子ども達が産まれて一年が経とうとしていたある日
デルカダール城 朝食時
ラース「え!?新婚旅行!?」
マルティナ「よろしいのですか?お父様」
デルカダール王「ああ、お主達はまだであっただろう?子ども達もわし達が責任を持って様子を見よう」
グレイグ「うむ、ぜひそうした方がいい。二人とも今までずっと旅行に行ってないからな。子どもも小さい今のうちに行ってくるといい」
ラース「そうですね、ありがとうございます。よし、行くか、マルティナ」
マルティナ「わかりました。ありがとうございます、お父様。何か甘いお土産を買ってきますね」
ラースとマルティナの部屋
ラースとマルティナは準備をしながら行く場所について話していた
マルティナ「突然だったけど何だか楽しみだわ。どこに行こうかしら」
ラース「あ!じゃあ俺から提案があるんだが」
マルティナ「却下よ」
ラース「え....。何も言ってないんだが....」
マルティナ「世界食べ巡りツアーみたいな事言う気だったんじゃないかしら?」
ラース「.......そんな事ないぞ?」
ラースはマルティナから目を逸らしている
マルティナ「目を合わせてから言ってちょうだい。それに、私知ってるんだからね?最近お腹が出てきたこと」
ラース「な!?そんな事ないぞ!?」
マルティナ「グレイグから聞いてるわ。城に来てから食欲がいいのは素晴らしいが、腹が出てきたように思えるってね」
ラース「それは.....その分動いてるから.......平気だ!グレイグ、許さん」
マルティナ「全く。とにかく他のにするわよ」
ラース「それじゃあよ、俺達が各地の皆の所に訪ねるのはどうだ?連絡無しで驚かせようぜ。まあ、居なかったらその時でさ」
マルティナ「あら、それは面白そうね。いいわね、いつも来てもらってばかりで悪いと思ってたのよ。でも、日が結構かかるわよ?」
ラース「それが王様がよ、お主は働きすぎじゃ。もっとマルティナとの時間を大切にしてくれ。この旅行は一ヶ月は帰らなくてもいいぞって言われててな」
マルティナ「一ヶ月!?そんなのもう旅行じゃないわ!お父様ったら何を言ってるのかわかってるのかしら」
ラース「多分本音は子ども達を占領したいんだろ。まあ、流石に一か月はやりすぎでも、それなりに長く旅ができるな」
マルティナ「そうね。所々はキメラの翼で行きましょう」
その後、大広間
デルカダール王とグレイグが見送りに来ていた
マルティナ「それではお父様、行ってまいります」
デルカダール王「うむ、しばらくは帰ってこないで夫婦水入らずの時間を過ごすんじゃ」
ラース「グレイグ!兵士達の事は頼んだぞ。バンには別のメニューを渡してある。だからバンは構わなくても平気だ!」
グレイグ「ああ、任せておけ」
イシの村
マルティナ「まあ、最初はここよね」
ラース「そりゃそうだ。あ、エマちゃん。久しぶり」
偶然通りかかったエマに話しかけた
エマ「あ!えっと、確かラースさん。それにマルティナ様も!イレブンに用事ですか?」
マルティナ「ええ、突然ごめんなさい。いるかしら?」
エマ「はい、今村の広場で剣の練習してると思います。呼んできますね」
すると、すぐに来てくれた
イレブン「ラース!マルティナ!久しぶり!急にどうしたの?」
ラース「よお!イレブン!久しぶりだな、最近は全然城に来てくれなかったな。俺達は今新婚旅行中なんだ」
イレブン「え!?新婚旅行!?イシの村でいいの?」
マルティナ「違うのよ、イレブン。私達の新婚旅行は各地の仲間達の所を突然訪れてみようってものにしたの。ほら、私達がいつも来させて悪かったから」
イレブン「そんなの全然気にしないのに!そっか、じゃあ一番最初に来てくれたの?」
ラース「まあ、一番近いからな。カミュはどこにいるとか知ってるか?」
イレブン「カミュは少し前の手紙でクレイモランに戻ったって書いてあったよ。今は旅は終わったみたい。折角来たんだし、僕の家でゆっくりしていってよ」
イレブンは自分の家に案内した
イレブンの家
ペルラ「おや、イレブン。お客さんかい?おや!?マルティナ姫じゃないかい!わざわざこっちに来てくれてありがとねえ。そちらのお兄さんもイレブンの仲間だったのかい?イレブンがいつもお世話になっております。母のペルラといいます」
ラース「こちらこそイレブンにはお世話になりました。俺はラースといいます」
マルティナ「気にしないでください、お母様。今日はサプライズでこっちにきたんです」
イレブン「母さん、この二人は夫婦で子どもも二人いるんだよ。今、新婚旅行でここに来てくれたんだって」
ペルラ「まあ!?それはおめでとうございます。何も無い村ですが、どうかゆっくりしていってくださいね。イレブン、昼はご馳走だよ。倉庫からカボチャを持ってきてくれ」
イレブン「はーい」
マルティナ「あ、お母様。突然押しかけたのは私達です。何かお手伝いします」
ペルラ「いいんですよ。お客様はどうか座って待っていてください」
ラース「へえ、ここがイレブンの育った家か。優しい雰囲気だな、俺の場所とは大違いだ」
マルティナ「そうね。ペルラさんも優しい人だし、イレブンもいい子に育つわけだわ」
その後、昼食は四人で色々な話をしながら食べた
イレブン「いいなぁ、僕も行きたいけど、流石に邪魔するわけにはいかないもんね。またこっちにも来れたらきてよ。歓迎するよ」
ペルラ「イレブン!姫様とその騎士様なのよ。そんな簡単に出れる訳ないでしょ!自分から行きなさい」
ラース「ハハハ!気にしないでくれ、ペルラさん。俺ならたまに時間あるからこっちに来よう。その時はよろしくな」
イレブン「じゃあね〜!」
マルティナ「次はソルティコね。歩いていってもいいと思うけど、どうする?」
ラース「今から歩いていけば夜には着くはずだ。歩くか」
マルティナ「わかったわ」
道中
マルティナ「そういえば、ラースと二人でこうやって歩くなんて初めてじゃないかしら?」
ラース「言われてみれば確かにそうだな。町の中では珍しくなかったが、町の外で二人きりで歩いた事はなかったな」
マルティナ「なんだか新婚旅行とは違うわねって思ってたけど、これはこれでありかしら」
ラース「そうだな。俺達には豪華な場所よりも、こんな感じでいいのかもしれないな」
夕方、ソルティコの町
ラース「魔物が少なくなったおかげで早くついたな」
マルティナ「そうね。先に宿を取っておきましょう。その後でシルビアに会えるといいんだけど」
ジエーゴの屋敷
セザール「おや、ラース殿。それにマルティナ様も。ようこそいらっしゃいました。ゴリアテ坊ちゃんに御用ですか?」
ラース「ああ、シルビアは今家にいるのか?」
セザール「はい。先日帰ってきて、まだこの家に滞在しております。お呼びしますね」
セザールがいなくなると、すぐにシルビアがやってきた
シルビア「キャー!ラースちゃんとマルティナちゃんが訪ねてきてくれるなんて嬉しいわ!」
マルティナ「久しぶりね、シルビア。家にいてくれてよかったわ」
シルビア「今から丁度晩ご飯だったの。二人はもう食べたかしら?」
ラース「いや、俺達もまだなんだ。一緒に食べてもいいか?」
シルビア「もっちろんよ〜。パパとたくさん話しながら食べましょう。ソルティコの新鮮な魚介類、味わって食べていって!」
その後
ジエーゴ「おう!ラースじゃねえか!悪いな、そっちに顔を出せなくてよ。指導の約束したってのに。だが、もう少ししたらこっちも時間が取れそうだ。そしたら俺が教えてやるよ!」
ラース「ありがとうございます、ジエーゴさん。俺も楽しみにして待ってますね」
シルビア「パパ、聞いて。ラースちゃんはデルカダールの騎士になったのよ。しかも、兵士ちゃん達を鍛えてるの。アタシも兵士ちゃんと戦ったけどすっごく強かったのよ」
ジエーゴ「な、何だと!?俺が知らない間にそんな事になっていたのか!ラース、お前指導者の素質もあるってのか。ならその力、俺が今度直々に見てやるよ」
マルティナ「あら、すっごい期待されてるわよ、ラース。頑張らないとね」
ラース「マジかぁ。荷が重いぜ」
シルビア「それで、急にどうしたの?城から抜けて、二人だけでここまで歩いてきたんでしょ?」
マルティナ「私達は今新婚旅行中なのよ。各地の仲間達の所に突然行ってみようってラースが」
ラース「まあ、色んな所を巡れるし、仲間達の顔も見れるしで丁度いいなと思ってよ」
シルビア「キャー!新婚旅行なの!素敵だわ!そういえば、結婚してから子どももできて、しばらく経つけど行ってなかったのね!いいじゃない!
それなら、どんどん食べてちょうだい。このパスタとか、パエリアとか。ラースちゃんならこれも好きなんじゃないかしら?」
シルビアは両手を合わせて喜んでいる
シルビアはテーブルの上の様々な料理をラース達の方へ持っていく
ラース「うおー!いいのか!!やったぜ!」
マルティナ「結局、たくさん食べるのは変わらないのね」
ラース「フフン、マルティナ、甘く見たな。俺はこうすれば各地でもてなされると思ってたんだよ」
マルティナ「な!?もう!ラース!!全然反省してないじゃない!それなら、私が食べてラースの分減らしてやるんだから!」
マルティナはラースの近くにある食べ物からどんどん食べていく
ラース「あ!!マルティナ、やめてくれ!頼む!俺の分もくれ!!」
シルビア「あらあら、とっても仲良しさんなのは変わらないわね」
ジエーゴ「ガッハッハ!楽しそうでいいじゃねえか。ラース、ワイン注いでやるぞ」
ラース「ジエーゴさん、ありがとうございます。このワインにはハムが合うんですよね?」
ジエーゴ「お!!わかってるじゃねえか!そうだ、このハムが最高にワインと合うんだ」
ラース「美味い!いや、この組み合わせいいですよね!俺も今度からはこの組み合わせで食べますよ!」
ジエーゴ「おお!いいねぇ、それならこいつはどうだ?」
ラース「これ初めて食べますね。これは.....貝?」
シルビア「この近くでとれる貝なの!中はとっても爽やかで、ライムのような味わいなのよ!アタシはこれ単品でも好きよ」
マルティナ「へえ、美味しそうね。私ももらうわね」
ラース「どれどれ.....。おお、確かに爽やかだな。これにワインだと?.....。美味え!何だか甘みと爽やかさが増したな」
ジエーゴ「そうだ。実はあまり知ってる奴はいなくてな。ワイン本来の甘さを引き立てるんだ」
シルビア「さあ、他にも色々あるのよ。どんどん食べていってね」
その夜、宿
ラース「ふう、食べた、食べた。ソルティコの海鮮料理は美味いなあ」
マルティナ「本当ね、私少し食べ過ぎたかもしれないわ。お腹が重たく感じるわ」
ラース「そりゃあ、欲張って俺の分まで食おうとするからだろ」
マルティナ「ラースには太ってほしくないの!」
ラース「ハハ!確かに俺も太りたくはないな。ただ、別に俺はもう少し太くてもいいんじゃないか?」
マルティナ「そんな事ないわ。ラースは元々筋肉で大きく見えてるんだから今より大きく見えたら大変よ」
ラース「何だか俺が筋肉でできてる人みたいな言い方だな」
マルティナ「実際ラースは筋肉すごいじゃない。グレイグだって身長と体重は適正だけど、ラースは普通より重たい方だと思うわよ」
ラース「そうなのか?興味ないからわからないな」
マルティナ「とにかく!この旅であまり食べ過ぎないように、私が見張ってるから!」
ラース「うっ.....わかったよ」