三日後、クレイモラン城下町
マルティナ「久しぶりにこっちに来ると、やっぱり肌寒く感じるわね」
マルティナは少し肌を擦っている
ラース「大丈夫か?俺の上着でも着てろよ」
ラースはマルティナに自分の上着を貸した
マルティナ「あ.....。ありがとう」
ラース「しかし、イレブンから家の場所を聞いておくんだったな」
マルティナ「そうね。ここにいるのはわかっててもクレイモラン自体広いから、探し回るのは無謀よね」
ラース「でも、ひとまず俺達もユグノアで食料を結構使ったからな。少しだけ買っておこう」
商店街
二人が歩いていると少し先に見覚えのある後ろ姿が見えた
ラース「ん?おいおい、あの後ろ姿は」
マルティナ「あ!おーい!マヤちゃん!」
マヤ「ん?え、ああ!兄ちゃん!お姫....姉ちゃん!」
マヤは二人に気付いて驚いている
マルティナ「久しぶりね。旅は終わってこっちに戻ってきたって聞いたから来たのよ」
マヤ「あれ?二人だけ?おっちゃんとか子ども達は?」
ラース「皆、城にいるぜ。俺達は今仲間達の所を回っててな、それでここにも来たって訳だ。そうだ!カミュのやつ驚かしてやろうぜ」
マヤ「いしし!何それ面白そう、俺ものった」
マルティナ「もう!イタズラなんて久しぶりに見るけど、そこは変わってないのね」
カミュとマヤの家
ガチャ
マヤ「兄貴、頼まれた物買ってきたぜ」
カミュ「おお、おかえり、マヤ。ありがとな」
マヤ「それとな、兄貴に大事な話があるんだ」
カミュ「ん?何だよ、改まって」
マヤ「前から気になってた人がいてな。実は今日その人を連れてきたんだ。兄貴も気に入ってくれると思うぜ」
カミュ「え......そ、それは、どういう......」
マヤ「入ってきていいぞ」
カミュ「ちょっと待て!マヤ!心の準備が....!」
カミュは焦り始める
ガチャ
ラース「初めまして、マヤちゃんのお兄さん。ラースと言います。よろしくお願いします」
カミュ「........」
カミュはポカンとした顔で固まっている
マヤ「ぷっ。アッハッハッハッハ!ダッセー顔!!」
ラース「ハハハハ!!何だよその間抜けな面は!」
二人はカミュの顔に大笑いしている
カミュ「て、てんめえ、ラース!!何しにきやがった!!」
カミュは顔が赤くなっている
マルティナ「カ、カミュ、ひ、久しぶりねえ」
マルティナも口を押さえながら入ってきた
カミュ「マルティナまでいたのかよ....。くそっ、笑いこらえやがって」
マヤ「兄貴の心の準備って何だよ!アハハハ!」
ラース「マヤちゃん、作戦成功だな!いい顔見れたぜ!」
ラースとマヤちゃんでハイタッチをする
マルティナ「も、もう!カミュがかわいそうでしょ!そろそろやめてあげて」
カミュ「よお、ラース。てめえ、わざわざ喧嘩売りにきてくれたみてえだな。ありがとよ、表でやがれ」
カミュは指を鳴らしながらラースに近づく
ラース「ハッハッハ!待て、まだ笑いが少し出てるんだ。収まってからな」
カミュ「うるせえ!てめえ、いい加減にしやがれ!」
その後、カミュとラースで戦いが始まる
マルティナ「あ!ちょっと!家の中でやめなさい!」
マルティナに摘み出される二人
マヤ「いやー、面白いもんみれたぜ!最高だった!」
マルティナ「カミュからしたら心臓に悪いわ。あまりしないであげてね」
マヤ「稀にやるから面白いんだよ、姉ちゃん。あ、子ども達大きくなった?俺もまた行きたいんだけど、クソ兄貴が動いてくれねえんだよ」
マルティナ「ええ、どんどん大きくなって今は少しだけ喋ろうとしてるわ」
マヤ「ええ!?すげえ!早くない!?」
マルティナ「本当よね、赤ちゃんの成長速度には驚かされるわ。最近はお父様とラースでどっちが名前を早く呼ばせるか競ってるのよ?じいじととうちゃんって」
マヤ「うーん、それだと王様の方が簡単だし、早いんじゃないか?」
マルティナ「でも意外なことに、もうとーまでなら言えるし、そう呼んでるのよ」
マヤ「え!?もうそこまで言えるならすぐじゃん」
マルティナ「私もお父様が先だと思ってたんだけど、ラースの日頃の努力の賜物ね」
話している内にラースがカミュを連れて戻ってきた
ラース「おう、戻ったぜ」
マヤ「あ、兄ちゃん、おかえり。って、兄貴ダサすぎ」
ラースの肩にはボロボロになったカミュがいた
ラース「いやー久しぶりに激しく体動かしたぜ。やっぱり動かしていかないとダメだな」
マヤ「兄ちゃんほとんど無傷じゃん。流石姫様の騎士なだけあるね。クソ兄貴なんて、自分から挑んだくせに返り討ちにされてるとか、カッコ悪すぎて何も言えないんだけど」
マルティナ「ちょっと、本気でやってない?大丈夫?」
ラース「そこは大丈夫だ。カミュだって本気じゃないしな。じゃれあいみたいなもんだろ」
カミュ「じゃれあいでここまでされてたまるか!」
マヤ「あ、兄貴起きた。ダサ兄貴、マジでカッコ悪いぞ」
カミュ「いつか覚えてろよ、ラース。絶対ぶっ飛ばしてやる」
ラース「おう、いつでも城に来いよな!」
マヤ「それで?ここに来た本当の理由は何なの?」
マルティナ「あら、気づいてたの?マヤちゃん」
マヤ「外だから気を使ってたのがわかったからね。ここなら俺らしかいないぜ」
カミュ「そうだ。何しに来たんだ。とっとと帰りやがれ」
ラース「酷い言い方だな。俺達は今新婚旅行中なんだ。それで各地の仲間達の所に俺達から出向いてるんだよ。いつも来させてばっかりで悪かったからな」
マヤ「ええ!?新婚旅行!!いいなぁ!俺も憧れる!」
マルティナ「マヤちゃんもいつか来るわよ。それで、お父様達に子どもを預けて数日旅に出てるの」
カミュ「そしてここに来た結果、マヤと意気投合して俺をバカにしてきたってわけか。いい迷惑だぜ」
ラース「楽しい事はどんどんやっていかないとな!」
カミュ「ちったあ反省しろ!てめえ!」
マヤ「いやー、俺兄ちゃんとは気が合うと思ってたぜ!」
マルティナ「もう。この話は終わりよ。それでカミュ、マヤちゃんよかったらご飯一緒に食べましょう。近況報告とかもしたいわ」
ラース「そうだな。まだご飯食べてないだろ?俺が何か作るぜ?」
カミュ「それはありがてえけどよ、新婚旅行だってのにそんな事してていいのかよ」
マヤ「そうだよ!もっとこう、何か海とかバカンスに行くもんなんじゃないの?」
マルティナ「もう海は皆と行ったし、私達はバカンスよりもどこかを転々と旅している方が慣れてるのよ」
マヤ「え〜、そんなもんなの?それで楽しいの?」
ラース「まあ、楽しみ方は人それぞれだろ?俺達はこれで楽しいけど、マヤちゃんが旅行する時は、自分が楽しいって思える事をすればそれが一番さ」
カミュ「それじゃあラース。ご飯は任せてもいいか?」
マルティナ「あ、ラース。私も手伝うわ」
ラース「おう、任せろ。食材借りるぞ」
マヤ「お姫様はわかってたけど、兄ちゃんも料理できたんだ。なんか意外かも」
カミュ「こんな見た目して結構上手なんだぜ」
ラース「カミュほど器用じゃないからな。凝ったものはそこまで作れねえよ」
マルティナ「あ!ラース!茶碗蒸しの作り方教えて。私も作ってみたいわ」
ラース「おお、いいぜ。時間もあるし、食材もあるから作るか。見てろよ?」
マヤ「.......何かこうやって見てると、俺らの家に新婚が来てラブラブしてるだけに見えてきた」
カミュ「実際見せつけられてんだろ。全く困った姫様達だぜ」
しばらくして
マヤ「この茶碗蒸しってやつ美味え!俺、これ好きだ!」
カミュ「確かに美味え、これもホムラの料理なのか?」
ラース「ああ、俺の自信作だ。旅の時は時間も無いし、食材もそこまで揃えられないからできなかったが、今はそんな事ないからな」
マルティナ「後は煮付けとか、雑多煮になっちゃったけど許してね」
マヤ「全然!兄貴の料理は飽きてきてたんだよ。お姫様達も城ではご飯作ったりしてんのか?」
ラース「いや、城にはコック達がいるからな。その人達に任せっきりだな」
カミュ「まあ、王族ともあろう人達が自分で飯作ってるなんて起こったらどういう事だ!ってなるだろうからな」
マルティナ「まあそれでも、偶には借りたりしないと腕も落ちちゃうんだけどね」
その後
カミュ「この後はどこに向かう予定なんだ?」
マルティナ「この後はラムダまで歩いていこうと思ってるの。ベロニカ達にも久しぶりに会いたいわ」
マヤ「俺も久しぶりに会いたいな、ベロニカさん達」
カミュ「それじゃあ、今度また連れてってやるよ。だから今にもついて行きそうなのを押さえろよ」
ラース「なんか気を使わせてごめんな?俺達も気軽に旅が出来たらいいんだけど」
マルティナ「そうよね。私もまた少しだけ旅をしたいわね」
カミュ「それは仕方ねえだろ。王族としてやらなきゃいけない事だってたくさんあるんだからな」
マヤ「それじゃあ、今度俺達が二人を旅に連れて行くぜ!」
カミュ「おい、マヤ。お前はまた突拍子な事言いやがって」
ラース「お?そうか。それじゃあ楽しみにしておこうかな」
マルティナ「うふふ、またお城にきてちょうだいね。マルス達も待ってるわ」