次の日、朝食時
マヤ「皆、おはよう!俺、寝過ぎちゃった!」
デルカダール王「おお、マヤ殿。おはよう。そんなに慌てなくともご飯は逃げないぞ?」
マルティナ「ごめんなさい、マヤちゃん。あまりにも気持ちよさそうに寝てたから起こせなくて」
マヤ「あ、王様、姉ちゃん。俺、昨日の夜決めたんだ。俺、王様の娘になるよ!」
デルカダール王「おお!本当か!?よいのか?マヤ」
マヤ「うん!俺、たくさんの人から愛されてるんだってわかった。俺は、それに気づかせてくれた王様達が好きだ!こんな妹でよかったらよろしくな!」
マルティナ「ああ.....マヤちゃん。ありがとう。私とっても嬉しいわ」
マルティナは目に涙を浮かべている
マヤ「へへ、姉ちゃん、泣かないでよ。俺、自分に今まで自信なんてなかったけど、少しだけ変えてみようかな」
グレイグ「ああ、そうだぞ、マヤ。ゆっくりでいい。変わっていけば、また新しい事にも気づける」
マヤ「おっちゃん、俺の呼び方変わった。いしし、そっちの方が嬉しいぜ」
ラース「え?そうなのか?なら、俺もマヤって呼んだ方がいいか」
マヤ「おう!兄ちゃんもそれがいいな!あ!兄貴にも知らせなきゃ。俺達家族になったぞって」
デルカダール王「そうだな、カミュ殿も呼んでこの事を報告せねばなるまい」
ラース「それなら俺が行ってきます。クレイモランに帰っているはずです」
マヤ「俺も行く!俺が決めたんだから、俺が報告しないとだからな!」
その後、クレイモラン城下町 カミュとマヤの家
マヤ「兄貴!一旦ただいま!大事な事を報告しないとだから戻ってきた!」
カミュ「え!マヤ!?急にどうしたんだよ。それに、ラースまで」
マヤ「兄貴!俺達、王様の家族になったんだ!」
カミュ「は?」
マヤ「王様達が俺達の事を血が繋がっていなくてもいいから、家族にならないかって言われて、俺、いいよって言ってきたんだ」
カミュ「.........」
カミュはラースに説明しろと目で告げた
ラース「そんな顔でこっち見んな。あのな、順を追って説明するとだな」
ラースは昨日あった事をマヤの説明もいれながら伝えた
カミュ「そうか....。お前が服を着たがらなかったのは、そういう意味があったのか」
マヤ「うん。俺、普通の女の子になれないって思ってた。でも、姉ちゃん達に教えられた!かわいいって、俺は綺麗になっていいんだよって。
そうやって、俺に愛を教えてくれた。俺、王様達なら家族になってほしい。兄貴もお願い!一緒に家族になってくれ!」
ラース「別になったからって、特に大きく変わるわけじゃない。帰ってきていい家が一つ増えるだけだ。それに、カミュ一人で生活を支えるのが大変な所も人が多ければできるだろ?カミュの考えはどうだ?」
カミュ「俺も.....家族なんて知らねえ。愛とかもよく分からねえ。それに、そこまでしてもらっても、俺達には何も返せるものがないぞ」
ラース「返すもの?そんなの一つに決まってんだろ。簡単だ。お前達が生きたいように生きる。これだけだ」
カミュ「!!......それに、俺は大罪人だぞ?勇者の仲間でデルカダールの罪は消えた。ただ、消えたのはその罪だけだ。俺はお前達に話してないような事もやってるんだぞ。そんなやつが城にホイホイと行けるかよ」
ラース「知らねえのか?カミュ。お前の素性を調べている時にある程度の罪も判明してる。それは王もグレイグも知っている事だ。それを知った上でなお、お前も誘われてるんだぞ?」
カミュ「.......。たくっ!どうなってんだ、デルカダール王国は。ウルノーガがいなくなっても、おかしい奴らばかりじゃねえか。いいよ、負けだ。俺もマヤと一緒に家族になるよ」
マヤ「本当!?兄貴、ありがとう!!」
カミュ「お前....普通に感謝できたんだな」
マヤ「ハア!どういう意味だよ、クソ兄貴!俺だってありがとうくらい言えるからな!」
カミュ「へいへい。悪かったですね。それじゃあ王様に会いに行きますかね」
デルカダール城 玉座の間
デルカダール王「来てくれたか、カミュ殿。それで返事は決まったのか?」
カミュ「はい。マヤが決めた事なら俺は従います。ですが、本当によろしいのですか?俺は過去にいくつも罪を犯しています。そんな者を城にホイホイと入れて」
デルカダール王「確かにそうだな。お主はたくさんの罪がある。だが、それは過去の事。お主の心は今、その時とは全く別物であろう?」
カミュ「ハハ、お見通しなんですか?わかりました。これからマヤ共々よろしくお願いします」
マヤ「よろしくお願いします」
デルカダール王「ハッハッハ!そんなにかしこまらなくてもよい。こちらから誘った事だ。それに、ラースから聞いたと思うが、何かが大きく変わるわけではない。
ただ、帰る家と後ろ盾ができただけじゃ。自由に帰ってきていいのだぞ。そして、わし達を頼るのじゃ。お主達をサポートしよう」
カミュ「ありがとうございます」
マヤ「王様!俺、前から考えてた事があります!」
デルカダール王「どうしたのじゃ、マヤよ」
マヤ「俺、メダル女学園に入ります」
カミュ「な!?マヤ!それは金がまだ貯まってないから待てって!」
デルカダール王「ハッハッハ!なるほどのう。早速甘えてきてくれたか。いいだろう、お金は少しお主達に支援しよう」
マヤ「ありがとうございます、王様。俺、前から女の子に少しでも近づけるならと思って入りたいと思ってたんだ。そうすれば字も習うし、言葉遣いも、世界の事も知れる。俺、頑張るよ!」
デルカダール王「いい事じゃ。頑張るのじゃぞ、マヤ。ただ、偶には顔を見せにきてくれ」
マヤ「もちろんだぜ!俺、ここが好きだからな!」
カミュ「何から何まですみません。マヤの事、どうか気にかけてやってください」
デルカダール王「もちろん、カミュもわし達に頼りたい事があったらすぐに相談してくれ。力になろう」
カミュ「ありがとうございます」
その後
カミュ「何かいろいろ疲れたぜ」
ラース「いやー、よかった。王も嬉しそうだった。ありがとな、カミュ」
カミュ「俺はこれからどうすっかな」
ラース「お?決まってないのか?」
カミュ「まあしばらくはこっちにいるな。揃えなきゃいけないものもあるし」
ラース「いやーそれは丁度いい。体を動かす相手が少なくてな。マルティナやグレイグは誘いづらいし、バンはお前達に止められて困ってたんだ」
カミュ「あ、悪い。俺、クレイモランに帰」ガシ
ラースはカミュの肩を掴んだ
ラース「まあまあ、そう言うなって。ほら、訓練場の場所わかるだろ?ちょっと付き合えよ」
カミュ「痛え!引っ張んな!おい、やめろ!ラース!!あの、本当に!!やめてくれーー!」
マルティナとラースの部屋
マルティナ「よかったわ、マヤちゃん。カミュも来てくれて」
マヤ「今、兄貴の叫び声が聞こえたような?まあ、いいか」
マルティナ「メダル女学園は確か寮での生活だったはずね。私達も偶に会いに行くわね。いつから行くの?」
マヤ「あと半年後かな。手続きとか準備とかあるからな。それまでは基本クレイモランに居ると思うけど、前よりは頻繁にこっちに帰ってくるぜ」
マルティナ「ぜひそうして。いつでも帰ってくるのを待ってるからね」
数時間後、訓練場
カミュ「ぜぇ、ぜぇ、マジもう無理」
ラース「いや、よく動かせたぜ。偶にはこれくらい動かしたいからな。これから頼んだぜ?弟よ」
カミュ「ぜってえクレイモランに帰る。もう来ねえ」
ラース「んな事言うなよ。お前クレイモランそこまで好きじゃねえだろ」
カミュ「ここに比べりゃ天国だわ」
ラース「まあ、引きずってでも連れて行くけどな」
カミュ「俺、人生で一番のミスをした。数時間前の俺、マジで馬鹿だろ」
ラース「まあそんな冗談は置いておいて、マヤちゃんはあと数日預かるな。何やら服をまだ決めてないらしい。これからどんどん決まって行くと思うけどな」
カミュ「どこからが冗談だったのかわからねえんだよ!まあ、マヤの事はわかった」