ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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149.憎しみ

それから二ヶ月後

 

 

 

カミュとマヤの家

 

 

 

マヤ「最近ミルさん来なくなったよな、大丈夫かな?」

 

 

 

 

カミュ「確かにそうだな。前は一週間に二、三回は来てたのに」

 

 

 

 

マヤ「何かあったのかな」

 

 

 

 

カミュ「俺達は....無事である事を祈るしかないかもな。マヤ、今日の郵便物を見てきてくれ」

 

 

 

その後

 

 

 

マヤ「あ!兄貴!混じっててわかんなかったけど、これ、ミルさんからの手紙!」

 

 

 

 

カミュ「マジか、読んでみるか」

 

 

 

その後、デルカダール城

 

 

 

マルティナとラースの部屋

 

 

 

バタン!

 

 

 

カミュ「ラース!いるか!?」

 

 

 

カミュは猛スピードで部屋のドアを開けた

 

 

 

ラース「お前な、いくら何でもノックくらいしろよな。それで?何だよ」

 

 

 

 

カミュ「悪い、急いで来たからよ。俺、お前に隠してた事があるんだ」

 

 

 

 

ラース「ん?お前が隠してる事なんかたくさんあるだろ」

 

 

 

 

カミュ「そ、そういうやつじゃねえ!俺とマヤとベロニカとセーニャはお前に隠してる事があったんだ。ミルさんの事だ」

 

 

 

 

ラース「何だって!!?」

 

 

 

 

カミュ「お前がミルさんにクレイモランに来て、何かあったら俺に頼れって言ったんだよな。ミルさんはその通りに俺の元に来た。それが大体四ヶ月前だ。その日は、丁度ベロニカとセーニャもいたんだ。だからあの二人も知ってる。

 

 

 

ミルさんはお前の元家族にお前への怒りから、子どもの頃のお前のような事をさせられ始めたんだそうだ。それで体がつらくなったから、俺の元でたまに匿ってやってたんだ。

 

 

 

二ヶ月くらい続けてたんだが、最近ミルさんが来なくなったんだ。何かあったのかと考えていたら、この手紙が来た。お前も読んでくれ」

 

 

 

カミュはラースに手紙を渡した

 

 

 

ラース「カミュさん、マヤさんへ

 

 

 

急にお手紙になってしまい、すみません。どうやら、私はもうそちらには行けません。私はこの後、新たにできた魔法の実験台にさせられるようです。

 

 

 

もうこうなった以上、生き残る事も難しいでしょう。最後のお別れがこのような形になってしまい、大変申し訳ございません。

 

 

 

カミュさんやマヤさんに匿われていなければ、私はもっと早く倒れ、この世を去っていたでしょう。少しでも長く生きられたのは、あなた達のおかげです。

 

 

 

本当に感謝します。僅かな期間でしたが、あなた達兄妹をとても微笑ましく、そして羨ましく見ておりました。

 

 

 

仲がよく、お互いを信じながら笑いあい共に生活する。本来の家族の形でした。私の家ではもう見られなくなった光景でした。何十年ぶりに家族の光景を見たと思います。

いつまでもその形を大切になさってください。

 

 

 

グラン坊っちゃま、いえ、ラース様。私はもうあなたのお世話係ではなくなってしまいましたが、私の中にはいつも優しいあなたがおりました。

 

 

 

どれだけ酷い事をされても、痛みを受けても、私やギン様に向けてくれた笑顔。今でもすぐに思い出せます。私の人生の支えとなってくれました。

 

 

 

私は命の大樹へと還ります。ですが、そこからギン様と共にあなたを見守っていますよ。

 

 

 

これからもマルティナ様や子ども達とどうか、あの頃にはあり得ないものだった幸せを、作り続けてください。ミルはいつでもあなたを応援しています。ありがとう」

 

 

 

ラースは読んでいる途中から泣き始めていた

 

 

 

カミュ「.......」

 

 

 

 

ラース「何で....どうしてだよ!!カミュ!!?なぜ知らせなかった!!」

 

 

 

ラースはカミュを睨みつける

 

 

 

カミュ「すまねえ、ミルさんに口止めされてたんだ。私の事で無駄な心配をかけたくないって。あの家の事をもうお前と関わらせたくない、と」

 

 

 

 

ラース「ミルさんがそんな事を...。くっ....。ミルさんは俺のお世話係なんかじゃなかったんだ。本当は俺のお爺様、ギン様のお世話係だったんだ。

 

 

 

だが、俺の待遇に我慢できなくなったミルさんが、俺に手を伸ばしてくれてな。それのおかげで俺は生きる事ができた。ミルさんは俺にとって一番最初の命の恩人なんだよ」

 

 

 

 

カミュ「......すまねえ、俺、匿って生活させるだけだったんだ。まさか、ここまで話が進んでいたとは思ってなかったんだ。家の場所とか教えてくれなくてよ。

 

 

 

ミルさんに気配を無くしてついて行った事はあるからおそらくの場所はわかるんだが、その家は不思議な感じでな。魔法でもかかってるのか、窓からは何も見えないんだ。

 

 

 

だから、俺に出来る事はこっちに来てくれた時に怪我の手当てとかしてやるくらいだったんだ」

 

 

 

 

ラース「俺、その家に行く。もう親なんて関係ない。その家全部ぶち壊してやる」

 

 

 

ラースは立ち上がり、部屋を出ようとする

 

 

 

カミュ「な!?馬鹿!やめろ!!」

 

 

 

カミュはラースの前に出た

 

 

 

ラース「どけ!!カミュ!!俺はな、あいつらが憎くてしょうがねえんだよ!!」

 

 

 

 

カミュ「やめろ!!ラース!!早まるんじゃねえ!!」

 

 

 

二人は取っ組み合いになった

 

 

 

バタン!

 

 

 

マルティナ「何の騒ぎ!?カミュ!?ラース、何してるの!カミュから離れなさい!」

 

 

 

 

グレイグ「何があったと言うのだ!一旦落ち着け!」

 

 

 

 

ラース「俺は!俺の人生から大事なものをいくつも奪っていくあいつらが許せねえんだよ!!邪魔するんじゃねえぞ、カミュ!!!」ガン!

 

 

 

 

カミュ「痛ってえ!!おっさん!!早くこいつ取り押さえてくれ!俺じゃあ限界だ!!」

 

 

 

 

グレイグ「ラース!!どうしたのだ!お前らしくもない!落ち着かんか!!」

 

 

 

 

マルティナ「ラース!暴れないで!!」

 

 

 

その後、グレイグとカミュによりラースは気絶させられた

 

 

 

カミュは事情を二人に説明した

 

 

 

グレイグ「そうだったのか、ミルさんが」

 

 

 

 

マルティナ「ラースはきっと親に対する憎しみで暴れていたのね。でも、そんな事したって何の解決にもならないわ」

 

 

 

 

カミュ「むしろそうやってしまえば、あいつらと同じ事をしているって事だ。ラースにはそんな風になってほしくねえ」

 

 

 

 

グレイグ「このまま椅子に縛っておこう。また目を覚まして暴れられたら大変だからな。すまない、ラース」

 

 

 

その後

 

 

 

ラース「ぐっ....。ここは...」

 

 

 

ラースは目を覚ました

 

 

 

マルティナ「ラース!目を覚ましたのね!覚えてる?」

 

 

 

 

ラース「俺....そうだ。俺の親が、関係ないミルさんまで....。この紐を解いてくれ!マルティナ!俺は、あいつらに復讐するんだ!!」

 

 

 

ラースはジタバタと暴れている

 

 

 

マルティナ「ラース!そんな事したって何も変わらないのよ!!」

 

 

 

 

ラース「俺は、今までたくさんの傷をあいつらから受けてきた!大切なものをたくさん奪われてきた!その俺が復讐したって当然だろうが!!」

 

 

 

 

マルティナ「絶対に駄目よ、ラース!!それをしてしまえば、あなたはその人達と同じになるわよ!!」

 

 

 

 

ラース「!!.....でも、どうすればいいんだよ。俺のせいで関係ないはずのミルさんの命を巻き込んだ。この怒りは、どこに向ければいいんだよ!!」

 

 

 

 

マルティナ「ミルさんはあなたに最後まで望んでいた事は何だったか覚えてるかしら?」

 

 

 

 

ラース「.........」

 

 

 

 

マルティナ「あなたがいつまでも幸せであってほしいという事よ!!その願いを、あなた自身が壊してどうするのよ!!」

 

 

 

 

ラース「!!!」

 

 

 

 

マルティナ「私と子ども達と一緒に幸せを願ってくれているのよ?そんな事したら、あなたはミルさんを悲しませてしまうの。ね?だから、恩人の最後の願いくらい叶えてあげましょう」

 

 

 

 

ラース「.........そう.....だな。俺、あいつらへの憎しみに囚われて、大事な事を見逃してた。.......ありがとな、マルティナ。俺に気づかせてくれて」

 

 

 

ラースは大人しくなった

 

 

 

マルティナ「当たり前でしょ?私はラースの妻よ?あなたを支えなくちゃ妻として恥ずかしいわ」

 

 

 

 

ラース「ハハハ!マルティナ、かっこいいな!」

 

 

 

 

マルティナ「それに安心して。国以外で認められてない魔法の研究は御法度なの。今、カミュがシャール王女達に話をしに行ってるわ。あなたが手を下さなくとも、罰がくると思うわ」

 

 

 

 

ラース「いい気味だな。あ、もう暴れないから解いてくれるか?体が痛いんだが」

 

 

 

 

マルティナ「あ!ごめんなさい、グレイグが目を覚ました時にまた暴れられたら困るって言って縛ったのよ。すぐ解くわ」

 

 

 

 

ラース「ふう.....。ありがとな、マルティナ。うわ、跡ものすごい残ってるじゃん!どれだけ強く縛ったんだよ」

 

 

 

ラースの手首にはクッキリと跡が残っている

 

 

 

マルティナ「違うわよ。それだけあなたが暴れたの。覚えてないの?」

 

 

 

 

ラース「カミュに突っ掛かったのは覚えてるんだが、その先は切れてたんだと思う。覚えてないや。後で謝らねえと」

 

 

 

 

マルティナ「カミュなんてあなたに思いっきり殴られた跡が顔についてるのよ。見てて痛々しいわ」

 

 

 

 

ラース「マ、マジか。やべえ、あいつ怒ってるだろ。今回は俺が悪いから、素直に罰受けるか」

 

 

 

 

マルティナ「カミュとグレイグと私で何とか抑えられたんだから。何だかあなたの強さを体感したわ。それに、とっても怖かったわよ」

 

 

 

 

ラース「うう....。すまねえ、マルティナ。怖がらせたんだな」

 

 

 

ラースは少し小さくなっている

 

 

 

マルティナ「そうしてると少し可愛いのにね。人って変わるものね」

 

 

 

 

ラース「男に可愛いとか使うなよ。嬉しくないからな」

 

 

 

 

マルティナ「うふふ、ごめんなさい」

 

 

 

 

 

 

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