クレイモラン城
バタン!
マルティナ「ラース!!!」
ロウ「おお、姫も来たか」
マルティナ「皆、ラースに何があったの?」
ベロニカ「ごめんなさい、マルティナさん。今日ラースと一緒に北海で兵士達と船上での戦いの指導をしてたの」
カミュ「だが、その時の北海は運が悪い事に嫌な力を持ったルビーがあるらしくてな。魔物が凶暴になっている事が後でわかったんだ。それを知った俺が止めに行ったんだが、少し手遅れだったみたいだ」
バン「俺達が北海に来てしばらくすると、嵐が突然やってきてクラーゴンのような魔物が襲ってきたんです。そいつは俺達が知ってるやつより明らかに大きくて、凶暴でした。
クレイモランの兵士達を別の船に移動させ、俺とベロニカさんも移動しようとした時に、ベロニカさんが触手に襲われそうになり、それを庇った師匠が飛ばされて、海に落ちていったんです」
グレイグ「ラースが海に落ちただと!?こいつは泳げないはずだ!しかも、鎧を付けた状態なら普通でも浮くことは無理だ」
カミュ「その後、俺達が助けに行った時セレン様がラースの事を海中から上げてくれてな。それで今は助かってるんだ。まあ、体は冷え切ってるし水も飲んでる。心臓も止まってるから助かってるとは言えないけどよ」
ロウ「イレブンよ、そろそろ交代するぞい。疲れるであろう?」
イレブンはラースに心臓マッサージをしていた
イレブン「ハァ.....ハァ......。わかった、お願い」
シルビア「次はアタシが代わるわ」
マルティナ「ラース.....」
その頃、ラースは
ラース「あれ?ここはどこだ?」
ラースは不思議な空間で目を覚ました
???「お?何だか聞き覚えのある声がするなあ」
ラース「ん?その声は.....」
ラースが振り返るとギルグードがいた
ギルグード「よお、ラースじゃねえか。久しぶりだな。俺が死ぬ前以来だな」
ラース「え!ギルグード!お前、なんでこんな所に」
???「ギルグードだけじゃないぞ。ラース」
ラース「あ......。まさか、その声は」
ギルグードの近くからはもう一人現れた
爺「ラース、随分立派にやっておるようだな。わしは嬉しいぞ。自慢の息子じゃな」
ラース「爺ちゃん!!俺、ごめん。爺ちゃんに何も言わずに村を出て、しかも.....皆を守れなかった」
爺「ハッハッハ!そんな事をいつまでも気にするんじゃない。わしはラースが元気でいるならどこでだって平気じゃ」
ギルグード「それと、さっきお前なんでこんな所にって言ったけどよ。お前こそ何でここに来たんだよ。ここがどこだかわかってるのか?」
ラース「え?知らねえけど」
ギルグード「ハァー。全く、お前は本当昔からそういう所は変わらねえよな。感情に左右されすぎだぞ。少しは自分が今どれだけまずいのか気づけよな」
ラース「な、何だよ。うるさいな!ギルグードだってそうやって昔からいつも知ったかになって勝手に呆れてさ、その悪い態度を直さないから村の女の子にもモテないんだからな!」
ギルグード「ほ、ほほう?言うようになったじゃねえか、ラース。どうやら、久しぶりに力の差を見せないといけないようだな?ああん?」
ギルグードの顔は少しピクピクとしている
ラース「力の差だあ?お前が俺に勝ち越した事なんてそうそう無かっただろうが。死んだからって寝ぼけた事言ってんじゃねえぞ」
ギルグード「はい、俺、切れました。もう絶対に許しません。死ねえええ!」
二人の殴り合いが始まった
爺「全く、この二人はいつも争っておるな。そこが何よりも相変わらずなのは気づいておるのかねえ。なあ、婆さんや」
婆「フフ、私はこうやってまた仲良しな光景が見れて嬉しいですよ。爺さんも久しぶりに顔が見れて嬉しいのでしょう?顔が隠せていませんよ?」
爺「ハッハッハ!婆さんには敵わんなあ」
その後
ギルグード「ぐふぅ。オラァ!」
ラース「ゴフッ!くっ......。てめえ、死んだ癖にまだ鍛錬積んでやがったな。とっとと楽になれや!」
ラースは苦戦している
ギルグード「ハッハッハ!驚いたか!俺はどこでだって鍛錬してるからな!!ラースなんかに遅れをとったらそれこそ俺は終わりだ。存在価値がなくなっちまう。ラースはその程度か?なら、俺はもっと激しくいかせてもらうぜ!オラオラオラァ!」
しばらくして
ラース「ぐふぅ......」
ラースはたんこぶや痣などが出来、動けなくなっていた
ギルグード「へっへーんだ。いやー、久しぶりにラースのやつをボコボコに出来たぜ。最初からそうやって這いつくばってれば、痛い思いしなくて済んだのにな」
婆「あらあら、ラースが負けたわ。あの子だって相当強くなったのにねぇ」
爺「まあ、ギルグードもかなり鍛錬を積んでおったからのう」
ギルグード「そんなんじゃあ、いつまで経っても俺には敵わねえな。俺としてはそれで構わねえけどな」
ラース「痛ってえ。たくっ!こんなに動けなくさせる必要あったのかよ。またあの頃みたいに傷だらけじゃねえか」
ギルグード「へっ......懐かしいな。あの木の下で毎日稽古してよ。お前が俺や爺さんに剣や体術を習って、俺に毎日挑んできて俺が返り討ちにしてたよな」
ラース「おい!そこは記憶が違うぞ!俺だって何回も勝ってただろうが!自分の都合のいいように変えてんじゃねえぞ、馬鹿ギル!」
ギルグード「おいおい、まだ殴られ足りないのかよ。勘弁しろよな、俺はお前を痛めつけたいわけじゃねえぞ。ただその方がスッキリするだけだ」
ラース「こいつ.....もう一回死ねばいいのに」
爺「それでラースよ。お前は今ここがどこかわかったかの?」
ラース「(やべえ、考えてなかった).....えっと......あまり考えたくないが、死後の世界か?」
ギルグード「何だよ、わかってたんじゃねえか。さては、俺に殴られてる時の衝撃でわかったな?」
ラース「黙れ、馬鹿ギル」
爺「ラースが今ここにおるという事は、お前さんの体は死にかけているという事じゃ。しかも、ほぼ意識はこっちにあるようじゃな」
ラース「そうだ。俺、クラーゴンみたいなやつからベロニカを庇って、海に落ちたんだった」
婆「ラースはまた無茶をしたのね。もう、昔から無茶はやめてって言ったのにいつも聞かないんだから」
ラース「ご、ごめん、婆ちゃん」
ギルグード「ブヒャヒャヒャ。アッハッハッハッハ!ダッセーー!泳げねえ癖に海に落ちるとか!しかも、そんな事で死にかけてやがる!!ヒィ、腹痛え」
ギルグードは笑い転げている
ラース「.......てめえ」
爺「よさんか、ギルグード。仲間を守る優しい子を馬鹿にするでない。それで、お前さんはこっちに来たいかね?」
ラース「.....そんなの駄目だよ、爺ちゃん。俺、まだ守らなきゃならないものがある。村の皆や馬鹿ギルは守れなかったけど、それでもこんな俺でもまだ守るべきものがある。俺、帰らなきゃ」
婆「勇者様やマルティナさんの事ね。いつも見てたわよ」
爺「ラースはやはりいい子じゃ。そうじゃぞ。守るものがあれば、人はどこまでも強くなる。これからも頑張るんじゃぞ。わし達はお前さんを見ておるぞ」
ラース「爺ちゃん.....。へへ、ぐすっ、ありがとう」
爺「ほほ、泣いていいんじゃ。よく、今まで頑張っていたのう。ずっと見ておったわい。自慢のわしの息子は強くなった」
しばらくして
ギルグード「泣き虫な所はまだあったんだな。まあ、お前の気持ちを考えたらあれは泣けるか」
ラース「ギルグードが.....人の気持ちを考えるなんて。そんな....嘘だ」
ラースは少しショックを受けている
ギルグード「さーて、次はどうやって力の差を思いしらせればいいかな?ラース」
ギルグードはまた戦闘態勢に入った
ラース「へっ、さっきのようにはいかないからな。ギルグード、こいよ。まだまだお前には負けられないぜ!」
爺「やめなさい、ラース、ギルグード。ラースよ、お前さんを待っている人がいる。いつまでもここにいたら行けないよ。ほら、戻してやろう。さあ、行きなさい」
ラース「チッ!ギルグード!次に会った時はお前をボッコボコにして土下座させてやるからな!覚えておけよ!」
ギルグード「へっ!その減らず口また黙らせて今度は俺のパシリにしてやるよ!光栄に待ってるんだな!ほら、はやく行きやがれ」
婆「ラースや、誠に強き者は心優しき者。どうかゆめゆめ忘れずに」
ラース「わかってるよ、婆ちゃん!ありがとな!」
爺「それじゃあの、ラースや。またお前さんと会え、こうして話せて楽しかったぞ。次はもっと年をとってから来るんじゃぞ」
ラース「うん。じゃあ、またね。爺ちゃん、婆ちゃん、ギルグード」
ギルグード「お前が無様な姿してたらまた俺が笑っててやるよ!」
ラースは意識を無くした