ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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101.勇者の思い

オリジナル展開です

 

 

 

イレブン君が爆発します

 

 

 

ユグノア城跡地

 

 

 

イレブン「.....」

 

 

 

イレブンは何もない場所で座り込んでいた

 

 

 

ラース「こんな所で何してんだよ、イレブン」

 

 

 

 

イレブン「あ、ラース。少し考え事してたんだ。他の皆は?」

 

 

 

 

ラース「俺だけだな、そろそろ心配してたからな」

 

 

 

 

イレブン「そっか、思ってたより時間経っちゃったんだね。それじゃあ、戻ろうか」

 

 

 

イレブンは立ち上がり、ラースに近づく

 

 

 

ラース「いや、戻る必要はない」

 

 

 

 

イレブン「ラース?」

 

 

 

 

ラース「率直に聞こう。お前、誰だ?」

 

 

 

 

イレブン「!?な、何言ってるの?ラース?イレブンだよ?」

 

 

 

 

ラース「そうだな、イレブンだ。だが、大樹に登る前から急に別人のようになったよな。あの突然消えた時からだな」

 

 

 

 

イレブン「.....それは皆の思い違いじゃないかな。僕はあの時から勇者として、もっと頑張った方がいいと思って覚悟を決めたんだよ。そりゃあ今までとは変わるさ」

 

 

 

 

ラース「....そうか。いい心がけだと思うぞ。それじゃあなぜ笛の事を知っていたり、ケトスや神の民を見ても驚かなかったんだ?」

 

 

 

 

イレブン「.....驚いてたよ?顔に出てなかっただけ」

 

 

 

 

ラース「じゃあ今日の試練の時の敵はなぜ知っていた?カミュに聞いたが、あんな敵とは出会った事はないと言っていた。それなのに、イレブンだけが知っているのも不思議だな。パープルオーブの力を使われた時も、まるで戦い方を知り尽くしてるようだった。

 

 

 

バクーモスもそうだな。あの時イレブンは、やはりお前か、と言ったな。名前や、どんな魔物か、弱点まで俺にいきなり教えてくれたな。なぜ初めての敵をそこまで知っている?」

 

 

 

 

イレブン「.....」

 

 

 

 

ラース「皆が突然ついた力に戸惑っていたのに、イレブンだけはすぐに使いこなせたよな。まあ、勇者だからと言われたらそれまでだが、そこも不自然だな。

 

 

 

だが、イレブンだけはウルノーガと戦った時とほぼ強さは変わらなかった。ウルノーガの、いや大樹に登る前の時点で、急に強くなりすぎだとは思ったがな」

 

 

 

 

イレブン「....流石だね、ラースは。どうやら隠し通せないみたいだ。いつ頃から怪しいと思ってたの?」

 

 

 

 

ラース「始まりは、お前がラムダでいなくなってからその後俺に会った時だな」

 

 

 

 

イレブン「はは、最初じゃん。嫌だな、そんな早い段階で疑われてたなんて」

 

 

 

 

ラース「それで?話す気にはなってくれたのか?」

 

 

 

 

イレブン「うん。本当なら話さないつもりだったんだけど、僕も無理みたい。疲れちゃったよ」

 

 

 

 

ラース「それじゃあ、キャンプに戻って皆に話そうぜ」

 

 

 

 

イレブン「うん。そのためにラースだけが来たんだね。つまり、皆にも気づかれてるのか。わざわざごめんね」

 

 

 

 

ラース「気にすんなよな、仲間なんだから」

 

 

 

 

イレブン「相変わらずラースは優しいね。ルーラ!」

 

 

 

ユグノア地方 キャンプ場

 

 

 

カミュ「お、戻ってきたな」

 

 

 

 

イレブン「皆、心配かけてごめんね。僕、今まで皆に隠してた事があるんだ」

 

 

 

 

ベロニカ「あら、本当に話してくれる気になったのね。流石ラースだわ」

 

 

 

 

マルティナ「でもイレブン。無理しなくていいのよ。私達はそこまでして聞き出したいわけじゃないわ」

 

 

 

 

イレブン「ありがとう、マルティナ。でもいいんだ。僕も隠し通すのは無理みたいだし、疲れちゃった。まず、僕はね、イレブンであってイレブンじゃないんだよ」

 

 

 

 

グレイグ「イレブンじゃない?どういう事だ?」

 

 

 

 

イレブン「えっとね、今、皆の目の前にいる僕は、違う世界から来たイレブンなの」

 

 

 

 

セーニャ「違う...世界?」

 

 

 

 

イレブン「うん。僕がいた世界では、大樹の魂がある場所で僕がホメロスに気絶させられて、皆もそこでホメロスにやられるんだ。そこにデルカダール王に入り込んでいた魔王がきて、大樹の魂を奪いとったんだ」

 

 

 

 

全員「な!?」

 

 

 

 

イレブン「そして、世界は崩壊した。命の大樹は落ちて、魔王が統べる城が立ち、熱を帯びた岩が降り、川は干上がり、草木は枯れて、山は割れた。ウルノーガは一瞬で世界中の命を大量に奪ったんだ」

 

 

 

 

シルビア「そんな世界が...」

 

 

 

 

イレブン「その世界でも僕達は魔王を倒し、世界を救った。でも、命の大樹が落ちた時に、ラースが命を犠牲にして、僕らを守って死んでいったんだ」

 

 

 

 

全員「え!?」

 

 

 

 

マルティナ「ラースが!?」

 

 

 

 

ラース「俺が....死んだ...」

 

 

 

 

イレブン「そう。それを知った僕達は悲しんだ。特にその時のマルティナは見ていられなかったよ。僕達は世界を救った後、時のオーブというものを壊せば過去に戻り、たくさんの命を救えると知り、それを使って過去に戻ろうとした。

 

 

 

だけど、そこで過去に行くことができるのは勇者である僕一人だけだったの。だから、僕は仲間達と世界に別れを告げて、この世界に来たの。そのおかげで今日の敵の事を知ってたの」

 

 

 

 

全員「.........」

 

 

 

全員は下を向いている

 

 

 

イレブン「あ、ごめんね。急にたくさん話してわからなかったよね。もう一回話そうか?」

 

 

 

 

ラース「.....イレブン、てめえ、歯食いしばれ」

 

 

 

 

イレブン「え?」バキ!

 

 

 

イレブンはラースに殴り飛ばされる

 

 

 

ラース「てめえは!テメエは!!何て事してんだよ!!!」バキ!ドガ!

 

 

 

ラースは泣きながらイレブンを殴っている

 

 

 

イレブン「ぐっ!痛いよ。......ラース?泣いてる?」

 

 

 

 

ラース「うっ......当たり前だろうが」

 

 

 

 

カミュ「おい、イレブン。なんで今ラースが殴ったかわかるか?」

 

 

 

 

イレブン「それは、僕が仲間や世界を見捨てた.....から」

 

 

 

 

ラース「それもあるが、一番大事な事を忘れてやがるんだ!てめえは!」

 

 

 

 

ベロニカ「そうよ!!ラースはね!あんたが自分の事をあまりにも大事にしないから怒って殴ったのよ!」

 

 

 

 

イレブン「大事......」

 

 

 

 

ラース「お前を一人で過去に行かせた俺らも馬鹿だが、お前はもっともっと馬鹿だ!大馬鹿野郎だよ!」

 

 

 

 

グレイグ「なぜ....そこまでして俺らを助けてくれる。勇者だからと言って世界の全てをお前一人に抱えさせるなど、そんな事あってはならない」

 

 

 

 

イレブン「だって、僕は一度大樹で魔王に負けた時、自分の馬鹿さと無力な事に気づいた。皆だって世界が崩壊して、たくさん苦しんで、僕のせいでたくさんの命が無くなった」

 

 

イレブンは下を向き、両手が震えている

 

 

 

イレブン「この世界の皆には、そんな悲しい思いしないでほしかった!だから、僕が来た!二度と繰り返さないために!!そのために、大事な仲間と別れてきたんだよ!!」

 

 

 

イレブンは顔を上げ、強い意志を持った目を向けた

 

 

 

ラース「それは、勇者としてのお前の本音だろうが!!」

 

 

 

 

イレブン「そうだよ!僕は勇者だ!勇者イレブンだ!!だから世界を救うんだよ!何度でも!!」

 

 

 

イレブンは大声で叫ぶ

 

 

 

まるで自分に言い聞かせるように

 

 

 

シルビア「それなら、イレブンちゃん。勇者じゃないあなたの本音はどこにあるのかしら?」

 

 

 

 

イレブン「僕の....本音?」

 

 

 

 

マルティナ「そうよ。今は勇者なんてどうでもいいの。あなた自身はどうしたかったの?何をしたかったの?」

 

 

 

 

イレブン「........」

 

 

 

 

セーニャ「イレブン様は勇者である事に頭がいっぱいで、大切な事を忘れています。イレブン様は勇者である前に、イシの村のイレブン様です」

 

 

 

 

ロウ「お主がやりたい事は何じゃ?言ってみてくれ」

 

 

 

 

イレブン「....僕は....また......皆に会いたい!!.....未来の皆に会いたい!会いたくて、たまらないよ...」

 

 

 

イレブンは涙を零し始める

 

 

 

ラース「それがお前自身の本音だな。何だ、言えるじゃねえか。その素直なお前は、勇者であるお前よりもずっと大事にしなくちゃいけない所だ」

 

 

 

 

イレブン「うん....。でも、関係ない皆に迷惑が....」

 

 

 

 

カミュ「迷惑?関係ない?何言ってんだよ、イレブン」

 

 

 

 

ラース「仲間を救うのに理由なんかいらねえだろ」

 

 

 

 

グレイグ「関係に過去も未来もない。どちらも同じ仲間なのだからな」

 

 

 

 

マルティナ「それに、イレブンのお願いは迷惑なんてならないわ」

 

 

 

 

ロウ「ふぉっふぉっ、孫のお願いなら断るわけにはいかんのう」

 

 

 

 

ベロニカ「私達はあんたにたくさん救われてるのよ。少しくらいお礼をさせなさい!」

 

 

 

 

シルビア「イレブンちゃん!私の夢の世界中の笑顔には、あなたも含まれてるのよ?アタシはあなたも笑わせなくちゃね」

 

 

 

 

セーニャ「私達はイレブン様の助けになれるなら何でもいたします」

 

 

 

 

イレブン「皆....ありがとう」

 

 

 

 

ベロニカ「それじゃあ、やる事は決まったわね」

 

 

 

 

イレブン「え?」

 

 

 

 

カミュ「まずは邪神をぶっ倒すだろ?そして世界を救った後、お前を未来に返すんだよ」

 

 

 

 

グレイグ「そうだな。未来からこっちに来れたのなら、こっちから未来に返す事もできるかもしれない」

 

 

 

 

セーニャ「皆で方法を探せばすぐですわ!」

 

 

 

 

ラース「だが、本来はいたはずのイレブンはどこにいったんだ?」

 

 

 

 

イレブン「あ、それなら大丈夫だよ。僕の中には二人の僕がいて、僕の中で、本来の僕が同じ景色を見てるよ」

 

 

 

 

マルティナ「つまり、合体しているようなものなのね」

 

 

 

 

イレブン「そういう事になるね。本来の僕にはもう僕が話してあるから事情は知ってるんだ。..........なんか叫んだり泣いたりしたから疲れちゃったよ。僕、先に寝てもいい?」

 

 

 

 

セーニャ「わかりましたわ、どうかごゆっくりなさってください」

 

 

 

 

イレブン「ありがとう、皆。また明日ね」

 

 

 

イレブンはテントに入っていった

 

 

 

ラース「.......まさかそんな事を抱えてたなんてな」

 

 

 

 

ベロニカ「全く!未来の私達は何考えてるのかしら」

 

 

 

 

カミュ「しかし、これで全部謎は繋がったな」

 

 

 

 

グレイグ「ああ、あいつ一人では到底抱えきれぬ物だ。俺達も一緒に支えて行こう」

 

 

 

 

シルビア「ウフフ、グレイグも大分イレブンちゃんに肩入れするようになってきたわね」

 

 

 

 

グレイグ「む....。あいつはいつも頑張りすぎているのだ。もっと大人である俺達に頼ったっていいだろうに」

 

 

 

 

ロウ「そうじゃのう。わしらがあの年の頃などここまで立派じゃなかったわい」

 

 

 

 

ラース「そうだなぁ。だけど、これはイレブンに限った話じゃないからな。カミュ、ベロニカ、セーニャ。お前達もだぞ。もっと俺ら大人に頼れよな」

 

 

 

 

シルビア「そうよ〜。アタシ、あなた達のためなら何だってするわ」

 

 

 

 

マルティナ「私もどんどん頼ってくれていいのよ?」

 

 

 

 

ベロニカ「ちょっと!何か話が違う方向にいってるわよ」

 

 

 

 

セーニャ「私達としては十分甘えてる方だと思うのですが...」

 

 

 

 

カミュ「自分でできる事をやって何が悪いんだよ」

 

 

 

 

ラース「やれやれ。少しは楽にしてても平気という事だ。今回の試練の道中も、俺達はある程度楽にできる状況では楽にしてたが、そういう場面でも、四人とも気を張り続けてたからな。ずっとそうやってると肝心な時にダメになってしまうぞ」

 

 

 

 

カミュ「けっ。大人ぶりやがって」

 

 

 

 

ベロニカ「そうよ!子ども扱いすんじゃないわよ!」

 

 

 

 

シルビア「違うわよ。あなた達より年を取った人達からのアドバイスよ。決して子ども扱いなんかじゃないわ。まあ、お喋りはこの辺にしておきましょうか」

 

 

 

 

マルティナ「そうね。明日もあるし今日はもう休みましょう」

 

 

 

 

ラース「それじゃあ皆、おやすみ。また明日な」

 

 

 

 

 

 

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