ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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兄と弟

その後、カミュとマヤの家

 

 

 

ガチャ

 

 

 

ラース「カミュ、邪魔するぜ」

 

 

 

 

カミュ「......。何しにきやがった、ラース」

 

 

 

カミュは入ってきたラースを睨みつけた

 

 

 

ラース「お前と仲直りだ」

 

 

 

 

カミュ「ハッ!仲直りだあ?どうせマルティナとかに言われただけだろ。お前の気持ちなんかじゃねえだろ」

 

 

 

 

ラース「いや、俺もカミュと仲直りしたいからな。ほら、この前のクレイモラン産の三十年物だ。少し話し合おうぜ」

 

 

 

 

カミュ「.......」

 

 

 

 

ラース「まあ、俺も買い言葉になって悪かったな。俺自身、気が短い方だからよ、カッとなっちまう事は多い。俺はカミュにしてもらいたい事があるんだ」

 

 

 

 

カミュ「俺にしてもらいたい事?」

 

 

 

 

ラース「ああ。カミュにも家族として、王様達と飯を食ってもらいたいんだ」

 

 

 

 

カミュ「........」

 

 

 

 

ラース「お前が一人になりたがろうとするのはわかってる。自分である程度生きていけるのも知ってる。だが、俺はお前を一人にさせたくないんだ」

 

 

 

 

カミュ「.....甘い考えだな。俺みたいなお尋ね者は、そんな綺麗な所には行けないんだよ」

 

 

 

 

ラース「それは過去の話だろうが。周りももう忘れてるはずだ。それに、王様だって許してる。なあ、家族なんだからよ。同じ家で暮らしてもいいんじゃないか?」

 

 

 

 

カミュ「俺はその家族がよくわからねえんだよ。俺はお前達とは違う。いくら認められたからって違いが無くなるわけじゃないだろ」

 

 

 

 

ラース「違いなんざ、あの城の家族にはたくさんあるぜ。血や見た目、性格。似てる所の方が少ないぞ。それに、家族ってのは互いを思いあい、助け合う事でなれるものだと信じている。カミュは違うのか?」

 

 

 

 

カミュ「俺は.....確かにお前達を助けたいとは思う。だが、俺なんかの事は構うなよ。マヤの事を気にかけてやってればそれでいい。俺は別に一人で大丈夫だからよ」

 

 

 

 

ラース「そのマヤがよ。俺達に仲良くしてほしいんだって頼んできたぜ。お前、マヤの話を聞きたくなかったそうだな。泣きながら俺に頼んできたんだぜ」

 

 

 

 

カミュ「マヤが.....か。俺は、別にラースが嫌いなんじゃねえ。仲間としては好きだし、頼りになる。すげえやつだとも思ってるぜ。ただ、お前が俺に構ってくるのが嫌なんだよ。気にすんなよ、俺の事なんか。何処かでのたれ死んだってそれが俺にふさわしい末路だ」

 

 

 

 

ラース「カミュ、お前は死んでも構わないって思ってるのかよ」

 

 

 

 

カミュ「ああ、俺は構わない。誰も特に困らないだろ」

 

 

 

 

ラース「ふざけた事言ってんじゃねえぞ!!」

 

 

 

ラースは怒鳴った

 

 

 

カミュ「な、何だよ。別にラースには関係ないだろうが」

 

 

 

 

ラース「困らないだって?お前のその考えは間違ってんだよ!お前が死んだらどれだけの人が困ると思ってんだ!まず、仲間達全員悲しむんだからな!俺もそうだ!特にイレブンは絶対に泣くぞ。相棒としてあれだけ信頼してるんだからな!」

 

 

 

 

カミュ「旅の頃から思ってたが、お前らはお人好しすぎるんだよ」

 

 

 

 

ラース「次に王様やバン、それにシャール王女達だ。そして他の誰よりも悲しむのは、お前の実の家族のマヤだろうが!マヤは俺達と家族になってからも、俺達が絶対に踏み込めない領域にカミュがいるんだよ!

 

 

 

マヤが望む家族の形には、カミュが必ずいるんだ!そんな妹を残して死ぬ事は許さねえぞ!」

 

 

 

 

カミュ「.......」

 

 

 

 

ラース「なあ、カミュ。その考えは直してくれ。お前は死んだらいけないんだ。死ぬ事は誰かを悲しませる事だ。わかってくれ」

 

 

 

 

カミュ「ああ.....そうだな。俺も、お前達やマヤに悲しんでほしいわけじゃない。すまなかった」

 

 

 

 

ラース「よかった。なあ、カミュ。お前は前に、愛を知らない、わからない、と言ったな。だが、お前がマヤに向けている感情こそが愛だという事に気付いているのか?」

 

 

 

 

カミュ「俺が、マヤに?」

 

 

 

 

ラース「そうだ。カミュはマヤにいつも楽しんでほしいんだろ?悲しんでほしくはないんだろ?それは、家族だからこそ向ける愛の気持ちだ」

 

 

 

 

カミュ「あの気持ちが.....愛」

 

 

 

 

ラース「俺達はマヤに愛を向けている。だが、何もマヤだけじゃない。カミュ、お前にだって向けているんだ。カミュに苦しんでほしくない。カミュには、させたい事をさせてあげたい。一人きりでいてほしくないんだ」

 

 

 

 

カミュ「.......何で、お前は、お前達は.....そうやって....俺に優しくしてくるんだよ!やめろよ!!うぜえんだよ!!」

 

 

 

カミュはラースに乗り掛かり、殴り続ける

 

 

 

ラース「.......」

 

 

 

ラースは無抵抗でカミュの話を聞く

 

 

 

カミュ「そうやって優しくしたってよ!俺は....どうしたらいいかわからねえんだよ!昔から、そんな事される時は決まって騙されてきた!お前達みたいな優しさは、わからねえんだよ!俺は.....何もしてやれねえのに」

 

 

 

 

ラース「それがカミュの本心か?」

 

 

 

 

カミュ「そうだよ!俺は、何もできねえ!何でこんなやつに優しくするんだよ!」

 

 

 

 

ラース「カミュは何がしたいんだ?カミュにしかできない事はたくさんある。お前は何がやりたい」

 

 

 

 

カミュ「俺は.....。わからない、自分がしたい事なんて無い。生きる目的も、今はもうあまり無いんだ」

 

 

 

 

ラース「本当か?」

 

 

 

 

カミュ「何が言いたい」

 

 

 

 

ラース「マヤの事を思い浮かべたんじゃなかったのか?」

 

 

 

 

カミュ「そりゃあそうさ。だが、あいつはもう一人で生きていける。ラース達だっている。俺はいらないのさ」

 

 

 

 

ラース「いらなくなんてない。マヤにはお前が必要だ。マヤを本当に守れるのは俺じゃない。実の兄であるカミュ、お前だけだ。マヤを守るためにも生きてくれ」

 

 

 

 

カミュ「確かにそれは俺もそうしたいが、俺が生きるか死ぬかはわからねえだろ」

 

 

 

 

ラース「俺達はカミュに一人になってほしくないのさ。死んでほしくないからな。何がなんでもお前に生きてほしい」

 

 

 

 

カミュ「....」

 

 

 

 

ラース「だから俺はカミュを引き留めるんだ。あの手この手を使ってな」

 

 

 

 

カミュ「なら、俺を半ば無理やりに訓練に誘うのも、城に来いと言うのもそれが理由か」

 

 

 

 

ラース「ああ、そうだ。兄としても、一個人としてもお前を守ってやりたいんだ。カミュは一人ぼっちなんかじゃないんだからな」

 

 

 

 

カミュ「本当、馬鹿だな。そんな事して何になるんだよ。俺は何もできねえ」

 

 

 

 

ラース「俺がカミュに望む事はひとつだ。自分の生きたいように生きろ。これだけだ。それさえできれば、何もいらない」

 

 

 

 

カミュ「前にも言ってたな。だが、俺はどう生きたらいいかわからねえよ」

 

 

 

 

ラース「やりたい事をやればいいのさ。マヤのようにな。クレイモランで働いてたっていいし、どこか別の働き方を探したっていい。何でもやってみるんだ」

 

 

 

 

カミュ「やりたい事.....ね。.........ラースは、俺にどうして愛をくれているんだ?」

 

 

 

 

ラース「愚問だぞ。大切な仲間で俺の弟で家族だからだ。俺だけじゃない。皆、カミュを思うし、助けたいのさ。周りの人からカミュはたくさん思われてるんだぞ」

 

 

 

 

カミュ「それで優しくしてくれてるのか?」

 

 

 

 

ラース「いや、優しくしてるわけじゃない。ただ、今までカミュにはたくさん助けられたからな。俺ができる精一杯の恩返しだ」

 

 

 

 

カミュ「.............」

 

 

 

 

ラース「........」

 

 

 

 

カミュ「ハハハハハ!お前には負けたよ。それなら、俺もラースを助けるぜ。お前達に愛とやらを返してやる。家族なら互いに助け合うんだろ?それが今の俺のやりたい事だ」

 

 

 

 

ラース「お?いいのか?」

 

 

 

 

カミュ「当たり前だろ?兄貴。俺達は家族。なら、愛を返してやらないとな?」

 

 

 

 

ラース「へへ。そうだな。家族の中ではお前は手を焼きそうだけどな」

 

 

 

 

カミュ「こっちだって兄貴には手を焼きそうだ。これからよろしくな」

 

 

 

 

ラース「おう!どんどん頼れよな!」

 

 

 

 

カミュ「さて、それじゃあ城に帰るとするか。マヤも泣いてるんだったな。報告しに行ってやるか」

 

 

 

 

ラース「そうだな、行くか」

 

 

 

デルカダール城

 

 

 

マルティナ親子の部屋

 

 

 

ガチャ

 

 

 

ラース「よお、戻ったぜ」

 

 

 

 

カミュ「マヤ、心配かけたな」

 

 

 

 

マヤ「兄貴!兄ちゃん!仲直りできたの?」

 

 

 

 

カミュ「ああ、今まで悪かったな、マヤ。俺もラースに説得されたよ。俺のやりたい事をやっていいんだってな。今度からはラースの弟として、この城にも帰ってくるぜ」

 

 

 

 

マヤ「ほ、本当!?やった!!私、ずっと兄貴と一緒にこの城のご飯食べたかったんだよ!」

 

 

 

 

ラース「やっぱりカミュもいた方がいいもんな。よかったな、マヤ」

 

 

 

 

マルティナ「ラース、大丈夫なの?顔、結構腫れてるわよ?」

 

 

 

 

ラース「全くだよな。怖い弟で困るぜ」

 

 

 

 

カミュ「ぐっ....。悪かったな」

 

 

 

 

ラース「ハハハ!気にすんなよな、カミュはマヤと同じ部屋がいいか?それとも違う部屋にするか?好きな方を選べよ」

 

 

 

 

マヤ「兄貴、一緒の部屋にしようよ!」

 

 

 

 

カミュ「わかったよ、マヤ。同じ部屋で頼む」

 

 

 

 

マルティナ「わかったわ。それじゃあ二人分の用意しておくわね」

 

 

 

 

カミュ「ラース、今まですまなかった。お前の好意を気づかずに無下にしてた。これからもマヤと共に頼んだぜ、兄貴」

 

 

 

 

ラース「おう!任せろ、弟よ」

 

 

 

 

 

 

 

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