次の日
ラース「ガク、お前は今日から個別で動け。どこのグループを行き来しても構わない。そこで自分が使えそうな情報を覚えるんだ。紙とかに書くといいな。訓練終了後、何を学べたか俺が聞くからな」
ガク「わかりました!」
ラース「今日からは俺も各グループを見る。教え方はお前達に任せるが、何か困った事とかあれば俺に頼ってくれ」
三人「はい!」
その後、訓練場
ラース「魔法も使うなら魔力をもう少し高めてみよう。自分の中にある魔力は出せるか?特に思い浮かべないで手に出せるはずだ」
兵士「はい。俺は風がでます」
ラース「よし、できるようだな。その中にあるお前の魔力は風という事だ。瞑想はした事あるか?魔法を使うなら、やった事あるやつは多いんだが」
兵士「そこまで得意ではないですけど、やった事あります」
ラース「まあ、それなら慣れてもらわないとだな。瞑想はただ魔力を落ち着かせるためだけじゃなく、魔力を引き出すこともできる。
自分の中にある魔力を感じながら、ゆっくり自分の周りに纏わせるんだ。風ならおそらく浮かぶ事ができるはずだ。その状態を長く維持し続けるんだ」
兵士「わかりました」
ラース「筋トレはやり方を変えるだけで随分つらいだろう?」
兵士「はい.....。こんなに苦しいんですね」
ラース「だが、これを乗り越えればバランスと共に体も思い通りに動かしやすくなる。頑張ってくれ。さて、ベグルの方はどうなってるかな」
ラースはベグルの方へ向かっていった
ベグル「攻撃をしやすくなる瞬間はいつだと思う?」
ベグルは一人を指名した
兵士「えっと、相手が攻撃を外した時ですかね」
ベグル「そう、それもあるな。だが、それは相手もよくわかっている事だ。俺達の一撃は強い分、どうしてもわかりやすくなる。分かり易ければ相手は避ける事も防ぐ事も出来るだろう。警戒しているタイミングなら尚更だ。
だから、相手が隙を見せがちな攻撃をする瞬間が一番決めやすいんだ。攻撃が来るとわかった時、瞬時に目の前や後ろに動き、一撃を思いっきり決めてやる。
そんな感じで戦略が無ければ、俺達の一撃はただ振り回すだけになってしまうからな。少しは頭も使って考えてみてくれ」
兵士達「わかりました!」
ラース「なんだ、問題無さそうじゃねえか」
ベグル「あ、ラース将軍」
ラース「前の俺の説明をよく理解してるな。流石だ、ベグル。それと、攻撃が来る瞬間もそうだが、相手の攻撃を封じる事も大きな一撃を決めやすくなる。
剣だけでなく、体や体重を存分に使い相手に引かせない。そんな戦い方も出来るはずだ。ベグル、俺が試しにやってみせるから相手役頼むぜ」
ベグル「はい!」
ラース「こうやって攻撃が来た時、または来るのがわかった時に剣や盾、体を前に押し、相手に圧をかける。その瞬間相手は固まりやすくなるからな。そこに一撃を決める。
この圧のかけ方や、さっきベグルが言った瞬時に近づくのにも体の筋肉は欠かせなくなってくる。筋トレもしっかりしておけよ」
兵士達「はい!」
ベグル「ありがとうございます、ラース将軍」
ラース「おう、気にすんなよな。俺もお前達が誰かに教えるのを見るのは初めてなんだからな。いい教え方だと思うぞ。どこかの馬鹿と違って順序もわかっているな」
ベグル「またやってるよ、あいつ」
二人はバンの方を見ている
バン「さっき言った動きは剣と体を動かすタイミングが違うんだ。剣を先に動かして、体は捻るんだ」
ラース「俺、今回だけであいつに何回教えてやらなきゃいけないのかね。毎日続くと流石にキレるぞ」
ベグル「バンも教えてる事は合ってるし、頑張ってるのがから回ってるだけですよ。難易度は合ってないですけど」
ラース「まあ、それはわかってるんだがな。ちょっと行ってくる」
ベグル「はい、こっちは偶に来ていただければ大丈夫だと思います」
ラース「おい!バン!お前、それはまだ早いだろうが!」
バン「あ、師匠。あ....そっか。そうですね。すみません!皆、悪かったな。もっと簡単なやつから行こう。今のは頭の片隅にでも置いといてくれ」
ラース「昨日からすまないな。こいつも悪気はないんだ。急に難しい事言われて大変だよな。まず、初歩的な物としては相手の攻撃を跳ね除けるやり方と隙の少ない躱し方で避ける事の二つだな」
バン「そうですね。攻撃を跳ね除けるやり方は何となくわかるか?想像は出来ると思うんだが」
兵士達「はい!」
ラース「隙の少ない躱し方ってのは横からのなぎはらいをしゃがむ、とかな。まあ、これは胴体より上のなぎはらいじゃないと危ないけどな」
バン「要は相手の攻撃を避けるのが後ろや横だけじゃなくて、その場で避けるやり方の方が隙も少なくて相手を翻弄できるって事だ。そのチャンスが増えるほど、俺達の反撃のチャンスだ」
兵士達「なるほど」
バン「よし!試しにいくつか教えるからやってみようぜ!ペアになってくれ」
ラース「はぁ、バンは少し流れがわかれば大丈夫なんだがな」
訓練終了後
ファーリス「あの、ラース様」
ラース「え.....。駄目、駄目、ファーリス。王子が人にあまり様なんてつけちゃ駄目だろ」
ファーリス「サマディーでは兵士に身分は関係ありませんよ。僕もそれがいいんです」
ラース「.....せめてさんか将軍をつけてくれ。俺がムズムズするんだ」
ファーリス「それならラースさん。僕、まだ習いたいので教えてもらえませんか?」
ラース「ふむ。まあ、ファーリスなら問題は無いな。さっきの避け方も周りより出来ていたしな。よし、少し他のを教えてやろう」
ファーリス「ありがとうございます!僕、父上にちゃんとした自分を見てもらうんです」
ラース「.......」
ラースは少し固まっている
ファーリス「あれ?ラースさん?」
ラース「.....。自分の姿をはっきり見てもらえないと悲しいもんな」
ラースは目を瞑りながら静かに言った
ファーリス「はい。前は民達のためと思いやっていましたが、それは自分の首を締めるだけだとイレブン君達に教わりました。これからは自分の力で、父上を驚かせてみせます」
ラース「へへ、お前すごいやつだな。気に入ったぜ、よし。こんな避け方もあるんだぜ」