった」

 

 サッキーがそれを見て感心していると、そのイフリートのモノアイが二人に向けられ、駆け寄って来るなり、通信を掛けてきた。

 

『悪いが、少しいいか』

 

 イフリートのダイバーらしい青年の声が届き、エミルが応対する。

 

「なんですか?」

 

『参加しているダイバーの中で、"怪しい"奴を見ていないか?』

 

 怪しい奴はいないかと問われて、エミルは訝しげな顔をしながらも正直に話した。

 

「怪しい奴?……すみません、他のダイバーの動向までは見てません」

 

『そうか……すまん、邪魔したな』

 

 一礼すると、イフリートはすぐに踵を返して、他のゲドラフの排除に向かった。

 

 それを見送るなり、ガンダムデスレイザーのビームシザースの柄が、七星剣士エクシアの肩に乗せられ、接触通信が行われる。

 

「何だったの?」

 

「怪しい奴を見てないか、だって。……あまり関わらない方が良さそうだ」

 

 あのイフリートのダイバーが、どんな目的でこのミッションに参加したのは分からない。

 しかし、誰かをーーそれも怪しい奴ーーを捜していると言うのなら、何かしら後ろめたいことでも抱えているのかもしれない。

 

 接触通信をしている内に、アドラステアがエリアの外へと消えていく。

 次のエリアでまた迎撃行動に出るために、エリアとエリアの間にあるメンテナンスポイントで整備を行うための時間が設けられるのだ。

 

 ふと、コーダイからの通信が届いて来た。

 

「サッキー、エミル、聞こえるか?このエリアは終わりだ、急いで戻ってきてくれ」

 

 二人は了解を返すと、すぐに機体を飛翔させてメンテナンスポイントまで急がせた。

 

 

 

 

 

 第一メンテナンスポイント。

 主に弾薬とエネルギーの補給からが完了されるまでの短い間、フォース・リヴェルタの面々は額を突き合わせて作戦会議に勤しんでいる。

 

「正直、とんでもなく堅いな」

 

 そう告げたのはコーダイだった。

 装甲に守られていない対空ビーム砲でさえ、破壊するのに四苦八苦しなければならないほどだ。

 今のところ、リヴェルタのメンバー達の中で撃墜されたものはいないが、この先で誰かリタイアしてもおかしくない。

 

「射撃に対する耐性が飛び抜けてやがるな。砲撃機の全火力を集中させてもビーム砲二、三基潰すのが精一杯なんて、とんだムチャクチャだ」

 

 ハバキリは溜息混じり応じる。

 

「幸い、周りでウロチョロしてるゲドラフはそんなに強くないわ。倒すだけなら苦労はしないし」

 

 サッキーも自分が読み取った現状を伝える。

 

「だけど、艦に取り付こうとする味方への邪魔だけは、しっかりやってくれるよ。……こっちからしたら迷惑極まりないけど」

 

 エミルは自分の視界の中で、強引にアドラステアに乗り込もうとした味方のシュツルム・ガルスが、熱殺蜂球(ミツバチの大群が外敵に張り付いて体温を上げさせ、そのまま蒸し殺すこと)のごとく、多数のゲドラフのアインラッドに轢潰されて見るも無惨な姿にされたことを脳裏に浮かべる。

 

 四人が挙げる報告は、あまり良いものではない。

 それを静かに聞いていたセアは、思考を巡らせた。

 

「……射撃への耐性が高いなら、近接攻撃ならダメージを期待出来るってことだよね?」

 

 彼女の進言に、コーダイが応える。

 

「まだ試した奴がいないんで、格闘攻撃が有効かどうかは分かりませんけど……これで格闘耐性まであったら、クリア出来ないクソゲーになりますね」

 

 サッキーもそこに口を挟む。

 

「もし格闘耐性は低いとしても、ゲドラフが邪魔で取り付く島もないですよ?」

 

 格闘攻撃を仕掛ける以前の問題だ。

 しかし、セアは進言を続ける。

 

「別に、近付かなくても近接攻撃は出来るよね?」

 

 どういうことか、と他四人は耳を傾けた。

 

 

 

 

 間もなくアドラステアが第二迎撃エリアに侵入すると言う警告が流れ、慌ただしく迎撃準備を整えていく。

 

 第一迎撃エリアと同じく、渓谷の隙間をアドラステアが進み、その左右の崖から砲撃を行うなり、谷に降りて肉迫するなりして迎え撃つ。

 サッキーは変わらず谷に降りるが、エミルと交代するようにハバキリがそこへ向かう。

 

「おいでなすったおいでなすった……」

 

 やって来るアドラステアを見てハバキリは軽く唇を舐める。

 キャットゥスを置いてきたジンライ改は、リアスカートからシースザンバーを抜き放ち、それを左肩に担ぐ。

 

「あぁ言うことを思い付けるセアさんって、実はすごい頭良かったりするのかな」

 

 サッキーは、先程にセアが挙げた意見を思い出し、ハバキリがそれを補足する。

 

「実際、セアさんは学年トップの成績だからな。頭脳と成績の良さは別って言うけど、元の地頭が悪くちゃ頭脳も成績もクソもへったくれもねーしな」

 

「そう言えば、ハバキリとコーダイって、セアさんと同じ学校なんだっけ?」

 

 ガンダムデスレイザーの首が、ジンライ改に向けられる。

 

「まーな。……さてと、お喋りはこの辺にするか」

 

 アドラステアがエリアに侵入、同時に格納庫が開かれる。

 現れるのは、同じくアインラッドを装備したーーゲドラフではない。

 赤黒い体躯に右肩に縦長のシールド、左肩にはスパイクアーマーと、ザクⅡを思わせるシルエット。

 

「今度はゾリディアか」

 

 ゲドラフとは異なり、ザンスカール帝国の傑作量産機とされるゾロアットを陸戦用に再設計された機体だ。

 そのゲドラフのような、アインラッドとの連携運用を前提とした機体では無いが、それでもゾロアットをベースとされた機体の信用性は高い。

 

「また大っきなドーナツだね」

 

 ゾリディアのアインラッドを見てか、ジルはそれを「大きなドーナツ」と解釈したらしい。

 

「あんな地面に転がしまくってばっちくなったドーナツなんか食えるか」

 

 軽口を返してから、ハバキリはアームレイカーを一気に押し出し、着陸しようとしているゾリディアの側面に回り込み、ビームシールドを展開するよりも先にシースザンバーの切っ先を突き込ませた。

 ボディを潰されたゾリディアをアインラッドから追い出すと、ジンライ改はその持ち主のいなくなったアインラッドを奪い取る。

 とは言え、ジンライ改の全高ではアインラッドの中には入れない。

 しかし、原作のリガ・ミリティアのパイロット達のような使い方に拘ることはない。

 

「そらよ!」

 

 ジンライ改はその掴んだアインラッドを振りかぶり、他のゾリディアに向かって投げ付けた。

 同じモノ同士では踏み潰すことは出来ず、投げ付けられたアインラッドをぶつけられたゾリディアはバランスを崩して転倒してしまう。

 その隙を見逃すハバキリではない、転倒したゾリディアへシースザンバーを振り下ろし、アインラッドもろとも叩き斬った。

 

「……あたしちょっとゾリディアに同情するわ」

 

 自分達の作り上げたものを、ただ有効活用するならまだしも『盛大にぶち壊しながら』味方への被害を押し広げると言うのだ。

  

 質(タチ)悪っ、と言いながらもサッキーはサッキーで、ゲドラフと同じ対処法でゾリディアを斬り捨てていく。

 

 

 

 一方、崖の上で機会を虎視眈々と狙う、エンハンスドガンダムMK-Ⅱ、キャノパルド、七星剣士エクシアの三機。

 

「……よしっ」

 

 セアのエンハンスドガンダムMK-Ⅱは、脇から伸びた長刀ーー試製9.2m対艦刀を"逆手に"抜き放つ。

 その柄には結び付けるようにして、高分子ワイヤーが伸びる。

 

「いつでもいけるよ、コーダイ」

 

 エミルの七星剣士エクシアも、リアスカートからGNビームダガー【天権】【開陽】を抜き放てば、対艦刀と同じように高分子ワイヤーが結び付けられている。

 

「うっし、攻撃開始ィ!」

 

 攻撃開始の号令と共に、コーダイのキャノパルドは弾薬補給されたジャイアントガトリングを撃ちまくる。

 弾丸の暴風はアドラステアの甲板へと容赦なく降り注ぐが、大したダメージなど望むべくもないのは、第一迎撃エリアの時点で分かり切っている。

『全く何もしないよりは遥かにマシ』だ。

 ジャイアントガトリングだけではない、肩部のキャノン砲もとにかく撃って撃って撃ちまくるキャノパルドから少し離れたところから、エンハンスドガンダムMK-Ⅱと七星剣士エクシアも行動に出る。

 

「槍投げの要領で……せぇのっ!」

 

 エンハンスドガンダムMK-Ⅱは、対艦刀を握った右腕をその場で振りかぶると、アドラステア目掛けて投げ付けた。

 砂塵を斬り裂きながら放たれたそれは、アドラステアの対空ビーム砲のひとつに突き刺さりーー砲弾やビームなどでは大したダメージも入らなかったそれを、一撃で破壊した。

 

「セアさんの見立て通りですね。なら、ボクも……」

 

 七星剣士エクシアも、両手に抜き放ったGNビームダガー【天権】【開陽】の二つを投げナイフのように放つ。

 集束したビームの短剣が、主砲のひとつに突き刺されば、それが暴発した。

 

 アドラステアに突き刺さった対艦刀とGNビームダガー【天権】【開陽】だが、エンハンスドガンダムMK-Ⅱと七星剣士エクシアは繋がっている高分子ワイヤーを巻取り、投げ付けた得物を回収する。

 

 先程のセアの進言……それは至極単純、『近付けないのなら、近付かなければ良い』と言うものだった。

 それは矛盾してないかとサッキーが口を挟んだが、コーダイはすぐに理解を示した。

 近付かない格闘攻撃ーーつまるところ、エミルが得意とする『刀剣類を投擲する』と言う攻撃だ。

 しかし、銃火器ではないため、投げた後はそのまま投げっぱなしになる。

 それを防ぐために、対艦刀やビームダガーの柄にワイヤーを繋ぎ、投げ付けてからも回収が効くように考慮したのだ。

 射撃耐性こそ高いこのアドラステアだが、やはり近接攻撃への耐性は低いようだ。

 

『そうか、そう言うことなら!』

 

 セアとエミルの攻撃を見て的を得た、味方のソードインパルスガンダムは、相手にしていたゾリディアをエクスカリバーで斬り捨てると、崖の上まで上昇してエクスカリバーを一度納め、背部に背負っていたフラッシュエッジ二丁を、連結させた状態で振り投げる。

 フラッシュエッジと言うとビームブーメランのイメージが強いが、実はこうして二つ連結させた上での、大型の実体ブーメランとしても機能するのだ。

 砂塵を斬り裂きながら放たれたブーメランは、アドラステアの主砲のひとつを切断してみせた。

 

『おぉ!俺達も続くぞ!』

 

『よっしゃ!攻略法さえ分かりゃこっちのもんだ!』

 

『これ、母さんです……』

 

 誰か一人、見てはいけないものを見たような発言をしたようだが、誰もそんなことは聞こえていない。

 ベルガ・ギロスがショットランサーを射出し、ゲイツのエクステンショナルアレスターの先端からビームスパイクが伸び、ハシュマルの外装を纏ったガンダムフレームがテイルブレードを振るいと、『近付かない近接攻撃』が可能な機体達が、アドラステアへ猛攻を掛ける。

 要塞の一つや二つを陥落させかねないほどの砲撃すら温そうだったアドラステアが、見る見る内に傷付いていく。

 これではまずいと判断したのか、崖下に展開していたゾリディア部隊は崖の上へ向かおうとするものの、

 

「はいはーい、あんたらの相手はこっちよ、っと!」

 

 即座に振り抜かれたガンダムデスレイザーのビームシザースに、ビームシールドごと斬り裂かれ、

 

「タイヤが空を飛ぶなー」

 

 ジンライ改のフロントスカートから放たれたチェーンアンカーがアインラッドのミサイルランチャーに噛み付き、ゾリディアは強引に引き寄せられ、シースザンバーの錆に変えられる。

 

 ゾリディア部隊はほぼ壊滅状態、アドラステアも艦砲の半分以上を失うという、散々な状態にされて第二迎撃エリアを突破した。

 

 この先は、最後のエリアである絶対防衛ラインだ。

 

 

 

 最後の決戦に備えて、メンテナンスポイントで補給を受けようと急いで帰投するガンプラ達の中、赤と黒のツートンカラーのイフリートは、誰もいなくなった第二迎撃エリアの片隅で、誰かと通信を取っていた。

 

「……こちらコードネーム『ムラクモ』。イベントミッションDグループ、第二迎撃エリア。今のところ、怪しい動きはない。……あぁそうだ、例の『プロトシングルナンバー』もいる。……分かった、ミッションを継続する」

 

 通信を終えて、彼はイフリートをすぐに離脱させた。

 

 

 

 

 

 第二メンテナンスポイントで、弾薬エネルギーの補給をしている間、フォース・リヴェルタの面々は再び作戦会議に顔を合わせる。

 この場を取り仕切るのは、自然とコーダイとなる。

 

「次が最後の、絶対防衛ライン。ここを突破されたら、ミッションは失敗だ」

 

 コーダイは、絶対防衛ラインの地形図を呼び出しながらそれを全員に見せてやる。

 マップの左端からゆっくり進むアドラステアと、右端の赤い『⚠』の文字が点滅される。

 

「このエリアは、さっきまでみたいな渓谷じゃなくて平坦な一本道。上から一方的に攻撃が出来ない、ガチンコ勝負ってわけだ」

 

 アドラステアの表示を拡大し、外から見た具体的な映像を映す。

 

「っても、さっきの攻撃でアドラステアもだいぶダメージを喰らってるし、艦砲の数も残り少ないはずだ」

 

 八門ある主砲は半分ほど減らされ、対空ビーム砲はほぼ全滅、ミサイル発射管もほとんどが破壊されている。

 

「ゲドラフとゾリディアの生き残りも出てくるだろうが、基本的に後はアドラステアを倒すだけだ」

 

 拡大させていた画面を元に戻し、次に青のマーカーが五つーーリヴェルタのガンプラ達が表示される。

 

「俺のキャノパルドはここまでと同じ遠距離から砲撃するけど、今度はセアさんも前線に出てもらいます。」

 

 五つある青のマーカーの内の四つがアドラステアへ向かい、一つだけがその場に留まる。

 

「私も前に出るんだね?」

 

 セアが自分のマーカーを指差す。

 

「そうです。そろそろアドラステアに取り付いてもそれほど危険じゃないはずだから、セアさんには対艦刀でアドラステアを攻撃してほしいんです」

 

「そのための"対艦"刀だもんね」

 

 コーダイの要請に、セアはメンテナンスハンガーに納められているエンハンスドガンダムMK-Ⅱの脇に備えられた対艦刀へ目を向ける。

 

 間もなくアドラステアが最終エリアに到達するとのアナウンスが響き渡り、ダイバー達は慌ただしく向かう。

 

 

 

 絶対防衛ライン。

 第一、第二迎撃エリアとは異なり、渓谷は無く、だだっ広い平坦な荒野。

 その後端には都市群が見えており、アドラステアがここを突破すれば、遠慮なく踏み潰されていく、と言うものだ。

 

「さーてと……」

 

 ハバキリのジンライ改がシースザンバーを担ぎ、

 

「派手に暴れてやりますか!」

 

 サッキーのガンダムデスレイザーがアクティブクロークを広げ、

 

「目標を駆逐する」

 

 エミルの七星剣士エクシアがGNソード【巨門】を展開し、

 

「ここが正念場……みんな、気を抜かないでね」

 

 セアのエンハンスドガンダムMK-Ⅱが対艦刀を抜き放ち、

 

「よぉし……突撃、開始ィ!!」

 

 コーダイのキャノパルドのキャノン砲が、最後の攻撃の狼煙を上げた。

 

 アドラステアがエリアに侵入すると、艦首近くに砲弾が炸裂する。

 度重なる格闘攻撃によって損傷したそれは、例え射撃攻撃でも揺るがしかねないほどだ。

 それと同時に、生き残ったゲドラフとゾリディアの部隊が出撃開始、決死の抵抗に出てくる。

 

 これまでのただ蹂躙するだけだった突撃戦法ではなく、アインラッドとビームシールドの防御力を活かしてアドラステアを守っているのだ。

 

 向かってくるところを迎撃したいダイバー達にとって、これほど手間になることはない。

 そして、その手間を掛けている間にもアドラステアは着実に絶対防衛ラインへ迫る。

 

 ジャイアントガトリングによる弾幕で、アインラッドのビームキャノンやミサイルランチャーを破壊して回っているコーダイは、冷静に戦況を見渡す。

 

 守りを固めるゲドラフとゾリディアと、その守りを前に攻めあぐねる味方部隊。

 

「(こりゃぁ、間に合わねぇか?)」

 

 アドラステアのブリッジを破壊さえすれば、ミッションはクリアだが、それだけはさせないようにゲドラフとゾリディアは守りを固めているのだ。

 速度を見ても絶対防衛ラインの突破まで、残り二分といったところ。

 

「コーダイ」

 

 ふと、ハバキリが通信を掛けてきたと思えば、ジンライ改がキャノパルドに触れて接触通信を行っている。

 

「時間がねーし、オレが突っ込んでブリッジを潰す。援護頼むわ」

 

「おいおいハバキリ、お前正気か?今突っ込んでもミンチよりひでぇやになるぞ?」

 

 ゲドラフとゾリディアの数はまだ20機近くもいる。

 いくらその半分以上が他のダイバーの相手をしているとは言え、アドラステアに取り付こうとすれば、即座に反転して排除にかかるのだ。

 その上から、僅かながら残されている主砲や対空ビーム砲を掻い潜りながらともなれば、ハバキリの「突っ込んでブリッジを潰す」は、無謀な特攻にしか思えない。

 

「そこはお前の腕を信用してるから問題ねーよ。コーダイがしくったらオレの特攻も無駄になるってことだ」

 

「プレッシャーを与えていくスタイルかよ……」

 

 しかも、その無謀な特攻の成功率も、チームメイトの援護に依存すると言う、極めて不安定で分の悪い博打である。

 だが、コーダイはコーダイでその『極めて不安定で分の悪い博打』を否定しなかった。

 

「そこまで大口叩くってことは、『俺の援護が完璧なら必ず成功する』ってことだな。よーしやってやろうじゃねぇか、もしミスったらアルティメットレアの『1/1トリィ』が出るまでリセマラな」

 

「おいこら、0.03%を引き当てろとかクソゲーか」

 

 果たしてそれはGBNがサービス配信されている内に入手出来る者がいるのだろうか。

 

「……んじゃー行くか!」

 

「おぅさ!」

 

 無駄話はそこまで、シースザンバーを構え直したジンライ改がアドラステア目掛けて一直線に突撃、その三歩後ろをキャノパルドが追従する。

 アドラステアに乗り込むと、ゲドラフとゾリディア達の動きが切り替わり、瞬時にジンライ改とキャノパルドを取り囲もうとする。

 このままでは逃げ場を失ってしまうが、構わずに二機はアドラステアのブリッジ目掛けて突撃していく。

 迫りくるタイヤ装甲の地ならし機動。

 それがあとほんの数秒で接触するーーその寸前に、キャノパルドはそこで足を止めて、スラスターの炸裂と共に一気に真上へ上昇する。

 

「行ってこぉい!!」

 

 0.5秒前まで自分が真下へ、キャノン砲とジャイアントガトリングが猛火を噴き出す。

 激しい砲火の雨に曝されるゲドラフとゾリディアは、アインラッドもろとも撃ち抜かれていく。

 撃墜を確認する間もなく、キャノパルドの砲撃が今度はアドラステアのブリッジ付近へと降り注ぐ。

 

 残り少ない対空ビーム砲と主砲の弾幕を掻い潜りながら、ハバキリのジンライ改はブリッジへ猛迫する。

 飛び越えた対空ビーム砲をシースザンバーで叩き潰し、キャノパルドからの援護射撃が最後のミサイル発射管を誘爆させた。

 ジンライ改のモノアイが、アドラステアのブリッジを捕捉する。

 

「(こいつで終わりだ)」

 

 ブリッジを破壊すべくシースザンバーを振りかぶろうとしてーー

 

「ッ、ハバキリッ、右!」

 

 突如、ジルの警戒を促す声が聞こえ、その一瞬の後に右側面から敵機接近を告げるアラートが鳴り響く。

 

「!?」

 

 正面に意識を集中させていたハバキリはその反応が遅れ、ジンライ改は横あいから突き飛ばされてしまった。

 

「ぐあっ!?」

 

「はぅっ」

 

 ジンライ改を突き飛ばしたのは、ゲドラフやゾリディアと同じアインラッド付きの青い機体、それが三機。

 

「チッ……こんなところで『ブルッケング』かよ!」

 

 舌打ちしながらもハバキリはジンライ改の体勢を立て直そうとするが、まともに突き飛ばされてしまったせいで、アドラステアから足を踏み外してしまう。

 

「やべっ」

 

 転落しかけるジンライ改だが、落下はそこで止まった。

 

「間一髪、だね」

 

 その寸前に、セアのエンハンスドガンダムMK-Ⅱが受け止めてくれたのだ。

 

「おっ、セアさん?助かりました」

 

 エンハンスドガンダムMK-Ⅱはそのままジンライ改をアドラステアまで持ち上げると、自身もそのまま着艦する。

 

 眼の前には、ブリッジを死守せんとするブルッケングの一個小隊。

 同時に、コンソールが『間もなく絶対防衛ラインが突破されます!』と『⚠』マークを点滅させてくる。

 もう時間がない。

 

「シースザンバー、抜刀」

 

 不意にジンライ改はシースザンバーを開き、その中から斬鋼刀を抜き放った。

 敵の数は三機。

 一機がセア、二機をハバキリが相手すれば勝てるが、その前にアドラステアが絶対防衛ラインを突破するかもしれない。

 せめて、もう一機いてくれれば……

 だが、コーダイは遥か後方で離脱しているし、サッキーとエミルの動きは分からない。

 二人で何とかするしかない、と腹積もりを決めようとするハバキリの隣に、何者かの機体が降り立った。

 

『助太刀する』

 

 赤と黒のツートンカラーのイフリートが、ヒートサーベルを構え直しながら告げる。

 

「……感謝するぜ」

 

 短く礼を言った、その一秒後にジンライ改はスラスターを全開にしてブルッケング小隊のど真ん中へ突っ込み、エンハンスドガンダムMK-Ⅱとイフリートも一歩遅れて続く。

 固定式のアインラッドを装備するブルッケングは、半身の姿勢でビームライフルを放って来るが、ハバキリのジンライ改は斬鋼刀でビームを斬り弾きながらブリッジへ迫る。

 そのジンライ改を追い越すほどの速度で、イフリートはブルッケングの一機へ肉迫し、ヒートサーベルによる格闘戦を仕掛ける。

 セアのエンハンスドガンダムMK-Ⅱも、対艦刀を持ってもう一機のブルッケングへ打ち掛かる。

 

 僚機が他の相手をしている内に、指揮官機のブルッケングがビームサーベルを抜き放ってジンライ改へ斬り掛かろうと迫る。

 それに対してジンライ改はーーブルッケングのビームサーベルを無視した。

 右腕を斬り落とされるが、それすらも無視、ジンライ改はさらに加速し、逃がすものかと指揮官機のブルッケングは急加速してジンライ改を追い掛ける。

 

 アドラステアのブリッジはもう目と鼻の先、しかしすぐ背後にはブルッケングが迫る。

 

 ジンライ改がブリッジを斬り飛ばすのが先か、ブルッケングがジンライ改を止めるのが先か……

 

 そのギリギリの追いかけっこは、"後者に軍配が上がった"。

 ブルッケングのビームサーベルの一閃が、ジンライ改のバックパックを斬り裂いた。

 

 推進剤を焼き斬られて吹き飛ぶジンライ改。

 

 ーーーーーだが、ハバキリのその口元は笑みを浮かべていた。

 

「ごっくろー……さんッ!!」

 

 なんと、吹き飛びながらもジンライ改は左手に握った斬鋼刀を投げ付けた。

 放たれた刀刃は、真っ直ぐにアドラステアのブリッジへ向かいーーちょうど、艦長席に当たる部位へ突き刺さった。

 

 制御を失ったアドラステアは急停止、それに伴ってゲドラフ、ゾリディア、ブルッケング達は電源を切られたように動かなくなっていく。

 

 ーー絶対防衛ラインとアドラステアのタイヤとの距離は、わずか3mも無かったーー。

 

 アドラステア、撃沈。

 

『Mission clear!!』

 

 

 

 

 いつのまにか、夕暮れが荒野を朱く染めていた。

 周囲のダイバー達がミッション成功を喜んでいる中、ガンダムデスレイザーが、中破したジンライ改を肩に担いで運ぶ。

 

「相っ変わらず無茶するわねぇ、あんたは……」

 

 エミルと共にゲドラフとゾリディアの数を可能な限り減らしていたサッキーは、事の顛末を本人から聞いて呆れたように頷く。

 

「無茶したおかげでミッションクリア出来たんだし、問題ねーよ」

 

 軽く笑うハバキリだが、そばにいたジルに袖を引っ張られ、

 

「ハバキリ、無茶したら、めっ」

 

 人差し指を立てて怒られた。

 

「無茶のひとつくらいさせてくれって」

 

「むぅ。そんなこと言うなら、セアに言っちゃうもん」

 

「そりゃ勘弁。セアさんにまで怒られたくねーからな」

 

 悪かったな、と悪びれることもなく、頬を膨らませるジルの頭を撫でる。

 すると、ハバキリとサッキーを待ってくれていたのか、それぞれガンプラから降りたセア、コーダイ、エミルが手を振ってくれている。

 その光景を視認しつつもーーハバキリは別の方向に意識を向けていた。

 

 その方向はーー先程に助太刀してくれた、イフリートの改造ガンプラだ。

 ミッションも完了したと言うのに、メンテナンスポイントにも向かわず、ただその場で立っているだけ。

 と思いきや、モノアイを輝かせると、すぐに踵を返してどこかへ飛んでいってしまった。

 

「……何だったんだろーな」

 

 イフリートが飛び去って行くのを見送りながら、ハバキリは動かなくなったジンライ改のコクピットの中で揺られていた。

 

 

 

 

 

 イベントミッション『バイク戦艦の侵攻』は各地で終了していた。

 そのBグループと分類されているエリアでは、撃沈されたアドラステアや、機能停止したゲドラフやゾリディアが順次消えていく中、ドワッジとマグアナックの二機だけが残っていた。

 二機とも密着して向かい合って、機体越しに通信している。

 

「さてと、邪魔がいなくなったところで、"商売"の話と行こうじゃないか」

 

 フードを目深に被るドワッジのダイバーが、防塵用のマスクで顔を覆うマグアナックのダイバーに向かってそのように話し掛けた。

 

「……"失敗作"の再利用と言うのは、信用出来るのか?」

 

 訝しげなマグアナックに、ドワッジは問題ないと、下卑た笑みで頷く。

 

「なぁんにも知らねぇ空っぽな奴らだからな。ちょっと技術を教えて、それを実践させて、バレそうになったら証拠隠滅にボンッ……ってな。ただ放置して勝手に消されるより、よっぽど有効活用だろ?」

 

「まぁ何でもいい……カネが手に入るなら、失敗作でも何でも利用してやるさ」

 

 マグアナックのダイバーはコンソールを打ち出し、予め設定しておいた額のビルドコインをドワッジへ送金する。

 ほんの一秒少しで、ドワッジのダイバーのコンソールに、送金された額の数字が加算される。

 

「毎度あり。ほれ、これが例の"失敗作"だ」

 

 ドワッジはフロントスカートに携えていたカプセルを掴み、それをマグアナックに差し出す。

 

「ん、確かに受け取った。では、気付かれる前にログアウトさせてもら……」

 

 ログアウトさせてもらう、と言いかけたところで、両機の間に砲弾が落ち、炸裂した。

 

「もう気付かれた!?いくらなんでも早すぎるぞ!」

 

「……いや違う、こいつは運営の奴らじゃない!?」

 

 慌てるドワッジとマグアナックの両機の前に現れたのは、

 

 

 

『確かに運営じゃぁ無いが……『私服警官』ってところか』

 

 

 

 ジャイアントバズを構えた赤と黒のイフリートーーイフリート・エスパーダ。

 

『さっきの不正取引は、こっちのレコーダーで記録済みだ。このデータは、早急に警察に届けさせてもらう』

 

「てめぇ!」

 

 ドワッジは納めていたラケーテン・バズを取り出そうとするが、その頭部に投擲されたヒートサーベルが突き刺さり、仰け反った瞬間に発射されたジャイアントバズが両足を吹き飛ばし、ドワッジはその場で横転して動かなくなる。

 

「貴様……さてはゲリラだな!?」

 

 マグアナックはコンテナを庇いながら、ビームライフルの銃口をイフリート・エスパーダに向けるが、

 次の瞬間にはその赤黒い機体は姿を消して、砂煙の跡だけが残る。

 

「どっ、どこにっ……」

 

 マグアナックがカメラアイを左右させている間に、イフリート・エスパーダは背後からマグアナックに組み付いて押し倒し、人体の関節を外すように両手両足を引きちぎっていく。

 

『GBNやELダイバーを、リアルマネートレードの手段の一つとしか見ていないような奴がいるから……』

 

 イフリート・エスパーダは、マグアナックが落としたコンテナを奪い取った。

 

『あんたらのログイン元には、もうパトカーが来てるはずだ。さっさとログアウトして、大人しく自首するんだな』

 

 踵を返してさっさと離脱していき、入れ替わるようにGBNガードフレームが、ドワッジとマグアナックの二機を取り囲む。

 

 

 

「……こちら、コードネーム『ムラクモ』。容疑者二名のデータと、例のELダイバーの確保に成功しました。どうぞ」

 

『こちらイノグチ。仕事が早いねぇ。こっちは今ようやくパトカーから降りたところさ』

 

「仕事は早い方が良いでしょう。……不正取引のデータを送ります」

 

『……んむ、確認した。助かるよ。』

 

「ま、私服警官の真似事ですけど。お役に立ったなら何よりです」

 

『ナンブさんから聞いたけど、君は日本武道の達人らしいね。是非ウチの部署にも来てほしいもんだ』

 

「受験に失敗したら、就職先として考えときますよ……確保したELダイバーを保護局に送り届け次第、リアルの方に戻ります」

 

 赤みを帯びた黒髪を後頭部で束ね、武者のような和装を纏うイフリート・エスパーダのダイバーーー『ツルギ』は、ナオエとの連絡を終えて、操縦に集中することにした。

 

 

 

 

 

【次回予告】

 

 ジル「ハバキリ、セア、こうちゃ、サッキー、エミル。気が付いたらこんなにたくさんの友達が出来て、毎日がとっても楽しい。……でも、わたしはわたしのことを何も知らない。わたしは自分をもっと知りたい。もっとみんなと、色んなことを話したい。

 次回、ガンダムビルドダイバーズ・スピリッツインテンション

 

『彼女の見た世界』

 

 わたしは、どこから生まれたの?」

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